2015年(平成27年)の税制改正で、相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられました。同時に最高税率も引き上げられ、実質的な大増税となっています。増税の流れは今後もしばらく続くと想定されます。資産を有している人は、相続税の節税方法について知っておく必要があるでしょう。今回は相続税対策となる生前贈与について解説します。今すぐ相談予約するNCB相続プラザ無料相談予約相続と贈与の違いとは親が保有している土地や建物を子どもに引き継ぐ方法はいくつかありますが、一般的には「相続」「売買」「贈与」といったところではないでしょうか。ここでは、相続と贈与の違いについて簡単に解説します。相続とは「相続」とは、誰かが亡くなった場合に故人の財産を引き継ぐということです。たとえば、親が亡くなった後に、子どもが親の財産を引き継ぐというようなケースです。贈与とは死後ではなく、亡くなる前に子どもへ財産を引き継ぎたいという場合もあるでしょう。このとき、無償で子どもに財産を譲り渡せば「贈与」ということになります。相続税と贈与税について財産を譲り渡す際、贈与の場合は贈与税が、相続の場合は相続税が発生し、両者は計算方法や税率が異なります。特に相続税においては、増税によって課税対象者が増えることもあり、遺族にとっては大きな負担になりかねません。そこで相続税の負担を軽減するために、「生前贈与(せいぜんぞうよ)」としていくつかの制度が設けられています。次項から詳しく見ていきましょう。>>お金の勉強にオススメの本10冊!初心者でもお金の基本~応用まで知識が身につく生前贈与(1)暦年課税制度贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2種類があります。まずは生前贈与として活用できる暦年課税制度について解説します。基礎控除額(非課税枠)は最大110万円「暦年課税」は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額から、基礎控除額を差し引いた金額に対して課税されます。基礎控除額は最大110万円なので、1年間に贈与を受けた金額が110万円以下の場合には贈与税はかかりません。ただし、110万円を超えると贈与税の確定申告が必要です。贈与税額=(1年間に贈与を受けた財産の合計額-基礎控除額)×税率-控除額贈与税の税率税率は「特例贈与」の場合と「一般贈与」の場合で異なります。「特例贈与」とは直系尊属(祖父母や父母など)から、20歳以上の子や孫などへの贈与です。「一般贈与」とは家族間(子どもが20歳未満の場合)や知人間の贈与で、特例贈与財産に該当しないものをいいます。それぞれ適用される税率および控除額は以下の通りです。この表に当てはめることで贈与税額が計算されます。贈与税額のシミュレーションたとえば、20歳以上の子どもが父親から500万円の贈与を受けた場合は「特例贈与」となります。子どもが支払う贈与税額は以下の通りです。(500万円-110万円)×20%-30万円=48万円また、父親から20歳未満の子どもが500万円の贈与を受けた場合は「一般贈与」となり、子どもが支払う贈与税額は以下のようになります。(500万円-110万円)×30%-65万円=52万円相続税率との比較・注意点相続税の計算式および税率と控除額は以下の通りです。相続税額=課税遺産総額(基礎控除額控除後)×税率比較すると、贈与税と相続税では贈与税の方が税率は高くなります。そのため、相続税を減らすために多額の生前贈与をすると、かえって税金が高くなってしまうことがあるので注意が必要です。暦年課税を活用した相続税の節税方法暦年課税では年間110万円までは税金がかかりません。たとえば子ども1人、孫2人に毎年110万ずつ贈与すると、10年間で3,300万円を無税で贈与でき、大きな節税効果が発揮されます。生前贈与(2)相続時精算課税制度2,500万円まで贈与税が非課税60歳以上の祖父母または父母から、20歳以上の子や孫に資産を贈与する場合、何年かかっても累計2,500万円までは贈与税がかからないという制度です。贈与した金額が累計2,500万円を超えた場合、その超えた部分について一律20%の贈与税がかかります。制度の適用を受けるためには「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要です。