介護にかかる費用は、要介護度や在宅か施設かによって大きく異なるものです。そのため、介護費用をどれくらい準備しておけばいいのかがわからない方もいるでしょう。この記事では、福岡県での介護費用の平均額や、施設・在宅それぞれの特徴、さらに利用できる支援制度について、具体的な金額を交えながら詳しく解説します。平均寿命と介護費用の平均まずは、厚生労働省と生命保険文化センターの調査結果から、介護が必要となる期間と費用の相場をみていきましょう。平均寿命と健康寿命平均寿命は、0歳時点の平均余命のことです。一方、健康上の問題で日常生活が制限されない期間を、健康寿命といいます。厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」によると、平均寿命(全国)は、男性が81.05歳、女性が87.09歳でした。また、健康寿命は男性が72.57年、女性が75.45年となっています。平均寿命から健康寿命を引いた年数が介護が必要となる平均と考えられます。そのため、男性は8.48年、女性は11.64年が介護が必要となる期間です。出典元:厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」 介護費用の平均生命保険文化センターの調査結果で介護費用を確認していきましょう。出典元:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/2021(令和3)年度基本費用種別の介護費用を見ると、一時的な費用の平均が約74万円、月々の平均が約8.3万円です。この金額には、公的介護保険サービスの自己負担費用も含まれ、一時的な費用としては、住宅改造や介護用ベッドの購入費などが挙げられます。介護が必要になったときに一時的な資金が必要で、それ以降、毎月介護費用がかかっていると考えられます。また、高額なケースだと、一時的な費用で200万円以上、月々の費用で15万円以上かかっています。介護を行った場所別では、施設での月額費用が約12万円で、在宅での介護費用約5万円と比べて、2倍以上となっています。要介護度別の月額費用要介護度別の月額費用を見ると、要介護5で月額約10.6万円、要介護1で月額約5.3万円となっています。低下している日常生活能力によって要介護区分は異なり、個々の状況に応じて認定されます。厚生労働省「要介護認定の仕組みと手順」の内容をまとめると、次のような状態が目安となります。参考元:厚生労働省「要介護認定の仕組みと手順」要支援・要介護に認定されると、区分に応じた介護保険サービスを受けられます。介護保険サービスには自己負担があり、一般的には1割負担、一定以上の所得がある場合は2割または3割負担となります。介護期間の内訳介護期間をみると、平均介護期間が5年1ヶ月、4~10年未満が最も多く、31.5%となっています。介護費用の総額先ほどの介護費用を参考に介護費用の総額を算出すると、介護期間5年では以下のような金額が目安となります。________________________________________要介護度別の5年間の総介護費用(一時費用74万円を含む)● 要支援1:320万円(月額4.1万円)● 要支援2:506万円(月額7.2万円)● 要介護1:392万円(月額5.3万円)● 要介護2:470万円(月額6.6万円)● 要介護3:626万円(月額9.2万円)● 要介護4:656万円(月額9.7万円)● 要介護5:710万円(月額10.6万円)________________________________________________________________________________介護場所別の5年間の総介護費用(一時費用74万円を含む)● 在宅介護:362万円(月額4.8万円)● 施設介護:806万円(月額12.2万円)________________________________________これらは平均的な費用と期間で算出しているため、実際の費用は地域や利用するサービス内容によって変わります。出典元:公益財団法人生命保険文化センター在宅介護と施設介護の特徴と違い介護サービスは大きく分けて、自宅で受ける「在宅介護」と、施設に入所して受ける「施設介護」があります。それぞれの特徴や費用面での違いを理解することで、状況に応じた適切な選択ができます。在宅介護の特徴在宅介護の大きな特徴は、高齢者が住み慣れた自宅で生活を続けられることです。自分のペースで1日を過ごし、デイサービスや訪問介護など、必要なサービスを柔軟に組み合わせることができます。また、施設入所と比べて費用面での負担が抑えられるのも大きな利点です。一方で、在宅介護には家族の負担が大きいという課題があります。介護のために離職せざるを得ないケースも少なくありません。また、医療的な処置といった専門的なケアには限界があります。在宅介護を選択する場合は、介護する側とされる側の双方が無理のない生活を送れるよう、介護保険サービスを利用してバランスを取ることが重要です。施設介護の特徴施設介護の最大の特徴は、専門のスタッフが24時間体制で介護にあたることです。看護師や医師が常駐している施設では医療面でのケアが、栄養士がいる施設であれば栄養に気遣った食事が提供されます。また、ほかの入居者との交流を通じて、適度な刺激のある生活を送ることができるでしょう。しかし、施設介護には費用面での課題があります。在宅介護と比べて月々の負担が大きく、長期的な資金計画が必要です。また、施設ごとに決められたスケジュールやサービス内容に沿って生活することになるため、これまでの自由な暮らし方からの変化に戸惑う可能性もあります。特別養護老人ホームなど、一部の施設では要介護度の変化により退去を求められる場合もあるため、入所時には施設の方針をよく確認しておく必要があります。施設介護を選択する際は、本人の健康状態や生活スタイル、家族の状況、費用面などを総合的に検討し、最適な施設を選ぶことが大切です。介護費用を抑えるために利用できる制度介護費用の負担を軽減できる、さまざまな介護保険サービスがあります。ここでは、介護保険制度の基本とサービスごとの費用の目安について解説します。状況に合わせて制度を選択しましょう。介護保険制度の基本介護保険制度は、40歳以上のすべての人が加入する社会保険制度です。65歳以上の方は第1号被保険者として、原因を問わず介護が必要と認定された場合にサービスを利用できます。一方、40歳から64歳までの第2号被保険者は、脳卒中や認知症など、加齢に関連する特定の病気が原因で介護が必要となった場合に限り、サービスを利用することができます。保険料は、65歳以上の方は年金からの天引きが基本で、市区町村ごとに設定された基準額をもとに、所得に応じて決まります。40歳から64歳までの方は、加入している医療保険の保険料と一緒に納付します。この保険料が、介護サービスを利用する際の費用を支える重要な財源となっています。在宅サービスの種類と内容在宅介護では、利用者の状態や必要性に応じてさまざまなサービスを組み合わせることができます。各サービスの費用は、要介護度や自治体によって異なります。ここでは、福岡市と北九州市、久留米市の介護費用の目安を確認していきましょう。なお、利用負担は、1日または1回あたりの費用です。これらの金額に加えて食費、居住費、日常生活費などが別途必要となり、施設の種類や利用するサービスの内容によっても実際の金額は変動します。