こんにちは。薬膳レシピ研究家・甲木里枝(かつきさとえ)です。福岡市平尾にあるキッチンから、皆さんの体調やココロを整える薬膳料理を発信しています。コラムでは、季節の過ごし方、体調別のおススメ食材、ご家族で美味しく食べることのできるカンタン薬膳レシピをお伝えします。今回のテーマは「春におすすめの薬膳料理」。この春は薬膳料理にチャレンジしてカラダを整えてみませんか。
立春を過ぎて梅の花も咲き始め、いよいよ春めいてきましたね!キッチンの近くにある公園でも、ピンクや黄色の梅の花が咲き甘い香りが漂っています。気温も温かくなり、外に出る機会も増えてきた方も多いのではないでしょうか。
私も散歩に出たり、ベランダの花やハーブの手入れをする日が増えました。日差しが背中に当たると気持ちよく、植物の手入れが楽しい季節です。
こうやって外に出て心地よい時間が増えるのは嬉しいのですが、気になるのが春特有の症状です。
せっかくの心はずむ春の時期に、カラダの不調で外出に気乗りしないのはもったいないですよね。
薬膳の世界では、春は「肝(臓)」に影響が出やすい季節だとされます。
春に肝機能が乱れると、次のような症状が現れやすくなります。
◎ 貧血でフラっとする
◎ 肩がこる
◎ 気分が落ち込む
◎ 足がつる
◎ お腹を壊す
◎ 手足が冷える
皆さん、このようなプチ不調で外出がおっくうになっていませんか?
実はこれらの症状は、春に気・血の巡りが悪くなったり、肝機能の低下が消化に影響を及ぼすことから発生しているんです。
プチ不調の改善に薬膳料理はうってつけです!今年は美味しい薬膳料理を作って症状を改善し、快適な春を過ごしませんか。
3つのおススメの薬膳レシピをご紹介しますので、ぜひおうちで作ってみてくださいね。
【レシピNo.1】そばの実粥
【材料(4人分)】
そばの実・・・・・・・・・100g
そら豆・・・・・・・・・・16粒
白米・・・・・・・・・・・1合
水・・・・・・・・・・・・1800cc
【作り方】
1 そばの実は、あく抜きのため沸騰した湯で軽くゆで(3分)、ざるにあげておく。
2 白米はよく洗い、水を切って15分空気にさらす。 "
3 土鍋に、そばの実、白米、水を入れ、強火→(沸騰したら)弱火で30分たく。火を止めたら蓋をしたまま30分蒸らす。
4 そら豆はさやから取り出し、蒸し器で4分蒸す。そら豆の薄皮をむく。
5 粥を器に盛り、そら豆を飾る。
【レシピの効果】
そばの実の香る、春の薬膳料理として代表的な一品です。そばの実には気を巡らす効果があります。春にプチ不調として発生しやすい、気持ちの落ち込みや肩こりなどの症状を軽くしてくれるレシピです。そら豆のほろ苦い甘さとそばの実の淡い甘さがカラダにしみわたる美味しさです。
【レシピNo.2】無花果と茄子のタジン風
【材料(2人分)】
クミン(粉)・・・・・・・・・小さじ1
コリアンダー(粉)・・・・・・小さじ1
茄子・・・・・・・・・・・・・120g
トマト・・・・・・・・・・・・100g
ひよこ豆・・・・・・・・・・・25g
無花果(ドライ)・・・・・・・3個
玉ねぎ・・・・・・・・・・・・20g
ニンニク・・・・・・・・・・・1/2かけ
白ワイン・・・・・・・・・・・50ml
塩・・・・・・・・・・・・・・少々
オリーブオイル・・・・・・・・大さじ1
【作り方】
1 茄子は1cm厚さの輪切りにする。無花果、ニンニク、玉ねぎは、それぞれみじん切りにする。トマトはざく切りにする。ひよこ豆(水煮)は洗って水切りする。
2 鍋にオリーブオイル、ニンニクを熱し、香りが立ったらみじん切りにした玉ねぎを炒める。
3 2に残りの材料全てを加え、約10分煮込む。途中、水分があまりにも少なくなったら水50ccを目安に加える。火を止めたら、蓋をしたまま約10分そのまま置いておく。
4 器に盛る。お好みでミントなどを飾る。
【レシピの効果】
おうちにある普通のお鍋で作っていただけるタジン鍋風の蒸し野菜料理です。無花果や茄子が消化機能を改善し、カラダに気(エネルギー)を補充します。食欲をそそるエスニックな香りがするので、作っている間もなんだか楽しい!ガラムマサラを加えて、カレー風味にアレンジしても美味しいですよ。
【レシピNo.3】紅花のホタテミルクスープ
【材料(2人分)】
紅花・・・・・・・・・・・1g
ホタテ・・・・・・・・・・4個
青梗菜・・・・・・・・・・2株
野菜出汁・・・・・・・・・300cc
桜エビ(乾燥)・・・・・・・2g
牛乳・・・・・・・・・・・100cc
塩・・・・・・・・・・・・少々
【作り方】
1 青梗菜は4cm長さに切り、葉と茎部分に分けておく。
2 鍋に野菜出汁と桜エビを加え、3分ほど煮込む。
3 2に青梗菜の茎部分、ホタテ、玉ねぎ、牛乳、塩を加え、弱火で約4分煮る。青梗菜の葉を加えて約2分さらに煮る。
4 器に3のスープを盛り、紅花を散らす。
【レシピの効果】
海鮮の風味をいかした食べ応えのあるミルクスープです。紅花、青梗菜、玉ねぎには血をサラサラにする作用があり、血の流れを整えてくれます。春になっても手足が冷えるという方は、実は血流が滞っている可能性があります。最近は、紅花もネットショップなどで手に入るようになってきました。手足の冷えにお困りの方は、ぜひ紅花を手元に用意して作ってみてくださいね。
【まとめ】
いかがでしたか? 難しそうだと思っていた薬膳料理、意外と簡単におうちで作れそうですね!最近は「薬膳」という言葉を雑誌やTVでみかけます。そのおかげか、デパ地下やスーパーでも、そばの実など薬膳料理によく使う食材も手に入るようになりました。もちろんネットショップでも、いろんな珍しい食材を手に入れることができます。
「薬膳料理で楽しく美味しく体質改善」。ご自宅でも作れるカンタン薬膳料理。今年は春のプチ不調を改善する薬膳料理を作って快適に過ごしてみませんか。
SATOE
薬膳料理研究家。国際薬膳師。「薬膳ハウス金木犀」主宰。株式会社金木犀代表。株式会社LeQUALIA共同代表。
約12年にわたり公務員として勤務。自身の体調不良をきっかけに薬膳と出会い、薬膳料理家に転身。福岡市内の料理教室「薬膳ハウス金木犀」を主宰。メディア出演や情報誌などでもコラムを掲載。「楽しく美味しく体質改善」をテーマに、ハーブやスーパーフードも取り入れた新たな薬膳料理を提案。