それ以後は贈与を受けなかった年でも贈与税の申告が必要になります。贈与した財産や贈与税を相続時に精算する相続時精算課税制度の適用を受けた場合、相続が発生すると、それまでに贈与された財産の価額を相続時の財産に加算して相続税を計算します。それまでに納めた贈与税額があれば、計算された相続税額から控除することで精算されます。相続時精算課税制度のメリット・デメリット相続時精算課税制度を利用すれば、贈与税の負担がゼロ、または少ない負担で子や孫に大きな財産を移転できるメリットがあります。しかし、相続時に精算されるほか、いったん相続時精算課税制度を選択すると、その後の贈与については暦年課税に変更できません。したがって、暦年課税における基礎控除額110万円の適用を受けられなくなるというデメリットがあります。どちらが有利になるかは個々のケースによる相続時精算課税制度と暦年課税による節税効果は、個々のケースによって異なります。相続税対策を考えるときは、どちらが有利なのかをよく検討しなければなりません。しかし、いつ相続が開始するかわからない状況においては、有利・不利の判定をするのは難しいでしょう。このような場合は、専門家に相談するのも一つです。「NCB相続プラザ」を利用すれば、生前贈与に関してプロのアドバイスが受けられます。生前贈与に関する疑問が発生したら、ぜひ活用を検討してみましょう。今すぐ相談予約するNCB相続プラザ無料相談予約生前贈与を行うメリットとは相続税の税金対策となる生前贈与のメリットとして、節税効果が見込める点が挙げられます。暦年課税を選択すれば、1年あたり110万円まで贈与税は発生しません。また、相続時精算課税制度では、累計2,500万円まで贈与税は課税されません。大きな相続税が相続時に発生する見込みがある場合は、生前に資産を少しずつ贈与することで相続税を節税できます。生前に贈与する相手を選べる生前贈与では贈与する相手を自由に選べます。相続であっても、遺言書を作成することによって渡したい相手へ財産を譲り渡せますが、遺言書に不備があれば法的に無効となり、実現できない可能性があります。また、遺言の内容によっては相続争いに発展するおそれもあるでしょう。生前贈与を行うことで、特定の財産を渡したい相手へ確実に譲ることができるのは大きなメリットです。財産を残すために知っておきたいその他の節税方法他にも相続時の節税方法として、住宅取得等資金や教育資金の一括贈与の特例、結婚・子育て資金贈与の特例があります。住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」は、祖父母や父母から住宅を取得するための資金の贈与を受けても、一定額までは贈与税が非課税となる制度です。限度額は段階的に下がっており、2021年(令和3年)3月31日までの住宅取得については最大1,500万円、同年12月31日までの住宅取得については最大1,200万円まで贈与税がかかりません。なお、暦年課税の基礎控除額110万円についても別枠で非課税となります。教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度孫や子などの直系卑属に対して、1,500万円までの教育資金にかかわる贈与が非課税になる制度です。資金の用途は教育に関することに限定されますが、大きな資金を一括で贈与できます。利用する場合は銀行にて専用口座を作り、「教育資金非課税申告書」を銀行経由で税務署に提出します。それによって、子どもや孫は専用口座のお金を教育資金として利用できます。特例の適用は、2021年(令和3年)3月31日までに行った贈与が対象です。なお、西日本シティ銀行では教育資金の一括贈与に関する相談業務を行っています。「NCB教育資金贈与専用口座」を利用すれば、教育資金の管理もサポートしてもらえます。結婚・子育て資金一括贈与の特例20歳~49歳の子どもや孫に対して、結婚や子育てに関するお金を一括贈与した場合、一定金額までは贈与税が非課税となる制度です。この一定金額の範囲は、結婚資金・出産資金・子育て資金として合計1,000万円まで(結婚に際して支払う金額は300万円まで)です。教育資金の一括贈与と同じく専用口座を作り、「結婚・子育て資金非課税申告書」を銀行経由で税務署へ提出します。2021年(令和3年)3月31日までに贈与を行えば、この特例の適用を受けられます。