福岡市の利用負担目安出典元:福岡市「介護保険のサービス」北九州市の利用負担目安出典元:北九州市「みんなで支え合う 介護保険パンフレット」久留米市の利用負担目安出典元:久留米市「高齢者支援パンフレット」施設サービスの種類と特徴施設サービスとは、24時間体制で介護サービスを提供する入所型の介護サービスです。これらの施設を利用する場合の基本的な費用(1割負担)を見ていきましょう。ここでも同様に、福岡市と北九州市、久留米市の利用負担目安を確認していきます。なお、記載している金額に加えて、食費や居住費、日常生活費などが必要となります。施設の種類や利用するサービスの内容によっても金額は異なるため、あくまでも目安としてください。福岡市の利用負担目安(30日の場合)出典元:福岡市「介護保険のサービス」北九州市の利用負担目安(30日の場合)出典元:北九州市「みんなで支え合う 介護保険パンフレット」久留米市の利用負担目安(30日の場合)出典元:久留米市「高齢者支援パンフレット」在宅サービスと比べると、施設サービスでは、まとまった資金が必要となります。おもに要介護度が重くなるほど施設サービスを受ける機会が増え、資金面での課題が顕著になります。これから介護に備える場合は、施設サービスを受けることを想定しておくと安心です。>>認知症や寝たきりなどの生前リスクの備えにまとめ介護費用は、在宅か施設か、また要介護度によって大きく異なります。施設介護は在宅介護の約2倍以上の費用がかかり、これに加えて住宅改修などの初期費用も必要となります。在宅介護は費用を抑えられる一方で家族の負担が大きく、施設介護は専門的なケアが受けられる反面、費用負担が増えます。また、介護期間は個人差が大きく、長期的な資金計画が重要です。老後の生活資金を準備する際には、今回紹介した介護費用も含めて準備しておくと、介護が必要になったときに費用の心配を軽減させることができるでしょう。投資信託のご留意事項(必ずご確認ください)商号等:株式会社西日本シティ銀行 登録金融機関 福岡財務支局長(登金)第6号加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会■あわせて読みたい記事・老人ホームにかかる費用はいくら?平均相場と入居一時金について解説・【2025年】冬のおでかけスポット6選!福岡で楽しむ日帰り温泉
高齢者の一人暮らしは、近年増加しています。生活には、家賃や光熱費、食費など、さまざまな支出が必要です。高齢になると、医療費や交通費などがさらにかかる可能性があるでしょう。この記事では福岡県のデータをもとに、高齢者の一人暮らしに必要な費用と問題点、地域での支援体制について解説します。>>将来にそなえる一歩高齢者の一人暮らしの現状と生活費まずは、65歳以上の単身世帯の現状と必要な生活費を見ていきましょう。高齢者の一人暮らしには、経済面だけでなく、日常生活においてもいくつかの課題があります。福岡県の高齢化の現状厚生労働省の「令和5年簡易生命表」によると、平均寿命(全国)は、男性81.09歳、女性87.14歳でした。この年齢は、0歳時点の平均余命を表しています。また、65歳の平均余命は、男性19.52年、女性24.38年です。このことから、男女ともに最低でも、65歳から90歳ぐらいまでの生活を考える必要があるでしょう。福岡県の高齢化の現状についても確認しておきます。福岡市と北九州市のデータを見てみましょう。福岡市の高齢化率は約22%で、75歳以上の後期高齢化率は約12%となっています。一方、北九州市の高齢化率は約32%で、後期高齢化率は約18%です。福岡県内で最も高齢化が進んでいる地域として、東峰村が高齢化率約48%、添田町が後期高齢化率約26%となっています。団塊の世代が現在70代前半で、団塊ジュニア世代が50代のため、高齢化率は今後も上がると予測できます。また、平均寿命だけでなく、サポートなしで一人で生活できる「健康寿命」についても確認しておきます。厚生労働省「令和6年版高齢社会白書」によると、男性の平均寿命81.41歳に対して、健康寿命が72.68年、女性の平均寿命87.45歳に対して、健康寿命が75.38年となっています。男性は約8年、女性は約12年を何らかのサポートを受けながら生活する必要があると考えられます。参考元:厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」 「令和6年版高齢社会白書」 福岡県庁「福岡県の高齢者人口及び高齢化率の推移(令和6年10月1日現在)」老後の一人暮らしを考える場合は90~100歳までを目標に、生活費や介護費用をどのように工面するかという課題に直面します。次章では、統計データから平均生活費を見ていきます。高齢者の一人暮らしの基本的な生活費総務省「家計調査(2024年)」から、65歳以上の一人暮らし(単身世帯)の生活費について確認します。65歳以上単身世帯の基本属性(2024年家計調査)出典元:総務省「家計調査(2024年)」データの属性として、世帯主の平均年齢が約76.5歳、有業者比率は約0.18であるため、ほとんどが年金を中心に生活していると考えられます。持ち家があれば家賃・ローンの支払はありませんが、修繕費や固定資産税の負担があります。賃貸であれば家賃の支払いが必要です。次に、具体的な生活費と支出項目を確認しましょう。65歳以上単身世帯の月間消費支出(2024年家計調査)出典元:総務省「家計調査(2024年)」月の生活費(消費支出)は約15万円で、このうち最も大きな割合を占めるのが食費の40,527円です。一人暮らしの場合、まとめ買いや食材の使い切りが難しく、結果的に食費が高くなる傾向があります。また、世帯人数が少なくても一定額が必要な固定費である交通・通信費が16,230円、光熱・水道費が14,434円です。交通費については、足腰が弱くなると公共交通機関やタクシーを利用する機会が増えます。また、夏は熱中症の防止からクーラーを使う必要があり、電気代の負担が大きくなるおそれがあります。医療面では、保健医療費として月額8,178円を支出していますが、これは通常の通院や薬代程度の金額です。年齢とともに増える可能性がある入院費用や介護費用については、別途準備が必要になるでしょう。教養娯楽費は15,748円となっており、趣味や娯楽にも一定の支出がされています。ただし、この消費支出には、将来の医療費や介護費用の備え、住宅の大規模修繕などの臨時的な支出は含まれていないことに注意が必要です。高齢者の一人暮らしの問題点高齢者の一人暮らしには、経済面と生活面の両方でさまざまな課題があります。ここでは、独居老人の定義から具体的な問題点とその対策について見ていきましょう。独居老人とは「独居老人」とは、65歳以上の高齢者が一人で生活している状態のことです。近年、核家族化や未婚率の上昇により、独居老人の数は増加傾向にあります。一人暮らしの高齢者は、日常生活での自立が求められる一方で、緊急時の対応や社会との関わりの維持が課題となっています。体力が落ちて金銭的に負担のかかる交友を避けがちになると、社会との関わりがなくなっていくでしょう。経済面での不安経済的な不安は、独居老人が直面する最大の課題のひとつです。有業者比率が0.18と低く、大半が年金収入に依存しています。固定費(光熱費、通信費など)は世帯人数が少なくても一定額が必要で、収入が限られるなかでの支出管理が重要となります。