コロナ禍の長い「おうち時間」を過ごす中で、日本中が家を片付け始めたことが話題になりましたが、それは思いがけず「住まい」や「暮らし方」を見つめなおすきっかけになり、男性も家事や片付けについての意識や行動が変わってきたのではないでしょうか。テレビのバラエティ番組、「家事ヤロウ!!!」が好評なようですが、これまで家事をしたことがなかった男性3人が「主婦が夫にやってほしい家事」について学習する、というコンセプトが男女ともに共感を呼んでいるのではないでしょうか?テレビドラマ「私の家政夫ナギサさん」や「家政夫のミタゾノ」は、家事のプロフェッショナルとしての仕事ぶりが爽快で、リアルなヒントを探しながら視聴する人も多いと聞きます。「家事を手伝う」という意識からの脱却これまでも、仕事で様々なご家庭を訪問するたびに、育児やゴミ出し・料理などの家事をする男性が少しずつ増えてきていると感じていました。特にコロナ禍の現在では、おうち時間が長くなることに伴って夫が買い物や掃除をするようになったなど、「たまにおこなう手伝い」レベルから「日常的な行動」へと意識が変わりつつあるように感じています。では、整理収納や片付けについてはどうでしょうか?男女関係なく片付けに苦手意識を持つ人は9割いると言われています。スムーズに家事を進めるためには、整理収納し誰でも簡単に片付けることができる環境作りがとても重要です。片付けはセンスではなくロジック論理的な整理と数的管理でスマートに片付け整理や収納は理論的な思考が必要です。男性は論理的な傾向が強いという話をよく耳にします。したがって、「男性は家事に向いているのでは?」と考えられます。この考えを裏付けるようなエピソードを一つご紹介します。あるご家庭にはじめて訪問したときのことです。普段の初回訪問時は、「どこから始めてどのように収納を完成させるか」「それはなぜか」などをヒアリングした後、ご提案・片付けに移ります。このご家庭でも同様の流れを経て、奥様と一緒にキッチンの片付けをおこないました。ご主人は、その様子を観察していました。翌日、奥様曰く「これまで自分から片付けたことなんてなかった」ご主人が、自主的にパントリーの中をキレイに片付けしたとのこと。ご主人は「観察」を通じてこれらのヒントを得たことによって、片付けを実行することができたようです。食器や調理器具を全部出し、要否を判断し、整理をおこなうといった一連の流れ「この空間には〇〇が奥からX個、Y列分並べられますね」といった会話スペースに対する適正量や、収納指数というアクション数など、数字に基づいた管理論理的な考え方ができるからこそ、このように片付けができたのだと感じました。片付けに対する考え方を家族で共有化しようさて、整理収納の相談・依頼をいただいて初めて訪問する日は、出来るだけ夫婦そろっての在宅をお願いしています。子どもがいる場合も、同様に在宅していただくのが好ましいと考えています。それは家族全員から様々なお話をお聞きするためです。長く一緒に暮らしていても、お互いの片付けに対する考え方が異なっていて「え?そんなふうに考えていたの?」など、思いがけない発見があります。こういった発見を通じて、問題点が浮かび上がってくるものなのです。先ほどのエピソードも、ご主人が在宅して同席したことがキーポイントだったと言えるでしょう。収納スペースの俯瞰から現実的な空間を考える、これって男性の特徴?片付けをすることに男女差はないと思いますが、「特徴」の違いはあると思います。棚の数や奥行の寸法を計測したり、物の大きさに合わせて空間の高さを変えたり、いくつ収納できるかなど 数値化しながら現実的な空間把握をできたりするのは比較的男性が得意とすることのようで、ときめきなど感情に重きをおく傾向にある女性とは違いがあるようです。男性の「得意」を活かした片付け「うちの夫は片付けを全くやってくれなくて…」という妻は、試しに以下のような整理を頼んでみてはいかがでしょう。