一人暮らしでは、家賃、光熱費、食費など多くの経費が発生し、貯蓄をするのが難しいと感じる人も少なくありません。そこで、一人暮らしをしている人たちがどの程度貯蓄しているのか、平均資産保有額を基に現実的な目安を探ってみましょう。さらに、貯蓄の目標を立て、それを達成するためのコツも紹介します。
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一人暮らしの平均貯蓄額はいくら?
一人暮らしを始める際、いくら貯蓄をすればいいのか気になる人もいるでしょう。まずは、一人暮らしの人の金融資産保有額を紹介しますので、貯蓄額の参考にしてみましょう。
一人暮らしの金融資産保有額の平均は941万円、中央値は100万円
一人暮らしの金融資産保有額平均は941万円、中央値は100万円とされています。中央値とは、全データを小さい順に並べた際に真ん中に位置する値を指し、平均値と比較してより現実的な貯蓄状況を反映します。平均値が少数の高額貯蓄者によって引き上げられることがあるため、中央値の確認は貯蓄額の現実的な理解に役立ちます。
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
年代別の一人暮らしの金融資産保有額
年代別の一人暮らしの金融資産保有額は、以下のとおりです。基本的に、年齢が上がるほど平均値も中央値も高くなる傾向にあります。
年代 | 平均値 | 中央値 |
20代 | 121万円 | 9万円 |
30代 | 594万円 | 100万円 |
40代 | 559万円 | 47万円 |
50代 | 1,391万円 | 80万円 |
60代 | 1,468万円 | 210万円 |
70代 | 1,529万円 | 500万円 |
出典元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
金融資産保有額がゼロの人の割合は30%以上
出典元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
一人暮らし世帯の貯蓄額に関する平均値や中央値とは別に、金融資産保有額がゼロである世帯の割合も注目されています。実際、36%の一人暮らし世帯が貯蓄を一切持たないという統計があります。特に、20代の金融資産保有額がゼロの割合が43.9%と、最も高いことが明らかになっています。社会人生活を始めたばかりで給料が少ないため、生活費をまかなうだけで手一杯になってしまう人も少なくありません。
1,000万円以上貯蓄している人はおよそ22%
出典元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
一人暮らしで金融資産保有額が1,000万円以上ある人は、全体の21.9%です。
70代がもっとも多く、39.4%の人が1,000万円以上保有しています。20代でも1.6%の人が1,000万円以上保有しているという結果も出ました。
一人暮らしの平均貯蓄額の割合
全国2,500世帯を対象にした調査では、一人暮らしをしている人の手取り収入に対する平均貯蓄額の割合は13%でした。平均から考えると、手取り収入の1割以上を貯蓄に回すのが理想です。
例えば、手取り収入が20万円なら2.6万円、30万円なら3.9万円は貯蓄できます。ボーナスが支給される場合は、その支給額も加味して貯蓄の割合を高められるでしょう。
参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
貯蓄できるタイミングで割合を増やそう
出典元:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
同調査によると、収入に対する貯蓄の割合がもっとも高いのは20代で、18.8%の人が手取り収入の35%以上を貯蓄に回しています。20代は結婚やマイホーム購入などの大きな支出がまだなく、貯蓄するのに理想のタイミングです。
今後大きな支出が増えることを見越して、貯蓄できるタイミングで貯蓄の割合を増やしておくことも考えましょう。
一人暮らしの貯蓄の目標設定方法
一人暮らしの人が貯蓄を始めるなら、目標設定が大切です。やみくもに目標額を設定するのではなく、きちんと達成できそうな金額を目標にしましょう。
無理なく貯蓄を続けられる、目標金額の設定方法を解説します。
ライフプランを考えて目標を決める
今後のライフプランを考えると、具体的な目標金額を決めやすくなります。結婚式にかかる費用、マイホーム購入の費用、さらに出産費用や子どもの教育費など、今後必要となるお金がどれくらいなのかを考えましょう。
各項目で全国の平均額を調べることもおすすめですが、地域によって相場は変わります。周囲の経験者に話を聞いて、具体的なイメージを持つことも大切です。
老後資金を考えて目標を決める
老後資金を考えて目標を決めることも、今後のためには大切です。日本では老後に2,000万円が必要といわれていますが、自分が受け取れる年金の額や、将来のインフレ率によっては2,000万円ではままならないことも考えられます。
自分が年金をいくら受け取れるのか、老後も一人暮らしを続けるのか、結婚するのか家族と同居するのかなども加味したうえで、貯蓄額を決定していきましょう。
小さい目標をコツコツクリアしていく
貯蓄を続けるなら、小さい目標をコツコツクリアしていくことが大切です。貯蓄を意識したことがない人がいきなり「1年で100万円」「老後のために2,000万円」など、大きな目標を立てると途中で心が折れてしまう可能性があります。
「毎月3万円貯蓄して1年間で36万円貯める」「2年後の結婚式までに夫婦で300万円貯める」など、目の前の生活やイベントから考えて、無理のない計画を立てましょう。
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一人暮らしで貯蓄の目標を達成するコツ
一人暮らしの人が貯蓄の目標を達成するコツを紹介します。手取りが少なくて貯蓄ができない、いくらを目安に貯蓄すればいいのかわからない人も、以下のポイントをふまえて上手に目標額を目指しましょう。
目標から逆算する
