「積立投資」とは、一度にまとまったお金を投資するのではなく、一定の金額を定期的にコツコツ積み立てる投資方法です。「毎月同じ投資信託を〇万円分購入する」という形式の積立投資が一般的です。「あまり投資にお金をかけられない」、「忙しくて投資に充てる時間がない」といった投資初心者の方にもおすすめしたい、積立投資の魅力を解説します。積立投資のメリットとは?積立投資のメリットは、主に3点挙げられます。❶まとまった資金がなくても投資できる❷自動買付ができるため、購入の手間が省ける❸価格変動を味方につけて、時間分散によるリスクの低減が期待できる「❶まとまった資金がなくても投資できる」とは?投資信託を活用した積立投資は、月々1万円程度から始めることができます。毎月1万円程度から、同じ投資信託を定期購入することで、少額から効果的な資産運用を始めることができます。1万円程度であれば、毎月の支出を見直すことで、積立投資に充てられるのではないでしょうか。投資信託とは?投資信託は、複数の投資家から資金を集めて、運用の専門家が債券や株式などに投資・運用する金融商品です。リスクをコントロールする方法の1つに、投資先を集中させずに値動きが異なる複数の資産に分ける「分散投資」があります。しかし、分散投資を行なうためには1つ1つの投資対象を調査するほか、多額の投資資金が必要になり、個人で行なうには難易度が高いものです。投資信託を活用すれば、投資対象の情報収集、分析、銘柄選択を専門家に任せながら、1万円程度の資金から分散投資を始めることができます。「❷自動買付ができるため、購入の手間が省ける」とは?「定期的に購入する」と聞くと面倒に感じますが、積立投資は最初に契約する金融機関(銀行や証券会社等)を決めて、投資信託の商品を選択し、任意の金額で積立投資を申し込めば、あとは毎月自動的に口座から引き落とされます。こまめに情報収集して購入する時間がないという忙しい方にとっても、資産運用を続けやすい方法です。「❸価格変動を味方につけて、時間分散によるリスクの低減が期待できる」とは?投資は、「安い時に買い、高い時に売ること」が基本です。しかし、金融商品は常に値動きをしているので、買い時を見極めるのが困難です。積立投資は定時定額で購入するため時間分散を実現でき、以下の表のように価格が高い時には数量を少なく、価格が安い時には数量を多く購入することが可能となります。また、時間分散の効果によって値下がり時を多くの数量を買い付けるための期間として受け止めることができ、長期投資を継続する上で心理的な負担を減らしやすくなります。値下がり時に運用をやめてしまう方も一定数いらっしゃいますが、資産運用は長期で運用すればするほど短期的な市場動向に左右されにくくなるため、積立投資であれば時間分散に加えて長期投資の効果も享受しやすくなりそうです。もし実際に、過去に積立投資をしていたら・・・少額の積立投資で投資成果が本当に出るのか、不安を感じる方もいるかもしれません。過去20年間、毎月1万円の積立投資をした結果を見ていきましょう。このグラフは、2003年11月末から2023年10月末までの20年間、世界株式*に毎月1万円ずつ、積立投資を行なった結果です。投資した240万円の3倍以上である約732万円まで資産を成長させることができました。この期間にはリーマンショックやコロナショックなどの経済危機もあり、一時的に積立評価額が累積投資額を下回る局面もありました。しかし、そういった値下がり時にこそ、積立投資を継続することで、平均購入単価が下がり、その後の世界株式*の上昇局面で評価額が増加しました。この回復力が積立投資の魅力といえます。***「世界株式」MSCI ACWI(税引後配当込み・円換算ベース)。MSCI ACWIを基に野村アセットマネジメントが独自に円換算したものです。**あくまで2003年からのシミュレーションであり、マーケット動向によっては、必ずしもこのような結果が出るというわけではありません。上記のケースでいえば、20年前から毎月1万円の積立投資を行なっていれば、約492万円の利益が出ていたことになります。20年後、「あの時積立投資を始めておけばよかった」と後悔するかもしれません。今から、積立投資を始めてみてはいかがでしょうか?次のNISA特集ページに掲載中の「【コラム】年代別!新しいNISAを活用したライフプランニング&シミュレーション」では、資産運用のプロである野村アセットマネジメントの社員がプランニングした、積立投資を活用する新しいNISAの活用方法を年代別にご紹介します。<当コラムで使用した指数等について>MSCI ACWIは、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。*記載の内容は、コラム制作時点(2023年11月)のものです。*当コラムの記載事項・見解は、全て当コラム作成時点で当社が知り得る情報に基づくものです。将来、制定される制度の内容が変更になる、または一旦制定された制度が変更・廃止になる可能性等があります。※LIFUQU noteのサイトポリシー/プライバシーポリシーはこちら。