1)配線コードの整理家庭ではさまざまな充電器、便利なスマート家電など増え続けています。テレビの裏側やパソコンデスクの裏側など、どのコードが何とつながっているのか配線の知識がなくてという理由で整理ができないまま、何年も差し込んでいるのは危険です。「掃除もしにくく火災の心配もあるからやって欲しい」と理由も合わせて伝えると良いでしょう。配線整理方法①:ケーブルボックスを使う方法コンセントからコードを全て抜き、差込口の接触部分に溜まっているホコリをきれいに取り除きます。絡んでいるコードをほどいてコンセントにラベルを貼ると更によいですね。電源タップごとすっぽり収納できるケーブル専用ボックスはとても有効です。余裕をもった大きさのボックスを選べばより使いやすく安全です。最近はインテリアを邪魔しないデザインが多いので、使う場所に合わせて選びましょう。「このケーブルボックスに安全にケーブルを収納するにはどうしたら良い?」と男性に質問を投げかけるのも良いでしょう。問題解決に向けて、論理的思考や俯瞰力を発揮してくれるかもしれません。配線整理方法②:テーブルの裏側やサイドに止める方法テーブルや机の下、そしてテレビの裏側の床に、各種家電やパソコンの配線が集中し、ホコリまみれになっていませんか。これがスッキリ解決するとどれだけ安心して暮らせることか。そこでご紹介したいのが、突っ張り棒やワイヤーネットを使い空中に収納する方法です。テーブルの裏側に2本渡した突っ張り棒にワイヤーネットを固定するワイヤーネットを折り曲げて机の裏や壁側に固定し、その上にタップごと乗せるなど、様々な方法があります。「配線コード周りの収納法」と検索すると、たくさんのアイディアが掲載されていますので、各家庭に合った方法を見つけてください。空間を有効に使えるようになるとスッキリしますよ。作業を一人でおこなうより、二人でおこなった方がより安定した状態で設置ができるでしょう。注意点:コンセントが熱くなっていたら危険!触った時に異常に熱くなっていたら、発火や火事につながる危険があります。コンセントが熱を持つ原因として、曲げなどによる負荷・接触不良・劣化による配線の半断線・錆などが発生している可能性があるそうです。熱く危険なサインが出てきたら迷わず使うことをやめて、専門業者に頼んで修理してもらいましょう。発熱に関する「ヒヤっとした体験談」をお伝えします。タンスの裏側のコンセントから延長コードを伸ばし、タコ足配線で10年以上使っていたご家庭の話です。片付けをするために家具を動かしたところ、熱で溶け始めていたそうです。これはタイミングが良かった話ですが、火事につながっていてもおかしくないでしょう。一度、家族で自宅の配線状況を確認してみてはいかがでしょうか?2)重い物が多い屋根裏・床下・階段下・ガレージ 収納スペース、埋まっていませんか?屋根裏や床下、階段下、ガレージといった収納スペースは便利な反面、物でいっぱいになりやすいでしょう。クリスマスやお正月、節句など1年のうちでも限られた期間しか使わないものは思いのほか多くあります。また、夏しか使わないプール用品やクーラーボックス、冬しか使わないストーブやじゅうたん、海外旅行でしか使わない大型スーツケースなど、大きくて重い物も少なくないでしょう。他にも思い出の物や記念品、箱買いしている洗剤やロールペーパーなど、すぐに必要ではない貴重品・日用品もスペースを取る物の代表例でしょう。高い場所・狭い場所の整理に男性の特徴を生かすには?屋根裏や床下、階段下、ガレージは、高い場所や入口が狭くて奥行が深い場所、床板を持ち上げる必要がある場所、と女性にとっては厄介でなんとなく避けたい収納場所ではないでしょうか?こういった場所での作業は、家族の中での得意・不得意を活かして役割分担してはいかがでしょうか。また、せっかくの収納場所が物でいっぱいになってしまうと、リビングや寝室といった生活スペースにまで物があふれ、どんどん散らかってしまいます。