また、突発的な住宅修繕費や医療費への備えも必要です。社会保障や行政サービスを上手く活用することが求められ、必要な情報を収集できるかどうかも重要となります。安全と健康面での課題高齢者の一人暮らしでは、日々の健康管理と緊急時の対応が大きな課題となります。突然の体調不良や転倒事故の際、速やかに助けを求められない可能性があります。特に夜間の緊急事態では近隣住民への連絡が難しく、重大な事態に発展するリスクがあるでしょう。また、定期的な通院や服薬管理も重要な課題です。加齢に伴い、複数の医療機関への通院や多剤服用が必要となることもあり、自己管理が難しくなってきます。さらに、認知機能の低下により、服薬の失敗や受診の遅れにつながる可能性もあるでしょう。さらに、予防医療の面でも課題があります。健康診断の定期的な受診や、体調不良時の早期受診をためらってしまい、病状が重症化するケースも見られます。このような健康管理の課題に対しては、かかりつけ医の確保や、地域の医療機関との関係づくりが重要です。一人暮らしならではの生活上の課題日々の生活では、食事の準備が大きな課題となります。一人分の食材購入や調理は非効率になりがちで、栄養バランスの管理も難しくなります。また、掃除や洗濯、買い物といった家事全般を一人でこなす必要があり、体力的な負担も大きくなるものです。一人暮らしの高齢者は、社会的孤立のリスクも高くなります。趣味の活動や友人との交流が減少し、会話の機会が少なくなりがちです。テレビやラジオが唯一の話し相手という状況も、珍しくありません。このような孤立は、心身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。近隣住民や地域コミュニティとの関係を築き、社会との接点を保つことが重要です。福岡県内の先進的な見守り支援高齢者の日々の生活や精神的な支援をサポートするために、自治体ではさまざまな取り組みがなされています。ここでは、福岡県内で行われている見守り支援を紹介します。福岡市の「福岡見守るっ隊」の取り組み福岡市では、見守り推進プロジェクトの一環で、日ごろから自治会や民生委員が見守り活動に取り組んでいるだけでなく、自宅訪問する業務の際に、異変に気付いた際に見守りダイヤルへの通報をする「福岡見守るっ隊」との協力体制を構築しています。自宅訪問する企業として、電気・ガス、水道、新聞販売店、宅配業者などがあり、以下のような異変に気付いた場合に通報し、担当が現場へ急行する仕組みです。________________________________________● 郵便物が溜まっている● 洗濯物が干されたまま● 電灯が昼夜ついている● 異臭がする など________________________________________電話は365日24時間対応しており、現場対応も8時~20時と長時間体制がとられています。出典元:福岡市「見守り推進プロジェクト」北九州市の「いのちをつなぐネットワーク」北九州市では以前から住民を中心に小地域福祉活動を行い、平成6年から「ふれあいネットワーク活動」を導入しました。令和6年で30周年を迎えたこの活動は、市内すべての155校(地)区社会福祉協議会が中?となって、「見守り」「話し合い」「助け合い」を行っています。一方、ふれあいネットワーク活動などの仕組みとともに、高齢者や支援が必要な人を地域で見守り、必要なサービスにつなげていく「いのちをつなぐネットワーク」活動もあります。この活動では、「見つける」「つなげる」「見守る」をキーワードに、支援が必要な人が孤立しないようにサポートしています。出典元:社会福祉法人北九州市社会福祉協議会「ふれあいネットワーク活動」 北九州市「いのちをつなぐネットワーク」今回は福岡市と北九州市の取り組みを紹介しましたが、ほかの自治体でも行われています。老後に生活する地域のネットワークを事前に調べておくと安心です。まとめ高齢者の一人暮らしでは日常生活費に加えて、突発的な医療費や住宅修繕費など、予期せぬ支出への備えも重要です。持ち家か賃貸か、健康状態、生活スタイルによっても必要な費用は変動します。福岡県では、福岡市の「福岡見守るっ隊」や北九州市の「いのちをつなぐネットワーク」など、地域に根ざした支援体制が整備されています。これらのサービスを上手く活用しながら、安心できる一人暮らしを実現することが大切です。将来の経済的不安や生活上の課題に備え、早めの情報収集と準備を心がけましょう。>>保険のこと、家のこと、相続のこと…ご相談ください。■あわせて読みたい記事・解決!ほけん人【老後を考えた保険の見直し】 について解決しました・需要高まる「民間救急タクシー」民間ならではのサポート体制とココロの通うサービスとは?【PR】※LIFUQU noteのサイトポリシー/プライバシーポリシーはこちら。
太陽光発電システムの導入を検討する際、気になるのはその設置費用ではないでしょうか。設置機器や工事の内訳を知り、費用を抑える方法を知っておけば、スムーズに太陽光発電を導入できます。この記事では、太陽光発電の設置費用の目安と、費用を抑えるための方法をわかりやすく解説します。太陽光発電の設置費用まずは、太陽光発電に必要な設置機器・工事の種類と、それぞれの費用の目安を紹介します。設置機器・工事太陽光パネルで発電して電力を供給するためには、専用の機器が必要です。一般的に、次のような機器を設置します。また、これらの設置機器を正常に稼働させるためには、工事が必要です。太陽光発電における主な工事は、次のようなものです。これらの機器や工事にどのくらいの費用がかかるか、次の章で確認します。設置費用・運転維持費の平均額ここでは、調達価格等算定委員会の調達価格に関する資料を参考に、設置費用や運転維持費の平均額を紹介します。新築住宅に設置する太陽光発電機器について、2022年設置の平均値は28.0(値引後26.1万円)/kWです。その内訳は、太陽光パネルが約51.8%、パワーコンディショナー約15.0%、架台約7.5%、その他約0.7%、工事費が約25.4%です。また、住宅用太陽光発電のシステム費用は、新築・既築ともに低減傾向にあります。一方、太陽光発電の運転維持費では発電量維持や安全性確保を目的に、3~5年ごとに1回の定期点検が推奨されています。1回当たりの定期点検費用の相場は、約3.5万円程度です。また、パワーコンディショナーについては、20年間に1度の交換が目安で、29.2万円程度が相場となっています。太陽光発電を検討する際には、これらの費用について詳しく調べ、資金計画を立てておくと安心です。出典:調達価格等算定委員会「令和5年度以降の調達価格等に関する意見」p22~p23太陽光発電のメリット・デメリット太陽光発電には、メリットとデメリットがあります。導入する際には、メリットを最大限活かせるか、デメリットに対応できるかを検討しましょう。太陽光発電のメリット太陽光発電を活用する主なメリットとして、次のような点が挙げられます。環境にやさしい:CO2排出量を削減し、地球温暖化対策に貢献できる電気代の節約:発電した電力を自家消費すれば、節電につながる売電収入:余剰電力を電力会社に販売することで、副収入を得られるメンテナンスが少ない:比較的メンテナンスの手間が少ない発電方法で、長期間使用できる災害時の電源:停電時でも、電力を確保できるこのほかにも、住宅の資産価値が向上するなどのメリットも挙げられます。太陽光発電のデメリット太陽光発電のデメリットとしては、次のような点が挙げられます。