相談者:Kさん(福岡県在住)
夫29歳(会社員)、妻33歳(会社員)、長男0歳
Q. 住宅ローンの繰り上げ返済は、今するべき?
昨年4月に長男が生まれ育児休業中ですが、保育園へ入園できたら4月から職場復帰の予定です。
復帰後の収入は時短のため月15万円ほどに下がり、さらに保育料が約6万円かかる見込みです。ボーナスは、以前は約60万円もらっていました。
2年半前にフラット35で住宅ローンを組み、家を建てました。2053年完済予定で、利息は10年間は1・09%、その後は1・34%です。
収入の一定額を貯蓄に充てていますが、ある程度たまってきたので、住宅ローンの繰り上げ返済をするかどうかで迷っています。
住宅ローン控除があと7年あるので、それまでは利率の良いネット銀行の定期などに預け、控除終了後に返済する方がいいのでしょうか。
つみたてNISAなどの投資にも興味ありますが、知識がなく踏み込めません。
また職場復帰後も、貯蓄ペースを落とさずにやりくりするにはどうすればいいでしょうか。
なお、保険に複数入っていますが、一部は老後や教育資金の貯蓄目的です。見直しは考えていません。
A. 控除がきく間は繰り上げ返済せず、貯蓄運用しては
不要不急の支出カットで臨み、夫婦が使う小遣いも年間で見える化を
復職後は今より給与が下がり、保育料の負担が発生するので、その他の収入や支出が今のままだと、毎月5万1000円の赤字です。
「貯蓄ぺースを落とさずにやりくりしたい」というKさんの希望を叶えるには、月5万1000円も支出を削らなくてはなりません。
保険は教育や老後に備えて入ったもので、見直しは考えていないとのこと。そうなると、食費や外食費、携帯電話代や日用品費、被服費に大ナタをふるうしかないですね。返済額軽減型で住宅ローンを繰り上げ返済することも考えられます。
ボーナス復活を前提に貯蓄ペースを守るのなら、ハードルは下がりますが、支給額によって節約度が変わります。不要不急の支出カットで臨んでください。
気になるのは、夫婦とも小遣い制でない点です。必要に応じて使っているようですが、年間でいくらずつ使ったのか、見える化したほうがいいでしょう。
住宅ローンの繰り上げ返済について、住宅ローン控除終了後にするか、早くに実行するか、迷っているようです。
K家ではあと7年、年末のローン残高の1%が控除対象です。毎年還付される税金と、繰り上げ返済によって軽減される利息等を比較して判断するには、詳細データに基づくシミュレーションが必要です。
そこまで厳格に試算しても、どちらが賢明だったかの判定は7年後になります。信用生命保険もついていますから、控除がきく間は繰り上げ返済せず、貯蓄を安全有利に運用する方法を身につけ、積立投資にもチャレンジするのがよいと思います。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2021年3月13日号掲載
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高橋 伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。株式会社西日本フィナンシャルホールディングスの社外取締役監査等委員。