相談者:Fさん(福岡県在住)
本人45歳(団体職員)、長男20歳(大学生)、長女16歳(高校生)
Q. 子どもの進学と自分の老後、両方に備えるには?
10年前に離婚後、子どもと3人で生活してきました。2年前に新築を購入し、現在ボーナス払いはなしで月々ローンを返済中(35年)です。離婚当時は目の前のことでいっぱいいっぱいで、将来設計など深く考えず毎月決められた金額内でやりくりしてきました。
職場が県外で、転勤はないため、JR定期と2台の車を使用し、毎日通勤しています。通勤にかかる交通費関係が月10万円と大きいのですが、職場から8万円の交通手当があり、なんとかやりくりできています。
子どもたちに何かあった時や学費のための貯蓄用通帳が1冊あり、以前は児童手当と養育費を入金して、手をつけないようにしていました。
長男は国立大学院、長女は国立大学への進学を希望していますが、私は年々ボーナスが減り、養育費も1年後から半減。奨学金も考えていますが、できれば私が大学まで出してやりたいと思っています。その場合は今まで貯めてきた預金に手をつけることになります。
自分も年金積立で老後資金を貯めてはいますが、将来を考えるとそのお金を今使ってよいか不安。アドバイスをお願いします。
A. 援助は大学卒業までが限界、大学院費用は奨学金で
子どもと家計の情報を共有し、老後資金作りは6、7年後から
お子さんたちの大学・高校進学により、貯める一方だった子ども用預金が、取り崩しに転じたようです。さらに、長男が成人したことで、1年後からは養育費も半減するのですね。
現在はあなたの年金積立口座で、年31万2000円貯めていますが、ボーナス収支は23万2000円の赤字。来年養育費が減り、支出が現状のままだと、年間赤字は62万8000円になります。
ボーナスが減るとさらに厳しい状況になります。住宅ローン控除による還付金などもしっかり把握し、貯蓄の取り崩しを最小限にとどめるようにしましょう。
2年後には、長男の大学院進学と長女の大学進学が控えています。子ども用預金の残高、児童手当や養育費の終了を考えると、2人の大学卒業までの援助が限界かも…。大学院の費用は、奨学金を活用すべきです。
場合によっては、年金積立を休止せざるを得ない状況になるかもしれません。でも、それまで貯めた分を取り崩してまで、お子さんを応援することには賛成しかねます。あなたの大切な老後資金ですから― 。
お子さんたちには家計の現状を話し、応援できる範囲を伝えましょう。また、二人が巣立ったあとは長距離通勤をやめる予定で、自宅の売却や賃貸も視野に入れていることなども相談し、理解を得ておきましょう。
6、7年後には、教育費がかからなくなり、老後資金作りを本格的にスタートできます。扶養家族がいなくなるので、掛け金が全額所得控除の対象になるiDeCo(確定拠出年金)の活用をお薦めします。
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2021年6月26日号掲載
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高橋 伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。株式会社西日本フィナンシャルホールディングスの社外取締役監査等委員。