投資信託で資産運用を始める時、どの投資対象を選択するか迷う方も多いのではないでしょうか。そこで、このコラムでは米国株式について解説します。米国株式とは?米国株式とは、米国の証券取引所に上場している株式のことです。米国の主要な証券取引所として、ニューヨーク証券取引所とNASDAQ(ナスダック)があります。米国株式の代表的な指数には、ニューヨーク証券取引所とNASDAQに上場している米国企業から選ばれた代表的な500銘柄で構成され、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーする「S&P500(S&P500種株価指数)」*、ニューヨーク証券取引所に上場している米国の優良企業30社で構成された「NYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)」*や、NASDAQに上場する全銘柄から算出した「NASDAQ総合(NASDAQ総合指数)」**などがあります。*2024年2月末時点。(出所)S&P Dow Jones Indices**2023年12月末時点。(出所)Nasdaqニューヨーク証券取引所とは?ニューヨーク証券取引所(NYSE(New York Stock Exchange))は、時価総額が約25.6兆米ドル*世界最大の証券取引所です。NASDAQとは?NASDAQ(National Association of Securities Dealers Automated Quotations)は、時価総額が約23.4兆米ドル*の世界で2番目に大きい取引所です。1971年に設立された新興企業向けの市場で、ハイテク・IT関連の銘柄を中心に上場しています。*2023年12月末時点。(出所)statista米国株式に投資するメリット:時価総額上位企業の成長を取り込むことが期待できる米国株式に投資するメリットは、米国企業の成長の恩恵を受けることが期待できる点です。現在の世界の時価総額ランキングは以下の通りで、トップ10を米国企業がほぼ独占しています。日本でもビジネスを展開している企業が多く、知っている名前も多いのではないでしょうか。もちろん日本に限らず、時価総額上位の企業はグローバルに事業を展開しているケースも多いため、今後拡大し得る新興国市場の恩恵を受けることも期待できます。▲2024年2月末時点。記載されている個別の銘柄については、参考情報を提供することを目的としており、特定銘柄の売買などの推奨、また価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。 (出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成時価総額とは?株式市場から見た企業の価値や規模を図る指標で、「発行済株式数×株価」で算出されます。また、他の株式と比較しても、米国株式は高いパフォーマンスで推移してきたことが分かります。▲1989年1月末を100として累積リターンを指数化。 (使用した指数)米国株式:S&P500種株価指数(配当込み・米ドルベース)、世界株式:MSCI ACWI(配当込み・米ドルベース)、日本株式:TOPIX(配当込み) (期間)1989年1月末~2024年2月末、月次 (出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成。米国株式は、長期的にみると大きく値上がりしていますが、下落局面では大幅に値下がりしています。次の項目では、この特徴を上手く活用する方法をご紹介します。米国株式に投資するコツ:時間分散でリスクの低減を図る米国株式に限らず、株式には上昇局面もあれば下落局面もあります。一括投資をした直後に値下がりすると、つい不安になり投資を続けることが難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。以下は、2007年10月末から2012年10月末までのS&P500の推移です。米国株式は2008年9月に起きたリーマン・ショックの前月末の水準まで回復したのは2010年12月末で、約2年かかりました。▲(使用した指数)S&P500種株価指数(配当込み・米ドルベース) (期間)2007年10月末~2012年10月末、月次 (出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成。次に、S&P500に2007年10月末から2012年10月末まで毎月末に積立投資をした場合と、2007年10月末に一括投資をした場合の比較を行います。積立投資の場合、S&P500がリーマン・ショックの前月末の水準まで回復する2010年12月末よりも約1年早い、2009年11月には利益が出る水準まで回復しました。一方、一括投資は2012年3月末まで利益が出る水準まで回復していません。積立投資が早期に回復できたのは、下落局面でも積立投資を継続することで多くの数量を価格が安い時に買い付けることができ、平均購入単価を下げられたことでその後の反発局面で早期に利益が出やすくなったためです。▲積立投資:2007年10月末から2012年10月末まで毎月3万円ずつ(計183万円)を積立投資した場合。 