こんにちは。薬膳料理研究家・SATOEです。福岡市にあるキッチンから、皆さんの体調やココロを整える薬膳料理を発信しています。コラムでは、季節の過ごし方、体調別のおススメ食材、ご家族で美味しく食べることのできるカンタン薬膳レシピをお伝えします。今回のテーマは「冬のカラダケア薬膳」。薬膳料理で身体とココロを整えて、おいしく楽しい生活を送りませんか?
早いもので今年ももう師走ですね。12月にはいると同時に気温も一段と下がりました。もう本格的に冬に入り、コートが手放せない季節ですね。
薬膳スクールを開催していて、毎年この時期になると「腰が痛いんです」「足がむくんで困っています」「体力が落ちているのか外に出かけるのがおっくうです」といったお声を耳にします。
それもそのはず。薬膳の世界では、冬は「腎(臓)」の影響の出やすい季節だとされます。
この「腎」が「冷え」や「疲れ」によって機能をおとすことで次のような症状がでやすくなります。
◎ 腰が痛い
◎ 耳鳴りがする
◎ トイレが近い
◎ 関節が動かしづらい
◎ 体力がおちる
◎ 歯や骨に問題が出る
皆さん、最近このような症状に心当たりはありませんか?
「腎」には気・血・水のもととなる「精(せい)」が貯蔵されています。春、夏、秋とよく働いたカラダの臓腑は、気・血・水を大量に消耗しています。そのため、冬の時期に身体に気・血・水を十分に補充して、腎精を蓄える必要があるのです。
しかし、私たちは、冬場に無理なダイエットをしたり、カラダを休めるはずの時期に忙しく仕事をしたりしてしまいます。これが上にあげたような症状が冬に出る原因です。
身体をゆったりと休めることができればベストですが、師走は誰もが忙しいですよね。
そこで大事なのが食養生です。
今回は、冬場に腎精をカラダに蓄え、身体を温め、気血水を補充する食材をご紹介しようと思います。
具体的なおススメ食材は次のとおりです。
◎気を補う食材
長芋、じゃが芋、いんげん、栗、胡桃、椎茸、鶏肉、牛肉、かつお、鯛
◎体の内側から温める食材
ニラ、唐辛子、生姜、山椒、フェンネル、羊肉、鹿肉、海老、ナマコ
◎血や水を身体に補充する食材
ほうれん草、にんじん、小松菜、百合根、イカ、豚肉、レバー、落花生、白木耳、帆立、卵
そして、プラスワンポイント!
外出がおっくうな方におすすめしたいのがこの食材です。
◎気を巡らせ、カラダに営養を巡らせる食材
ソバ、らっきょう、青梗菜、グリーンピース、ジャスミン、オレンジ、玉葱
では、これらの食材をたっぷり使った3つの薬膳レシピをみていきましょう!
【レシピNO1】山梔子(くちなし)ライスのホワイトドリア
【材料(2人分)】
ベビーホタテ・・・・・・・・・6個
ナツメグパウダー・・4振り
チーズ・・・・・・・・・・・・10g
バター・・・・・・・・・・・・10g
パセリ(乾燥)・・・・・・・・適量
(山梔子ライス)
山梔子(くちなし)・・・・・・・1個
水・・・・・・・・・・・・・・炊飯器で白米1/2合分
白米・・・・・・・・・・・・・1/2合
(ホワイトソース)
長芋・・・・・・・・・・・・・80g
牛乳・・・・・・・・・・・・・140cc
ジャガイモ・・・・・・・・・・40g
玉ねぎ・・・・・・・・・・・・30g
しめじ・・・・・・・・・・・・20g
えのき・・・・・・・・・・・・20g
塩・・・・・・・・・・・・・・少々
【作り方】
1 山梔子の実を皮から取り出す。山梔子の実と分量の水を鍋に加え、弱火で約5分煎じる。
2 1の山梔子を取り出し、残りの煎じ汁と白米を炊飯器で炊く。
3 ジャガイモは皮をむき薄くスライスし、玉ねぎも薄めに切る。牛乳、ジャガイモ、玉ねぎ、すりおろした長芋、塩を鍋に加え、弱火で柔らかくなるまで煮る。粗熱が取れたらフードプロセッサーで攪拌する。再び鍋に戻し、しめじとえのきを加え温める。
4.グラタン皿にバターを塗っておく。
5.ベビーホタテにナツメグパウダーを振る。
6.グラタン皿に炊き上がった山梔子ライスを敷き、ベビーホタテをのせて3のホワイトソースをかけてチーズをのせる。
7 250℃に温めたオーブンで15分焼く。お好みでパセリを散らす。
【レシピの効果】