なお、西日本シティ銀行の「NCB結婚・子育て資金贈与専用口座」を開設すると、結婚・子育て資金の管理について支援してもらえます。まとめ今回は、贈与税と相続税の仕組みや、生前贈与による節税方法について解説しました。相続税の税金対策として、暦年贈与や相続時精算課税制度といった方法があります。また、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与の特例といった措置も利用できます。制度や特例をうまく活用し、正しい方法で相続税を節税しましょう。相続のことなら「NCB相続プラザ」へ!NCB相続プラザは「相続」の基本的なことから「相続」に備えるためのアドバイスまでしっかりサポートする西日本シティ銀行の相続コンサルティング専門プラザです。※預金・諸届・相続事務等の通常の窓口業務は取扱いしておりません。今すぐ相談予約するNCB相続プラザ無料相談予約お近くの店舗で相談する店舗を探して来店予約するTEL:0120-875-123住所福岡市中央区天神2-5-28 4F▼営業時間・平日│10:00~17:00・土、日、祝│10:00~17:00※12月31日~1月3日、5月3日~5月5日は除きます。
「相続」においてはさまざまな悩みがつきものです。例えば、「円満な家族関係を維持して円滑に相続手続きを行いたい」「法定相続人以外の人に財産を送りたい」などが挙げられます。このような悩みの解決策に、「遺言信託」という方法があります。今回は遺言信託の仕組みやメリット・デメリット、どのような人が利用すべきかなどを解説します。>>西日本シティ銀行で相続の相談をするネットでかんたん!無料相談会実施中 >「遺言信託」とは?「遺言信託」とは、遺言書の作成から保管、さらに相続が発生した後の遺言内容の執行までを一貫して提供するサービスです。「信託」という名前から「信託銀行」で取扱いがあるのは想像に難くないと思いますが、銀行でも取扱いがあります。西日本シティ銀行でも、遺言に関するご相談から遺言書の作成アドバイス、遺言書保管、遺言の執行までトータルサポートしています。一般的に、遺言に関する一連の手続きは法律に関わることが多く、少しでも法律に違反する事項があれば、せっかく作成した遺言書が無効になってしまいかねません。法律の知識が乏しい場合でも、遺言信託を利用すれば遺言書の作成から執行までサポートしてもらえます。「遺言信託」の仕組み遺言信託の手続きの流れや概要をまとめると、以下のようになります。(1)銀行による助言・アドバイス遺言書が法律に基づいて作成されていなければ、遺言自体が無効となってしまいます。また、有効な遺言であっても、相続発生後に遺言の内容で遺族が揉めることになるのは避けたいものです。西日本シティ銀行の遺言信託では、法的に不備がなく、遺族間の揉め事が起きないような遺言書にするための助言・アドバイスが受けられます。(2)遺言書の作成・保管法的にいえば、遺言には「自筆遺言証書、公正遺言証書、秘密遺言証書」の3種類があります。西日本シティ銀行の遺言信託で作成するのは、公証人の認証を受けた公正遺言証書です。公正遺言証書を作成する際、法律の知識が乏しい人にとって法的に有効な遺言書を作成するのは困難です。遺言信託を利用すれば、公正遺言証書の有効な書き方を支援してもらえます。また、作成された遺言書は相続発生まできちんと保管されなければなりません。遺言信託では、公証人の認証を受けた遺言書の正本が紛失しないように、依頼を受けた銀行が保管を行います(3)遺言執行者として遺言を実現遺言を残した人が亡くなったら、銀行の指導のもと、その遺言の内容を実現するための遺言執行手続きが行われます。具体的には相続財産の調査、財産目録の作成や交付、相続財産の換金や名義変更などです。「遺言信託」のメリット遺言信託のメリットには以下のようなものがあります。(1)執行者の辞任や解任、死亡の心配がない遺言執行者が辞任や解任、死亡によりいなくなったときは、相続人などが家庭裁判所に対して遺言執行者選任の申立を行わなければなりません。この点、銀行が遺言執行者として指定されていれば、執行者がいなくなる心配がなく、安心して遺言を残すことができます。執行者の辞任や解任、死亡が発生するケースとは?遺言の内容を実現してくれる遺言執行者を、弁護士や税理士、司法書士といった個人の専門家に依頼するケースも多くあります。しかし、個人に依頼をした場合、遺言者より先に亡くなってしまう可能性があります。