大学生への仕送り額をいくらにするか、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。相場はどれくらいなのか、何を目安に仕送り額を決めればよいのかといった判断が難しいため、悩むのも無理はありません。そこで今回は、大学生の平均的な仕送り額の相場や、仕送り額を決める際の考え方について解説をしていきます。
大学生の仕送り額の平均的な金額相場は月いくら?
3つの調査からわかる大学生への平均仕送り額(全国平均)
調査1.日本学生支援機構の調査結果
独立行政法人日本学生支援機構の「平成30年(2018年)度学生生活調査」によると、一般的な大学生への年間仕送り額の平均は「119万6,600円」です。12か月で割ると、ひと月あたり「9万9,716円」が大学生の仕送りの平均額です。
ただし、この平均仕送り額は、家庭が支払った授業料も含めた金額となります。
調査2.全国大学生活協同組合連合会の調査結果
全国大学生活共同組合連合会が2019年(令和元年)に実施した「第55回学生生活実態調査」によると、全国の一人暮らしの大学生へのひと月あたりの平均仕送り額は「7万2,810円」です。
調査3.日本政策金融公庫の調査結果
日本政策金融公庫の「2019年(令和元年)度 教育費負担の実態調査結果」によると、自宅外通学者(一人暮らしの学生)への平均仕送り額は、年間「102万3,000円」となっています。12か月で割ると、ひと月あたり「約8万5,000円」が平均額です。
これらの調査結果から、平均仕送り額はおおよそ月7万2,000円~10万円程度と見ることができるでしょう。
【補足】私立・国立・公立の平均学費
先述した通り、調査(1)の仕送り額には、家庭が支払った授業料も含まれます。そのため、学費の高低が仕送り額に大きく影響します。参考として、私立大学・国立大学・公立大学の平均学費を以下に記載します。
区分 | 国立 | 公立 | 私立 |
平均学費 | 約242万円 | 約254万円 | 約460万円 |
国公大学と公立大学はほとんど差がなく、私立大学は国立・公立大学の2倍弱の学費であることが分かります。
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【国立・公立・私立別】平均仕送り額
ここからは、調査1.で参照したデータを元に解説を進めます。
国立・公立・私立の各大学に通う大学生への年間平均仕送り額は下記の通りです(居住形態の違いを含む)。
区分 | 国立 | 公立 | 私立 | 年間平均 |
平均仕送り額 | 95万1,800円 | 79万2,700円 | 127万9,100円 | 119万6,600円 |
年間平均仕送り額は私立>国立>公立の順となっており、やはり学費が高額な私立大学の仕送り額が、頭ひとつ抜けて高くなっていることが分かります。
【下宿・一人暮らし】大学生の平均仕送り額
下宿や、アパートで一人暮らしをしている学生への平均仕送り額は以下の通りです。
区分 | 国立 | 公立 | 私立 | 年間平均 |
平均仕送り額 | 116万5,300円 | 99万2,400円 | 170万5,200円 | 149万3,600円 |
他の調査結果と同様に、私立>国立>公立の順で仕送り額が大きいことが分かります。
【学生寮暮らし】大学生の平均仕送り額
学生寮に住んでいる大学生への平均仕送り額は以下の通りです。
区分 | 国立 | 公立 | 私立 | 年間平均 |
平均仕送り額 | 73万6,800円 | 85万4,800円 | 147万1,600円 | 131万7,800円 |
仕送り額の大きさの順は「下宿・一人暮らし」の場合と同じで、私立大学生への仕送り額の平均が年間平均仕送り額を大きく引き上げています。
また、「下宿・一人暮らし」と「学生寮」の場合の仕送り額を比べると、アパートは学生寮よりも家賃が多くかかる傾向にあることから、仕送り額も大きくなっているといえます。
大学生の生活費&生活費の内訳
大学生の生活費を把握し、仕送り額の参考にしよう
仕送り額の目安として、まずは大学生が生活するにあたって何にどれくらいのお金がかかるのか、生活費とその内訳を知ることが大切です。
実家暮らしなのか一人暮らしなのか、都心の大学なのか地方の大学なのかによって生活費は異なりますので、項目別に生活費と内訳を見ていきます。
【実家暮らし】大学生の生活費
実家暮らしの一般的な大学生の生活費(年間)とその内訳は以下の通りです。
区分 | 食費 | 住居・光熱費 | 保健衛生費 | 娯楽・嗜好費 | その他の日常費 | 生活費合計 |
支出額 | 10万4,900円 | - | 3万9,400円 | 15万600円 | 13万9,200円 | 43万4,100円 |
実家暮らしの大学生の年間の生活費合計は43万4,100円、ひと月あたり3万6,175円を支出していることが分かります。
【一人暮らし】大学生の生活費
一人暮らしの一般的な大学生の生活費(年間)とその内訳は以下の通りです。
区分 | 食費 | 住居・光熱費 | 保健衛生費 | 娯楽・嗜好費 | その他の日常費 | 生活費合計 |
支出額 | 28万4,600円 | 47万1,300円 | 3万8,200円 | 15万6,900円 | 16万400円 | 111万1,400円 |
一人暮らしの大学生の年間の生活費合計は111万1,400円、ひと月あたり9万2,616円を支出していることが分かります。実家暮らしの大学生に比べ、住居・光熱費や食費などの生活費が70万円ほど多くかかっています。
【学生寮暮らし】大学生の生活費
学生寮で生活をする一般的な大学生の生活費(年間)とその内訳は以下の通りです。
区分 | 食費 | 住居・光熱費 | 保健衛生費 | 娯楽・嗜好費 | その他の日常費 | 生活費合計 |
支出額 | 25万9,600円 | 31万9,200円 | 3万4,000円 | 12万8,500円 | 14万7,100円 | 88万8,400円 |