収納場所は、いつも7割程度の収納量になるよう管理しておくことがとても大切です。「より効率的にスペースを使うためには物をどう配置したらよいか?」と男性に問いかけてみると、一緒になって考えてくれるかもしれません。「そもそも我が家にはどこにどんな広さの収納スペースがあるのか」、「ものがどの程度あるのか」、がすぐに分かるように収納リストを作っておくこともおすすめです。管理がしやすくなります。買い替え時や日用品の使用量分析をすると家計の無駄も省くことができるようになります。家は家族を守るシェルター家は家族を守るシェルターの役割も持っています。防犯のためにどんなに最新のセキュリティシステムを入れたとしても、住まいが耐震構造で24時間換気システムが稼働する快適な建物だとしても、暮らしている人の意識によってはその効果は半分に減ることもあるのです。家は家族みんなで幸せを生み守る大切な居場所。家族で相談をしながら、それぞれの得意分野を活かし健康的に暮らせる住まい作りをしてくださいね。【PR】著書:『私は整理収納アドバイザー®』(ハウジングエージェンシー)著者公式サイト:https://house-keep.info/著者ブログ:https://blog.goo.ne.jp/housekeep-san2009
快適な夏の暮らしのイメージを「風通しが良い」と表現するように、居心地がよい場所には換気や掃除のしやすさが欠かせません。今年の夏は、新型コロナウイルスの対策として厚生労働省が新しい生活様式を発表しました。その内容も踏まえ、本格的な夏が来る前に風通しの良い環境作りと片づけのポイントを5つお伝えします。1)新しい生活様式で奨励されている換気をしっかりと風通しの良いレイアウトは 窓までの動線が最優先朝晩の涼しい時間に窓を開けて空気の入れ替えをしたり、一日に何度もこまめに換気をしたりするためには、窓の周りをスッキリと片づけておく必要があります。窓の近くに家具や物があるために、動線が塞がれてアクセスしにくい状態だと感じるなら、家具のレイアウトを変えたり、多すぎる椅子やあまり使っていないサイドテーブルなどの家具類を思い切って減らしたりするなど、窓までのアクセスをよくしておきましょう。アクセスが良くなることで、子供に「窓を開けて換気をお願いね!」と頼みやすくもなります。空気の入れ替えは1時間に1回、5〜10分ほど、対角線上にある窓を2つ開けることがポイントだと言われています。日本は高温多湿…とはいえ、最近は外から侵入してくる害虫や排ガス、花粉、PM2.5などを防ぐために、カーテンや窓を開けることに抵抗感がある人が増えているのも事実です。しかし、閉めっぱなしにしていると今度は、冬に結露した場所など湿気の逃げ場がなくなるため、窓やカーテンにカビが発生していても気付かないという別の問題が発生します。カビは体調不良やアレルギーの原因にもなりますから、本格的な夏になる前に確認をして窓全体やサッシをきれいに掃除しておきましょう。特に北側の部屋は要注意。カーテンは外して洗うと安心です。カーテンフックも洗いましょう。窓回りが清潔だと、5分~10分程度の換気ならば、そう気にならなくなります。日頃から湿度計を見て、湿度が70%以上にならないように除湿器を使うなどコントロールをするのも効果があります。押入やクローゼットは衣替えを最近は衣替えをしない収納法が好まれる傾向にありますが、衣替えの機会がないとカビの発生や虫食いに気付かないまま何年も経過することがあります。放置しておくと、衣類だけでなく家具や壁にまで被害が及びます。確かに、押入やクローゼットの中の物を衣替えのたびに全部出して入れ替えるのは大変ですが、衣替えは収納スペース内を空っぽにするので、風を通し換気と掃除でホコリやダニなどをきれいさっぱり取り除くチャンスです。アルコールで拭いて仕上げておくことで安心して暮らせます。どんなに忙しくても年に2回、衣替えだけはするようにおすすめしています。