インタビュー

【ぼくたちの子育て】家庭時間も仕事時間も、もっと自由にのびやかに|ハル(haru)さん

ぼくたちの子育て-タレント-ハルさん-子育てインタビュー

RKB毎日放送「今日感テレビ」日曜版、「今日感モーニング」でおなじみのハルさん。ITに強く、ブロガーやスマホコンシェルジュ、パパママムービーアドバイザーといった多彩な横顔をお持ちです。デジタルスキルの高さが象徴するように、何事も処理能力はかなり高めのハルさんですが、家事育児に求められるマルチタスクを前に、自分のふがいなさを痛感したそうです。2011年に、同じくタレントの西本美恵子さんと結婚し、2014年に、長女・こはるちゃんが誕生。6年間にわたるパパとしての成長の軌跡をじっくりとうかがいました。

■profile

ハル(haru)さん

タレント

1980年、熊本県出身、福岡県育ち。高校在学中に地元のモデル事務所に所属し、その後タレントとしてテレビやラジオでの活動をスタート。企業イベント・ファッションイベント・スポーツイベント・結婚式などのMC司会進行でも活躍中。タレント活動のほか、子ども用ハミガキジェル『ジェニトーレ』をプロデュース。ネット・デジタルスキル向上のためのオンラインレッスンも常時開催。子育てインストラクター・ISD個性心理学インストラクター・コスメマスター4級資格。

■公式HP:https://harulog.jp

タレントとしての多彩なキャリア。でも、極めたいのはパパとしてのキャリア⁉

― おしゃべりの仕事の延長で、「ネット・デジタルスキル向上のためのオンラインレッスン」を開催されています。ITにも強いのですね。

僕は携帯(スマホ)が大好きで、料金プランを研究するのが趣味のひとつです。キャリア各社の料金体系などをつぶさに調べて記事を書いていて、相談料3,000円で家庭ごとのベストプランの提案もしています。

コロナの自粛期間は、「子ども限定のLINEスタンプ作り」というテーマでオンラインレッスンを行いました。スタンプ作りって意外に簡単です。楽しみながら子どものデジタルスキルを上げるレッスンです。特に、子どもの写真を使ったスタンプなどが参加者に好評でした。

― 子育てパパのイメージもハルさんの存在感を特徴付けています。

娘のこはるは今6歳(2014年生まれ)ですが、子どもが生まれる前に、子育てインストラクターという資格を取りました。妻が興味を持って勉強していた資格で、僕は教室までの送迎係だったのですが、同伴者も授業を聞いてよいということで一緒に受けていたら、すごく面白くて。

西日本シティ銀行の応接室でインタビューに答えるハルさん

カエルの子は、カエルではない⁉

―どんな資格なのですか?

例えば、子どもはある程度、親の性格を受け継ぐと思っている人も少なくないと思います。でも、親から子への個性の遺伝は10%程度で、親子でも、もちろん兄弟姉妹でも個性は大きく異なります。子どもの個性を知って、接し方を学び、スムーズに親子のコミュニケーションを取っていきたいねと、妻と話しながら勉強しました。

―「カエルの子はカエル」という言葉がありますが、必ずしもそうじゃないってことですか?

 そうなんです。例えば、競争が好きな人もいれば嫌いな人もいますよね。ちなみに僕たち夫婦は二人とも競争が好きなタイプ、娘は競争が嫌いなタイプです。将来、娘が部活をしたとします。そして最終学年時にレギュラーになれなかったとしましょう。競争好きな親としては"結果がすべて"なところがあるので、レギュラーになれたかどうかを重視しがち。

しかし、競争が嫌いなタイプの人は"結果よりもプロセスが大事"と考える人が多いので、娘はがんばれたことに満足しているかもしれない。だから僕は結果がどうであれ「いつも見てたよ。よくがんばったね!」と声をかけてあげたいわけです。

でも、この資格を取る前の自分だったら、そこまでのプロセスを認めてあげられるような言葉を選べていなかったかもしれない。同じ言葉でも受け取り方は人によって180度変わります。親子間に限らず、夫婦間でも、お互いの個性を知ることで心地よいコミュニケーションができたらいいなと思っています。

同じくタレントの西本美恵子さんと、長女・こはるちゃんと一緒に外で遊ぶハルさん

「幸せな家庭を築く」ことが中学生以来の目標

― 出産前から夫婦で子育てに関する資格を取得するなど、二人の息がピッタリという感じで、ステキです。妻の美恵子さんとの出会いを聞かせてください。

妻とは、ケーブルテレビの司会を約5年間一緒にやっていましたが、最初はお互いに全く意識してなかったんです。でも、最後の1年に差し掛かった時、僕の恋のスイッチが入りまして、猛プッシュの末、結婚していただきました。 

― ご結婚はいつですか?

