こんにちは。薬膳料理研究家・SATOEです。福岡市にあるキッチンから、皆さんの体調やココロを整える薬膳料理を発信しています。コラムでは、季節の過ごし方、体調別のおススメ食材、ご家族で美味しく食べることのできるカンタン薬膳レシピをお伝えします。今回のテーマは「秋の薬膳料理」。薬膳料理で身体とココロを整えて、おいしく楽しい生活を送りませんか?
9月に入り、少しづつ空も高くなってきましたね。先日ふと夕方に空を眺めると、赤く高く雲が広がっていて「ああ、今年もまた秋がくるのだな」と実感しました。
そんな秋の時期、薬膳の世界では、咳、便秘、肌荒れといった「乾燥」に関係する症状が出やすい季節だと言われます。皆さんの中にも「秋に近づくと喉がイガイガする!」とか「なぜか毎年秋になると便秘になって苦しいです」といった経験をお持ちの方がいらしゃるかと思います。
それもそのはず。実は、薬膳の世界では、秋になると空気が乾燥することで「肺」「大腸」に影響が出ると言われます。「肺」が乾燥すると、から咳や喉の違和感、髪や肌の乾燥が出やすくなります。一方、「大腸」が乾燥すると便秘になりやすいんです。
特に今年の秋はコロナウイルスの感染拡大も気になるところです。例年以上に、咳や喉の違和感には気を付けて過ごしたいですね。
そんな今の時期、ぜひ食べていただきたいのが、これからご紹介する秋の薬膳料理です。
ポイントは、カラダに潤いを与えて秋の乾燥を防ぐ秋の味覚をたっぷり使うことです。
具体的には
◎大腸を潤すためにきのこ類を多めにとること
◎体に潤いを与える、秋のフルーツをとること
◎肺を潤すために「白」色の食材をとること
が大事になってきます。
では、それぞれの食材を使った、咳や便秘など秋の特有の症状を改善してくれる、3つのおススメ薬膳レシピをみていきましょう!
【レシピNO1】梨と白木耳(しろきくらげ)の蜂蜜デザート
【材料(2人分)】
白木耳(乾燥)・・・・・・・・6g
梨・・・・・・・・・・・・・1個(約300g)
蜂蜜・・・・・・・・・・・・大さじ2
水・・・・・・・・・・・・・800cc
ミント・・・・・・・・・・・少々
【作り方】
1 白木耳(乾燥)は、水に30分ほどつけて戻し、柔らかくする。
2 戻した白木耳を一口大に切る。
3 梨は皮をむき、一口大に切る。
4 鍋に、白木耳、梨、蜂蜜、水を加え、弱火で30分間煮る。
5 火を止め、粗熱が取れたら、器に移し、ミントを添える。
【レシピの効果】
代表的な秋の味覚・梨と、薬膳の世界で身体を潤す代表的な食材・白木耳を合わせたデザートです。白木耳でデザートを作るの?!というお声が聞こえてきそうですが、はい、そうなんです!梨、白木耳に蜂蜜を加えてコトコト煮込むだけで、とろっとした白木耳のデザートができあがります。蜂蜜にも肺を潤す効果があるので、このデザートを食べるだけで咳や肌の乾燥を防ぐことができます。私も大好きなデザートなので、秋になると多めに作って冷蔵庫にストックしています。ヨーグルトにかけたり、お湯で割ってドリンクにしたりしてアレンジしても美味しいですよ。
【レシピNO2】手羽元のサムゲタン風スープ
【材料(2人分)】
鶏手羽元・・・・・・・6本(約300g)
麦門冬(ばくもんどう)・・・・・・・・4g
なつめ・・・・・・・・4個
くこの実・・・・・・・4g
蓮根・・・・・・・・・40g
えのき・・・・・・・・40g
椎茸・・・・・・・・・2枚
長葱・・・・・・・・・80g
生姜・・・・・・・・・30g
塩・・・・・・・・・・小さじ1/3
しょうゆ・・・・・・・大さじ1/2
日本酒・・・・・・・・大さじ1
【作り方】
1 蓮根は皮をむき、半月切りにする。えのきはいしづきを落とし、3等分に切る。椎茸はいしづきを落とし、半分に切る。長葱は斜め薄切りにスライスする。生姜は薄切りにする。
2 鍋に全材料と水600ccを加え、25分間煮込む
3 そのまま10分置き、味をしみこませる。
4 器に盛る。
【レシピの効果】
材料はたくさんですが、作り方はいたって簡単。材料を切って鍋で煮込むだけの手軽に作れる薬膳スープです。通常、サムゲタンは丸鶏を使うのですが、今回はご自宅でも簡単に作れるように手羽元を使用しました。麦門冬やキノコには身体を潤す効能があって肌の乾燥を防いでくれます。特に、秋の味覚キノコ類は便秘にも効果的ですので、ぜひ一度作ってみてくださいね!
