相談者:Sさん(熊本県在住)
夫32歳(会社員)、妻34歳(専業主婦)、長男3歳、長女0歳
Q. 年金問題が心配。穏やかな老後に向けた貯め方は?
両親と同居をしていましたが、自立のために1年ほど前から家族でアパート住まいにしました。そのため、固定資産税はありません。 夫は転職したばかりなので、ボーナスがもらえるかどうか分かりません。ボーナスが出れば、年間支出の約27万円はそれで補おうと思っています。
理美容費はそれぞれの小遣いから捻出。児童手当は学資保険と貯金に回しています。
何十年もローンを組むことに不安があるため、マイホームはあまり考えていません。少し前に老後2000万円問題をニュースで知って自分たちの将来が不安になり、本格的に貯蓄を始めました。
毎月の1万8000円のほか黒字分はすべて貯金。夫は老後対策に変額個人年金保険に加入し、毎月2万円積み立てています。それだけでは足りないのでは、と思い、毎月の黒字分を使って、つみたてNISAを始めようか検討中です。娘が1歳になったタイミングで自分も働き始めて、増えた収入はすべて投資に回せたら、と考えています。
穏やかな老後を過ごすためには、このような貯蓄の仕方でよいでしょうか?
A. 子育て期の今の生活も重要、夫婦で話し合いを
児童手当を子ども名義の定期預金に。投資は知識を付けて分散投資を
「穏やかな老後」は、老後はお金で苦労したくないという思いを込めた表現なのでしょうね。老後資金作りに力を入れるとのことですが、老いる前のライフステージも重要です。
まずは子育て期の生活について夫婦で話し合い、働き方やお金の使い方、貯蓄方法を決めるべき。いきなり老後のための保険、それも外貨建てでリスクのある変額型に加入したのは、勇み足と言わざるを得ません。
貯蓄は段階を追って進めましょう。S家の預金は出し入れ自由の普通預金一辺倒ですが、毎月の積み立ては積立型定期預金のほうが確実に貯まります。普通預金①②も各10万円以外は定期預金にしましょう。毎月の黒字分が給与振込口座の普通預金に貯まるので、手元資金には困らないはずです。
児童手当を教育資金づくりに回すやり方も再考を。長男の児童手当は3歳になって5000円減額されて1万円になり、長女に1万5000円の給付です。
1ヵ月あたり合計で2万5000円ですが、給付は年3回では? 給付月(2、6、10月)に10万円が夫の口座に入金されたら、子ども名義で定期預金にしてはいかがですか。
学資保険代わりの外貨建て変額有期保険は、変額個人年金保険と合わせて管理しましょう。おまかせ加入だったようですが、投資は自己責任となりますので―。
つみたてNISAは投資の入門的商品なので賛成ですが、妻の収入を全額投資に回したいなら、それなりの金融知識が必要です。納得のいく運用手段を選ぶ目を養い、分散投資してください。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2021年3月6日号掲載
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高橋 伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。株式会社西日本フィナンシャルホールディングスの社外取締役監査等委員。