高い初期費用:太陽光発電システムを導入するには、ある程度のまとまった資金が必要天候や時間帯に左右される:曇りや雨の日は発電量が減少し、夜間は発電できない設置場所の制約:日当たりの良い場所が必要で、屋根の形状や強度によっては設置できない景観への影響:太陽光パネルの設置により、建物の外観が変わってしまう太陽光発電の設置費用を抑える方法太陽光発電システムの導入を検討する際、自分に合った設置費用を抑える方法を知っておくのがおすすめです。ここでは、さまざまな太陽光発電の設置費用を抑える方法について解説します。自治体の補助金太陽光発電システムの導入を考える際、まずは自治体による補助金制度を確認してみましょう。さまざまな自治体で、個人向けや法人向けそれぞれに補助金制度を実施しています。ただし、制度の利用には条件を設けている場合もあるため、注意が必要です。福岡県内の補助金太陽光発電は南に行くほど日射量が多く、九州では他の地域より導入が進んでいます。福岡県内の太陽光発電を含む再生可能エネルギー発電設備導入容量は、平成22年度末の約30万kWから、令和4年度末には約309万kWまで増えています。特に、太陽光発電の導入容量が多くを占めている状況です。福岡市では「住宅用エネルギーシステム導入支援事業(令和6年度)」として、最大75万円(戸建て)の補助を受けられました。こちらはすでに、補助交付予定額が補助枠に達し、受付終了となっていますが、今後も福岡県内の自治体で補助金制度を実施する可能性がありますので、随時確認をしておきましょう。出典福岡県「福岡県の再生可能エネルギー導入状況」福岡市「住宅用エネルギーシステム導入支援事業(令和6年度)」電力販売太陽光発電システムで発電した電力は、電力会社への販売が可能です。住宅用の場合、固定価格買取制度(FIT)によって、10年間16円/kWhで固定されています。10年経過後は各自が好きな電力会社と契約して売電できますが、価格は会社によって異なります。次の大手電力会社の買取価格を参考にしてみてください。FIT終了後の買取価格(一部)九州電力:7.0円/kWh東京電力:8.5円/kWh中国電力:7.15円/kWh関西電力:8.0円/kWh出典資源エネルギー庁「買取価格・期間等(2024年度以降)」九州電力「新たに当社への売電を希望されるお客さま」東京電力エナジーパートナー「再エネ買取標準プラン」中国電力「FIT制度による買取期間満了後の余剰電力について」関西電力「買取期間が終了する太陽光発電の取り扱いについて」リース太陽光のリースとは、毎月リース料金を支払うことで、初期費用(設置機器・工事)の負担が不要となるサービスのことです。また、余剰電力を売電することも可能です。一般的に、一定期間終了後にはリース料金はなくなり、太陽光発電システムの所有者になれます。初期費用の負担を回避したい人向けですが、総費用は通常と比べると高くなる傾向にあります。屋根貸し屋根貸しは、太陽光発電のために専門業者に屋根を貸し出す方法です。初期費用の負担はなく、専門業者からリース料金を受け取れます。ただし、リースとは異なり、業者が売電収入を受け取ります。グループ購入グループ購入とは、太陽光発電を導入したい家庭が共同でシステムを購入する仕組みです。設置機器をまとめて購入するため、安い単価で購入できる点がメリットです。グループ購入を推進している自治体もあります。福岡県でも「グループパワーチョイス」として、自治体によるサポートを受けられます。出典:福岡県「みんなのおうちに太陽光」太陽光発電を設置する際の注意点・ポイント太陽光発電システムを設置する際には、いくつか重要な注意点とポイントがあります。これらの点に注意を払うことで、効果的かつ安全に太陽光発電システムを導入できるでしょう。信頼できる施工業者の選定太陽光発電システムを長く安心して使うためには、信頼できる施工業者を選ぶことが重要です。次の点を踏まえて、選定してみてください。業者の実績や評判提案内容や見積価格アフターサービスの内容設置する機器の種類、性能 など複数の施工業者から見積もりをとり、比較検討して吟味しましょう。設置前の確認事項太陽光発電システムを設置する際には、次の点に注意します。屋根の形状や強度、日当たりの良さなどを確認し、太陽光パネルを効果的に配置できるかどうか建築基準法や消防法などの関連法規の確認近隣住民への反射光による影響景観を損なっていないか などこれらのポイントは、太陽光発電システムについて調べる過程で、気になる点として出てくるでしょう。不明な点や気になる点は、自治体や専門業者に確認してみてください。システムの選定太陽光発電システムを選定する際には、いくつかの重要な点を考慮する必要があります。自家消費型か売電型かパネルやパワーコンディショナーなどの機器選定将来的な拡張性やメンテナンスのしやすさ など使用する機器が安価なものの場合、故障のリスクが高くなったり発電効率が低くなったりする可能性があります。長期的な視点で、品質の高い機器を選ぶことが重要です。メンテナンスのしやすさなど、長く使うことも念頭に置くと良いでしょう。導入後のメンテナンスと管理太陽光発電システムを導入したあとは、適切なメンテナンスと管理が不可欠です。定期的な点検とメンテナンス(パネルの清掃や電気系統の点検など)発電量や売電収入などの運用状況の確認発電量の変化や異常値の確認異常や不具合発見時の速やかな専門業者への連絡 などこれらを実施することで、発電効率の低下や故障のリスクを最小限に抑えられます。慣れていなければ気づかないこともあるため、心配な場合はアフターサービスが充実した業者を選定するようにしましょう。まとめ太陽光発電システムを導入する際は設置費用や工事内容を把握し、費用を抑える方法を調べておくのがおすすめです。また、信頼できる施工業者と適切なシステムの選定や設置前の確認、導入後のメンテナンスなど管理に注意が必要です。これらの点に留意することで、安心して長く太陽光発電システムを使うことができるでしょう。■あわせて読みたい記事・リバースモーゲージとはどんな制度?目的や仕組み、メリットなどを紹介・そろそろ、住宅ローン見直しのタイミング?NISAの併用も検討しよう!
2025年問題とは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることで社会に大きな変化をもたらす問題のことです。社会保障費の負担増や労働力不足など、私たちの生活にさまざまな影響を与えると予想されています。この記事では、2025年問題の概要と社会への影響を解説するとともに、個人でできる対策について詳しく説明します。2025年問題とは?「2025年問題」とは、団塊の世代(1947~1949年生まれ)が75歳以上の後期高齢者となることで起こる、社会保障費の負担増や働き手不足などの問題のことを指します。まずは、年齢別の人口について確認しておきましょう。2025年の日本の人口構造下記の2つの資料は、国立社会保障・人口問題研究所が公表している2000年と2025年の人口ピラミッドです。年少人口(緑:0~14歳)、生産年齢人口(青:15~64歳)、老年人口(橙・赤:65歳~)で区分されています。人口ピラミッド(2000年)出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ現在の75歳以上が50歳以上であった約20年前(2000年)の人口ピラミッドを見ると、当時は、生産年齢人口(青色)が多かったことがわかります。