北九州市内に3店舗を展開するベーカリーショップ「グランドアムール」。「アミュプラザ小倉」や「チャチャタウン小倉」といった大型商業施設に店舗を構え、連日多くの人が訪れる人気店となっています。そんな同店は、水産加工品の販売を行う会社という全くの異業種が母体というから驚きです。そこで今回は、事業を展開する「岩本商事株式会社」常務取締役の岩本大志さんに、パン製造の経緯やアイディアあふれる商品づくり、パンだけにとどまらない新たな取り組みについてお話を伺いました。sponsored by 岩本商事株式会社岩本商事株式会社常務取締役 岩本大志さん福岡県北九州市出身。大学卒業後、2003年に「岩本商事株式会社」に入社。翌2004年にベーカリーショップ「グランドアムール」1号店(門司店)をオープン。以降は店舗を3店舗に拡大し、現在は水産品の加工や卸売業にも携わる。安定した事業を目指して立ち上げたベーカリー部門――まずは御社の事業内容について教えてください岩本:当社は1981年に父が創業し、水産物の塩干加工品の製造販売に力を入れていました。当初は主にクジラを取り扱っていたのですが、年々捕れなくなり、アジやサバなどの魚の干物にシフトするように。現在は干物に加えて明太子やカニ、エビなどの水産加工品の販売や、珍味や豆菓子、お茶の卸売業も行っています。2004年から私が責任者となってベーカリー事業をスタートし、「グランドアムール」1号店をオープンさせました。――なぜ水産加工からベーカリー事業を始めることになったのですか?岩本:私が入社したのが「グランドアムール」が誕生する1年前のこと。当時の主力であった水産物は天候によって取れないことが多く、原材料の仕入れ値の変動も激しく利益に波があったんです。そこで本業に加えて安定した事業を展開できないかと考えたのが、原料費の上げ下げが少ない小麦を使ったパンの製造でした。――異業種からの参入ということでしたが、どのようにパンの製造をスタートされたのでしょう?岩本:最初はそれこそ手探り状態で、しばらくは冷凍生地を使ってパンを製造していたんです。ただそれだと魅力的な店舗を作ることができないと考え、製粉会社の技術者の方にパンの製法をレクチャーしていただいたり、私を含めて社員も製パンの専門学校に通ったりしてパン作りを1から学んでいきました。現在では定番の食パンをはじめ、惣菜パンや菓子パンなど約100種類のパンを製造しています。母体が卸売業をしている関係で食品会社の取引先が多く、食材を集めやすいのも強みになっていると思っています。水産物を使った「岩本商事株式会社」ならではのパンも――パンの製造で新しく取り組んでいることはありますか?岩本:ネット通販になりますが、お子さんの1歳の誕生日に贈る"一升餅"ならぬ「一升パン」の製造をスタートしました。お子さんの名前を入れる定番のものだけでなく、新築祝いや還暦祝いに対応したものなどバリエーション豊富に作っており、それが大変好評を得て月に400個ほど売れる時もあります。直径約28センチの一升パンには名前やメッセージを入れることができます。☆☆一升パンはこちらで☆グランドアムール☆☆つい最近は10月に北九州市で将棋の藤井聡太竜王(八冠)と伊藤匠七段が対局する「第36期竜王戦 七番勝負第3局」が行われたのですが、それを記念して北九州市が企画した「北九州市の勝負めし」にも応募し、クジラの竜田揚げを使ったバーガーを考案しました。――クジラを使ったパンとは、まさに御社ならではの商品ですね岩本:最近はベーカリー事業だけでなく母体の水産品加工についても関わるようになり、魚市場や漁業関係の方とお話しする機会が増えました。そこで得た情報をもとに、クジラのバーガーのような水産物を使ったパンづくりにも挑戦しているところです。関門のタコを使ったピザ、北海道のホタテを使ったサンドイッチなど、当社ならではの特色ある商品をもっと開発できたらいいなと思っています。地元とのコラボで地域活性化にも貢献――「グランドアムール」は地場に根ざしたベーカリーですが、地域の皆さんに親しまれるような工夫は何かされていますか?岩本:地元の店舗や企業とコラボレーションしたパンを作ることもあります。代表的なものが、北九州市のご当地グルメ「焼きうどん」発祥の店といわれる「だるま堂」とコラボした「焼きうどんパン」です。過去には、サッカーチームのギラヴァンツ北九州に所属する選手がパンを考案し、スタジアムで販売したこともありました。コラボではありませんが、門司の猿喰(さるはみ)という地区では江戸時代に飢饉から人々の命を救うために新田が開発されたという歴史があり、その田んぼのお米を使った甘酒のマドレーヌも開発しました。これは「九州福岡おみやげグランプリ」で審査員特別賞をいただいたんです。――地元との連携もとられているんですね!岩本:これからはパンだけでなく、水産の方でも地域と一緒に新しい取り組みができないかと考えているところです。例えば北九州市のお隣の下関市では特産品のクジラのさえずりを牛タンならぬ"鯨タン"として売り出していく取り組みをしていて、そのお手伝いもさせていただいています。