また、個人の遺言執行者が遺言内容の実行を怠れば、関係者の請求により解任することができます。あるいは、正当な理由のために家庭裁判所の許可を得て、自ら遺言執行者の地位を辞任するケースもあります。(2)遺言を作成する際に事前に相談できる遺言書を作成しようとしても、遺産をどのような配分で残すことが相続人にとって最善なのかは難しい問題です。結局、悩んだまま遺言を残さずに亡くなってしまうこともあるかもしれません。西日本シティ銀行の遺言信託を利用すれば、遺言書を作成する際にいろいろと相談することが可能です。家族の実情や財産の内容を把握したうえで、しっかりとしたアドバイスが受けられます。(3)遺産の有効活用や税金に関するアドバイスが得られる遺言信託では、銀行を通して弁護士や税理士のアドバイスを受けることも可能です。遺言に記載された遺産の内容から、特定の団体へ寄付して有効活用する方法や、生前贈与などの相続税対策について助言してもらえます。「遺言信託」のデメリット・注意点(1)相続人に手数料がかかる遺言信託の最大のデメリットは費用がかかることです。遺言信託の手数料は遺産の総額をベースに決められるケースが多く、一般的に遺産の相続税評価額に一定割合を掛けて計算されます。割合としては1%~3%程度ですが、例えば遺産総額が1億円の場合は100万円から300万円かかる計算になります。また、毎年の遺言書の保管料や、遺言内容を変更する際にも手数料がかかります。これらの費用は相続をする人が負担することになります。(2)相続税申告や不動産の名義書換は依頼できない遺言者が亡くなり、遺言が執行されれば、相続税の申告や不動産の名義変更を行わなければなりません。これらは銀行では代行できないので、税理士や司法書士に依頼することになります。このとき、税理士に対しては相続税申告書作成費用が、司法書士に対しては不動産の名義書換手数料がかかります。これらの費用は相続した財産から相続人が支払うものです。遺言者の死亡後も、相続人に対して思いがけない費用が発生することを理解しておきましょう。(3)遺言信託を引き受けてもらえないケースがある銀行では、相続人の間で遺産相続について既に争いが生じている場合や、訴訟が起こる可能性が高い場合には、遺言信託を引き受けてもらえないことがあります。遺言信託を利用すべき人とは?(1)財産の規模が大きく、資産が分散されている場合相続手続きでは、相続税の申告や不動産の名義変更など、たくさんの書類を集めなければなりません。そのため、財産のほとんどが不動産で規模が大きく、遺族がすべてを管理できない場合や、複数の銀行に資産が分散されている場合は手続きが煩雑になります。そのような場合に遺言信託を利用すれば、遺言の執行に関連する手続きを一貫して代わりに行ってくれるので、相続人の負担は最小限に軽減されることになります。(2)相続人が遠方に住んでいる場合遺言者が亡くなれば、遺言執行者は遺言内容を実現すべく相続手続きを行わなければなりません。しかし、相続人が遠方に住んでいるようなケースでは、遺産分割がなかなかうまくいかないということもあります。遺言信託では第三者が手続きを進めることになるため、遺言執行や相続手続きをスムーズに行うことができます。(3)法定相続人以外の特定の人に財産を遺したい場合法定相続人以外の特定の人に財産を遺したいならば、遺言書にその内容を明記しておかなければなりません。遺言書によって意思表示された内容は、被相続人の死後、法定相続人による遺産分割協議よりも優先されます。しかし、法律に従った方法で書かれていないと、遺言書自体が無効となってしまいます。法的に有効な遺言書を作成し、財産を遺したい人に確実に引き継ぐためには、遺言信託の利用がおすすめです。>>西日本シティ銀行で相続の相談をするネットでかんたん!無料相談会実施中 >まとめ今回は遺言信託の仕組みやメリット・デメリット、注意点を紹介しました。遺言信託は費用が高額となることもありますが、遺族の負担を軽減する手段として非常に有効です。基礎知識を十分に理解し、無駄な争いや無駄な費用とならないように対策をしたうえで、遺言信託の利用を検討してみてください。>>兄弟間の遺産相続トラブル予防│知っておきたい遺産分割のルールと注意点>>遺産相続手続きの期限はいつまで?手続き期限があるもの・ないものを確認しておこう