一括投資:2007年10月末に183万円を一括投資し、2012年10月末まで保有した場合。 上記はシミュレーションであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。算出過程で取引コスト等は考慮しておりません。市場指数そのものに投資することはできません。ファンドの運用実績ではありません。 相場が上昇局面にある場合は、一括投資を行ったほうが有利になる場合があります。 (使用した指数)S&P500種株価指数(配当込み・米ドルベース) (期間)2007年10月末~2012年10月末 (出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成。まとまった資金を一度に投資するのが怖いという方も、積立投資であれば継続して米国株式に投資を続けられるのではないでしょうか。米国株式を代表する指数「S&P500」、「NYダウ」、「NASDAQ総合」の比較この項目では、代表的な3つの指数「S&P500」、「NYダウ」、「NASDAQ総合」を比較していきましょう。S&P500やNYダウと比較して、NASDAQ総合は情報技術セクターの割合が多いことが特徴的です。▲S&P500(S&P500種株価指数)、NYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)は2024年2月末時点。NASDAQ総合(NASDAQ総合指数)は2023年12月末時点。 業種はGICS(セクター)分類に基づきます。四捨五入により合計が100%にならない場合があります。 代表銘柄(例)は、指数構成銘柄のうちウエイト上位3銘柄を掲載しています。 上記は過去のデータであり、将来の投資成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、代表銘柄(例)は各指数の紹介を目的としており、特定銘柄の売買などの推奨、また価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。 (出所)S&P Dow Jones Indices、Nasdaq、ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成「時価総額加重平均」と「ダウ式修正平均」とは?時価総額加重平均時価総額加重平均は、単純に平均せず、各企業の時価総額の割合を重みづけして計算します。そのため、時価総額の大きい銘柄(大型株)の値動きに影響を受けやすいことが特徴です。たとえば、多くの銘柄が値下がりした場合でも、大型株が上がると指数が高くなる場合があります。ダウ式修正平均ダウ式修正平均は、構成銘柄の株価の合計を除数で割ることで計算します。除数は組入銘柄の入れ替えや株式分割などに応じて、過去との連続性を保つために調整されます。ダウ式修正平均は、株価が高い銘柄ほど指数への影響が大きくなるという特徴があります。次に、過去のリターンを比較していきましょう。約20年間のパフォーマンスを比較すると、米国の情報技術関連の新興企業が著しい成長を見せたため、近年はNASDAQ総合が最も高位に推移してきました。しかし、市場の下落局面では、他の指数と比べてNASDAQ総合の下落幅が最も大きいようです。▲2003年9月末を100として累積リターンを指数化。 (使用した指数)S&P500種株価指数(配当込み・米ドルベース)、ダウ・ジョーンズ工業株価平均(配当込み・米ドルベース)、NASDAQ総合指数(配当込み・米ドルベース)、 (期間)2003年9月末~2024年2月末、月次 (出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成新興企業を中心に積極的な運用を目指す方は、NASDAQ総合に連動する運用を目指すインデックスファンドや、NASDAQ上場株式をスクリーニングし、特に成長性が見込まれる数十銘柄に投資先を絞り込んだアクティブファンドなども選択肢の1つです。インデックスファンド・アクティブファンドとは?インデックスファンドとは、指数(インデックス)など、あらかじめ定めた目標(ベンチマーク)に連動する運用成果を目指すファンドを指します。一方、アクティブファンドはベンチマークを上回る運用成果を目指すファンドのことをいいます。ベンチマークを定めていないアクティブファンドもあります。▲インデックスファンドとアクティブファンド、それぞれに同一のベンチマークが設定されている場合の目指す値動きを表しています。 (作成)野村アセットマネジメント一方、米国株式の中で業種をバランス良く分散させたい方はS&P500やNYダウに連動する運用を目指すインデックスファンドを選択すると良さそうです。では、パフォーマンスには大きな差が見られないS&P500とNYダウの違いをみていきましょう。違いの1つは、銘柄の選定方法です。S&P500の組入銘柄には、時価総額158億米ドル以上*といった定量的な選定基準があります。一方、NYダウは定量的な基準がなく、委員会で投資家の関心度や今後の成長性を考察して選定しています。*2024年2月末時点。