「教育資金は子どもが何歳までに貯めればいいですか?どうやって貯めればいいですか?」このようなご相談をよく受けます。教育費は必要になる時期が分かっているので貯めやすいはずですが、苦戦している人が多い印象です。それではどうやって準備すればいいでしょうか。お金を殖やす体質になるための知識と準備について、ファイナンシャルプランナーが解説します。お金を殖やす体質になるための知識預貯金だけで大丈夫?~物価上昇の影響~2024年3月の日銀のマイナス金利解除、7月の政策金利の引き上げにより預金金利も少し上がりました。とはいえ物価上昇率には追いつかず、預金や現金で持っているとお金は目減りしてしまいます。 たとえば物価上昇率が2%だった場合、今年は100万円で買えたものが来年は102万円出さなければ買えないということです。毎年2%上昇するとしたら、年を追うごとにお金の価値はどんどん目減りしていくのです。お金を殖やす方法は預貯金だけじゃない!「お金を殖やす」ための金融商品には預貯金のほかにも株式、債券、投資信託などがあります。これらの商品の特徴は、大きく損をすることもあれば予想より大きな収益を得られること。そして預貯金と違い、投資した元本が保証されないことです。元本が保証されない商品をリスク商品と言います。リスクを敬遠する人もいますが、お金の世界のリスクとは単に危険という意味ではありません。高い収益を得ようとするとリスクも高まりますが、リスクを低く抑えようとすると高い収益を得られることもありません。つまりある程度のリスクを取らなければお金は増えず、インフレに負けて目減りしてしまうことになります。「株式」「債券」「投資信託」はリスク商品であり、収益性が高い商品と言われます。投資による資産形成を考えようお金を殖やす体質になるため、資産を運用し資産形成するための知識はこれからの時代には欠かせません。また、投資をするということは、世の中にモノやサービスを生み出す人や企業を応援することになり、経済の活性化にもつながります。投資によってお金を殖やす場合は、当面使わないお金を投資に回し、インフレに負けないように増やして、将来必要になったときに取り崩せるようにする。そんな方法を、ぜひ皆さんも自分のものにしていただきたいと思っています。投資は10年以上先を見据えてじっくり育てていくものです。資産の銘柄の分散、世界中の地域への分散、時間の分散といった「分散投資」を行い、長期に投資を続けることで、リスクを抑えて安定的な収益を目指すことができるようになっていきます。人生を俯瞰して見てみようただ闇雲に投資をしてお金を殖やすのでは意味がありません。まずは人生を俯瞰して全体を見渡してみましょう。ライフプランを立て、今後の収入、支出の予定を入れてキャッシュフロー・シミュレーションし、家計を見える化することをおすすめします。人生の中では収入が多く支出が少ないという時期もあれば、収入は伸びず支出がまとまって出ていく厳しい時期もあります。収入も支出もずっと一定ではありません。シミュレーションをすると、今後どのように預貯金が推移していくのか知ることができ、対策を立てることができます。早いうちにライフプランを立て、いつが貯め時で、いつまでにいくら準備する必要があるのか把握すれば、その目標にあわせて投資を始めることも可能です。未来の自分を支えるのは今の自分です。人生を見渡して一生で考えることができれば、不安の少ない人生を送ることができます。お金を殖やす体質になるための準備ここからは、お金を殖やす体質になるための準備のお話です。まずはいざという時にいつでも使える普通預金等に、給料の6か月分程度は貯めておきましょう。この6か月分というのはあくまでも目安です。実際にはご家庭によって金額は変わってくると思います。そして先ほどお伝えしたように、ライフプランを立て、家計を見える化して目標を立てましょう。まとまったお金が必要なタイミングが分かったら、資産形成の方法を考えます。資産形成の手段として投資を選択する場合、重要なことは「長期・積立・分散投資」です。積立投資で毎月一定額を自動的に投資できる仕組みを作れば、日々の相場の上げ下げに一喜一憂することなく自然と貯まります。自らのライフプランに合った資産全体の配分に気を配り、やみくもに怖がらず、少額からでもいいので始めて経験を積みましょう。教育資金を準備する3つの手段お金を殖やす目的が教育資金の場合、どうやって準備すればいいのでしょうか。1.児童手当やお祝い金を貯める教育資金の場合は、大学入学の費用が必要になる高校3年生までにはまとまったお金を準備する必要があります。児童手当のように行政から支給されるものやお祝いでいただいたお金など、最初から無かったと思えるものは、子どもが生まれた時から普通預金で貯めておきましょう。