30歳を超えると、将来への不安から貯金を始める人も少なくないでしょう。仕事に加え結婚や子育て、老後のことなど、30代はお金の心配がつきものと言えます。そして、同年代の人がどれくらい貯金しているのかについても気になるところでしょう。今回は、30代の平均貯蓄額を見ていくとともに、効率的な貯蓄方法を解説していきます。あわせて読みたい40歳の平均貯金額はいくら?40代の世帯・男女別理想貯蓄額から貯めるコツまで解説年代別・世帯別の平均貯蓄額をFPが徹底調査!数字でわかる日本人の貯金事情【男女別】30代の平均年収は?30代前半・後半の平均年収(男女計・男性女性別)30代の貯金額を知る上でまず押さえておきたいのは、30代の平均年収です。民間企業が調査した2019年(令和元年)度の30代全体(男女)の平均年収は、以下のようになっています。年齢男女計平均男性平均女性平均30歳~34歳428万8,000円464万円370万2,000円35歳~39歳467万7,000円514万2,000円386万4,000円【参考】doda「年代別・年齢別 平均年収情報【最新版[2019年(令和元年)]】」30代の平均年収の特徴同じ30代であっても、男性と女性では約120万円の差があることがわかります。30代男性の平均年収30代前半と後半では約50万円ほどの差があり、30代半ばで収入が一段階増える傾向があります。30代男性の全体平均は、500万円前後と考えていいでしょう。30代女性の平均年収30代女性全体の平均年収は380万円程度となっています。また、30代前半と後半であまり差がないのが特徴です。30代の世帯別の平均貯蓄額30代となれば家庭を持ち、家族が増える人も多く、それにともないマイホームの購入などのライフイベントが続きます。将来に向けて、30代の人はいくらくらい貯蓄しているのでしょうか。30代の平均年収を確認したところで、次に世帯別の平均貯蓄額を見ていきましょう。【独身・二人以上世帯別】30代の平均貯蓄額は?金融広報中央委員会の調査によると、2019年(令和元年)の単身・二人以上世帯それぞれの平均貯蓄額は以下のような金額となっています。世帯区分平均貯蓄額中央値単身世帯359万円77万円二人以上世帯529万円240万円【参考】金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]」【参考】金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」30代貯蓄額の特徴この調査によると、二人以上世帯の貯蓄額が高くなっています。これは共働きの世帯が多くあるとともに、子どもの養育のために、独身の人よりも貯蓄の意識が高いためと考えられます。二人以上世帯の平均貯蓄額が単身世帯の2倍未満であるにもかかわらず、中央値は約3倍になっていることからも、二人以上世帯の貯蓄に対する意識の高さがうかがえます。(参考)中央値とはこの中央値とは、簡単に言えば「異常に高い数値や低い数値は除外して、もっとも多くの数値が集まっているデータをもとにした平均値」というイメージです。統計データの分析をする際には、平均値よりも中央値の方がより実態に近いリアルな数値とされています。あわせて読みたい貯金できない人の3つの共通点!貯金できる人との違い&賢く貯めるための改善方法30代の貯蓄ゼロの割合上記の統計データをさらに詳しく見ていくと、30代でも約5割の人が「貯金ゼロ」となっています。具体的には、30代独身世帯の36.5%、二人以上世帯の15.8%は貯金がないということがわかります。30代の理想の貯蓄額・目安はいくら?多くのライフイベントが想定される30代の貯蓄額は、理想としていくらあればよいのでしょうか。以下のパターンに分けて、30代の貯金の目安・目標額について見ていきましょう。(1)最低限準備しておきたいお金まず、どんな人でも最低限準備しておきたいお金についてお伝えします。具体的には以下の2つが挙げられます。緊急予備資金老後資金緊急予備資金とは真っ先に準備するべきお金が、「緊急予備資金」です。緊急予備資金は、病気やリストラなどで突然収入が途絶えてしまった場合など、生活が立ちいかなくなるような最悪の事態を想定して用意しておくお金のことです。緊急予備資金の確保は生活の安定を生み、精神的な安定にもつながります。緊急予備資金の目安は「生活費の6か月分」緊急予備資金として用意しておきたい金額は、毎月の生活費の6か月分が目安と言われています。単身世帯の平均消費支出は約16万3000円であることから、約100万円は用意しておきたいところです。