相談者:Hさん(福岡県在住)
夫40歳(会社員)、妻41歳(パート)、長男11歳、次男9歳
Q. 増税&教育盛りで貯蓄ペース減必至。どう貯める?
児童手当特例給付廃止がギリギリ対象になる世帯です。年収が増えても累進課税の負担が大きく手取りが増えません。ふるさと納税しかしていなかったのですが、非課税制度をフル活用しようと猛勉強中です。
つみたてNISA夫婦年間80万円、ジュニアNISA年間160万円(2023年まで満額計480万円利用予定)を今年度から開始。
銀行は利率が低いので、夫の定期預金を元本割れリスクのない個人向け国債に切り替えるか検討中。持ち株は年間6万6000円配当が出ているので所有。個人向け国債計2000万円、単一株1000万円となると偏り過ぎでしょうか? 分散投資が重要とされていますが、どうしたらいいのか分かりません。
今は順調な貯蓄ペースですが、児童手当廃止、高校大学無償化対象外に加え、家賃補助が減り、単身赴任で二重生活の可能性も。来年から長男が中学生で塾費用もかかり、今後教育資金、老後資金をバランス良く貯められるか不安です。
そしてマイホームがなく、私たち夫婦は老後どこに住むのか、また私(妻)の医療保険、がん保険も掛け捨てに入るかも悩んでいます。
A. 高黒字率で貯蓄も多い家庭は一般NISAがベター
新NISA制度もチェックを。単一株はリスクが集中、再考の余地あり
児童手当は子ども1人につき月1万~1万5000円を支給する制度です。扶養親族等の数に応じて制限があり、一定以上の所得があると、1人一律月5000円の特例給付となります。H家はそれに該当ですね。
さらに児童手当法の一部改正により、2022年10月以降は、特例給付の支給停止世帯が出ます。高収入世帯には厳しい改正なので、節税のために猛勉強を始めたのはさすがといえます。
2023年に廃止になるジュニアNISAの駆け込み利用は非課税面でおトク度が高いです。夫婦のつみたてNISAは、一人年40万円の非課税投資を20年続けられ、元本計800万円が非課税に― 。でも、一般NISAと比べましたか?
一般NISAは1人年120万円の非課税投資が5年可能で、投資元本は計600万円。売却していなければ各年分の非課税運用を最長5年延長できるほか、つみたてNISAでは利用できない個別株やETFなども選べます。黒字率が高く、貯蓄残高が多いHさんには、一般NISAがベターかも。
2024年に新NISA制度が始まる点も、気にとめておきましょう。1階部分はつみたてNISA(非課税拠出枠20万円)、2階部分は一般NISA(非課税枠102万円)の予定で、一般NISAからの移行メリットもありそうです。
単一株1000万円の件は、再考の余地あり。配当利回りが格別よくはなく、株価が勤務先の業績と連動するので、リスクが集中しています。NISAで分散投資しましょう。個人向け国債の方は問題ありません。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2021年3月27日号掲載
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高橋 伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。株式会社西日本フィナンシャルホールディングスの社外取締役監査等委員。