しかし、年少人口は少ないため、この時期から将来の労働力不足が懸念されていました。人口ピラミッド(2025年)出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ25年後の2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるとともに、団塊ジュニア(1971年~1974年生まれ)とよばれる世代が50歳以上となります。40歳以下の生産年齢人口(青色下部)が減っており、年少人口も増えているわけではありません。なお、団塊ジュニア世代が75歳以上の後期高齢者になることを、2040年問題といいます。福岡県の人口次に、「令和5年福岡県の人口と世帯年報(令和4年10月~5年9月)」で、福岡県の人口についても確認しておきましょう。全国で見ると、福岡県の人口は第8位です。1年間に年少人口(0~14歳)は9,814人、生産年齢人口(15~64歳)は2,968人それぞれ減少している一方、老年人口(65歳以上)は1,862人増加しています。老年人口は25年連続増加しており、過去最高となっています。国外からの転入者も多い福岡県ですが、ほかの自治体と同様に高齢化が進んでいる地域であるとわかります。出典:福岡県「福岡県の人口と世帯年報(令和5年)」2025年問題による影響人口減少を原因とする2025年問題で、私たちにどのような影響があるのでしょうか。2025年になるとすぐに変化するわけではありませんが、少しずつ影響が現れる可能性があります。一方で、すでに影響が出始めているケースもあり、早急の対策が求められます。日常生活に必要なサービスの減少日常生活に必要なさまざまなサービスが影響を受け、生活者の利便性が低下する可能性があります。担い手がいなくなり地域の小売店や飲食店が少なくなれば、生活に必要なモノが買えなくなったり、外食する機会が減ったりします。また、医師不足が深刻化すれば、待ち時間が長くなったり、近くで診察を受けられなくなったりするでしょう。自治体のサービス提供能力の低下自治体の税収が減少し、十分な行政サービス体制を構築できなくなる可能性があります。担当者不足で自治体窓口での対応に時間がかかったり、道路や橋などのインフラ整備が滞ったりして、住民生活に影響が出るでしょう。またゴミ収集の回数や時間が見直されるなど、これまでのサービス水準から低下する恐れがあります。公共交通機関の利便性低下地方の公共交通機関の利用者が減少し、運行本数の減少や路線の廃止が進む可能性があります。人口減少の著しい地方の鉄道路線やバス路線では利用者の減少により採算が取れなくなり、運行本数が減少したり、最悪の場合は路線が廃止されたりする可能性があります。自家用車を持たない世帯は、生活圏が極端に限定されてしまうかもしれません。空き家・空き店舗などの増加空き家や空き店舗、工場跡地、耕作放棄地などが増加し、地域の生活環境や景観が悪化する可能性があります。空き家が増えると防犯上の不安や衛生面での問題が生じ、近隣住民の生活に悪影響を及ぼします。また、空き店舗の増加により、商店街の活気がなくなり、地域の利便性が低下するでしょう。工場跡地や耕作放棄地が増えることで、景観が悪化したり害虫が発生したりする恐れもあります。地域のつながりと共助機能の弱体化地域コミュニティの活力が低下し、住民同士のつながりや助け合いの機能が弱まる可能性があります。近所付き合いが希薄になり、高齢者や子どもの見守りや支援などの地域の助け合い活動が衰退します。また、地域一丸となった清掃活動やコミュニティ活動を維持するのが難しくなり、防犯や防災機能の低下で、地域の安全安心が脅かされる恐れがあります。社会保険料の値上がりによる負担増年金保険料や健康保険料が値上がりし、現役世代の負担が増加する一方、将来の年金額や給付額が減少することが予想されます。高齢者を支える年金や健康保険などの社会保障費が増えることで、現役世代の一人あたりの負担が増大します。社会保障の財源悪化により将来の年金額や給付額の減少が見込まれ、老後の生活設計に影響を与えるでしょう。2025年問題による業界別の影響次に、2025年問題を業界別に見ておきましょう。業界で活躍している人だけでなく、その業界と関係のある人や商品・サービスの提供を受けている人まで影響します。医療業界高齢者人口の増加により、医療需要がますます増えていきます。しかし、医師の高齢化や地域偏在による医師不足により、一人ひとりに十分な医療サービスを提供するのが難しくなる恐れがあります。医療不足や医療需要の増加に対応できなければ、国民の健康や生命に影響を与える可能性があるため、医療従事者の確保や医療体制の維持などが求められています。介護業界高齢化により、介護士のサポートを必要とする人が増えていきます。増加する要介護者に対応できる人材が不足し、介護サービスの提供が難しくなる可能性があるのです。介護報酬の低さや労働環境の厳しさなどから介護職離れが進めば、介護サービスの質の低下が懸念されます。介護者の人材確保のために、労働環境の整備が求められています。物流業界慢性的な労働力不足に加え、トラックドライバーなどの物流業界の中心を担う人材が不足しています。物流業界では2024年4月から、トラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制が適用されました。人材不足によりドライバー一人ひとりが担う負担を重くせざるを得ない状況で、再配達などの付加サービスがさらに負担を大きくしているといわれています。再配達の手間を削減するために、置き配(玄関に配達物を置いておく方法)が活用されていますが、さらなる人材確保と工夫が求められています。小売業界消費者の減少と購買力の低下が進み、小売業界の売上が減少する可能性があります。少子高齢化により消費者の絶対数が減少していますが、高齢者の増加により消費の中心となる中年層の割合が低下しています。年金世帯の割合が増えれば購買力は低下するため、小売業界の経営を圧迫することになるでしょう。百貨店では長く集約化が進んでいる一方、小売業界全体では多言語化対応や免税手続きなど、インバウンドによる売上強化に取り組んでいます。建設業界建設業界では労働力不足が深刻化する一方、インフラ整備の需要が拡大しています。建設業界も、2024年から時間外労働の上限規制が適用されました。物流業界の労働時間規制と相まって、建設プロジェクトの進行に影響を与える可能性があります。具体的には、工事の進捗ペースや資材の搬入タイミングが変化し、プロジェクトの工期延長やコスト増加につながるおそれがあるのです。また、高度成長期以降に整備された道路橋やトンネルなどについて、2040年までに建築後50年以上となる施設の割合が加速度的に増えます。国土交通省によると、橋長2m以上の橋は約73万あり、そのうち約75%が2040年3月までに建設後50年以上経過するとしています。建設業界では、労働不足やエネルギーや資材価格の高騰のなかで、このようなインフラ整備に対応しなければなりません。出典:国土交通省「社会資本の老朽化の現状と将来」2025年問題で個人でできる対策2025年問題は社会全体に影響を及ぼしますが、個人でも対策を講じることが可能です。この章では、2025年問題に対して、個人ができる具体的な準備や対応策を解説します。