【参考】総務省「家計調査報告 家計収支編 2019年(令和元年)平均結果の概要」老後資金とは老後資金も30代から気にかけておきたいお金です。平均寿命が延び、退職金が出ない会社が増える一方で、将来受け取る年金は減ることが予想されています。定年が65歳とすると、それから20年かそれ以上の老後が待ち受けていますが、年齢を重ねるごとに病気になるリスクも高まります。なんの準備もしていなければ、長期にわたる老後生活の途中で貯金が底をついてしまった、ということも現実に起こり得ます。そうならないためにも、老後資金は前もって計画的に準備しておきましょう。老後資金の目安は「2,000万円」後に撤回されているものの、金融庁が2019年(令和元年)に「老後資金が2,000万円不足する」と発表したことも話題となりました。人によって必要な資金は異なりますが、長期的には年金以外の老後資金として「2,000万円」を一つの目標に、30代からコツコツとお金を貯めていきましょう。(2)ライフイベントごとに必要なお金次に、ライフイベントごとに必要なお金について見ていきます。30代は仕事だけでなくプライベートも忙しくなる時期と言えます。以下で述べる内容をもとに、総合的に必要な資金をイメージしてみましょう。結婚費用妊娠・出産費用教育費住宅購入費結婚費用は平均「470万円」入籍するだけでしたら、「戸籍謄本」を取り寄せて役所に提出するだけなので、お金はほとんどかかりません。それでは、結婚式を行う場合はいくらの費用がかかるのでしょうか。ゼクシィが行った調査によると、結婚費用として約470万円が必要となっています。この額には、結納や婚約、挙式、新婚旅行の費用も含みます。具体的には、結婚にあたり主に以下の費用がかかります。婚約指輪:平均35万7,000円結婚指輪:平均25万1,000円(二人分)挙式・披露宴:平均362万3,000円新婚旅行:平均65万1,000円また、両親などからの資金援助や、挙式で受け取る祝儀などもありますが、結婚費用のうち約311万円をあらかじめ貯金として貯めている夫婦が多いという結果になっています。【参考】ゼクシィ「ゼクシィ結婚トレンド調査2020 首都圏」妊娠・出産費用は平均「100万円」子どもが生まれる場合、まず妊娠・出産費用として約100万円がかかります。たとえば、妊娠前の検診で約10万円、出産費用で約50万円、そこにマタニティグッズやベビーグッズの購入費が加わります。ただし「出産育児一時金」として、1児につき健康保険から約42万円が支給されるため、実質的な負担は50万円~60万円と考えていいでしょう。【参考】国民健康保険中央会「正常分娩分の平均的な出産費用について[2016年(平成28年度)]」教育費は幼稚園〜大学まですべて公立で「950万円」子どもの教育費は、幼稚園から高校まですべて公立に通学させた場合は1人につき約520万円、すべて私立の場合はその3倍以上の1,700万円程度の教育費がかかります。現在は教育費の負担を軽減する施策もあり、今後も検討課題とされていますが、すべての費用が無料となることはないでしょう。そのため、幼稚園から高校卒業までの15年間で多額のお金がかかると見積もっておかなければなりません。また、大学進学となると上記に加え、国公立大学で約250万円、私立大学で約360万円が学費としてかかります。さらに塾などの教育費用や受験費用を含めると、幼稚園から大学まで国公立に進んだ場合であっても、子ども1人あたり約950万円を用意しておく必要があります。【参考】文部科学省「2018年(平成30年)度子どもの学習費調査の結果について」【参考】文部科学省「私立大学等の2018年(平成30年)度入学者に係る学生納付金等調査結果について」住宅購入費は頭金が必要ライフイベントごとに必要なお金の中で、もっとも計画的に慎重に検討しなければならないのが「マイホームの購入」です。住宅購入費はおおよそ3,000万円~4,000万円ほどかかるのが一般的です。購入費用についてローンを組むことになると考えられますが、頭金として物件価格の約20%を購入時に支払うことになります。たとえば、3,500万円の物件を購入した場合は、700万円程度の頭金が必要となります。頭金が不要や少額という物件もありますが、その分毎月やボーナス月のローン返済額が増えることになります。住宅購入時は将来のことまで考え、長期に渡っての返済が可能かどうかを慎重に検討しましょう。