相談者:Mさん(福岡県在住)
夫41歳(会社員)、妻41歳(パート)、長女10歳、長男8歳
Q. 貯蓄を増やすには、投資を始めた方がいい?
つみたてNISAをしてみたいと思いながら、手元の資金がなくなるのが不安で、いくら手元に残せば良いのかも想像できず、なかなか行動に移せません。また、普通預金や定期預金のままで良いのかも悩み中です。
今は賃貸住まいですが、駐車場代、ネット料金込みでとても安く借りることができているので、持ち家は欲しいのですが、今以上の支出に不安があり、賃貸のままでいます。しかし老後もローンもしくは家賃を払い続けることを考えると持ち家が良いのか、このまま賃貸を続けるか悩みます。
また、今後夫の給料が5万円くらい下がるかもしれないので、このまま貯蓄を増やしていけるか心配です。
学資保険、妻のドル建て終身保険は払い込み済み。夫の低解約返戻金型終身保険は学資保険のつもり。妻のドル建て終身保険も学資目的ですが、使う予定がない場合はそのまま貯めておくことも検討しています。
今後の大きな出費としましては、歯科矯正で100万円使用予定。何年か後には、今乗っている車が乗れなくなったら、250万円くらいの車を一括払いで購入希望です。
A. 賃貸か持ち家かを決めないと賢明な選択は不可能
使い方を決めてから貯め方、増やし方、リスクとの付き合い方を考えて
1500万円近い金融資産を築いたのは立派です。今後の運用でお悩みですが、このまま賃貸住宅生活を送るか、持ち家を目指すか決めないと、賢明な選択ができない状況です。
貯蓄を減らさず、家賃並みのローンでマイホーム、というMさんの希望条件でかなえられる戸建ては、かなり安価な物件。金利や返済期間などにもよりますが、総額1500万円~2000万円が一つの目安ですね。
でも、それは終(つい)のすみかにはならず、将来的に増改築や住み替え費用が発生するはず。かといって今の賃貸に一生住めるわけではなく、老後も家賃が払えるような準備が必要です。
働き方はパートのままで数年後から働く時間を少しずつ増やす、節約は考えない、とのこと。変化を嫌い、現状維持にこだわる限り、将来の展望が開けませんよ。
たとえば夫の収入が下がる可能性があるなら、自分がその分を稼ぐ、という選択肢もあり、のはず。生活の拠点である住宅について夫婦で話し合って、子育て方針や今後の働き方や生活の楽しみ方を決めませんか。お金の使い方を決めてから、貯め方、増やし方を考えるのが健全です。
資産運用はリスク(不確実性)とどう付き合うかがポイント。投資はもうかることもあれば損をすることもあるので、確かに不安でしょう。でも、投資の中でも安全寄りのつみたてNISAに挑戦する勇気が持てない状況で、変額や外貨建てなど投資型保険でリスクをとっておられます。住まいの選択に加え、どんな投資が向いているか、よく検討を―。
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビングふくおか・熊本・かごしま」2023年1月21日号掲載
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高橋伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。