ライフプランを見直す2025年問題の対策として、ライフプランを見直してみましょう。団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になることで、社会に大きな変化をもたらします。社会保障への影響として、年金制度の持続可能性への懸念から年金支給開始年齢の引き上げが検討される可能性があります。また、高齢者人口の増加により社会保障費が増え、現役世代の負担が増大することが予想されるでしょう。医療・介護サービスにおいては需要の急増により、サービスの質や利用のしやすさに変化が生じる可能性があります。このような2025年問題による社会変化に対応するため、ライフプランを見直す必要があります。>>NISAは活用していますか?>>西日本シティ銀行ではライフプランのご相談に対応しています。ご相談はネット予約で!キャリアプランの見直しまず、長期的なキャリアプランの見直しです。年金支給開始年齢の引き上げの可能性を踏まえ、65歳以降も働き続けることを視野に入れることが重要です。勤め先の継続雇用の可能性を探ることや、新たなスキルの習得を通じて異なる分野での就労を検討する必要もあるでしょう。資金計画の見直し次に、資金計画の見直しです。社会保障費負担の増加により、近い将来の手取額が減るだけでなく、将来の年金受給額が減少する可能性も考えられます。自助努力による資産形成を強化し、医療費や介護費用の負担が増えるケースに備える必要があります。>>ほけんの見直ししてみませんか?収入源を確保し貯蓄する社会保険料の負担増大により手取り額が減るため、安定した収入源を確保しなければなりません。支払っている年金保険料より年金受給額が少ないと、老後の資金計画に大きな影響を与えます。手取り額が減少する一方で、将来の備えをしなければなりません。また、解消されない人材不足に対応するため、外国人労働者の積極的な雇用やAIによる問い合わせ対応、ファミレスの配膳ロボット、倉庫内の搬送ロボットなどが見られます。このような業界全体の対応は雇用環境を変化させるため、個人にとっては収入の不安定化につながる恐れがあります。このような状況に対応するために、副業により収入を下支えしたり、新たなスキルを身につけてキャリアアップしたりする必要があります。収入源の確保を目指し、余剰資金で資産形成しましょう。健康的な生活を心がける2025年問題は、医療や健康に関する面でも大きな影響をもたらします。高齢者人口が増えることで医療費の増加が見込まれ、医療費の窓口負担割合が見直される可能性もあるでしょう。また、医療需要の急増と医師不足により医療サービスを受けにくくなり、利便性が低下する恐れがあります。これらの影響に対応するために、健康的な生活を心がけることが重要になります。定期検診を受けることで、病気の早期発見・早期治療が可能です。また、適度な運動やバランスの取れた食事と十分な睡眠を心がけ、日々の生活習慣を見直すことで健康的なライフスタイルを確立できます。健康管理アプリを活用して日々の健康状態を把握しやすくしたり、趣味活動を通じてストレス発散したりして、メンタルヘルスも維持しましょう。まとめ2025年問題は、団塊の世代が75歳以上となることで生じる社会保障費の増大や労働力不足など、私たちの生活に大きな影響を与える問題です。この問題に対しては、社会全体での取り組みが必要ですが、個人レベルでの対策も重要です。地域によって影響の度合いは異なりますが、影響を緩和してより安定した生活をするためにも早めに考えておくことが大切です。■あわせて読みたい記事・株価下落時でも、つみたて投資を続けて大丈夫?|投資を続けるメリットについて解説します。・解決!ほけん人|NCBほけんプラザの専門スタッフがライフプランの相談に無料で対応します。投資信託のご留意事項(必ずご確認ください)商号等:株式会社西日本シティ銀行 登録金融機関 福岡財務支局長(登金)第6号加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会
分散投資は、資産運用における基本的な考え方の1つです。これから投資を始めようと考えている人の中には、分散投資について詳しく知らない人もいるかもしれません。本記事では、分散投資の特徴や、長期・積立投資の重要性、そのメリットとデメリットについてわかりやすく解説します。>>「投資信託のきほん」について詳しく解説分散投資とは?投資の基本的な考え方これから資産運用を予定している人は、投資をする前に基本的な考え方を身につける必要があります。ここでは、分散投資をはじめ、投資の基本的な考え方を解説します。分散投資とはリスクを散らすこと投資先によっては、元本割れするリスクがあります。たとえば、100万円の資金をひとつの企業(株式)に投資した場合、150万円になることもあれば、80万円になることもあります。もし企業が上場廃止になれば、株の価値は基本的にゼロになってしまうのです。大切な資金のため、減らしたくないと思うのは自然です。そこで重要な考え方になるのが「分散投資」です。分散投資は、資金を分けて投資することでリスクを抑える効果があります。100万円を50万円に分けてそれぞれべつの企業(株式)に投資すれば、一方が上場廃止で価値がゼロになっても、もう一方の50万円は残ります。大切な資産を守るためにも、分散投資の理解を深めていきましょう。長期・積立投資の重要性分散投資に加えて、投資の基本的な考え方に、「長期投資」と「積立投資」があります。分散投資と「長期・積立」は、密接に関連し合っています。長期投資は株式などの売買を繰り返して利益を追求するのではなく、数年~数十年保有して少しずつ利益を積み上げていく考え方です。長期投資であれば、定期的に支払われる配当金や分配金を受け取れます。一方、積立投資は毎月一定額を購入する投資方法です。資産価値が高いときも低いときも購入するため、単価は平均化されます。値動きは予測できないため、高値で購入するリスクを回避できます。これらの効果について、さらに詳しく見ていきましょう。分散・長期・積立投資の効果分散投資、長期投資、積立投資を組み合わせることで、リスク分散と安定的なリターンの獲得が可能です。時間分散効果やドルコスト平均法により価格変動の影響を緩和し、複利効果を活用して長期的な資産形成を目指せます。時間分散の効果時間分散とは、お金を一度にまとめて投資するのではなく、少しずつ定期的に買うことでリスクを減らせる方法のことです。株や投資信託の価格は、日々変わります。景気や企業の業績によって、人気の株や投資信託であっても、価格が上がったり下がったりします。一度に大きな金額を投資すると、高値で買ってしまうかもしれません。定期的に少しずつ投資することで買値を平均化し、リスクを抑えられます。ドルコスト平均法積立投資では、「ドルコスト平均法」という手法が使われます。これは、資産の値動きに関わらず、定期的に一定額を購入することで取得単価を平均化する方法です。たとえば、毎月一定額を投資信託に投資する場合、基準価額(※1万口あたりの価格)が高いときには購入口数が少なくなり、基準価額が低いときには購入口数が多くなります。この方法で長期的に投資を続けると基準価額の変動に左右されにくく、平均的な取得単価で投資信託を購入できます。※基準価額:投資信託は1口1円で設定され、1万口あたりの価格で表示されるのが一般的です。ドルコスト平均法の理解を深めるために、具体例で確認します。