簡単に衣替えができる程度に物の量を減らそうというきっかけにもなります。24時間換気システムが機能しているか確認する2003年以降に建てられた建物は「24時間換気システム」が義務つけられていますので、自動的に換気されているはずです。しかしちゃんと機能していますか?換気口が家具や物でふさがれていたり、せっかくのフィルターが汚れていたりするともったいないことです。今一度確認しておきましょう。2)完璧な片づけをめざさない ぽいぽい放り込みカゴ収納部屋の中に物がたくさんあると、雑然とした印象が視界に入ってくるのでそれだけで暑苦しく感じます。特に家族みんながあつまるリビングダイニングルームは物が集まります。床の上、テーブルの上、カウンターの上、椅子の上などについつい置いてあるものを片付けるだけで視界はスッキリし、涼しく感じます。ポイントは、ついつい溜まりがちな郵便物、おもちゃやお子様が書いた絵やクレヨンやシールなど散らかりがちなものを何でもぽいぽい放り込めるカゴを用意しておくことです。リモートワークや休校などで家族も自宅にいることが多いので、いくら片付けても散らかってイライラすることがあるかもしれません。そんなときこそ、完璧な片付けではなく、「とりあえずぽいぽい放り込めばいいや!」と涼しい笑顔でラクに構えていましょう。「ぽいぽいタイム!よーいドン!」 掛け声をかけて一斉にスタート散らかってきたら、「ぽいぽいタイム!よーいドン!」と掛け声をかけて一斉にぽいぽいとかごに片付けるというルールを事前に話し合って決めておくと 家族で楽しんで片付けられます。かごに入りきらずにあふれるようになったら、要る要らないの整理をして一定量をキープします。整理はすべての土台です。その整理も誰がやるのか、いつやるのか、家族で事前に決めておくといいですね。くじ引きやゲームなどで決めても楽しいものです。あわせて読みたい子どもに「片付けなさい」と言う前に|しない?できない?コツを伝授家族も小さな社会 思いやりが育つ声かけ誰かが片づけてくれたら「わー!スッキリしたね!気持ちいいね、ありがとう!」と明るく声に出して表現してください。この声掛けはとても大事です。家族も小さな社会、自分がしたことで誰かが喜んでくれることや、ルールや思いやりがあると気持ちよく過ごせるということを子供も少しずつ身につけて行くことでしょう。やがて子供も同じように「気持ちいいね!ありがとう!」と言うようになります。まさに「育てたように子供は育つ」のです。3)カーテンやクッションカバーなどファブリックも衣替えカーテンは寒色系に変えるだけで 体感温度が3℃も下がると言われています。ベッドルームのお布団やシーツを夏用に変えたタイミングで、リビングのクッションカバーやテーブルクロスなども衣替えをしている方は多いと思います。ファブリックが変わるだけでさわやかな風が吹いてくるようで、私は毎年この衣替えを楽しんでいます。これらの収納は押入れなどに引き出しを一つ入れ、「ファブリック・シーズンオフ」とラベルを付けておきましょう。夏物をしまう時には冬用のウールや暖色系の物と入れ替える衣替えが簡単にできます。4)夏の必需品のチェックまた、ガラスの花瓶や食器を出す、ラグをゴザに変える、子供用のビニールプールやクーラーボックスを出す、日差しを遮るサンシェードやすだれを設置する家庭もあるでしょう。蚊取り線香や虫さされ用スプレーなど、夏に使う物は案外さまざまお持ちではないでしょうか。いずれも「夏の必需品」として普段は納戸や階段下の収納スペースや外の倉庫などに収納されていると思いますが、何年もしまったまま忘れている物はありませんか?本格的な夏が来る前に階段下や屋根裏、納戸を整理しながら、夏用の物をまとめておくといいですね。使いたいときにすぐに出せます。中には劣化をしたり痛んだりしている物があるかも知れません。危ないものは早めに処分し、買い替えが必要な物は早めに手配をしておきましょう。