こんにちは。薬膳料理研究家・SATOEです。福岡市にあるキッチンから、皆さんの体調やココロを整える薬膳料理を発信しています。コラムでは、季節の過ごし方、体調別のおススメ食材、ご家族で美味しく食べることのできるカンタン薬膳レシピをお伝えします。今回のテーマは「秋の薬膳料理」。薬膳料理で身体とココロを整えて、おいしく楽しい生活を送りませんか?
秋分の日を過ぎ、いよいよ秋本番ですね。最近は気温も心地よく、お散歩を楽しむ方もいらっしゃるかと思います。
先日、キッチンの周辺を散歩していると、イチョウの木に銀杏の実がたくさん実っているのをみつけました。銀杏は私の大好物です。今年は銀杏を使ってどんな薬膳料理を作ろうかと、あれこれ想像し嬉しくなりました。
美味しい食材のあふれる秋は、毎年楽しみな時期です。でも、ただ一つ気になるのがお肌の揺らぎです。ほっぺたを触るとカサカサしていたり、吹き出物が気になるのも秋の時期だったりします。
そうです。秋は空気が乾燥しているので、その乾燥の邪気がカラダに入ることで「皮(皮膚)」に影響が出やすいんです。
今年の秋は、薬膳料理でお肌を潤しカラダの内側から輝くような美肌を手に入れてみませんか?
薬膳の世界では、美しい肌とは
「皮膚と筋肉に弾力・透明感・ツヤがあり、きめが細かく、しみ・そばかすがない肌」
とされます。
表面上どんなにきれいにしても、内側から滲み出る弾力や透明感がなければ、美しい肌とはいえないのですね。このような観点から、普段私たちが口から入れる食事は美肌と大きな関わりがあります。では、どのような食材が肌に良いのでしょうか。
体質別におススメのお食事をご紹介しますね。
以下の項目について、気になる症状にチェックをつけてください。
A
□ 体調が悪いとき、顔色が青・紫がかっていることがある
□ 目の周りにクマがある
□ 最近しわが増えた気がする
□ イライラすることが多い
B
□ 顔にツヤがない気がする
□ どちらかというと顔色が青白い
□ ニキビができやすい
□ ときどき頭に血が上るような感覚がする
C
□ どちらかというと顔色が黄色っぽい
□ 肌のキメが荒いほうだ
□ 最近小じわが気になる
□ 最近心配事がある
D
□ 肌が乾燥している
□ 肌にかゆみがある
□ 毛穴が目立つような気がする
□ 最近気持ちが沈んでいる
E
□ 最近シミが増えた気がする
□ 最近髪が少なくなった気がする
□ どちらかというと顔色が黒っぽい
□ むくみが気になる
一番チェックの多い項目は何でしたか?
実はA~Eは、肝・心・脾・肺・腎の五臓の機能にそれぞれ関わっています。
以下、詳しくみていきましょう。
A 肝の巡り低下タイプ
肝の機能が低下しています。気の巡りが滞り血行が悪くなってしまっています。気血を巡らせる食材をとりましょう!
◎おススメ食材
【理気活血】
青梗菜、酢、パセリ、ナス、菜の花、パセリ、酢、酒、オレンジ、ジャスミン、ローズ
B 心の血不足タイプ
心の機能が低下しています。心血が不足し、顔色が青白い、動悸がするなどの症状が出てしまうタイプです。心血を増やしましょう!
◎おススメ食材
【養血安神:良質な血を身体にチャージします】
人参、ほうれん草、落花生、レバー、鶏のハツ、葡萄、龍眼肉、なつめ、鮭、マグロ
C 脾の気不足タイプ
脾・胃(消化)機能が低下しています。カラダがうまく栄養を摂取できず、気(エネルギー)を十分に生成できなくなっています。気をカラダにチャージしましょう!
◎おススメ食材
【補気健脾】
南瓜、山芋、椎茸、甘酒、さつまいも、赤米、ブロッコリー、生姜、リンゴ、
D 肺の津液不足タイプ
肺の機能が低下してしまい、皮膚や髪に水(津液)を散布できなくなっています。水をたっぷりチャージして潤いを取り戻しましょう!
◎おススメ食材
【補血滋陰】血を補い、身体に陰液(水分)をチャージします。
ほうれん草、アスパラガス、落花生、松の実、黒胡麻、白胡麻、豚肉、白木耳
E 腎の精不足タイプ
腎の精(気血水の源)が不足しています。カラダが冷えていたり、お肌の老化が気になるタイプです。腎の精を増やして、若々しい肌を取り戻しましょう!
◎おススメ食材
【補腎温陽】
ニラ、海老、胡桃、羊肉、鹿肉、すっぽん、なまこ、唐辛子、山椒、花椒、クローブ
では、秋という時期も考慮の入れて潤いをチャージするDのおススメ食材を中心に、それぞれの食材を使った3つの薬膳レシピをみていきましょう!