他にも、飯塚市で味噌を作っている会社とコラボした干物の味噌漬けの開発をするなど、ちょこちょこですが地域の特産品の魅力を広める取り組みも始めています。――多彩な事業を展開されていますが、今後のさらなる展望があれば教えてください岩本:魚市場の方から、最近は魚が取れすぎたり流通の規格に合わなかったりして販売できない魚が多く、逆に以前に比べて取れなくなっている魚もあると聞きます。そうした魚を魅力的な商品に加工することで、日本の漁業の現状を消費者の人に伝えていけたらいいなと思っています。他にも、北九州市の魚市場をもっと盛り上げられるお手伝いができないかとも考えています。東京の豊洲市場や下関の唐戸市場は観光客で賑わっていますが、北九州市の魚市場は観光客が全く足を運ばないのが現状です。そこで、魚市場の魅力を伝えて認知してもらえる取り組みができないかと知恵を絞っているところ。そのように、今後は水産品の方でも新しいことを始めたいですね!☆☆岩本商事の水産加工品はこちらで購入できます☆☆取材後記入社されて約20年、その間にパンの製造をスタートさせ、商品開発や店舗展開、特産品とのコラボ商品など数々の新事業や新商品を展開するだけでなく、地域活性の取り組みにも力を入れるアクティブな岩本さん。「やることがいっぱいあるので、時々忘れちゃうんです(笑)」と穏やかに微笑むその笑顔の裏には、地元の北九州市や水産業界を元気にしたいという熱い思いが垣間見えました。☆☆岩本商事の水産加工品はこちらで購入できます☆☆☆☆一升パンはこちらで☆グランドアムール☆☆岩本商事株式会社代表取締役 岩本 徳本社:福岡県北九州市小倉北区赤坂海岸7-12TEL:093-513-7763URL:https://lit.link/grandamourbakery
今回ご紹介する会社は、糸島市を拠点に事業を展開する株式会社夢工防。社名の“防”という文字は“防水”が由来。その名の通り、同社は防水工事をメインにスタートし、現在では外壁工事やリフォームなど幅広い工事に対応している会社です。防水工事と聞くと“水道に関する工事”というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、同社が行っているのは住宅やビルなどの建物に施す工事。一言で防水と言っても、工事や施工の内容は多岐にわたり、その丁寧な仕事ぶりからリピートでさまざまな依頼を受けることが増えているとのことで、会社の特色など、夢工防ならではの魅力を代表取締役社長の松山将大さんにお話しを伺いました。sponsored by 株式会社夢工防防水工事の職人からスタートし、現在は外壁工事やリフォーム事業も展開――まずは御社のメイン事業である防水工事とは、どういった工事になるのでしょうか?松山:主にはビルの防水工事を請け負っておりまして、簡単に言うと雨による漏水を防ぐ工事になります。皆さんの身近なところで言いますと、マンションのバルコニーが分かりやすいでしょうか。グレーのツルツルとした仕上がりになっていると思いますが、それが防水工事によってなされたものです。その他にも、ビルの屋上やエントランス、木造家屋の屋根など、皆さんの身近な建物に防水工事が活用されています。▲防水工事――防水というと特殊工事のイメージがあるのですが、御社の成り立ちはどういったところからはじまったのでしょうか?松山:当社は今年で創業10年になります。元々私は防水工事の職人でした。最初はアルバイトから防水工事を始め、この会社を起こす前は5年ほど下請け業者として工事にあたっていました。そんな時、建築業界で個人事業主が法人化するブームというか流れがあり、私も後輩や職人仲間を集めて法人化することになり、会社としてスタートした感じになります。――現在は防水工事以外の事業もはじめられていると伺っています。松山:防水工事の職人時代から塗装や外壁関係の仕事も合わせて要望いただくこともあり、そうした経験もあって、それらの工事も請け負っています。ここ最近は内装工事に精通した社員が入ってくれたので、リフォームやリノベーション事業も展開しています。コロナ禍になってからは一般住宅のリフォーム関係の依頼が増えて、月に2~3件は工事に入っています。当社はそれぞれの分野に精通した職人が在籍しているため、幅広い工事に対応できるようになりました。専門技術と若いチカラで多彩な案件に対応!――防水も内装も、専門技術が必要かと思います。どのように技術を磨いているのでしょうか?松山:まさに専門技術が必要な業種です。例えば防水には「防水施工技能士」というような国家資格が必要になるように、工事によって資格の取得が求められます。しかも会社ではなくて、職人一人ひとりが資格を持っていないと現場に入ることができません。さらにただ資格を持っていればいい訳ではなく、お客さまの依頼や時代に合わせた資材や工法に対応する必要もあります。