※麦門冬が手に入らないときは、キノコ類の量を増やして入れてください。
【レシピNO3】里芋の桔梗(キキョウ)煮込み
【材料(2人分)】
里芋・・・・・・・・・・400g
桔梗(乾燥)・・・・・・・20g
日本酒・・・・・・・・・大さじ1
しょうゆ・・・・・・・・大さじ1
みりん・・・・・・・・・大さじ1
水・・・・・・・・・・・400cc
かぼすの皮・・・・・・・少々
【作り方】
1 桔梗は塩(分量外)と水(分量外)に漬けて軽くもみこむ。取り出したら流水で洗い、水400ccに漬け込む(3時間以上)。
2 里芋は皮つきのまま柔らかくなるまで約20分茹でる。茹でた里芋は皮をむき、一口大に切る。
3 1の桔梗を取り出す。桔梗を漬け込んだ水はとっておく。
4 鍋に,里芋、桔梗を漬け込んだ水、取り出した桔梗の1/2を入れ、日本酒、しょうゆ、みりんを加え、約15分落し蓋をして煮込む。
5 火を止めたら、そのまましばらく置いて味をしみこませる(約15分)。
4 器に盛り、カボスの皮をすりおろしてかける。
【レシピの効果】
日本では珍しい桔梗を使ったメニューです。桔梗には痰や膿を取り去ってくれる効能があり、韓国や中国では秋の薬膳料理によく使われます。今回は、福岡市薬院六角にある韓国食材を扱うお店で乾燥桔梗を手に入れました。桔梗のほろ苦い出汁が甘い里芋にしみこみ、とても美味しい味に仕上がりました。カボスの皮のフルーティーさと合わせてお楽しみください!
【まとめ】
残暑は厳しいですが、そろそろと秋の足音も聞こえてきましたね。秋は乾燥を防ぐ食材を取ると同時に、ここから冬に向けて栄養を蓄えていく時期だとも言われます。私たちのカラダは夏に汗をかいたり体力を使うことで、気血水を大量に失っています。それを補ってくれるのが美味しい秋の味覚でなんです。このサイクルを毎年繰り返すことで、私たちのカラダはより健康に長寿になると言われます。
「薬膳料理で楽しく美味しく体質改善」。ご自宅でも作れるカンタン薬膳料理。咳や乾燥の気になる秋の時期、薬膳で潤いチャージしませんか。
SATOE
薬膳料理研究家。国際薬膳師。「薬膳ハウス金木犀」主宰。株式会社金木犀代表。株式会社LeQUALIA共同代表。
約12年にわたり公務員として勤務。自身の体調不良をきっかけに薬膳と出会い、薬膳料理家に転身。福岡市内の料理教室「薬膳ハウス金木犀」を主宰。メディア出演や情報誌などでもコラムを掲載。「楽しく美味しく体質改善」をテーマに、ハーブやスーパーフードも取り入れた新たな薬膳料理を提案。