相談者Kさん(福岡県在住)
夫55歳(会社員)、妻56歳(主婦)
Q. 収入が減る中、年金受給開始までのやりくりは?
すでに子どもは独立して、今は夫婦2人暮らし。主人が元気なうちは仕事を続けると言っていますが、定年退職後は給料も下がるようです。でも、退職金や、退職後の再雇用の給与金額やボーナスの有無は不明です。
夫婦とも、貯蓄型の終身保険の支払いが65歳まで残っているために、払えるかどうかが心配です。支払いを年間払いに変更しましたが、解約するつもりはないので、特に見直しもしていません。
主人の両親はすでに他界していますが、私の90歳になる両親は健在。介護費用の負担はありませんが、世話などは私がしています。以前はパートを少ししていましたが、忙しい時期やコロナ禍の中でもあり、今の時点では仕事と両親の世話を両立させるのは難しそうです。
今は夫婦で旅行や外食を楽しんだり、買いたい物も我慢せずに買ってしまう傾向にあるので、将来の収入減のことを考えて、もっと節約していきたいと思っています。
今後どうやりくりをしていけばよいか、良きアドバイスをどうぞよろしくお願いいたします。
A. 基本生活費を把握し、年金受給見込み額と比較して
貯蓄取り崩し額に応じて不足資金対策を。保険解約は最後の手段
ご実家のサポートは大変でしょうが、経済的な支援は必要なし、とのこと。親子とも自主自立した家計が営めるのは理想的です。お子さんに対しても、遺(のこ)せる最高の財産は教育ということで、大学まで面倒を見られたのでしょうね。
今は解放感から、これまでガマンしてきたことにお金を使っている様子。しばらくはいいものの、将来が気がかりなら、早めにセカンドライフの準備を始めるべきです。退職金や再雇用の収入が不明とのことですが、公的年金は調べられるので、年金開始後の生活を先にチェックしてください。
家計簿の数字を分析して、「必ず必要な支出(基本生活費)」と「いざとなれば削れる支出(ゆとり支出)」を割り出しましょう。「基本生活費」が把握できたら、公的年金の受給見込み額と比べて、いくら貯蓄取り崩しが発生しそうかチェックを。Kさんの場合は、勤務先から支給されている住宅手当がなくなる点を計算に入れる必要がありますよ。
年金生活で辛いのはボーナスがない点ですが、夫婦とも主契約の保険料払い込みが65歳で完了する契約です。しかも30年前に契約した、予定利率の高い〝お宝保険〟。年金受給前に貯蓄を取り崩さざるを得ないとしても、保険の解約は最後の手段と考えましょう。
マイカーにいつまで乗るかも検討し、年金受給前と年金受給後の貯蓄取り崩し額を、大ざっぱでいいので見積もりましょう。退職金もある程度は分かるはずなので、不足資金を補うためにどう働くか、夫婦で知恵を絞ることをおすすめします。
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2022年8月20日号掲載
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高橋伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。