【福岡のFPさんコラム】家計管理の迷子になっていませんか?FPからの家計改善のアドバイス

ボーナスの季節ですね。今年のボーナスの使い道はもう決まっていますか?「月々の赤字の補填で何も残りません!」ということが無いように、計画的な振り分けが出来ていますか?FPに相談に来る人の中には「貯蓄ができない」「カードローン残高が減らない」「老後が心配になってきた」などの悩みを持つ人もいます。どうやら家計管理の迷子になっているようです。
そこでこの記事では家計管理についてお伝えします。この機会に頭を切り替えて家計の改善に取り組みましょう。
家計管理の迷子にならないために人生の生活設計をしよう

一生懸命家計簿をつけているのに家計管理の迷子になっている人がいます。家計簿をつけていても、ただ記録しているだけで収支を管理できていないため、将来が予測できないようです。将来を予測できるようにするには、お金の見える化が必要です。一生涯の生活設計をして、収支も一生涯で考えてキャッシュフロー表を作成し、お金の健康診断をしてみましょう。「将来どんな人生を送りたいか」についてプランニングをし、収入と支出を予算化するのです。
今後いつまでどのような働き方をし、どこに住んで、どんな暮らしをしたいですか。叶えたい夢は何ですか。その働き方により収入はどのくらいあって、年金はいくらもらえて、人生の大きなイベントにはいくらかかりますか。そして日ごろどんな使い方をしていますか。そういうことを整理してプランニングすると、お金は貯まりやすくなり、夢も叶いやすくなります。
一生の収入は? ~労働・年金・資産形成~
一生の収入にはどんなものがあるでしょう。まずは働いて得る労働収入が挙げられます。人生100年時代と言いますが、100年生きたとしても、そのうち働けるのは社会人になる20歳前後から70歳くらいまでの人生の約半分程度です。65~70歳以降の人生は、通常は年金だけで暮らすことになります。自分は年金だけで足りると思いますか?今の働き方で65歳からいくらもらえるか、年金定期便やねんきんネットで調べてみましょう。現役時代との収入の差に驚く人もいます。足りないと思うなら年金を増やすような働き方も考えてみましょう。
70歳まで働くなら、繰り下げ受給をして増やすという方法もあります。どれくらい繰り下げたら年金はいくら増えるのか、ねんきんネットで試算してみましょう。また、今から資産形成をして老後に取り崩す自分年金を作る方法を考え、行動に移しましょう。
一生の支出は? ~生活費・大きな支出・人生の三大資金・備え~
一生の支出にはどんなものがあるでしょう。まずは生きていく上で必要な生活費、それから結婚・海外旅行・車の購入などの大きな支出、そして人生の三大資金と言われる子どもの教育資金・住宅資金・老後資金もありますね。子どもが小さいときの世帯主の万一や火事・地震など、自分では賄いきれない事象に保険で備えることも必要ですし、急な支出や将来のための貯蓄も必要です。
支出は3つに分けて考えよう
支出は3つに分けて考えると分かりやすいと思います。①毎月出ていく支出、②毎月ではないが年単位で定期的に出ていく支出、そして③毎年ではないが数年に一度の大きな支出です。手取り収入から予算をどう振り分けるか考えます。
1:毎月の手取りを振り分けて予算化する
まずは毎月の支出を次の5つに振り分けてみましょう。
(1)生活費
生活費は、食費、日用品、水道光熱費、通信費、交通費、交際費、娯楽費、被服費、小遣いなどです。毎月多少の変動はありますが、平均を取って予算化しましょう。注意が必要なのはキャッシュレス決済です。カード払い、○○ペイ払いなど、最近はずいぶん進んできました。メリットとしては、お金をたくさん持ち歩かなくていいし支払いも簡単です。けれども使った実感が湧きにくく、使いすぎることが多いようです。翌月払いやボーナス払いの場合は借金になりますが、今月使ったなら今月の予算から取り分ける必要があります。
実際にFP相談に訪れた人に支出の内訳を書いていただくときに、「○○カード」と記入される場合がありますが、これでは何を購入したのか分かりません。一つひとつの支出に費目があるはずです。キャッシュレス決済を使うときには、自分で管理をして上手に使うようにしましょう。

