引っ越しにはお金がかかるイメージですが、一人暮らしの場合はどのくらいかかるのでしょうか。本記事では、一人暮らしの引っ越し費用の総額について説明します。費用の相場や内訳を知っておき、出費を抑える方法を考えてみましょう。
一人暮らしの引っ越し費用の総額は?
進学や入社、転勤などで一人暮らしを始める人は多いでしょう。引っ越しにはお金がかかります。一人暮らしを始めるときには、家具や家電、日用品などの購入も必要になります。まずは、総額としてどれくらいかかるのかを知っておきましょう。
引っ越し費用の内訳
一人暮らしの引っ越しには、次のような費用がかかります。
引っ越し業者の料金
賃貸住宅の初期費用
家具・家電購入費用
このうち必ずかかる費用は、引っ越し業者の料金と賃貸住宅の初期費用です。既に一人暮らしを始めている場合には、家具・家電費用はかからないでしょう。
いずれにしろ、引っ越しにはまとまった費用がかかります。一人暮らしで引っ越しを考えているなら、金額の相場や内訳を把握し、総額を計算して準備しておく必要があります。
引っ越し費用の目安は50万円程度
一人暮らしの引っ越し費用は、転居先までの距離や荷物の量、引っ越しの時期などによって変わるため、一概には言えません。新たに一人暮らしを始める場合には、総額で50万円程度がかかると思っておくとよいでしょう。
引っ越し業者に支払う料金はどれくらい?
引っ越しをする際には、通常、引っ越し業者に荷物の運搬を頼みます。まずは、引っ越し業者に支払う料金の総額がどれくらいになるかをみてみましょう。
引っ越し業者の料金は、次のような構成になっています。
基準運賃+料金+実費+附帯サービス
基準運賃とは
荷物を運ぶためにかかる基本的な運賃で、国土交通省によって定められたものです。時間制と距離制の2種類があります。移動距離が100km以内の場合には時間制となり、4時間制と8時間制から選べます。一方、移動距離が100kmを超える場合には距離制となり、移動距離に応じて段階的に運賃が変わります。
なお、引っ越し業者の料金のうち基準運賃以外にかかる料金は、車両留置料や深夜や早朝の割増料金です。実費とは、荷役・荷造り作業員費用及び諸資材料、有料道路利用料などです。附帯サービス料とは、クーラー取り付け、ピアノ輸送、冷暖房機、アンテナの取付・取外し、家具の防虫、消毒などが該当します。
以下で、引っ越し業者にかかる費用の総額の平均を人数別、移動距離別にみてみましょう。
人数別・引っ越し業者にかかる費用の平均
世帯の人数別の引っ越し業者にかかる費用総額です。3月上旬の引っ越しの場合、平均額は概ね次のようになっています。
家族の人数 | 平均的な費用 |
一人暮らし | 約4.7~5.6万円 |
2人家族 | 約9万円 |
3人家族 | 約11万円 |
4人家族 | 約12万円 |
5人家族以上 | 約13万円 |
参考:株式会社エイチーム 引越し比較・予約サイト「引越し侍」調べ
調査エリア:全国
調査機関:見積もり比較サイト『引越し侍』
調査方法:「引越し侍」を利用して引越しをした方を対象に、インターネットアンケートを実施
調査期間:2015年12月~2020年11月
サンプル数:60,060件
一人暮らしの場合には、2人以上家族よりも引っ越し料金は安くなります。なお、一人暮らしで料金に幅があるのは、荷物の量の差によるものです。荷物が少なければ平均で約4.4万円ですが、荷物が多ければ6万円以上になることもあります。
移動距離別・引っ越し業者にかかる費用の平均
一人暮らしの引っ越しでかかる引っ越し業者の料金総額について、移動距離別にみてみましょう。こちらも、料金の幅は荷物の量の違いによるものです。
移動距離 | 平均的な料金 |
15km未満 | 約3.3~3.8万円 |
15km以上50km未満 | 約4.4~4.8万円 |
50km以上200km未満 | 約5.5~6.5万円 |
200km以上500km未満 | 約7.6~9万円 |
500km以上 | 約8.7~11万円 |
参考:株式会社エイチーム 引越し比較・予約サイト「引越し侍」調べ
調査エリア:福岡
調査機関:見積もり比較サイト『引越し侍』
調査方法:「引越し侍」を利用して引越しをした方を対象に、インターネットアンケートを実施
調査期間:2015年12月~2020年11月
サンプル数:2,456件
福岡から関西、関東へ引っ越しする場合、500km以上の距離があります。この場合には、引っ越し業者の料金だけで8万円以上かかると思っておいた方がよいでしょう。
なお、3月は引っ越しが多いとはいえ、上旬は比較的引っ越し費用が安くすみます。3月下旬になるともっと費用が高くなることも考慮しておきましょう。
賃貸物件入居の初期費用の相場は?
