こんにちは。薬膳料理研究家・SATOEです。福岡市平尾にあるキッチンから、皆さんの体調やココロを整える薬膳料理を発信しています。コラムでは、季節の過ごし方、体調別のおススメ食材、ご家族で美味しく食べることのできるカンタン薬膳レシピをお伝えします。今回のテーマは「夏の薬膳」。薬膳料理で身体とココロを整えて、おいしく楽しい生活を送りませんか?
7月に入り、急に暑くなってきましたね。福岡では気温が30℃を超える日も出てきました。日中、ほてりを感じたり、汗が増えたという方もいらっしゃると思います。
薬膳の世界では、夏は1年で最も「陽気(ようき)」が盛んな時期だとされます。この「陽気」は、上昇するという性質を持つため、カラダの上半身に熱症状がおこりやすくなります。そのため、夏は、ほてりや熱をいかに発散させるかが大事になります。
また、薬膳の基本となる考え方である五行学説によれば、夏は「心(臓)」に影響が出やすい季節だとされます。この「心」は
①血や血管を司る
②精神の安定を図る
という機能を持ちます。
そのため、夏の暑さで「心」機能が乱れると
□ 血圧が上がる
□ よく眠れない
□ 動悸がする
□ なぜか気持ちが落ち着かない。
といった症状がおこりやすくなります。
「毎年、暑くなると寝苦しくて眠れない」という声をよくお聞きします。実は、この症状、暑さで寝苦しいという原因以外にも、暑さで「心」機能が低下することで眠れなくなっている場合があるんです。
そのため、夏は、次にご紹介するのような、「心」機能を高める食材、カラダの余分な熱を取り去る食材がおススメです!!
【養心安神】
蓮の実、アーモンド、百合根、あさり、イワシ、鶏のハツ、緑茶、赤ワイン
【清熱解暑】
セロリ、ゴーヤ、レタス、キュウリ、もやし、緑豆、ミント、バナナ、パイナップル
そして、日本の夏は、暑さに加えて「湿」が多いのが特徴です。梅雨に引き続き、夏もカラダに溜まった余分な「湿」を排出するのも養生のポイントです。
【利尿袪湿】
ハト麦、とうもろこし、とうもろこしのヒゲ、冬瓜、あずき、黒豆、金針菜
では、今日は、これらの食材を使った、初夏のおすすめ薬膳レシピを3つご紹介します!
【レシピNO1】蓮の実粥
【材料(2人分)】
蓮の実・・・・・・・20g
大麦(もち麦)・・・・・・・・40g
白米・・・・・・・・140g
水・・・・・・・・・1800cc
【作り方】
1 蓮の実は水につけてやわらかくしておく(約2時間)。
2 白米と大麦は洗い、水を切って15分空気にさらす。
3 土鍋に分量の水、白米、大麦、蓮の実を入れ、強火→(沸騰したら)弱火で30分たく。
4 火を止めたら、蓋をしたまま15分そのまま蒸らす。
5 お粥を器に盛る。
【レシピの効果】
蓮の実には、心機能を高め、精神を落ち着けてくれる効能があります。蓮の実は、夏の薬膳の代表的な食材です。眠れない、汗が多いなど、夏特有の症状が出たときにもおススメの食材です。蓮の実を使ったお料理をしていると、「ああ、今年も夏がきたんだな」と感じます。最近はインターネットで簡単に手に入るようになりましたね。簡単に作れる美味しいお粥ですので、是非ご家庭でも作ってみてください。
【レシピNO2】
【材料(2人分)】
ゴーヤ・・・・・・・・・・1/2本(80g)
梅干し・・・・・・・・・・大1個
白胡麻・・・・・・・・・・大さじ1
かつお出汁・・・・・・・・25cc
きび砂糖・・・・・・・・・・小さじ1
しょうゆ・・・・・・・・・・小さじ1/2
【作り方】
1 ゴーヤは中ワタを取り、5mm幅に切る。切ったゴーヤを、湯から1分茹でる。