ここでは、「毎月一定額の投資信託を購入した場合」と「毎月一定口数の投資信託を購入した場合」とを比較します。「一定額」では毎月10,000円で購入し、「一定口数」では、毎月10,000口を購入するとします。購入総額はいずれも50,000円です。ドルコスト平均法では購入金額を固定するため、基準価額が上がると購入口数は少なくなり、基準価額が下がると購入口数が多くなります。この場合の平均購入単価は、1万口あたり9,150円(50,000円÷ 54,641口 × 10,000)です。この場合の平均購入単価は、1万口あたり10,000円(50,000円 ÷ 50,000口×10,000)です。このように、ドルコスト平均法を用いることで投資のタイミングを気にすることなく、長期的に安定した投資を続けられます。複利効果の活用複利効果は、定期的に得られる配当金や分配金を再投資することで得られる効果です。長期運用を基本にすると複利効果を受けられるため、結果的に大きな差が生まれます。投資信託には、分配金ごとに受け取る「毎期分配型」と分配金を再投資する「再投資型」があります。どれほどの違いがあるか、具体例で確認します。それぞれ、100万円分の投資信託を購入し、毎年3%の分配金があるものとします。「毎期分配型」では、毎年30,000円を受け取るため、合計は600,000円になります。一方、「再投資型」では増えた分を元金に上乗せするため、運用期間中は利益を受け取れません。しかし、元金が増えるため、運用が上手くいけばさらに利益を増やせます。この効果を複利効果といいます。両者の分配金合計を比較すると、「毎期分配型」では合計60万円だったのに対して「再投資型」では約80万円増えています。当初の元金は変わらないため、再投資型を選択するだけで成果を得られることになるのです。分散投資のメリットとデメリット分散投資、長期投資、積立投資を組み合わせることで、リスクを抑えつつ、安定的なリターンを目指せます。次に、分散投資がもたらす具体的な効果について見ていきます。分散投資のメリット分散投資は、資金を複数の資産に分けて投資することで、特定の資産の価値が下がった場合の影響を抑えられます。たとえば、株式と債券に分散投資した場合、株式市場が下落しても債券の利息収入で投資全体を支えられます。また、さまざまな資産に投資することで、それぞれの資産の特性を活かせるのです。たとえば、株式は経済成長の恩恵を受けて高いリターンが期待できる一方、債券は安定した利息収入を得られます。不動産は賃料収入や資産価値の上昇により、長期的に安定した収益を期待できます。このように、複数の資産を組み合わせることで、市場環境の変化に対応しやすくなり、安定した収益を確保しやすくなるでしょう。さらに、分散投資は特定の市場や業種の変動に左右されにくいため、市場全体が下落しても一部の資産が利益を生み出すことがあります。たとえば、IT業界の株式が下落した一方で、ヘルスケア業界の株式が上昇する場合などです。このように、さまざまな業種や市場に投資することで、投資全体の下落リスクを抑えられます。分散投資のデメリット分散投資は、リスクを抑えられる一方で、特定の資産に集中投資した場合と比べてリターンが限定的になる可能性があります。また、複数の資産に投資すると、それぞれの資産に対して手数料がかかります。投資信託の場合は、運用管理費用(信託報酬)などの手数料がかかるため、手数料によってリターンが減少する可能性があります。さらに、分散投資では複数の資産を管理する必要があるため、単一の資産に投資するよりも管理が複雑になります。定期的なリバランスや資産配分の見直しが必要となるため、投資家自身が複数の資産をチェックしなければなりません。なお、リバランスとは、当初決めた資産配分に合わせて定期的に投資先の比率を調整することを意味します。たとえば、当初の資産配分を株式50%、債券50%とした場合を考えてみましょう。一年後、株式市場が好調で、資産全体に占める株式の割合が60%に増加し、債券の割合が40%に減少したとします。このような状況で、リバランスを行い、株式と債券の割合を当初の50%ずつに戻します。この場合、資産全体の10%に相当する株式を売却し、その資金で債券を購入することになります。まとめ分散投資は、リスク分散と安定収益の確保に有効な手法です。長期・積立投資と組み合わせることで、時間分散効果やドルコスト平均法のメリットを享受できます。一方で、リターンの限定やコストの発生といったデメリットもあるため、投資目的とリスクの範囲を明確にして、自分に合った適切な投資計画を立てることが重要です。*投資信託のご留意事項について商号等:株式会社西日本シティ銀行 登録金融機関 福岡財務支局長(登金)第6号加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会■あわせて読みたい記事・【初心者必見】投資信託の始め方ガイド!対象の種類や運用方法、気をつけるポイント・日本人が投資をしない理由4つ。海外との比較やおすすめの資産運用を紹介
最近は物価の上昇で、家計への負担が大きくなっています。物価上昇のなかでも、電気代の高騰は気になる項目のひとつです。電気・ガス代の緩和措置があるものの、今後、どのくらい負担が増えるのか心配している方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、電気代はいつから値上がりするのか、なぜ電気代が高騰しているのか、今後の見通しとともに解説します。電気代はいつから値上がりする?まずは、電気代が上がる時期と、電気代の推移から負担が重くなる時期を考えていきます。電気代は、2024年5月から値上がり電気代は、2024年5月から値上がりしています。値上がりした一番の要因は、後述する「電気・ガス価格激変緩和措置」の縮小・終了にあります。実際の電気代が値上がりするかどうかは、電力の使用量次第です。エアコンをあまり使用しない方は、値上がりの実感はないかもしれません。しかし、緩和措置があった昨年の5月と比べると、電気代の負担が重くなりました。福岡市の電気代の推移ここで、総務省が公表している「家計調査」(2022年1月~2024年4月)をもとに、福岡市の電気代について確認してみましょう。出典:総務省「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯都市階級・地方・都道府県庁所在市別(福岡市)」をもとに筆者作成月ごとの電気代を見ると、3月と9月の電気代が高くなっていることがわかります。一般的には使用月の翌月に電気代を支払うため、2月と8月に電気使用量が増えている可能性があります。また、2023年3月の電気代が突出していますが、全体的に右肩上がりに高くなっている傾向は見られません。なお、電気・ガス価格激変緩和措置は2023年1月使用分から適用されています。電気代が値上がりしている原因電気代が値上がりしている原因は、いくつかあります。世界的なエネルギー需要の増加や、ロシアのウクライナ侵攻による供給不安などが背景にあり、エネルギー価格の高騰につながっているのです。ここでは、世界情勢が、日本の電気代にどのように影響するのか、電気代の内訳とともに詳しく解説していきます。電気・ガス価格激変緩和措置の縮小・終了ロシアによるウクライナ侵略などの影響でエネルギー価格が上昇していましたが、電気・ガス価格激変緩和対策事業の一環として一定価格を値引きする政策が行われていました。