学生寮で生活する大学生の年間の生活費合計は88万8,400円、ひと月あたりにすると7万4,030円を支出しています。アパートなどで一人暮らしをするよりも住居・光熱費が抑えられる分、一人暮らしの大学生に比べて生活費が少ない結果になっていると考えられます。
【都内暮らし】大学生の生活費
都内暮らしの大学生の生活費の一例として、早稲田大学生の1ヶ月の生活費とその内訳を見ていきましょう。
早稲田大学生(実家暮らし)の生活費
区分 | 支出額 |
食費 | 1万3,270円 |
住居費 | - |
交通費 | 9,260円 |
教養娯楽費 | 8,750円 |
書籍費 | 1,530円 |
勉学費 | 970円 |
日常費 | 3,940円 |
電話代 | 1,890円 |
その他 | 1,390円 |
貯金・繰越 | 1万1,400円 |
生活費合計 | 5万2,400円 |
実家暮らしの早稲田大学生の生活費内訳は上記の通りです。1ヶ月の支出合計は5万2,400円で、年間62万8,800円の生活費がかかることが分かります。
早稲田大学生(一人暮らし)の生活費
区分 | 支出額 |
食費 | 3万円 |
住居費 | 6万9,010円 |
交通費 | 5,700円 |
教養娯楽費 | 1万790円 |
書籍費 | 2,170円 |
勉学費 | 2,170円 |
日常費 | 7,440円 |
電話代 | 4,870円 |
その他 | 2,420円 |
貯金・繰越 | 6,920円 |
生活費合計 | 14万850円 |
一人暮らしの早稲田大学生の生活費内訳は上記の通りです。1ヶ月の支出合計は14万850円、年間169万200円と、実家暮らしに比べて100万円以上の生活費がかかることが分かります。
【地方暮らし】大学生の生活費
地方暮らしの大学生の生活費の一例として、秋田大学生の1ヶ月の生活費の内訳を見ていきましょう。
秋田大学生(寮暮らし)の生活費
区分 | 支出額 |
家賃 | 2万円 |
光熱費 | 8,400円 |
食費 | 1万9,900円 |
被服費 | 1万400円 |
勉学費 | 8,000円 |
教養娯楽費 | 1万100円 |
雑費 | 6,600円 |
合計 | 8万3,400円 |
寮暮らしの秋田大学生の1ヶ月の生活費は8万3,400円で、年間100万800円となっています。
秋田大学生(アパートで一人暮らし)の生活費
区分 | 支出額 |
家賃 | 3万5,000円 |
光熱費 | 1万円 |
食費 | 2万3,300円 |
被服費 | 8,800円 |
勉学費 | 8,000円 |
教養娯楽費 | 1万600円 |
雑費 | 6,500円 |
合計 | 10万2,200円 |
アパートで1人暮らしをする秋田大学生の1ヶ月の生活費は10万2,200円で、年間122万6,500円となっています。
都内の大学生に比べると、家賃(住居費)・食費が抑えられているため、秋田大学生の生活費の方が低いことが分かります。
【九州暮らし】大学生の生活費
最後に、自宅暮らし、一人暮らし、学生寮暮らしの3パターンに分類し、九州暮らしの大学生の生活費を見てみましょう。自宅暮らしの九州暮らし大学生の1ヶ月の生活費は6万6,520円、一人暮らしの場合は11万7,750円、学生寮暮らしの場合は10万8,800円となっています。
一人暮らし、学生寮暮らしの生活費は都内暮らしの大学生対比4~5万円ほど低いことがわかります。
区分 | 自宅暮らし | 一人暮らし | 学生寮暮らし |
食費 | 1万1,720円 | 2万3,730円 | 2万2,560円 |
住居費 | 300円 | 47,010円 | 2万5,940円 |
交通費 | 9,680円 | 4,940円 | 5,270円 |
教養娯楽費 | 1万400円 | 9,970円 | 1万1,450円 |
書籍費 | 1,480円 | 1,520円 | 1,640円 |
勉学費 | 1,390円 | 1,950円 | 2,000円 |
日常費 | 6,120円 | 6,770円 | 6,570円 |
電話代 | 2,360円 | 3,730円 | 4,060円 |
その他 | 3,040円 | 3,460円 | 4,070円 |
貯蓄・繰越 | 2万20円 | 1万4,670円 | 2万5,230円 |
支出合計 | 6万6,520円 | 11万7,750円 | 10万8,800円 |
参考:大学生協事業連合 九州地区 大学生活ハウマッチ(九州版)
ベストな仕送り費用の考え方
目安は家賃+食費分
これまで見てきた仕送り額の平均と生活費を総合的に見てみると、おおよそ「家賃+食費」分が仕送り費用の目安になっていると考えられます。
住居費と食費は生活する上で必須の支出であるため、その分は仕送りをし、他の交際費や衣服費は自分で賄ってもらう、という考え方が多いといえます。
仕送り額は適宜見直してもOK
学生は勉強が本分であるため、アルバイトの時間を過剰に増やさなければいけない状態に陥らせないためにも、最低限必要な「家賃+食費」分の額を仕送りするのは適切な考え方といえるでしょう。
そして「家賃+食費分」を仕送りの目安にしつつ、学業の忙しさや家計とのバランスを取りながら、仕送り額を増やす(減らす)など柔軟に対応するのがおすすめです。親と子どもで話し合いながら仕送り額を決めていきましょう。
まとめ
今回は「大学生の仕送り額はいくらにするべきか」という疑問に答えるため、平均仕送り額や大学生の生活費を細かく見てきました。これらのデータを参考にしつつ、子どもとしっかりコミュニケーションを取りながら、適切な仕送り額を検討いただければ幸いです。
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森本由紀
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、夫婦カウンセラー
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。