一人暮らしでは、賃貸住宅に住むケースが多いでしょう。賃貸住宅の契約をするときには、初期費用としてまとまった金額がかかるのが一般的です。一人暮らしの引っ越しでは、賃貸物件の初期費用も用意しておかなければなりません。
賃貸物件入居時にかかる費用の内訳
賃貸物件を契約するときには、次のような費用がかかります。
敷金(保証金)
家賃滞納に備え、担保として預けておくお金です。退去時には原状回復費用を差し引きし、返金されるのが一般的です。相場は家賃1~2ヶ月分です。
礼金
物件の所有者である大家さんにお礼として支払うお金のことで、返金されません。礼金としても家賃1~2ヶ月分を払うのが一般的です。
仲介手数料
賃貸物件を探すときには、不動産会社を利用するでしょう。賃貸借契約が成立したら、不動産会社に仲介手数料を払う必要があります。仲介手数料は、原則的に家賃1ヶ月分です。
前家賃
賃貸物件の家賃は、今月中に来月分を払うのが一般的です。入居時には、今月分の日割り家賃と翌月分の家賃を払う必要があります。
火災保険料
入居時には、火災保険への加入を求められることが多くなっています。2年契約で2万円程度が相場です。
初期費用の総額は家賃5~6ヶ月分
賃貸住宅の初期費用の総額は、家賃5~6ヶ月分程度になります。総務省の家計調査(2023年)によると、民間借家に住んでいる単身者世帯の家賃の平均額は5万3,085円です。賃貸住宅入居のために、30万円程度はかかると考えておくとよいでしょう。
参考:総務省「家計調査 家計収支編(2023年)単身世帯 第8表」
家具・家電の購入に必要な費用は?
新生活を始める場合には、家具や家電、日用品を揃えなければなりません。そこで、一人暮らしの家具・家電の購入費用をみてみましょう。
一人暮らしに必要な家具・家電
一人暮らしを始めるとなると、次のような家具や家電、日用品などが必要になります。
一人暮らしに必要な物
冷蔵庫
洗濯機
テレビ
炊飯器
電子レンジ
掃除機
ベッド・寝具類
収納家具
カーテン
テーブル
照明器具
食器・調理器具
住居に既に備え付けられている物もあるかもしれません。人によっても必要な物は変わります。一人暮らしで家具・家電等を揃える場合には、自分でリストを作っておくとよいでしょう。
購入費用の総額
家具・家電等の購入費用は、揃える物がどれくらいあるかによって変わってきます。一般的には、購入費用の総額は10~15万円程度になります。
一人暮らしの引っ越しの注意点
一人暮らしの引っ越しで注意しておきたい点を紹介します。
「単身パック」と「単身プラン」の違い
一人暮らしで引っ越しするときには、引っ越し業者の単身者向けプランの利用を検討することが多いでしょう。引っ越し業者では「単身パック」や「単身プラン」と呼ばれるサービスが提供されています。「単身パック」と「単身プラン」は、サービス内容が異なります。
単身パックとは
引っ越しの際に荷物が少ない場合は、単身パックがおすすめです。単身パックは、決められたサイズのコンテナに入れられるだけの荷物を詰め込んで運んでもらうサービスとなります。コンテナに入らないベッドやタンスなどの大型家具は、単身パックの対象外です。
初めての一人暮らしの場合には、家具などもまだ購入していないことが多いでしょう。コンテナに入りきるくらいの荷物なら、単身パックを利用することで引っ越し費用を抑えられます。
なお、単身パックの場合、段ボールも有料で実費がかかります。荷物が入りきらなければ追加料金が発生し、割高になるので注意しましょう。
単身プランとは
単身プランは単身者向けの引っ越しプランです。単身パックのようにコンテナを使うものではなく、通常の引っ越しになります。単身プランでは、荷物の量に応じて車両の大きさが変わります。
一人暮らしでも荷物が多い人は、単身プランを利用するとよいでしょう。荷物の少ない人が単身プランを選ぶと、割高になる可能性があります。
荷造りの際に知っておきたいポイント
荷物を梱包するには、段ボールが必要です。段ボールは引っ越し業者でもらえるケースもありますが、無料でもらえる数は限られているのが一般的です。段ボールが足りない場合には、近所のスーパーなどで譲ってもらいましょう。
荷造りの際には、ハンディラップ(ストレッチフィルム)と呼ばれる結束用のポリエチレンフィルムがあると便利です。緩衝材(プチプチ)や新聞紙もあるとよいでしょう。
引っ越し費用の総額を抑える3つの方法
一人暮らしとはいえ、引っ越しにはお金がかかります。そこで、引っ越し費用の総額を抑える方法を3つ紹介します。
引っ越しの閑散期を利用する
引っ越し業者の料金は、時期によって大きく変わります。引っ越し業者の繁忙期は3~4月です。この時期に引っ越しすると、どうしても料金が高くなってしまいます。
5~8月、11~2月の閑散期を利用すれば、引っ越し費用を抑えられます。たとえば、単身者が福岡から500km以上の距離を引っ越しする場合、荷物多めなら繁忙期は16万円程度かかりますが、閑散期は8万円程度ですみます。
参考:株式会社エイチーム 引越し比較・予約サイト「引越し侍」調べ
なるべく荷物を少なくする
引っ越し料金は、荷物の量によっても変わります。できるだけ荷物を減らせば、運ぶためのトラックも小さくすみ、引っ越し料金も抑えられます。単身パックのコンテナに入る量にできれば、かなり料金を下げられるでしょう。
複数社で見積もりをする
引っ越しをどこの会社に依頼するかによっても、費用総額は変わります。複数社から相見積もりを取れば、料金の安い会社に依頼できます。他社の料金を引き合いに出すことで、価格交渉もしやすいでしょう。
インターネットには、引っ越し料金の一括見積もりサイトもあります。最終的には訪問見積もりをしてもらいますが、事前に料金や内訳を比較できるので活用するとよいでしょう。
まとめ
一人暮らしで引っ越しをする場合、引っ越し業者の料金だけでなく、賃貸住宅の初期費用や家具・家電費用もかかります。あらかじめ、総額でどれくらいかかるのか計算しておきましょう。急な引っ越しで資金が足りない場合には、西日本シティ銀行の『NCBアプリカードローン』の利用も検討してみてください。
森本由紀
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、夫婦カウンセラー
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。