まずは目標を決めて逆算していけば、毎月の貯蓄額を明確にできます。貯蓄の目標額と、到達するまでに必要な期間を決定しましょう。
例えば、3年後にマイホームの頭金として500万円必要な場合、毎月の貯蓄額は13.8万円です。夫婦二人で負担するなら一人あたり6.9万円、さらにボーナスも加味するのであれば毎月の負担は軽減できます。具体的な数値を計算し、無理なく続けられる金額かを考えてみましょう。
毎月の支出を見直す
毎月の支出を見直すことで、貯蓄をしやすくなります。家計簿をつけ支出を把握すると、無意識にお金を使っているものや本来であれば節約できるものなどが、意外と多いことがわかるでしょう。
時間が空いたら、ついカフェでコーヒーと軽食を注文していたり、買い物に行ったら必要以上のお菓子や総菜を買っていたりと、一人暮らしの生活をするなかで削れる支出がないか考えることも大切です。
固定費を抑える
一人暮らしの人が貯蓄を成功させるなら、固定費の見直しは大切です。固定費とは毎月必ずかかる支出のことで、家賃や通信費などが該当します。
家賃は手取りの3割程度が理想といわれていますが、通信費や光熱費などを加味すると3割でも高すぎるケースもあるでしょう。収入に対して、家賃の割合が多すぎないか考えてみてください。
引っ越しには費用がかかりますが、長期的に考えれば家賃が安い物件に引っ越すこともおすすめです。
定期的に家計を振り返る
定期的に家計を振り返り、改善点がないかを考えましょう。家計簿をつけることは大切ですが、ただ支出を書くだけでは改善はしにくいです。毎月の終わりに、支出の割合が多かった項目、うまく節約できた項目などを確認しましょう。無駄な支出を削っていくことで、収入が低くても無理なく貯蓄を続けやすくなります。
家計簿が続かない人は、アプリを活用したり、自分が使いやすい管理シートをエクセルなどで作ったりすることもおすすめです。
先取り貯蓄をする
社会人として賢い貯蓄方法の一つに、給料日に一定額を先取りして貯蓄する戦略があります。給与が振り込まれたら、最初に設定した金額を別の貯蓄専用口座に移し、残りの金額で月間の生活費をやりくりします。この方法では、限られた予算内で生活することになり、自然と節約スキルが身につきます。
普通預金口座を貯蓄用に開設するのも良いですが、一定期間お金を引き出せない代わりに金利が高い定期預金口座を利用するのも賢い選択です。こうすることで、貯蓄をさらに効率的に増やすことが可能になります。
副業で収入を増やす
支出の削減だけでは貯蓄を増やすのが難しい、または既存の貯蓄額をさらに増やしたいと考えている人には、副業が一つの解決策となり得ます。確かにダブルワークは体力や時間の面で大変なことがありますが、自宅で可能な副業も多く存在します。例えば、スマートフォンを使ってアンケートに回答しポイントを獲得したり、ブログを書いて収益を得たりすることができます。
さらに、デザインやカウンセリングなど特定のスキルを習得することで、もっと自由な働き方を選択し、収入を増やすことが可能です。ただし、副業を開始する前には、現在勤務している会社の就業規則をしっかりと確認し、ルールを守ることが重要です。
ポイントを活用する
ポイントを活用して賢く節約する方法もあります。ポイントの還元率が高い日に買い物をしたり、エントリーすることでポイントを獲得できるキャンペーンを利用したりといった工夫をしてみましょう。
ポイントカードはあれこれ作ると管理が難しくなり、ポイントのためにかえって無駄な買い物をしてしまうこともあります。できるだけ少数に絞り、ポイントを貯めやすく使いやすい環境を整えましょう。
積立保険に加入する
一人暮らしで堅実に貯蓄を続ける方法の一つに、積立保険もあります。積立保険は一定額を一定期間積み立て続けることで、満期を迎えると解約返戻金を受け取れる保険です。投資ほど大きな利益は狙えないものの、大手銀行よりは金利が高く設定されています。
病気やけがの保障も受けられる点も、積立保険のメリットです。積立保険にはお祝い金などが出るタイプもあるので、保障内容と合わせて自分に合う保険を選びましょう。
ただし、保険は保障内容も複雑なうえ、商品数もたくさんありあるので、自分に何が合っているかなど、プロに相談するのがおすすめです。
西日本シティ銀行の『NCBほけんプラザ』では、無料で相談に応じますので、気になる場合は気軽に相談してみてはいかがでしょうか?
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投資で資産を増やす
資産を増やすために投資を行う選択肢もあります。適切な投資を行うことで、利益を追求することが可能になります。特に近年では、NISAやiDeCoを利用した投資信託など、初心者にも取り組みやすい投資方法が人気を博しています。
しかし、貯蓄や保険と異なり、投資には元本が減少するリスクも伴うため、その点を十分に理解することが重要です。投資を始める際は、貯蓄とのバランスを考慮しつつ、無理のない範囲の金額からスタートすることをお勧めします。
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まとめ
一人暮らしでは家賃や食費など出費が多いものですが、収支をしっかり管理することで貯蓄を続けることは可能です。実際、36.0%の人が貯蓄額がゼロというデータがありますが、その一方で21.9%の人が1,000万円以上の金融資産を保有しているという結果もあります。
貯蓄の目的を明確にし、いくら貯めたいのか具体的な目標を設定することが重要です。これに基づいて、一人暮らしでも無理なく続けられる貯蓄計画を立てましょう。
投資信託のご留意事項(必ずご確認ください)
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古賀 清香
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
広告代理店勤務を経て、フリーライターとして6年以上活動。自身の投資経験をきっかけにFP資格を取得。投資・金融・不動産・ビジネス関連の記事を多数執筆。現在はフリーランスの働き方・生き方に関する情報も発信中。