2011年です。今年の11月で結婚生活10年目に入ります。

― スイッチが入った一番の理由は何だったのですか?

妻は、人の悪口を絶対に言わないんです。それと、自分の幸せよりも相手の幸せを考えることができる。自分を犠牲にしてでも、誰かのために尽くすタイプなんです。こんな優しい人だったら素敵なお母さんになるんだろうな、こういう人に育ててもらう子どもはすごく幸せだろうな、そう思ったんです。

― もともとハルさん自身が、明確な結婚観や家庭観をお持ちだったのですね。

明確どうかはわかりませんが、幸せな家庭を築きたいという思いはずっとありました。

中学生の頃、テレビで観た洗濯用洗剤のCMに、真っ白なシャツを着た親子が登場したんです。その姿が印象的で、それ以降、あの絵に描いたような幸せな家庭を築くことが将来の目標のひとつになりました。僕の生まれ育った家庭が幸薄かったわけではないですよ(笑)

育児の過酷さを目の当たりにした瞬間

― 素晴らしいパートナーを得て、結婚。そして、第一子誕生。我が子と初めて対面した時のお気持ちは?

出産に立ち会ったのですが、生まれたての小さな、小さな生命体である赤ん坊を目の当たりにして感じたのは、喜びというよりも緊張感。そしてこれからこの子を背負っていかねばならないという責任感。背筋が伸びる思いってこのことですね。

― でも、子育てインストラクターの勉強をはじめ、ご夫婦でしっかりと子育ての準備をされています。世の中の水準から見れば、かなり頼りになるパパです。

妻の妊娠中から、自分ではある程度は加勢できているつもりでした。妊婦検診や妊婦教室も一緒に参加していましたし、ベビー服や哺乳瓶、粉ミルクのことなどリサーチもしていたし。

しかし、育児が始まってから、それは「協力もどき」でしかなかったと思い知らされました。その中でも最も後悔したのが、料理ができなかったことです。「子どもが生まれる前にできるようになっておけよ、俺!」とあの頃の自分に声を大にして言いたいです。

― これからパパになる方への貴重なアドバイスですね!

やらないでしょうけどね、みんな(笑)。間違いなく、これは正解だよと言えるんですけど、やんないだろうな~。そして後から気付くんですよ。家事育児は想像力が追い付かない部分ってありますね。それほどマルチタスクなんです。ひとつでも大きなヌケがあると、本当に協力していることにはなりにくいんですよね。

僕らは共働きで、性役割の概念がそもそもないのでまだ良いほうだと思います。性役割に縛られている人は苦労してるなって感じることはあります。

― ハルさんは、イクメン世代でもあります。

子育てに関与する男性が増えつつある世代だと思うけれど、僕の周りには、ちょっと手伝っただけでイクメンと呼ばれ、安住している人もたくさんいました。イクメンという言葉が男たちの努力を怠らせたのかも(笑)。

イクメンかどうかを正しくジャッジできるのは、妻だけです。僕は6年かかりました。料理に対しては本当に腰が重くて。でも、娘が幼稚園に持っていくお弁当作りを第一歩に、今やご飯作りの主担当です。妻からしたらまだまだいろいろ不満はあると思いますが。

― それもしても、こはるちゃんが2歳になるくらいまで育児がしんどかったという言葉は意外でした。

僕が抱っこしても、泣きやまなかったんです。妻に入浴時くらいはゆっくりしてほしくて、僕が抱っこして待つんですけど、全力で泣かれてしまう。結局、着の身着のままでお風呂から出てきた妻に娘を連れていかれ、僕はリビングにポツンと一人ぼっち…というパターン(笑)。

ある時、ミルクのお湯の目盛りを1つ間違えて、ものすごく怒られたこともあります。普段あまり怒ることのない妻が、たった1目盛りで形相を変えた時、育児の過酷さと自分の無力さを思い知りましたね。

