福岡の食の達人である弓削聞平さんの編集・出版事務所「聞平堂」とのコラボ企画。9月19日(土)発売予定の「価格で探すご褒美ランチ」掲載店から選りすぐりのお店を、9月23日(水)まで毎週水曜日に1軒ずつ計8軒、「Go!Go!ワンク」の読者の皆さまへいち早くご紹介します!
第2回は、福岡市中央区高砂のフランス料理店『Cochonique(コチョニーク)』です。
食材の良さを引き出す、絶妙なる味のコントラスト
日赤通りから一本入った細い路地にある扉を開けると、すぐ目に入ってくるのはフランスの町並みを描いた小さな絵。イギリス人画家グラハム・クラーク氏の作品で、そこには『コチョニーク』という小さなレストランが描かれている。オーナーシェフの森田安彦さんは、この絵を画廊で見かけて一目で気に入ったという。後日実家に帰ると、なんと祖父が同じ作家の絵を所蔵していたことを知り、「不思議な縁を感じました」と店名の由来になった。
森田さんは大阪の出身で、父親・兄ともにフレンチシェフという料理人一家に生まれる。大学卒業後はホテル日航福岡に入社し、父親の友人でもあった総料理長・中橋義幸氏に師事した。20代後半で料理修業のためにフランスに渡り、プロヴァンスとパリの星付きレストランでさらに腕を磨き、復職後はホテル日航福岡のメインダイニング「レ・セレブリテ」の料理長を務めた実力者だ。その間に数多くの料理コンクールで受賞歴があり、2019年6月に独立開業を果たした。
縦に長い店内は3卓のテーブルに14席。客席とオープンキッチンとの間は古木を使ったカウンターで仕切られ、天然木をふんだんに使った居心地の良い空間。森田シェフとマダムのるみさん二人が、家庭的な雰囲気のなか、気さくなサービスでもてなしてくれる。
ホテルレストランでの約20年にわたる経験を活かした料理は、伝統的なフレンチをベースにしながら森田シェフならではのアイデアや機知が随所に見え隠れする。素材の持ち味を活かしつつ、塩味・甘味・酸味・苦味のコントラストが絶妙で、たとえば料理に甘味を加える場合も野菜そのものの糖度、貴腐ワイン、蜂蜜などを使い分けながら表現。一口一口食べ進めるごとに、食材同士の意外な組合せや未知なる味への新鮮な驚きがある。また、一皿の中で同系色の食材を使ってグラデーションをつけた色彩感覚も素晴らしく、決して派手さはないが高い技術と持って生まれたセンスが感じられる。
「フランス料理のコースをかしこまらず気軽に楽しんでほしい」と、メニューは昼夜ともにおまかせコースのみ。2500円のランチコースは、アミューズ・前菜に始まって、スープ・メイン・デザートという定番の構成ながら、掌編の小説でも読むかのようなストーリーの起伏がある。心地よい余韻を残しながら、高い満足感が得られる小さなレストランである。
ランチコース
2500円(税別)
アミューズ・前菜・スープ・メイン・パン・デザート・コーヒー
うきは赤司農園の桃とヤリイカに貴腐ワインのジュレをかけたアミューズ。
軽く炙ったマグロと赤い果実のサラダ仕立て スパイスと蜂蜜風味。
糖度の高い熊本産トウモロコシを使った冷製スープ。
うきはの養豚場リバーワイルドの葡萄豚と無農薬ズッキーニ。
アールグレイのエスプーマにグランマルニエの香りを添えたデザート。
(DATA)
住所:福岡市中央区高砂1-7-5-1F
電話:092-406-9800
営業時間:11:30~0S13:30/18:00~OS19:30(昼夜とも前日までに要予約)
定休日:月曜、第1・3・5火曜
席数:テーブル14席
個室:なし
カード:可
文/江月 義憲、撮影/山田 トモフミ
「価格で探すご褒美ランチ」では約70軒の選りすぐりのお店が掲載されていますので、予算やシーンに合わせたご褒美ランチに活用してください。9月19日(土)に福岡県内各書店・福岡市内コンビニエンスストア・Amazon・聞平堂オンラインショップにて発売予定です。
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※本記事に掲載している情報は2020年7月現在のものです。諸般の事情によりメニュー・価格・営業時間・定休日などのデータが変更になる場合がございますので、お出かけになる前に電話等でご確認いただくことをお勧めします。
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弓削 聞平(ゆげぶんぺい)
編集者
2001年より福岡とグルメをテーマにフリーエディターとして活動。「epi」「ソワニエ」の元編集長。個人事務所「聞平堂」では「ぐる~り糸島」「福岡甘党図鑑」「福岡グルメ トリビア~ン」「福岡 気軽で楽しい町の寿司屋」等を出版。RKBラジオ「弓削聞平スマイルディッシュ」「オトナビゲーション」に出演中。西部ガス広報誌「&and」にコラム連載中。