では、この秋から拡充された「児童手当」の制度について見ていきましょう。 「児童手当」が拡充令和6年10月分(12月支給分)から、「児童手当」の支給対象年齢が高校生までとなり、多子家庭に対する金額が拡充されています。届け出が必要な人もいますので、気になる人はお住まいの自治体のホームページを参照してください。>>こども家庭庁「もっと子育て応援!児童手当」2.支援制度を活用する次に、ためたお金で足りなければどうするか。それには借りるという選択肢もあります。大学進学の際の「入学までの費用をサポートする制度」や「奨学金」などについても押さえておきましょう。入学までの費用をサポートする制度進学にかかる費用は入学してからでは間に合わないものもあります。そのため入学前に必要となる、受験のための費用、入学金、前期授業料等については、前もってためておく必要があります。その準備が間に合わないときには、奨学金とは別に「入学までの費用をサポートする制度」があります。その代表的なものは国の教育ローンです。国の教育ローンは日本政策金融公庫が行っています。>>国の教育ローン学生一人あたり350万円まで借りることができ、近くの金融機関やインターネットで申し込みができます。利用条件や金利、返済方法なども調べてみるといいでしょう。また、大学や専門学校等の中には、学校独自の入学時の費用支援や奨学金制度を実施している場合があります。さらに自治体や企業・団体が実施している奨学金制度もあります。>>学費や一人暮らしの生活資金、ローンのお借換えなど様々な場面でご利用いただけるNCBEZ教育ローンはこちら日本学生支援機構の奨学金制度日本学生支援機構の奨学金には、「借りる」奨学金である「貸与奨学金」と「支給される」奨学金である「給付奨学金」があります。「貸与奨学金」には、利子が付かない「第一種奨学金」と利子が付く「第二種奨学金」があります。「貸与奨学金」は、子ども本人が卒業してから働きながら返していくことになります。子ども名義の借金になるので躊躇する親もいますが、利息から考えれば他の借金よりは低く設定されています。その上返済が始まるのは大学を卒業してからです。子ども名義の借金ですが、親も協力して返済する方法を考えてもいいのではないでしょうか。2020年度から拡充された「給付奨学金」は「支給される」奨学金のため、返済の必要がありません。経済的に厳しい世帯の学生が進学を諦めることが無いように、支援が進んでいます。3.NISAなどを利用して資産運用で殖やすNISAなどを利用して資産運用で殖やすというのも有効な手段です。ただ前段でも触れましたが、いつでも使える預貯金とは違い、NISAも「お金を殖やす」ための投資であるため、ぶれ幅が大きくなります。自分の子どもの教育費が必要となる時期に、たまたま市場が良いことはあっても、必ずしも運用成果が出ているとは限らないのです。投資は10年以上先を見据えてじっくり育てていくものと言いました。ですから、目的が教育資金の場合には安全性の高い預貯金等も並行して準備していく必要があります。 2024年から始まった新NISAは、非課税保有期間が無期限となったことが一番優れた点だと思います。NISA側の期限を気にせず、自分のライフプランに合わせた運用ができるようになりました。NISAはいつ解約しても自由ですので、教育資金や住宅資金などに活用することができます。教育資金を貯めるには貯蓄とNISAでの投資を並行して行い、進学の際には3つの手段を考えあわせたうえで有効な手段を選択しましょう。まとめ今回は、お金を殖やす体質になるための知識と準備、そして教育資金を準備する手段についてお話ししました。お金を殖やす体質になるためには、どういう考え方をしてどのように準備を進め、教育資金を準備するにはどのような手段があるのか解説しました。皆さんが実際に行動するときに参考にしていただければ幸いです。投資信託のご留意事項(必ずご確認ください)商号等:株式会社西日本シティ銀行 登録金融機関 福岡財務支局長(登金)第6号加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会■あわせて読みたい記事・【福岡のFPさんコラム】|大学進学にかかるお金と進路選択における親子のコミュニケーション・株価下落時でも、つみたて投資を続けて大丈夫?|投資を続けるメリットについて解説します。