アナログですが、私が実行しているのは袋分け家計簿です。月の予算を水道光熱費などの銀行引き落とし分と、食費などの手元管理分に分け、銀行引き落とし分は先に銀行に入金します。手元管理分は費目ごとに分けて、それぞれ予算を書いた袋を準備し、そこから使います。キャッシュレスで支払ったときは、その費目の袋から、別の銀行入金用の袋に移します。そして月末にまとめて銀行に入金します。
手元の予算が余ったら月末に贅沢をしてもいいですし、心配なら貯金箱などに貯めておいて、次月の予算が足りないときに使います。家計簿アプリで管理できるなら、それもいいと思います。肝心なのは、予算の範囲内で暮らすことを習慣づけることです。
(2)固定費
家賃や管理費などの住宅関連費と生命保険などの保険料は、毎月決まって出ていくお金ですので把握しやすいと思います。節約を考えるときは、生活費ではなく固定費から手を付けると、ずっと続く予算が減らせるので効果的です。
(3)ローン返済
ローンの返済はないに越したことはありませんが、奨学金や住宅ローンなど、やむを得ない場合もあります。奨学金は将来のための自己投資とも言えますし、利率も低く設定されています。住宅ローンも大きな金額ですので一時金で払える人はそう多くはいません。家族が幸せに暮らすための借金としては、利率も低めで経済的には「いい借金」と言えるのではないでしょうか。ただ、購入する場合には予算オーバーにならないように気をつけてください。一生に一度だからと自分に甘くなることもあるようです。
その他にもローン返済がある場合は、これも予算化しましょう。すでに大きな借金がある人は要注意です。見ないふりをせず、利息が高いものから返済して早く減らすことを心がけましょう。借金は雪だるま式に増えていきます。自分でできない場合は専門家に相談することも考えましょう。
(4)その他備え
冠婚葬祭や医療費など、いざというときの予備の予算も準備しておきましょう。
(5)貯蓄(先取り貯蓄)
上記(1)から(4)までの支出プラス(5)の貯蓄を、毎月の手取りの範囲内に収まるように予算を作ります。その中で重要なのは、貯蓄は「先取り貯蓄」として仕組み化することです。先に生活費を使ってから残りを貯蓄しようと思っても、なかなかできるものではありません。収入が入った翌日に貯蓄や投資する資金が自動で口座から引き落とされる仕組みを作ってしまうと、お金は貯まりやすくなります。人間の心理的に、最初から無かったものと思えるからです。無理のない範囲で、先に積み立てる仕組みを作りましょう。そして残りでやりくりをして生活します。
2:毎年定期的に出ていく支出を予算化する
支出には、毎月ではなく年ごとに管理したほうがいい支出もあります。固定資産税や自動車税、自動車保険、国内旅行、帰省費用、耐久消費財の買換え費用などです。こちらも予算化しましょう。
3:毎年ではないが数年に一度の大きな支出を予算化する
また、毎年ではないけど数年に一度や臨時の支出もあります。車の買い換え、海外旅行、住宅のリフォーム、大きなイベント支出などです。これらも、いつ・いくら使うのかを予算化しておきます。子どもの教育資金も必要な時期が分かっていますので、一覧表にしておきましょう。
このような一生の収入、支出の予定を入れてキャッシュフロー表を作成すると、現在の使い方でお金がいつまで持つかを試算することができます。キャッシュフロー表とは、未来のお金の推移が分かる家計簿のようなものです。そこでもしお金が底をつくのが早そうだと分かったら、早いうちに改善するための手を打つことができるのです。
家計を改善する方法

家計を改善するには以下の3つしか方法がありません。
- 収入を増やす
- 支出を減らす
- 貯蓄を増やす
将来を見渡して生活設計をし、家計を見える化すれば、収入を増やす方法や支出を減らす方法を具体的に考えることができるようになります。家計管理ができるようになれば、貯蓄が増えるようになります。決めた予算は使い切っていいのでストレスもたまりにくいはずです。貯蓄を増やすための「先取り貯蓄」と「先取り投資」の仕組みを考えて、収入が上がっても支出を増やさず「先取り」を増やします。
できることならボーナスには手を付けずに貯金する、共働きならどちらか一方の収入で生活し残りは貯金するなどは、実際にFP相談に来られた人の成功事例です。お金が貯まり始めると、貯めることがどんどん楽しくなっていくようです。
また、お金の置き場所を考えることはとても重要です。インフレに負けない資産を作るためには、「先取り貯蓄」だけではなく「先取り投資」もぜひ実行しましょう。お金の置き場所を考えるとは、預貯金だけではなく投資などのお金を増やすための方法も考えてみるということです。そして同じ投資でも、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、得られた利益が非課税になりますので、通常の投資よりも効率的に資産形成をすることができる、良い置き場所になります。
そして、あまり節約!節約!とばかり考えていると暗くなってしまいます。余分なコストは押さえてメリハリをつけて生活しましょう。使わないサブスクはやめる、隣にスーパーがあるのに自動販売機でジュースを買うのはやめる、時間外にATMでお金を引き出すのはやめる。その代わり、貯めたお金で旅行に行く、趣味のライブに行くなど、記憶に残る幸せに使いたいものです。さて、この夏のボーナスの使い道はどうしましょうか?

まとめ
物価高が家計を直撃し、生活費のやりくりに四苦八苦という人も多いと思います。やみくもに節約するより、頭を切り替えて一生涯の生活設計をし、家計を「見える化」してみましょう。「節約より予算」と考えて予算の範囲内で暮らす、お金の置き場所に気を配る、コストを意識するなど、知恵を働かせればできることはたくさんあります。改善方法が分からない場合は、ぜひお金のプロに相談してくださいね。
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商号等:株式会社西日本シティ銀行 登録金融機関 福岡財務支局長(登金)第6号
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平野 佳代子
一般社団法人日本ライフプラン研究所 所属 FP 事務所(オフィス) HBふくおか 代表
日本FP協会会員 AFP
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
令和4年10月~令和8年9月 日本学生支援機構認定スカラシップ・アドバイザー
J-FLEC 金融経済教育推進機構認定アドバイザー
一般社団法人日本ライフプラン研究所「家計と暮らしと住まいの相談室」理事
30代のころから雑誌の家計管理コーナーに興味を持ち、のちにファイナンシャルプランナーの資格を取得。一般社団法人日本ライフプラン研究所「家計と暮らしと住まいの相談室」の相談員として登録。相談を受けている。得意分野は、保険・金融(iDeCoやNISAなどの非課税制度を活用した資産運用や金融教育等)初心者にも分かりやすい講座は好評を得ている。