【レシピNO1】黒米と松の実粥
【材料(4人分)】
松の実・・・・・・・・・40g
黒米・・・・・・・・・・50g
白米・・・・・・・・・・110g
水・・・・・・・・・・・1800cc
【作り方】
1 黒米と白米は一緒によく洗い、水を切って15分空気にさらす。
2 土鍋に分量の水、黒米、白米を入れ、強火→(沸騰したら)弱火で30分たく。
3 火を止めたら、蓋をしたまま30分そのまま蒸らす。
4 お粥を器に盛り、松の実を散らす。
【レシピの効果】
黒米には腎(臓)や肺の機能を高めてくれる効果があります。腎機能が高まると精がカラダに補充され、張りがあり血色の良い肌になります。そして、肺機能が高まると、皮膚の潤いがチャージされプルプルのお肌になります。そうです。黒米は「美肌に効く!」といっても過言ではない食材なんです。松の実の潤いチャージ効果と合わせて、この秋から黒米習慣を始めてみてくださいね。
【レシピNO2】梨ポークプルコギ
【材料(2人分)】
豚肉(薄切ロース)・・・・・・・160g
人参・・・・・・・・・・・・・40g
しめじ・・・・・・・・・・・・40g
玉ねぎ・・・・・・・・・・・・60g
青葱・・・・・・・・・・・・・20g
①梨(漬込用)・・・・・・・・・70g
ごま油・・・・・・・・・・・・小さじ1
白胡麻・・・・・・・・・・・・少々
(梨プルコギソース)
②梨(果汁用)・・・・・・・・150g
生姜・・・・・・・・・・・・12g
ニンニク・・・・・・・・・・1かけ
しょうゆ・・・・・・・・・・大さじ2
みりん・・・・・・・・・・・大さじ1
酒・・・・・・・・・・・・・大さじ1
【作り方】
1 ①梨(漬込用)は皮をむき、すり下ろす。バットに豚肉を並べ、すった梨に漬け込み、梨の皮で蓋をする(1時間ほど漬け込む)。
2 バットから取り出した豚肉は1×4cmほどの大きさに切る。人参は皮をむき、千切りにする。しめじは石づきを切り落とし、小房に分ける。玉ねぎは薄切りにする。青葱は根元を切り落とし、4cm長さに切る。
3 ②梨(果汁用)、生姜、ニンニクはそれぞれ皮をむきすりおろす。ボウルに、A(梨プルコギソース)を全て加え混ぜる。
4 3に豚肉を加え、手でよくもみこむ。
5 フライパンに胡麻油を熱し、2の具材を炒め火が通ったところで、3を強火で炒める。
6 5を器に盛り、上から白胡麻をふりかける。
【レシピの効果】
前回ご紹介した梨のデザートを覚えていますか?今回はその梨をプルコギの下味に使いました。梨は豚肉とも相性が良く、特に擦りおろした梨を豚肉につけるとお肉が柔らかくフルーティーに仕上がります。そして、今回のポイントは梨の皮を蓋に利用することです。こうやって梨の味をよりお肉にしみこませます。梨や豚肉には潤いチャージの効果があり、食べるとフルーティーで美味しく、翌日にはお肌の潤いを実感できるレシピです。
【レシピNO3】ブロッコリーポタージュ
【材料(2人分)】
ブロッコリー・・・・・・120g
山芋・・・・・・・・・・・40g
玉ねぎ・・・・・・・・・・50g
じゃがいも・・・・・・・・80g
豆乳・・・・・・・・・・・100cc
チキン出汁・・・・・・・・350cc
胡椒・・・・・・・・・・・少々
【作り方】
1 玉ねぎは薄切り、ジャガイモと山芋は皮をむき薄切りにする。
2 ブロッコリーは房ごとに切り取り、乱切りにする。
3 鍋に、ブロッコリー、山芋、ジャガイモ、玉ねぎ、チキン出汁を入れ、くたくたになるまで蓋をして煮込む(約15分)。煮込んだら、冷まして粗熱を取る。
4 フードプロセッサーに3を入れ攪拌する。
5 4を鍋に戻し、豆乳、胡椒を加えて温める。
6 器に盛り、お好みで胡椒をふりかける。
【レシピの効果】
とっても簡単なスープですが、常備しておくと便利で美味しいスープです。ブロッコリーや山芋は、秋の時期に食べてほしい代表的な食材。特に山芋は秋から冬にかけて、潤いをチャージしてくれたり、冬に影響を受けやすい腎機能を高めてくれます。個人的には、少し多めに作ってストックし、数日に分けて食べるのがおススメです。
【まとめ】
いかがでしたか?「薬膳料理で楽しく美味しく体質改善」。ご自宅でも作れるカンタン薬膳料理。乾燥しやすい秋の時期、今年は薬膳料理でお肌のケアをしてみませんか。
SATOE
薬膳料理研究家。国際薬膳師。「薬膳ハウス金木犀」主宰。株式会社金木犀代表。株式会社LeQUALIA共同代表。
約12年にわたり公務員として勤務。自身の体調不良をきっかけに薬膳と出会い、薬膳料理家に転身。福岡市内の料理教室「薬膳ハウス金木犀」を主宰。メディア出演や情報誌などでもコラムを掲載。「楽しく美味しく体質改善」をテーマに、ハーブやスーパーフードも取り入れた新たな薬膳料理を提案。