相談者:Tさん(熊本県在住)
夫52歳(自営業)、妻50歳(会社員)、長女14歳(中学生)
Q. 親・きょうだいへの金銭的援助に耐えられる家計?
夫の収入は仕事関係の費用、自分の住民税や保険・年金などの支払いを除いた平均的な金額です。
夫は自営なので稼ぐ時に稼ぐというスタンス。数年周期のプロジェクトが終わると1年くらい休むというサイクルを繰り返していて、収入が安定しているわけではありません。とはいえ、貯蓄も自分でしているようで(金額は不明)、現在生活に困っているわけではないので詳しくは聞いていません。
娘の進路は公立を想定して学資保険で貯めていたのですが不登校気味になり、私立や通信制高校も選択肢に入ってきました。定期預金を崩してしのごうと思っていたところ、母から保険で用意しているので心配しなくていいと言われました。その場合、相続税はかからないのでしょうか?
また、隣県で夫の父がニートの兄と二人暮らしです。今は元気なので年金で暮らしていけていますが、将来介護施設に入った時の費用が心もとなく、さらに父が亡くなった後に兄の扶養義務が発生することが一番心配です。もしもの時に耐えられる家計でしょうか。
A. 夫の問題。あなたの収入や蓄えは差し出さないで
教育費の援助は必要に応じて払い込んでもらう「都度贈与」の検討を
あなたは寛大な方ですね。夫のマイペースの働き方への許容度がとても大きいですから。夫は国民年金、介護保険、医療保険、生命保険の掛け金を自身で払い、貯蓄もしているので、信頼してもおられるのでしょう。
しかし、夫が貯蓄額を具体的に教えてくれないのは、「あてにされそうでイヤ」だからとか…。こんなに一生懸命働き、やりくりして生活基盤を整えている妻に甘えすぎ、と感じます。
また、将来的に舅(しゅうと)や義兄の扶養が発生した場合に、現在の家計の延長線上でまかなえるか、と相談してこられたことについては、「あなたが心配することではない」と申し上げたい。
親兄弟の扶養義務があるのは原則的に夫であって、あなたではありません。夫には兄も姉もおられるようなので、あなたの収入や蓄えを差し出して支える必要はないでしょう。
お子さんの教育費について、実家のお母さんから援助の申し出があったのはありがたいこと。保険証券を拝見したところ、2027年に満期保険金500万円がお母さんに入る火災共済のようです。
税金のことをご心配ですが、一度にもらわず、「都度贈与」として、お母さんから孫の教育費を必要に応じて払い込んでもらう形を検討してください。高校と大学の通常の学費なら課税対象にはならないようです。
T家の最大の問題は、築35年の住宅の修繕や大規模改修、建て替え等への対応。あなたが管理する金融資産の8割以上が簡単に換金できるものではないので、早めに対策を立てましょう。
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2023年2月25日号掲載
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高橋伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。