福岡空港でこはるちゃんと一緒に写真に写るハルさん

初めて娘と二人っきりで過ごした1週間

― せっかく妻をゆっくりさせようと思う好意が、アダになるのはつらいですね。

でも、ある時、ビッグチャンスが来たんです。娘が3歳の時のこと。その頃、妻の疲れもピークだったと思うんですが、ずっと義母をハワイに連れて行ってあげたいと言っていたことを思い出し、僕はひらめきました。「お義母さんと二人で行っておいでよ!」と。そうすれば妻も育児から解放されてリフレッシュできるし、僕はその間に娘ともっと仲良くなって寝かしつけだってできるようになるかもしれない。数日任せてくれればその自信はある!両者にとって良いのでは?と。そして、父と娘の6日間がスタートしました。

初日は何とか過ごせたのですが、2日目はママがいないことに気づいたのか大泣き。しかし、徐々に環境に慣れ、とうとう最後は泣かなくなりました。以前は寝かしつける時に、「パパは来ないで」と言われていたのですが、今では寝る前の絵本の読み聞かせは「パパじゃないとダメ」なんです。格上げされました。

― 夫に育児を託した美恵子さんも英断でしたね。

一応安心して任せられるレベルにはギリギリ達していたのかなと(笑)。実は以前に僕たちのこの試みを記事にしたら、「母が娘をほったらかしにして、海外旅行に行くなんて」とコメントをされたんです。「あぁ、だから女性は今まで休めなかったんだろうな…」と思いましたね。

女性にはもっと男性に委ねてもらいたいし、安心して委ねてもらえるように男性も家事育児スキルを上げる努力をしなくてはいけないなと。ハワイに行く前からもう少し長く抱っこさせてくれてたらなぁという思いはありましたが、早く泣き止ませてあげたいという母心も痛いほどわかります。娘にとっては荒療治だったかもしれませんが、僕にとっては大きなターニングポイントになりました。

どんな理由も、家族で食卓を囲まない理由にはならない

― 家事育児のためにタレント業もセーブされたとか。

一つはラジオの仕事です。大好きな番組だったんですけど、生放送の準備に時間がかかり、娘と向き合えないと感じたので卒業させてもらいました。それと、鹿児島での仕事も移動時間を育児に充てたいと思い手放しました。それを許してくれた妻も太っ腹ですよね。飲み会に行く機会も減りました。家族といる時間を大切にしています。

僕はイタリアが大好きなのですが、イタリア人男性が「どんな理由も、家族で食卓を囲まない理由にはならない」と言っていたんです。その通りだと思います。

― 飲むことでコミュニケーションを深めるといった旧来のやり方も変わってきてますしね。

変えられないと思っていたことが、変えられることにも気づきました。僕が幼稚園にお迎えに行かないといけないというと、職場のみんなが時間を調節してくれたんです。日曜日の収録に子どもを連れて行っていいですかと打診したら、連れて行けるようもなりました。もちろん、理解してもらえないケースもあります。でも、声に出してみるべきだなと思った出来事でした。

haru(ハル)さんの職場を見学しに来たこはるちゃん

― 最近、妻の出産直後の夫を対象とした新たな休業制度を創設する政府方針も示されましたね。

男性が育児をやりたいから会社を休みますと、当たり前のように言えるようになったらいいですね。

― こはるちゃんは、どんなふうに育って欲しいですか?

今ある職業が将来もあるとは限らない時代です。でも、その中で自分のやりたいことを自分で見つけて、それをしっかり追い求めていける人間になってくれればいいかな。 

― 最後にハルさんご自身のこれからの目標を聞かせてください。

実は12月に第二子が誕生するんです。6年の間に積み上げたスキルを活かして、より家庭に貢献したいと思っています。新しい家族を迎えて、家庭時間も仕事時間も自由な発想で、のびやかに楽しんでいきたいですね。

海沿いで家族写真を撮影するハルさん

同じタレント同士、互いの仕事を理解し合い、また、一緒に子育てインストラクターの資格を取るなど家庭人としての価値観も共有しているハル夫妻。それでも家事育児にはさまざまなハードルが立ちふさがり、そのたびにていねいに解決していくプロセスに、家庭づくりの秘訣を見た思いがしました。幸せな家庭は、幸せな過程から生まれる⁉

インタビュアープロフィール

ライター吉田さん

吉田 真理子
コピーライター

宮崎市出身。福岡高校、福岡教育大学卒業後、印刷会社に新卒入社。同社出版企画室で書籍・雑誌の校正業務に携わる。その後、出版社への転職を経て、コピーライター・編集ライターとして独立。現在に至る。趣味は、文章の間違い探しとダンス。

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