自分がもらえる年金はいくらなのか、スマホで”最短3分”で試算できるサービス「撮るだけねんきん試算」が登場しています。公的年金は、老後や働けなくなった時、死亡したときにも受け取れます。年金受給額が分からない方は、このサービスを使って試算してみましょう。
「撮るだけねんきん試算」とは?
撮るだけねんきん試算とは、スマホで「ねんきん定期便」を撮影するだけで、自分がいくら年金を受け取れるか試算できるサービスです。西日本シティ銀行の特設ページでも利用することができます。
そもそも、ねんきん定期便ってなに?
年1回・誕生月に、日本年金機構から年金加入状況を知らせる青いハガキが届いたことがありませんか?このハガキが”ねんきん定期便”です。
ハガキの見方が分からない
将来いくら年金がもらえるか書いていない
年金額が少なくて驚いた
こうした方もいるでしょう。というのも、50歳未満の人のねんきん定期便には、今までの加入実績による年金額しか記載されていません。
筆者も、自分のねんきん定期便を見てみたところ”年間21万円”、月額にすると2万円弱と書いてあります。ねんきん定期便を見るだけでは、将来受け取る年金額は分からないのです。
「撮るだけねんきん試算」を使ってみる
将来の年金額を知りたいときは、3分で手軽に試算ができる「撮るだけねんきん試算」がオススメです。早速使ってみました。
手順①年齢や職業を入力
入力する自分の情報は、この5つです。生年月日も入力する必要がなく、30秒ほどで入力できました。
年齢
性別
職業
現在の年収
配偶者、子供の年齢
手順②カメラでねんきん定期便を撮影
カメラ起動のボタンを押して、ねんきん定期便を撮影します。
撮影したデータから必要な情報が読み取られ、自動で入力されます。
カメラを使わず直接入力することもできるので、パソコンから試算も可能です。
試算完了!
たったこれだけで「老齢年金・障害年金・遺族年金」3種類の年金額を、まとめて試算してくれます。
「撮るだけねんきん試算」をおすすめする3つの理由
日本年金機構のウェブサイト”ねんきんネット”でも老後の年金は試算できます。両方のサービスを使って感じた、撮るだけねんきん試算の3つのメリットを以下でお伝えします。
おすすめ①手元に準備するのはスマホとハガキだけ
スマホとハガキ(ねんきん定期便)があれば、家族の生年月日が分からなくても試算は完了します。
利用登録 | 準備するもの | |
○ 不要 | スマホ ねんきん定期便 | |
✕ 必須 ID、PW、メールアドレスなど | スマホ ねんきん定期便 基礎年金番号 メールアドレス …など |
おすすめ②障害年金・遺族年金もシミュレーションできる
これも「撮るだけねんきん試算」ならではのサービスです。
老齢年金 | 障害年金 | 遺族年金 | |
◎ | ◎ | ◎ | |
◎ | ✕ | ✕ |
障害で働けなくなったとき、健康保険から受け取る傷病手当金もまとめて試算できます。
障害年金は働けなくなってもすぐには受け取れない
遺族基礎年金は子供が成長すると受け取れなくなる
厚生年金のみ・基礎年金のみといった受給パターンがある
このように本来は複雑な障害年金・遺族年金ですが、試算をすると受給額の推移がグラフになり、どのくらい年金が受け取れるか分かり易くなっています。
おすすめ③「撮るだけ」なのに、撮らずに試算もできる
ねんきん定期便のデータから、一人ひとりに合わせた年金額を計算してくれますが、手元にねんきん定期便がない場合も、試算ができます。ハガキが無い場合の試算額は、これまでも現在と同じ仕事に就いていたと仮定した額です。
より詳しく試算するなら、ねんきんネットも活用!
手軽に年金額を知りたいなら撮るだけねんきん試算がオススメです。
一方、日本年金機構のウェブサイト「ねんきんネット」では、老後の年金をより詳しく試算できます。
納めていなかった保険料を払ったら、年金がいくら増えるか
年金を受け取りながら働き続けたら、年金がいくらに減るか
簡単・手軽な「撮るだけねんきん試算」と、いろいろなパターンの試算ができる「ねんきんネット」どちらも活用するのがよいでしょう。
老齢年金額 | |
○ 目安が分かる | |
◎ より詳しく分かる |
若いうちから年金受給額を試算する必要性は?2つのメリットをご紹介
年金受給額を試算することは、老後までまだ時間がある若い世代にもメリットがあります。
メリット①これからいくら積み立てたらいいか分かる
老後に受け取る年金額が分かると、老後に足りないお金の目安が付けやすくなります。
「老後に2,000万円不足する」と言われていますが、これは全員に当てはまることではありません。それでも不安に駆られてしまうのは、自分の年金額がいくらになるか、よくわからないからではないでしょうか。
自分の年金受給額が分かれば、足りない分をいくら備えたらいいのか分かり、計画的に準備ができます。
年金の平均受給額は、夫婦で月額19万円?
”老後2,000万円不足”の元になったデータ・総務省の家計調査年報によると、平均の年金収入は夫婦で月191,880円です(2017年)。しかし、その人の職業や年収によって年金額は全く違います。
夫婦ともずっと自営業であれば、月13万円しかもらえないこともあるでしょうし、一人暮らしであればその半分、月6万円台です。平均ではなく自分自身の年金額を知って足りない金額を計画的に準備することが、老後に備えるポイントです。
メリット②かしこく保険を買える
もしもの時に受け取れるお金が分かると、ケガや病気のために備えるべき金額が分かります。
医療保険や死亡保険を契約する前に、公的年金の給付額を知っておきましょう。何もかも民間の保険で備えようとすると、保険料が今の生活を圧迫してしまいます。
過不足なく保険で備えるためにも、年金の見込額を知ることが大切なステップです。
年金試算のまとめ
もしもの時に、どのくらい年金が受け取れるのかを大まかに把握しておくことはとても大切です。面倒だから、今困っていないから…と備えを後回しにしてしまうことはNGです。手軽に試算できるサービスを活用して、賢くリスクに備えましょう。
平岡 瑞希
社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
「働く人がおかねに強くなれば、活気ある組織になる!」をモットーに、企業の人事・労務コンサルティングを行っています。社員向けの金融教育研修、子ども世代へのおかねの授業、20代・30代向けのプチセミナーを毎月主催など、若手世代の金融リテラシー向上のため活動中。商品を販売しない、中立公正な独立系FPです。愛媛県在住。みずき社会保険労務士事務所代表。