まとめこうして改めて風通しのよさを求めてみると、withコロナであろうとなかろうと、換気や風通しは健康的に暮らすための智恵であり、日常の生活は家族が家族のために思いやりと笑顔で作り上げていくものだと気付きます。片付けはその手段として重要な役割を持ちます。換気に注意して、さわやかにすこやかにこの夏を乗り越えましょう!【PR】著書:『私は整理収納アドバイザー®』(ハウジングエージェンシー)著者公式サイト:https://house-keep.info/著者ブログ:https://blog.goo.ne.jp/housekeep-san2009
そろそろちゃんと片付けを教えなくてはと思うのは、お子さんが2~3歳になる頃でしょうか。でも、ハタと不安になることはありませんか?親である自分自身が片付けが苦手なのに、ちゃんと教えられるかしらと。今回お届けするテーマは、これまで福岡県内の幼稚園や保育園、小学校など延べ60回以上講演し、大変好評をいただいています。以下では、その講演で反響が多い部分を中心にご紹介します。子どもが大きくなった今だから言えること「そんなに心配しなくても大丈夫!」私は、家庭と仕事の両立に悩みながら何とか2人の子どもを育ててきました。今振り返って思うことは「何もあんなに叱らなくてもよかったのに」という小さな後悔と、そんなに心配しなくても、子どもは案外ちゃんと大人になるものだということ。無意識に親を観察し、真似をし、しっかりと自立していくということです。 子どもが片付けをしない?感情論や収納テクニックでは解決が困難せっかくかわいいかごや引き出しを使って、おもちゃの収納を作っても、子供はなかなか親が思うように片付けをしてくれません。私も実は、「片付けなさい!」「捨てるよ!」と叱ったり怒ったりして子育てをしていた時期がありました。でもそれは、自分のイライラを感情的にぶつけるだけの行為。そこから子供が学ぶことは、ママが怒るから仕方なく目の前のものをどこかに押し込んで隠すことだったり、片付けはイヤなこと、面倒なことだ、という負の感情です。 何事にも原理原則があるように 片付けにもちゃんと基本があることを、残念ながら私たちは学校や家庭で学ぶことがないまま大人になりました。そして、親になった時に自分が子供の時に親に言われたように、「片付けなさい」と叱ってやらせようとします。歴史は繰り返されていることを、多くのご家庭で見てきました。 片付けは、捨てることが目的ではなく、面倒なことでもないのです。片付けは、生活を便利にし、安全で豊かな生活のための土台なのです。 子どもに「片付けなさい」という目的は?物が増えたから、とそのたびに収納かごや収納グッズを買う。こういった「足し算思考」になると、あっという間に住まいは物に占拠されます。地震や火事などの時に、住まいが物に占拠されていると、避難経路を塞がれたり物の下敷きになったりと最も危険な場所になってしまいます。今一度、もしもの時に子供を抱え安全に避難できるレイアウトになっているか、高い所からモノが落ちてこないか、家具が倒れてこないか、そして日常的にモノが多すぎて家庭内事故などの危険がないか、確認をしてみませんか?そして、「何のために人は片付けをしなければならないの」と子どもに聞かれたらまずは、「安心、安全、清潔、そして便利に暮らすため」と言えるようになって欲しいと思います。 暮らしを「安心、安全、清潔、そして便利」にするための手順少し専門的な理論になりますが、とても大事な事なのでよくお読みください。子どもに片付けを教える前に知っていただきたいことがあります。下の図は、暮らしを「安心、安全、清潔、そして便利」にするための手順を表しています。一番下の土台になっているのは整理です。次に収納、片付けは下から3番目の位置、お掃除が一番上になっています。片付けは3番目の位置なので、子供にまず教えることは、片付けではなく「整理」といえます。