2 かつお出汁、きび砂糖、しょうゆを混ぜ合わせ、1のゴーヤを加え、ラップをかけて10分置く。
3 梅干しは種を取って包丁でたたき、梅肉にする。
4 梅肉と白ごまを2に加えあえる。器に盛る。
【レシピの効果】
沖縄でよく食べられているゴーヤ。ゴーヤチャンプルーなどのお料理でも有名ですよね。今回はそのゴーヤを梅肉あえにして、さっぱりとした味わいの副菜にしました。ゴーヤには身体の余分な熱をとってくれる作用があります。今回使用した梅は福井のくろ梅です。ゴーヤの苦みに、くろ梅の深くて渋い酸味が食欲をそそります。特に暑い一日の終わりに、ご家族で召し上がってくださいね。
【レシピNO3】鶏肉ロール ハト麦ハーブソースを添えて
【材料(2人分)】
鶏むね肉・・・・・・・・・1枚(300g)
いんげん・・・・・・・・・2本
山芋・・・・・・・・・・・30g
人参・・・・・・・・・・・30g
塩・・・・・・・・・・・・・少々
タイム・・・・・・・・・・・2本
(ハト麦ハーブソース)
ひよこ豆(茹)・・・・・・・・40g
ハト麦・・・・・・・・・・・15g
タイム・・・・・・・・・・・2本
ローリエ・・・・・・・・・・2枚
塩・・・・・・・・・・・・・小さじ1/2
チキンスープ・・・・・・・・200cc
水溶き片栗粉・・・・・・・・・大さじ1対1
【作り方】
1 ハト麦はたっぷりの湯で茹で、柔らかくしておく(約25分)。
2 鶏肉は余分な脂身や筋をそぎ落とし、厚さが均等になるように切込みをいれ、塩をふっておく。山芋、人参は皮をむき、鶏肉に巻けるよう細長く切る。インゲンも同様にする。
3 1の鶏肉の水気を拭いて板の上に広げ、手前のほうに、山芋、にんじん、いんげんを均等にのせて巻く。タイムを鶏肉にのせ、全体をたこ糸で巻く。
4 湯気の立った蒸し器に4のロール鶏肉を入れ、約15分蒸す。
5 鍋にソースの材料(水溶き片栗粉以外)を加え、弱火で約6分煮る。タイム、ローリエを取り出し、水溶き片栗粉でとろみをつける。
6 ロール鶏肉のタコ糸をはずし、ロール鶏肉を2センチ厚さに切る。
7 器に6の鶏肉を載せ、5のソースを添えるようにかけ、タイムを飾る。
【レシピの効果】
ハト麦をはじめ、タイムやローリエには、カラダに溜まった余分な湿を排出する効果があります。梅雨に引き続いて湿度の高い日本の夏を乗り切るためのデトックスレシピです。薬膳の世界では、調味料にも効能があるため目的と合わない調味料を使うことはできません。そのため食材で味を出すことが多く、今回はハーブを使って味を出しました。ハーブとチキンの優しい風味をお試しくださいね。
【まとめ】
これから本格的に始まる夏の季節。急に暑くなるとカラダがついていけなくて、食欲が落ちることもありますよね。そんなときは、さっぱりとした薬膳料理を食べて乗り切りましょう!きっと、食べていくごとに身体が楽になっていくのを感じると思います。
「薬膳料理で楽しく美味しく体質改善」。ご自宅でも作れるカンタン薬膳料理。夏の時期の暑さ対策に薬膳を取り入れてみませんか。
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SATOE
薬膳料理研究家。国際薬膳師。「薬膳ハウス金木犀」主宰。株式会社金木犀代表。株式会社LeQUALIA共同代表。
約12年にわたり公務員として勤務。自身の体調不良をきっかけに薬膳と出会い、薬膳料理家に転身。福岡市内の料理教室「薬膳ハウス金木犀」を主宰。メディア出演や情報誌などでもコラムを掲載。「楽しく美味しく体質改善」をテーマに、ハーブやスーパーフードも取り入れた新たな薬膳料理を提案。