日本は長い間、超低金利の時代が続いたので、日本の預金よりも利率の高い外貨建て保険に加入して貯蓄を増やそうとする人も多いと思います。この外貨建て保険の支払いが難しくなったという相談が、あちらこちらで聞かれます。その原因について、ファイナンシャルプランナーが具体例を参考に解説します。Aさんの事例相談内容結婚3年目の共働き夫婦です。結婚後に契約した保険の支払いが、子どもが生まれて急に苦しくなりました。このまま払っていけるのか心配です。また、子どもの教育費も、これからどうやって貯めればいいのか不安です。NISAも新しくなったと聞きました。投資のほうが良かったのかなと悩んでいます。(Aさん30代男性)近年Aさんのような共働きの家庭は増加しており、実際に相談に訪れる若いご夫婦のほとんどが共働きです。妻がフルタイムという家庭も多くあります。共働きの家庭は二人分の収入があるため、そうではない家庭より貯金ができそうな印象がありますが、実際はそうでもありません。このような相談は、共働きの家庭によく見られる傾向にあります。支払いが難しくなった原因は?では何が原因だったのでしょう。少し整理してみましょう。共働き家庭の落とし穴Aさんの妻もフルタイムで働いています。結婚前一人暮らしだったときに比べると、家計の収入が二倍になって生活は楽になりました。そこで、将来のために貯蓄型の外貨建て保険に夫婦それぞれで加入することにしました。その他の生命保険や医療保険も合わせると、月100,000円支払っています。二人で頑張ればなんとか払える額でした。ところが待望の子どもができ、妻が産休・育休に入って収入が半減したため、余裕がなくなってしまいました。子どもができて妻がフルタイムでは働けなくなることが、実際の生活にどう影響するのか想定できていなかったのです。為替リスクを甘く見ていた外貨建て保険には、月の支払いが外貨で固定されているものと円で固定されているものがあります。Aさんが入っている保険は米ドル建てで、月の支払いがドルで固定されているタイプでした。例えば月の保険料が100ドルだとすると、1ドル100円の時には円に換算すると10,000円です。では円安が進んで1ドル150円になるとどうなるでしょうか?15,000円になってしまいます。このように、ドルで固定されているものであれば、円安になると月々の支払いは増加します。逆に1ドル80円というように円高になれば、月々の支払いは8,000円と減少します。外貨ではなく円で固定されているタイプであれば、月々10,000円なら10,000円分のドルを買うことになるので、円安の時は買えるドルの量は減りますが、円での支払額は一定です。家計への負担は少なくなります。どちらが良いというものではないのですが、外貨建て保険に加入するときは、自分たちにはどちらが合っているかよく検討するべきです。また、Aさんのような事態になる為替リスクについて、しっかりと理解したうえで判断するべきです。外貨建ての商品は、支払いのたびに為替の影響を受けるということになります。そして同じように、満期になって受け取るときにも為替の影響を受けます。保険の目的をよく考えていなかったAさんが加入した外貨建て保険は、老後資金を貯めるための保険でした。満期が60歳以降になっています。生活に余裕があったため深く考えず、目いっぱいの額にしてしまったのです。実際にAさんが払っていた月々の保険料は300ドル、契約した時には1ドル110円だったので一人あたり33,000円でした。ところが最近の相場では1ドル150円*ほどですので、月々の保険料はおよそ45,000円になります。夫婦二人分だと66,000円だったのが、およそ90,000円に増えてしまいました。しかも他の保険の支払いもあるので、このまま支払い続けることはできそうにありません。また、Aさんの家庭ではこれから子どもの教育資金が必要になりますが、これでは貯めるためのお金も捻出できません。*2024年5月現在どうすれば良かったのかライフプランで家計を見える化1人暮らし、結婚、子どもの誕生、住宅購入など、人生には環境が変わる節目があり、そのときどきでお金がかかるものです。長い人生の中には貯め時もあれば多くのお金が出ていくときもあります。収入も支出もずっと一定ではないのです。前もって具体的に考えておかないと、いざ必要なときにお金が不足するといった状況に陥ることもあります。ライフプランとは、将来自分たちはどんな仕事をしてどう生きていきたいかを考え、人生の中で起こるさまざまなイベントを想定して予算を立て、生涯を見渡して生活設計をすることです。ライフプランを立て、キャッシュフローシミュレーションをしてみれば、いつが貯め時でいつ頃不足するか見えてきます。そこから、どんな方法でお金を準備したり、保険で万一に備えたりすればいいのか対策を立てていくのです。AさんはNISAに興味をお持ちですので、NISAを取り入れたキャッシュフローシミュレーションも作成してみるのもいいでしょう。