帆立や長芋にはカラダに水を補ってくれる効果があります。夏場に激しい運動をして大量に汗をかいたり、過労で水を消耗しカラダが乾燥状態になっている方におすすめのメニューです。また、長芋には腎機能を助ける作用もあります。長芋よりも栄養価の高い大和芋や自然薯にすると腎精を高める作用がUPします!山梔子の黄色いライスが鮮やかなマイルドな風味のドリアです。
【レシピNO2】鹿肉炒飯
【材料(2人分)】
鹿ミンチ肉・・・・・・・・・100g
フェンネルシード・・・・・・1g
白ネギ・・・・・・・・・・・60g
ニラ・・・・・・・・・・・・20g
人参・・・・・・・・・・・・40g
しめじ・・・・・・・・・・・30g
卵・・・・・・・・・・・・・1個
塩・・・・・・・・・・・・・少々
胡椒・・・・・・・・・・・・少々
オリーブオイル・・・・・・・大さじ1
玄米・・・・・・・・・・・・茶椀1,5杯分
黒胡麻・・・・・・・・・・・少々
【作り方】
1 玄米は水で洗い、通常の水量で固めに炊飯器で炊く。炊き上がったら皿に取り出し冷ましておく。
2 白ネギ、ニラはみじん切りにする。人参は皮をむき0,5cm角に切る。しめじは石づきを切り、ほぐしてから粗みじん切りにする。
3 鍋にオリーブオイルを熱し、白ネギ、人参を炒める。そこに鹿ミンチ肉、ニラ、しめじを加え、さらに炒める。塩、胡椒、フェンネルシードをふり調味する。
4 冷やした玄米に割りほぐした卵をかけ混ぜる。それを3に加え、さらに炒める。
5 4を器に盛り、黒胡麻をふりかける。
【レシピの効果】
なんと鹿肉を使った炒飯です!。鹿肉やフェンネルシードには腎を温め、その機能を高める効果があります。また、白ネギやニラは身体に陽気をチャージし、温まりやすい身体を作ってくれます。冬の時期にピッタリな、腎にエネルギーを蓄える一品です。最近はジビエ肉を販売するお店もちらほら出てきました。ネットで検索するとお近くの販売店が見つかりますので、ぜひ一度試しに作ってみてくださいね。カラダがぽかぽかしてくるはずです。
【レシピNO3】柑橘ジャスミンTEA
【材料(2人分)】
ジャスミン茶葉・・・・・・・4g
グレープフルーツ・・・・・・2/3個
ネーブル・・・・・・・・・・2/3個
薄荷(ミント)・・・・・・・2~4枚
蜂蜜・・・・・・・・・・・・15g
水・・・・・・・・・・・・・600cc
【作り方】
1 グレープフルーツは皮をむき果肉を取り出し一口大に切り、蜂蜜でマリネする(約1時間)。
2 水600ccを沸かし、ジャスミン茶葉を2分ほど蒸らす。茶葉を濾して、常温に冷ます。
3 ネーブルは皮をむき、果肉を取り出し一口大に切る。ミントはきれいに洗い、歯を1枚づつにしておく。
4 ボトルに、マリネしたグレープフルーツ、ネーブル、ミント、マリネ液大さじ1を加え、そこに1のジャスミンTEAを注ぐ。
【レシピの効果】
ジャスミン、グレープフルーツなどの柑橘が、気の滞りを解消し、気分をすっきりさせてくれます。腰が重くて外に出るのがおっくうな日は、おうちで美味しい薬膳TEAをつくってみませんか。ミントの爽快感とほどよい酸味が心地よい一品です。きっとカラダの巡りが良くなり、カラダを動かしたくなってくるはずです。
【まとめ】
いかがでしたか?冬におススメの食材は美味しそうなものばかりですね。ジビエを食べる習慣のない方は多いですが、実はジビエ肉は強力に腎精を補ってくれる食材です。最近は福岡県も県をあげてジビエの消費を推進しているようで、飲食店でも美味しいジビエ料理をいただけるお店が増えました。意外とおいしくいただけますよ!
「薬膳料理で楽しく美味しく体質改善」。ご自宅でも作れるカンタン薬膳料理。冬に体調の傾きを感じたら、今年は薬膳料理でカラダケアしませんか。
SATOE
薬膳料理研究家。国際薬膳師。「薬膳ハウス金木犀」主宰。株式会社金木犀代表。株式会社LeQUALIA共同代表。
約12年にわたり公務員として勤務。自身の体調不良をきっかけに薬膳と出会い、薬膳料理家に転身。福岡市内の料理教室「薬膳ハウス金木犀」を主宰。メディア出演や情報誌などでもコラムを掲載。「楽しく美味しく体質改善」をテーマに、ハーブやスーパーフードも取り入れた新たな薬膳料理を提案。