経済産業省は2024年8月、9月及び10月使用分の電気・ガス料金支援も実施することを発表しましたが、海外の影響などから今後も高騰が続くと予想されます。値引き単価2024年4月使用分まで:電気(低圧)3.5円/kWh/都市ガス15円/㎥2024年5月使用分:電気(低圧)1.8円/kWh/都市ガス7.5円/㎥2024年8月9月使用分:電気(低圧)4.0円/kWh/都市ガス17.5円/㎥2024年10月使用分:電気(低圧)2.5円/kWh/都市ガス10円/㎥ 出典:経済産業省「電気・ガス価格激変緩和対策事業」「2024年春までの電気・ガス価格激変緩和対策の継続に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました」「2024年8月、9月及び10月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました」電気代の内訳と料金単価の上昇出典:経済産業省 資源エネルギー庁「月々の電気料金の内訳」電気代は、「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金」で構成されています。基本料金以外は使用電力量によって変動しますが、3種類の単価(電力量料金単価、燃料費挑戦単価、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価)が上がれば、使用電力量が同じでも電気代は上がります。それぞれの特徴を見ていきましょう。基本料金九州電力の場合、10アンペアから60アンペアまで7区分あり、アンペア数が大きいほど、同時に使用できる電気機器数(電力量)が増えますが、基本料金は上がります。なお、2024年4月からの九州電力における50アンペアの基本料金は、1,581.20円です。家庭に合った適切なアンペアか確認してみるといいでしょう。電力量料金単価九州電力では三段階料金を採用しており、使用電力量が増えるほど単価が高くなります。最初の120kWhまでは18.37円/kWhですが、120kWh超300kWhまでは23.97円/kWh、300kWhを超えると25.87円/kWhとなります。なお、電力量料金単価は、2024年4月から値上がりしています。2024年4月1日からの電力量料金単価最初の120kWhまで:18.28円/kWh→18.37円/kWh120kWh超300kWhまで:23.88円/kWh→23.97円/kWh300kWh超:25.78円/kWh→25.87円/kWh出典:九州電力「おすすめの料金プラン」燃料費調整単価原油・LNG・石炭それぞれの3か月間の貿易統計価格にもとづき算出された「平均燃料価格」と「基準燃料価格」との差分にもとづいて算定される単価です。電気・ガス価格激変緩和措置により、2023年1月使用分から割引が適用されている単価ですが、緩和措置の終了により、値上がりしています。燃料費調整単価(特定小売供給約款)2022年12月使用分:1.86円/kWh2024年4月使用分:-1.63円/kWh2024年7月使用分:1.86円/kWh2024年10月使用分:-2.12円/kWh出典:九州電力「2022年12月分電気料金の燃料費等調整単価をお知らせします」「2024年4月分電気料金の燃料費等調整単価をお知らせします」「2024年7月分電気料金の燃料費等調整単価をお知らせします」「2024年10月分電気料金の燃料費等調整単価をお知らせします」上記の単価を見ると、緩和措置前の2022年12月使用分と、緩和措置終了後の2024年7月使用分の単価が同じであることがわかります。これは、緩和措置期間中、3.5円/kWhの割引が行われたことを意味し、2024年10月使用分では国の支援として4.0円/kWhの割引が行われたことを意味します。なお、上記に加え「離島ユニバーサルサービス調整単価」が加算されることがあります。離島ユニバーサルサービス調整単価とは、離島が主としている火力発電にかかる火力燃料費の変動に合わせて、電気料金を調整した単価のことです。再生可能エネルギー発電促進賦課金単価再生可能エネルギーで発電された電気を電力会社が購入する際に要する費用を負担するために、毎年度、経済産業大臣が決定する全国一律の単価です。2024年5月分~2025年4月分は前年度の約1.5倍に値上がりしています。再生可能エネルギー発電促進賦課金単価2023年5月分~2024年4月分:1.40円/kWh2024年5月分~2025年4月分:3.49円/kWh出典九州電力「再生可能エネルギー発電促進賦課金について」新電力ネット「再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移」「燃料費調整単価の推移」世界的なエネルギー需要の増加2020年は新型コロナウイルスに伴う渡航や行動の制限によりガソリンや燃料などの需要が減少しましたが、2021年には新型コロナウイルスによる制限が緩和され、エネルギー需要が急拡大しました。一方で、十分な供給体制が整わなかったことから、エネルギー価格の高騰が続いています。天然ガス・LNG、石油、石炭の価格はいずれも高騰しており、世界的に大規模停電や需給ひっ迫状況が発生しています。ロシアのウクライナ侵攻新型コロナ禍からの経済回復等の影響でエネルギー需要が高まっているなか、2022年2月にはロシアのウクライナ侵攻によりエネルギー供給の安定化は不透明となり、エネルギー価格は高い水準で推移しています。エネルギー価格の高騰は電気代だけでなく、さまざまな物価を押し上げる要因となっています。出典資源エネルギー庁「エネルギー需要の概要」資源エネルギー庁「世界的なエネルギー価格の高騰とロシアのウクライナ侵略」今後の電気代はどうなるのかここからは、電気・ガス代の緩和措置の動向とともに、今後の電気代の動向と負担を軽減するための方法について解説します。電気代の値上がり要因は解消されていない2024年8月使用分から3ヶ月間、電気・ガス代の補助金が再開されましたが、世界的なエネルギー需要の増加は続いており、ロシアによるウクライナ侵攻が停止される気配もありません。これから冬に向けての電気代がどうなるかは不透明です。根本的なエネルギー需給のバランスが解消されない限り、エネルギー価格の負担が軽くなることは考えにくいのが現状です。節電・省エネによる電気代の節約が必要納得できる電気代になるまでは、節電や省エネによる電気代の節約が必要不可欠です。使用しない電気機器をオフにし、スタンバイ電力を回避しましょう。冬はエアコンの設定を1度下げる(夏は1度上げる)だけでも、節電につながります。節電による節約に限界があれば、省エネ製品への買い換えで、中長期的に電力消費を抑える方法もあります。照明をLED電球にしたり、エアコンを省エネタイプにしたりなどで、維持費である電気代を節約できます。まとめ2024年の電気代について、緩和措置が行われました。夏季における電気代の大きな負担は回避できたものの、再び緩和措置が終了すれば、電気代の負担は大きくなると考えられます。電気代の高騰により家計に大きな影響を及ぼす場合は、省エネタイプの電気機器に買い換える方法があります。今後に向けて、節電方法を検討してみてはいかがでしょうか。■あわせて読みたい記事・【福岡のFPさんコラム】|人生を幸せに豊かに生きるために、家族でお金の話をしましょう。・もう「キッチン家電」の配置に迷わない!使いやすいレイアウト術