(出所)S&P Dow Jones Indicesまた、分かりやすい違いの1つに、銘柄数が挙げられます。NYダウは以下の表にある30銘柄で構成されていますが、S&P500の構成銘柄にNYダウの構成銘柄は全て含まれています。◾️NYダウの構成銘柄と、各指数との重複NYダウS&P500NASDAQ総合ユナイテッド・ヘルスグループ〇 マイクロソフト〇〇ゴールドマン・サックス・グループ〇 ホーム・デボ〇 キャタピラー〇 セールスフォース〇 マクドナルド〇 ビザ〇 アムジェン〇〇トラベラーズ〇〇アメリカン・エキスプレス〇 ボーイング〇 ハネウェルインターナショナル〇〇JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー〇 IBM〇 アップル〇〇アマゾン・ドット・コム〇〇ジョンソン・エンド・ジョンソン〇 プロクター・アンド・ギャンブル〇 シェブロン〇 メルク〇 ウォルト・ディズニー・カンパニー〇 ナイキ〇 3M〇 コカ・コーラ〇 ウォルマート〇 ダウ〇 シスコシステムズ〇 インテル〇〇ベライゾン・コミュニケーションズ〇 ▲2024年2月末時点、ウエイト順。記載されている個別の銘柄については、参考情報を提供することを目的としており、特定銘柄の売買などの推奨、また価格などの上昇や下落を示唆するものではありません。(出所)ブルームバーグのデータを基に野村アセットマネジメント作成約500銘柄で構成されるS&P500は米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしているのに加え、時価総額加重平均で算出されるため、市場全体の動向をより正確に評価した指標といえます。米国株式市場全体への投資を考えている方は、S&P500に連動する運用成果を目指すインデックスファンドが適しているといえそうです。米国株式の様々な指数米国株式には、様々な指数があります。ここでは、主要な指数をご紹介します。▲S&P500種株価指数、S&P500配当貴族、ダウ・ジョーンズ工業株価平均は2月末時点。NASDAQ総合指数、NASDAQ100指数は2023年12月末時点。 (出所)S&P Dow Jones Indices、Nasdaq成長著しい米国企業の成長を取り込むことが期待できる一方で、騰落率も大きな米国株式は、ご紹介したようなコツを押さえてリスクをコントロールしながら、上手に活用していきましょう。更にリスクを低減したい方は、国・地域の分散も検討してみてはいかがでしょうか。<当コラムで使用した指数等について>「S&P500種株価指数」、「S&P500配当貴族指数」に関する一切の知的財産権その他一切の権利はスタンダード&プアーズファイナンシャルサービシーズエルエルシーに帰属しております。「Dow Jones Industrial Average」(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)はS&P Dow Jones Indices LLC(「SPD JI」)の商品です。Standard & Poor’s®およびS&P®はStandard & Poor’s Financial Services LLC(「S&P」)の登録商標で、DJIA®、The Dow®、Dow Jones®およびDow Jones Industrial AverageはDow Jones Trademark Holdings LLC(「Dow Jones」)の商標であり、これらの商標を利用するライセンスがSPDJIに付与されています。NASDAQ総合指数(Nasdaq Composite Index)、NASDAQ-100は、The Nasdaq Stock Market, Inc.(以下、その関係会社とともに「ナスダック」といいます。)の登録商標またはサービスマークであり、野村アセットマネジメント株式会社は、その使用を許諾されています。「MSCI ACWI」は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権、その他一切の権利はMSCIに帰属します。またMSCIは同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています。「東証株価指数(TOPIX)」の指数値及び「東証株価指数(TOPIX)」に係る標章又は商標は、株式会社JPX総研又は株式会社JPX総研の関連会社(以下「JPX」という。)の知的財産であり、指数の算出、指数値の公表、利用など「東証株価指数(TOPIX)」に関するすべての権利・ノウハウ及び「東証株価指数(TOPIX)」に係る標章又は商標に関するすべての権利はJPXが有します。JPXは、「東証株価指数(TOPIX)」の指数値の算出又は公表の誤謬、遅延又は中断に対し、責任を負いません。*記載の内容は、コラム制作時点(2024年3月)のものです。*当コラムの記載事項・見解は、全て当コラム作成時点で当社が知り得る情報に基づくものです。将来、制定される制度の内容が変更になる、または一旦制定された制度が変更・廃止になる可能性等があります。※LIFUQU noteのサイトポリシー/プライバシーポリシーはこちら。