この考え方の順番が違うと、片付けや収納テクニックに落ち入り混乱のもとになります。整理とは区別して取り除くこと 土台となる整理について詳しくお伝えするために、「どんどん増えていく子どもの絵本の収納」を例に挙げて考えてみましょう。「足し算思考」は回り道本が増えるたびに本棚を増やすと一時的に片付きますがまもなくいっぱいになり、また本棚を買い足していくと10年後20年後は部屋中が本棚になることでしょう。これは収納を先に考える足し算思考と言え、「安心、安全、清潔、そして便利」な生活にうまく近付くことができません。「引き算思考」が近道広辞苑によると、整理とは「必要か必要でないか区別をし、不必要なものを取り除くこと」とあります。絵本の整理を例を挙げましょう。まず、絵本を全部床の上などに出して、今読んでいる絵本は右へ、もうほとんど読まなくなった0歳の絵本などは左へ、区別します。次に 今読んでいる絵本は元に戻し、もう読まなくなった絵本は更に分けます。大切な思い出として別の場所に保管するリサイクルショップやメルカリで売る 誰かにあげるそれでも残った絵本は、資源ごみに出すどの方法でも取り除くという整理がここでされました。つまり、整理というのは引き算の概念なのです。引き算は必ずお子さんと一緒に物が増えたら、定期的にこの整理を必ずお子さんと一緒におこなってください。絵本に限らず、洋服やおもちゃや、作品や工作などもすべてこの方法で整理をします。2歳3歳でまだ小さいから、と親御さんだけでやってしまうのは、子どもに整理を教える絶好のチャンスを失うことになるので、とてももったいないことです。物が増えたな、なんだか掃除がしにくい、片付けが大変になって来た、など感じたら整理のタイミングです。引き算のコツは「今大好きなもの」はどれ?と考えること「今日は要る・要らないをしようか」とニコニコと声をかけてください。捨てさせようと意気込んで怖い顔をしないこと、これがポイントです。捨てる物や要らないものを選ばせようとすると、全部要る!ということになり区別が一向に進みません。「今大好きなのはどれとどれ?」「ここにいくつ入るかな。一番好きなものからこの棚に並べてみよう」というように、ゲーム感覚で、「今」を基準に選んでいくことが自然と身につくように教えていきましょう。そのスペースに入らないものはどうしようか、とそれも子どもに聞いてみましょう。ポイントは簡単な選択肢、例えば1群と2群に分ける、大事に保管をする、誰かにあげる、売りに行く、などの方法をわかりやすく示してあげると、親が思っている以上に子どもは判断できます。もちろん最初から上手く行きませんが、ひとつでも二つでも、自分で判断したら、それを尊重しましょう。整理の力はスゴイ整理によって以下の力が養われます。空間を認知する力限られたスペースや空間に、どのくらいの大きさの物を、どのくらいの数収納できるのかを考えられるようになる。創造する力物がなくても工夫して新たな物を生み出せるようになる。見通す力おもちゃが床に出しっぱなしだと 誰かが踏んだり転んでしてケガをするかもしれない。小さな妹や弟、ペットが間違って食べたりするかもしれない。こういった「未来に起こる危険」を予測できるようになる。また、なぜ片付けをしなければならないかを考えたり、その根拠を理解したり、自分だけではない他の誰かに対する思いやりの気持ちがは育まれたりもします。こういった自立心は、日頃家庭生活での整理や片付けを通して自然に身に付けることができると言われています。 収納は「物のおうち作り」収納は整理の次のステップで、「必要なすべての物に場所をあたえること」です。つまり、お人形にもミニカーにも、ズボンやくつしたにも、帰るべきおうちが必要なんだよ、ということで、子どもスペースにはすでに、かごや棚などを利用して皆さんのお宅にはちゃんと用意されていることでしょう。収納場所が明確に決まっていれば 2歳でも3歳でも元に戻す「片付け」ができます。