このように長期的な視点で見てみると、今後の教育資金から住宅資金、老後資金まで、どのように貯めていくべきか計画することができます。Aさんご夫婦は、これまで家計に対するお互いの考え方を話し合ったことはなかったそうです。結婚当初から具体的な話し合いができていれば、今回の事態は避けられたかもしれません。>>ライフプランで家計を見直すなど、お金に関するご相談はプロにお任せください。改善策は?Aさんのように現在契約している保険が家計の現状に合わなくなった場合は、なるべく早く改善策を探しましょう。実際は各家庭によって改善策は違いますので一概には言えませんが、もし「解約」を考えるなら次のような方法も検討しましょう。「払済保険(はらいずみほけん=保険料の支払いを止めて、その時点での解約返戻金をもとに保障額の小さい保険に加入する方法。保険期間は変わらない。保険の種類などによって利用できない場合もある)」にできないか、「減額(保険の一部を解約して保障額を減らす方法。解約返戻金を受け取れる場合もある。以降の保険料の支払いを少なくできる)」をしてはどうか、もしくはすべて「解約」するか、などを比較検討します。今回のように、契約した保険を予定より早く解約しなければならなくなると、「解約控除」というペナルティのようなものがかかる場合があります。契約から短期間で解約する場合に、早く解約すればするほど解約返戻金から引かれる控除率が高く設定されています。それでも解約したほうが良いのか、解約するならその代わりに何で増やしていくのか、家庭に合う方法を見つけていきましょう。教育資金を何で貯めるかまずは預貯金Aさんは子どもの教育費をどうやって貯めればいいのか不安に思っています。そのような相談に私が答えるときは、「まずは児童手当には手を付けずに預金で貯めましょう」と言います。これで子どもが中学を卒業するまでに約200万円貯まります。現状の制度で一般的な家庭では、生まれてから3歳になるまでは月15,000円、中学校を卒業するまでは月10,000円支給されますので、合計すると198万円になります。これを大学入学のための初年度の資金と思って貯めましょう。またこの制度は令和6年10月分から、「高校を卒業するまで(18歳到達後の最初の3月31日まで)月10,000円支給」に拡充されることが決定しています。その他にも所得制限の撤廃や第3子加算の拡充も行われます。子育て世代には朗報ですね。NISA(少額投資非課税制度)今年からはNISAが新しい制度になったのでこれも大きな味方になります。非課税保有期間(非課税で保有しておける期間)が無期限になったため、2023年までの一般NISA5年、つみたてNISA20年よりずっと使い勝手が良くなりました。ただ教育資金に関しては必要になる時期が決まっています。自分の子どもの教育費がかかるときに市場が良くなっているとは限りません。預金が足りなければ投資に回しているお金を取り崩すことになります。そのときに市場が好調で投資したお金が増えている状態なら喜んで取り崩しができますが、リーマンショックのように市場全体が落ち込んでいるときだったらどうでしょう。そのようなときには、自分が投資している商品が良い悪いに関わらずすべての商品が下がります。せっかく働きに出しているお金の価値が非常に下がっているのに解約しなければならなくなるのです。それを避けるためには、投資に回すお金と預貯金とのバランスが大事なのです。きちんと自分たち独自の計画を立て、手持ち資金をすべて投資に回すようなことはしないようにしましょう。投資は長期目線で、10年以上先を見据えて取り組みましょう。>>西日本シティ銀行でNISAを始めませんか?まとめ今回は共働きの若いご夫婦が子どもの誕生を機に不安を覚え、家計に対する意識改革をしようと相談に来られた事例をもとにお話ししました。いざというときに慌てないために、また現在の暮らしを不安なく楽しく生きるために、生涯を見渡して生活設計をしましょう。預貯金、保険、投資をどう組み合わせればより効果的か、お金の専門家に相談して一緒にプランを立て、実行していくことをお勧めします。>>相続、資産運用、保険、ローンなど、お金に関することのご相談はプロにお任せください。投資信託のご留意事項(必ずご確認ください)商号等:株式会社西日本シティ銀行 登録金融機関 福岡財務支局長(登金)第6号加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会■あわせて読みたい記事・【福岡のFPさんコラム】|人生を幸せに豊かに生きるために、家族でお金の話をしましょう。・解決!ほけん人|NCBほけんプラザの専門スタッフがライフプランの相談に無料で対応します