福岡の食の達人である弓削聞平さんの編集・出版事務所「聞平堂」とのコラボ企画。9月19日(土)発売予定の「価格で探すご褒美ランチ」掲載店から選りすぐりのお店を、9月23日(水)まで毎週水曜日に1軒ずつ計8軒、「Go!Go!ワンク」の読者の皆さまへいち早くご紹介します!
第8回は、福岡市南区高宮のフランス料理店『食堂セゾンドール』です。
九州食材と向き合い、そのおいしさを最大限に表現する。
山口県下関市や福岡県直方市のホテルやレストランで研鑽を重ねた前山仁シェフが、地元である佐賀県唐津市呼子町に『セゾンドール』をオープンさせたのは2002年のこと。目の前には海が広がり、すぐ近くには農家がある——食材に恵まれたこの土地で、唐津の食材を使ったフランス料理は瞬く間に評判となり、福岡市内や東京などからファンが訪れるほどの人気店となった。
「当時は地元周辺の食材しか使いませんでした。けれど、料理を追求すればするほど、九州の食材のポテンシャルの高さを感じるようになったんです。九州の食材を使うのであれば、呼子ではなく福岡だと考え、2015年12月、福岡市内に移転オープンしました」。
店を構えたのは福岡市南区の高宮通り沿い。天神や博多駅からは少し離れたエリアである。けれど、呼子時代のお客は半分以上が福岡市内から訪れていたこともあり、「呼子に行くより近くなった」と喜ばれているそうだ。また、この移転に合わせて店名に“食堂”と掲げた。それは、もっと気軽に利用して欲しいという前山シェフの思いがあったからという。
呼子時代と大きく異なるのは、肉や野菜をメインに据えた料理が増えたこと。そして、魚を寝かせるようになったことだ。「以前は目の前が海でしたし、お客様も新鮮なお魚を使った料理を求めて来られていました。けれど、現在は九州、さらには中四国の生産者の皆さんと出会い、その中には魅力的なお肉や野菜を作られている方もたくさんいますから。福岡市内に移ったことで、お客様から魚料理だけを求められることもなくなりましたし、寝かせて美味しいお魚があることも知って欲しいと考えるようになりました」。
メニューは昼夜ともにコースのみ。なかでも、ランチのおまかせコース(5000円)は、その品数の多さやコストパフォーマンスの良さが評判となり、同業者からも一目置かれる存在となっている。「一つひとつの食材と向き合い、それぞれの食材を最大限に活かしたいと考えていたら、いつのまにか品数が増えてしまったんですよ」と前山シェフ。とはいえ、一皿ごとのボリュームは少なめで、食材本来の味を活かしたやさしい味わいのため、女性や年配の方もペロリと完食してしまう。
また、料理に合わせた酒を一皿ごとに提案するペアリングのオーダーも可能。フランス料理といえばワインと合わせるイメージだが、こちらでは日本酒も登場するなど、これまでになかった提案をしてくれる。
おまかせコース
5000円(税別)
前菜7品・魚料理・肉料理・パン・デザート・コーヒー
島原産新タマネギの旨味が凝縮した「新タマネギ クリームキャビア添え」。スポイドでオリーブオイルをたらしていただく。
パセリのビスキュイを纏ったブータンノワールと酸味のあるいちじくの組み合わせが絶妙。
軽やかな食感の「とうもろこしのベニーエ」は帆立とともに。
パートブリック(小麦粉を原料としたシート)を細くカットして揚げたものに鳥取産真鰯を載せた爽やかな味わいの一品。
熊本産の鮎のサラダはスイカのガスパッチョをソースのようにつけていただく。
唐津産の車海老はホワイトアスパラガスのソースとサマートリュフを添えて。
ひじきで作ったソースでいただく「対馬産穴子のポワレ」。
3日間寝かせることで旨味が増した「高知産のまながつおのロースト」は、サフラン風味のマナガツオのコンソメと蕎麦の実を添えていただく。
煮込み料理でありながら重さを感じさせない「黒毛和牛のラグー カフェ・ド・パリ風」。
さまざまな素材の香りが融合した「桃 ブラックベリー ミント風味のパンナコッタ」
コースの最後はすっきりした味わいの「抹茶 生キャラメル」が登場。
店内の雰囲気
厨房はまるでステージのよう。目の前で料理が生み出されていく臨場感も楽しめる。
(DATA)
住所:福岡市南区高宮1-3-32 高宮第2オークマンション1F
電話:092-524-0432
営業時間:12:00〜OS13:00/18:00〜OS20:00(昼夜ともに要予約)
定休日:不定
席数:20席
個室:なし
カード:可
文/寺脇 あゆ子、撮影/藤野 拓人
「価格で探すご褒美ランチ」では約70軒の選りすぐりのお店が掲載されていますので、予算やシーンに合わせたご褒美ランチに活用してください。9月19日(土)に福岡県内各書店・福岡市内コンビニエンスストア・Amazon・聞平堂オンラインショップにて発売予定です。
※本記事に掲載している情報は2020年7月現在のものです。諸般の事情によりメニュー・価格・営業時間・定休日などのデータが変更になる場合がございますので、お出かけになる前に電話等でご確認いただくことをお勧めします。
- グルメ
弓削 聞平(ゆげぶんぺい)
編集者
2001年より福岡とグルメをテーマにフリーエディターとして活動。「epi」「ソワニエ」の元編集長。個人事務所「聞平堂」では「ぐる~り糸島」「福岡甘党図鑑」「福岡グルメ トリビア~ン」「福岡 気軽で楽しい町の寿司屋」等を出版。RKBラジオ「弓削聞平スマイルディッシュ」「オトナビゲーション」に出演中。西部ガス広報誌「&and」にコラム連載中。