時には300℃にもなる高温のアスファルトを触ったり、高所で作業をしたりと、危険と隣り合わせの仕事をすることも。そうした理由から最近は業界全体で建築離れと言いますか、特に若い人の担い手が少なくなっています。そこで当社では、新入社員の場合は入社3年ほど経って、現場である程度の技術が身につけば、資格を取得するように勧めています。ただし社内で講習会や試験など特別な機会は設けず、自主的に勉強してもらうようにしています。こちらから「勉強しなさい、資格を取りなさい」と指示しても成長しないと考えているため、自然と「自分も上を目指したい」と思えるように、自主的にスキルアップできるような環境づくりに努めています。――松山さんご自身もまだお若い印象を受けますが、御社では若い人がメインに活躍されているのでしょうか?松山:私は現在32歳でして、他の社員も20~30代。この業界では珍しく若手がメインに活躍していると思います。しかも社員全員が職人として現場で活躍できることも当社の強みです。この業界では自社ではなく下請けや協力会社に職人を手配することも多いのですが、当社の場合は直接職人が現場に入ることができるので、余計な手間やコストをかけることなく迅速に対応できるんです。若い職人が現場に行くことで「若い人の頑張りを目の当たりにして励みになった」と言っていただけることも多いんですよ。そういった声があるのも嬉しいですね。――他に会社の強みとされていることがあれば教えてください。松山:アフターフォローですね。メイン事業でやっている防水工事などには保証があり、雨漏りがないように1年目、3年目、5年目、7年目、10年目と、定期的に点検をする必要があります。ところが実際「この工事には保証がありません」などと言って点検すらしない業者も多く…。当社の場合はお客さまの安心安全を考え、決められた年次ごとにきっちりと点検といったアフターサービスに応じるように心がけています。定期点検をする際に新しい工事のご相談を受けることも多々あり、嬉しい限りです。需要が増加するリフォームではお客さまのニーズを第一に――住宅リフォームの際は特にお客さまと密に接することが多いと思います。どういった対応を心がけて工事にあたっていますか?松山:“ウッドショック”という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、現在、建築業界は新型コロナウイルスやウクライナ情勢、円安などのさまざまな影響で資材不足や価格高騰が続き、どこも本当に困っているんですよ。それでも何とか協力会社とも連携をとってやりくりをして、お客さまが希望する予算や納期に応えられるように頑張っているところです。ただ、何か特別なことをしているつもりはありません。当たり前のことを当たり前に、目の前の仕事を誠実にこなすことを心がけていますし、幹部社員たちにもそのことは話しています。その甲斐があってか、「今回は内装だったけど、次は外壁もお願いしたい」というようにリピートしていただくことが多いんです。▲施工事例――最近は住宅のリノベーションも人気ですよね。プランニングの際はどういったポイントに気を付けているのでしょうか?松山:当社のモットーとしては、お客さまの要望にはむやみに口を挟まないこと。こちらの主張は押し付けずに、納得のいくプランをご提案できるように気をつけています。ただ、「こういうのが最近人気ですよ」というようなアドバイスはしますし、デメリットになることがあれば説明するように心がけています。それと、見積もりに料金を追加しないこともこだわりです。最初の見積もりから「やっぱりアレもコレも必要」としてオプション料金を続々追加する…というような話を聞くことも多いんですよ。当社では基本的に、決定した見積もりから料金を追加することはありません。見積もり作成にはしっかりと時間をかけて、明確な料金を誠実にお伝えするように心がけています。――定期点検や見積もり前の入念な打ち合わせなど、お客さまのことを第一に考えた姿勢がうかがえます。最後に今後の展望についても教えてください。松山:現在は圧倒的に法人の仕事が多いのですが、これからは積極的に個人(一般住宅)の依頼にも応じていきたいと思っています。コロナ禍によって当社も少なからず影響を受けました。時代に取り残されないためにも、これまでの経歴に頼らずに多種多様な案件に対応していきたいと思っています。糸島で創業し、地元を拠点に活動する『夢工防』はまさに地域密着型の企業。社員の平均年齢も若く、ハツラツとしたパワーと誠実な対応で地元に元気を届けている。そんな印象を受けたインタビューでした。現在は法人向けの工事が大半を占めているそうですが、これからはどんどん一般住宅のリフォームにも力を入れていきたいということ。会社のウェブサイトには施工事例も掲載されているのでそちらも参考に、興味のある方は電話やメールでお問い合わせしてみてください。■会社概要会社名:株式会社夢工防URL:https://www.k-yumekoubou.co.jp/所在地:福岡県糸島市高祖962-3代表取締役:松山将大