【参考】住宅金融支援機構「2019年(令和元年)度 フラット35利用者調査」30代が効率的に貯金する方法効率的に貯金をするための心構えここまで、30代が準備しておきたいお金について見てきました。結婚やマイホーム購入などは人それぞれだとしても、緊急時に備えて貯めておくべきお金、また老後資金は、どんな人であっても用意しておきたいものです。しかし、貯金は必要ですが、お金を貯めることを意識しすぎるあまり、日々の生活が苦しいものになってしまうことは避けたいところではないでしょうか。そこで、効率的にお金を貯めることが重要になります。「小さな節約」ではなく「大きな節約」を心がける気を付けたいのが、「電気をこまめに消す、安い商品を求めて遠くのスーパーに買い物に行く」といった、「小さな節約」を追い続けてしまうことです。これらも長期的には効果がありますが、効果が見えにくい分、ストレスが溜まっていってしまう可能性があります。効果の高い「大きな節約」を意識し、無理をせずにしっかりとお金を貯めていきましょう。保険を見直す「大きな節約」をするにあたって、真っ先に取り組みたいのが保険の見直しです。社会人になったばかりの頃、知り合いに言われて加入したなど、中身がよくわからないまま加入し続けている保険はありませんか。保険は、今の状況や今後のライフプランによって見直すべきであり、節約としても高い効果が期待できます。たとえば、保険料を1万円減らすことは、毎月の給料が1万円増えることと同じ効果があり、貯金に回せる額が増えるでしょう。保険料の解約や減額は簡単な手続きで済むので、不要な保険の見直しを検討してみてください。「貯金専用の口座」を作るつい浪費してしまいがちで、なかなか貯金ができないという人は、メインで使っている口座とは別に、「貯金専用の口座」を開設してみましょう。そして、給料が入った日に貯金したい額を貯金専用の口座に移すようにします。残ったお金だけで生活する習慣をつけると、日常的に節約への意識を強く持てるようにもなり、無理なく貯金を継続できるでしょう。あるいは、金融機関の「自動積立定期預金」や勤務先の「財形貯蓄制度」などがあれば、ぜひ利用するのがおすすめです。資産運用を検討する貯金にはインフレリスクがある貯金はお金を貯める方法としてもっとも基本的な方法ですが、十分な資産を作るという意味では効率的とは言えません。なぜなら、銀行にお金を置いておいても現況ではほとんど利息がつかず、さらにインフレでモノの値段が上がれば、貯金していたお金の価値が相対的に減ってしまうからです。そこで検討したいのが、資産運用です。資産運用と聞くと「損をしそう」と思う人も少なくありませんが、きちんと仕組みを理解すれば、リスクを最小限に抑えることも可能です。投資信託でリスク分散資産運用の中でも「投資信託」は、投資初心者であっても始めやすく、リスクを減らしながら資産運用ができる方法として知られています。たとえば、毎月3万円を20年間貯金した場合、利息がほとんどつかないとすると約720万円になりますが、投資信託で毎月3万円を20年間、3%のリターンで積み立てた場合、20年後には約985万円となります。その差は約265万円です。投資状況やリターン、銀行預金の利率などが変化する可能性もありますが、長期的な資産形成として、貯金よりも投資信託の方が効果が高いと言えます。さらに「つみたてNISA」を利用すれば投資運用益が非課税となり、より効率的に資産を作ることができます。あわせて読みたい・ノーロード投資信託とは?意味やメリット・デメリット、選び方まで解説個人型確定拠出年金制度(iDeCo)の活用法改正により現役世代のほぼ全員が、個人型確定拠出年金制度(iDeCo)に加入できるようになりました。掛け金の全額が所得から控除できるとともに、将来の「自分年金」を作ることができます。大きな資産を作るには、税制優遇措置のある個人型確定拠出年金制度(iDeCo)をぜひ活用してみましょう。あわせて読みたい・iDeCoとふるさと納税は併用すべき?併用による節税効果&計算シミュレーション・徹底比較!国民年金基金とiDeCo、どっちに加入するべき?併用も?30代の平均貯蓄額を目安に、自分のペースで貯めていこう今回は30代の平均年収から貯蓄額、理想の貯蓄の目安などを見てきました。30歳を過ぎると、将来に不安を抱き始める人も少なくないでしょう。老後の安心やライフイベントに備え、上で述べた30代の平均貯蓄額を目安に、毎月数千円からでも自分のペースで貯金を始めてみましょう。