もちろん、毎回ちゃんと片付けるかどうかは気分次第のこともあるでしょう。しかし、収納場所が決まっていないと片付けを教えることはできないのです。子どもが片付けやすい収納のポイント1. 出し並べ収納でワンアクションの簡単片付け文字通り、出して並べる収納のことを「出し並べ収納」といいます。幼児は、引き出しや扉の中から出すことはできても、しまうことはまだ苦手なのです。今よく遊んでいるものは出し並べ収納にして、ワンアクションで「片付け」ができるようにしましょう。開けたり閉めたりするアクション数が増えるほど片付けは面倒になります。⒉ 棚とかごの選び方棚があれば、床に並べるよりも空間を上下に分けて使えるので、とても便利です。 成長に合わせて棚の位置を変えたり増やしたりできる商品を一つ用意して置くと長く使えて便利です。かごはさまざまなかわいいものが市販されているので、皆さんのお宅でも積み木やブロック、プラレールなど分類して便利に使っていると思います。ポイントは、棚とかごの間に手が入る程度の空間を残すことです。その空間があるだけで、中身が見えます。また、その空間に手を入れて一個だけ取り出したり、しまい忘れたおもちゃをポイと放り込むことができます。⒊ 観察とひらめき一緒に遊んだり片付けを手伝ったりしながら、子ども目線で観察するのも大切です。入れ物が小さすぎないか、重すぎないか、動線が長くはないか、必要以上に物を与えすぎていないか、最近よく遊んでいる物やそうでもない物など、子供のくせやこだわりに気付くとそれに合わせた収納法がひらめきます。 「片付け」は繰り返し繰り返し教える!完璧な子どもを求めないあなたは子どもの頃はどうだったでしょうか。「片付けなさい」と言われて「はい!」とできていたでしょうか。できたこともあれば後で後でと何とか逃れ、結局やらずじまいだったこともあったでしょう。今も昔も同じです。残念ながら子どもは親の思い通りにならないのが常です。それが当たり前です。せっかくすべての物に「おうち」を作って、褒められるくらいのステキな収納を施したとしてもです。3回に1回でもちゃんとできたら思いっきりほめましょう。「ブロックを踏んでパパが足をケガしたら痛いよね。だからそろそろ一回片付けようか」など、片付ける理由を伝えて促して行きましょう。2~3歳のイヤイヤ期がきたら、順調に成長している証拠だと喜んで、繰り返し繰り返し、元に戻すことを教えていきましょう。物はどんどん入れ替わっていく子どもの成長は早いので、それに合わせてどんどん新しい物が必要になってきます。ほんの少し前は90cmのお洋服だったのに、すぐ小さくなって一回り大きいサイズに買い替えていくように、おもちゃや絵本やパズルも少しずつ難易度が高い物に買い替えていくことになります。それはとても嬉しいことです。「まだ新しいから」とか「まだ遊ぶかもしれないから」と整理を先延ばしにしていると、入れ替わりがされないままになるので、ありとあらゆるものが出しっぱなしになり片付けが大変になります。たとえば、3月と8月の第4日曜日は整理の日、と決めてしまって、我が家のルールとして定着させていきましょう。 まとめ: 片付けの向こう側にある未来育てたように子供は育つ、と昔からよく言われることですが、同じように育てたつもりでも個性や持って生まれた気質も異なります。やればやるほど反抗する子もいれば、のんびりとゆっくり片付けるのが好きな子もいます。だからこそ、「要る要らないをしようか」と母はいつも整理を教えてくれたっけ、と大人になった時にふと思い出す原風景を子どもに残してください。きっとあなたと同じことを今度は親となったお子さんが伝えていくことでしょう。片付けなさいと言う前に。【PR】著書:『私は整理収納アドバイザー®』(ハウジングエージェンシー)著者公式サイト:https://house-keep.info/著者ブログ:https://blog.goo.ne.jp/housekeep-san2009