
人生100年時代。医療の進歩で長生きが当たり前になった一方、介護の現場では「施設に入れば安心」と考えていた人々が、思い描いた暮らしとはまるで異なる現実に直面する例が増えています。
約20年にわたり老人福祉施設を運営している「有限会社 祐拓開(ゆたか)」が得た経験をもとに設立した施設「トキノワ」は、その現実を変えたいという思いから生まれたシニアレジデンス。約530坪の敷地に5世帯ずつが入居する2つの棟と、入居者が自由に使える日本家屋を配した造り。介護・看護の専門家が常駐しつつ、あえて段差を残した設計や入居者の「できること」を引き出し、身体機能や生きがいを守りながら、自立をささえる"現場の知恵"を取り入れています。
詳しいお話を、代表取締役の山岡茂美さんにお伺いしました。
お話を聞いた人

有限会社 祐拓開(ゆたか):代表取締役 山岡茂美(やまおかしげみ)さん
3人の子どもの育児をしながら37歳で有限会社 祐拓開を創業。福岡県筑紫野市で住宅型有料老人ホーム「みんなのうた」、「トキノワ」を運営している。
目次
「介護が必要になってから考える」
それでは遅すぎるという現実
――老人福祉施設の運営経験20年を通して感じた深刻な課題は何ですか?
山岡:多くの人は、親や自分の老後を「まだ先のこと」として捉えています。今はまだ元気なので、「介護が必要になった時に考えればいい」と思っている方がほとんどです。しかし、現場はとても厳しい状態。介護人材不足やサービスの限界によって、望んだ施設に入れない、あるいは入ってから孤独や役割の喪失に直面するケースが増えています。
そもそも「施設に入った後どうなるのか、どんな毎日を過ごすのか」という想像ができていないため、実際に施設に入所後「自分が思い描いてきた未来」とは異なってしまうことがほとんど。そのため、「きっと元気でまだまだ頑張れる」と思っていた方が、生きる希望を失い頑張れなくなってしまう……というケースも数多く見てきました。人は自分の役割を失った時、できることをしなくなった時、急激に元気を失ってしまうのです。
まずは70代・80代になった自分の一日、社会での役割、周囲との交流について想像し、言葉にしてみてください。それが老後をいきいきと過ごすための第一歩になります。
老後資金は「介護」のためではなく、
「介護にならないため」の投資
――老後や介護の問題は、資金があれば解決できるのでしょうか?
山岡:「老後資金=安心」と考えがちですが、その使い道によって人生の質は大きく変わります。老後資金は「生活費+介護費」ではなく、「生活費+介護にならないための投資」であるべきだと私は考えています。
大切な老後資金を、施設に入り介護してもらうために使うのか、最期まで自分らしく元気に過ごすために使うのか。どちらの方が良いのかは、明らかですよね。自分らしく過ごせる場所をつくること、周囲との良い人間関係を築くこと、そうしたことに早くから"投資"しておくことが、幸せな老後につながるのではないでしょうか。
そういった考えから、元気で過ごすための環境が整い、自分らしく生活し続けられるコミュニティづくりができる「トキノワ」をオープンさせました。
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シニアレジデンス「トキノワ」不便さを一つ手放すと、
できなくなることが一つ増える
――「トキノワ」での暮らしには、介護にならないためのどんな工夫があるのでしょう?

山岡:年齢を重ねて体を動かすことが億劫になると、人はより便利で快適な環境を求めて楽をしたり、自分でもまだできることを誰かに任せるようになります。でも、不便さを一つ手放すと、できなくなることが一つ増えてしまうんです。
「トキノワ」は人生の最期のときまで寄り添うことを前提とした施設ですが、従来の施設とは様々な違いがあるのが特徴です。そのひとつが、普通は取り除くべき"段差"をそのままにした、一見「高齢者にやさしくない」造り。きっと多くの方が「どうしてバリアフリーになっていないの?」と驚かれるでしょう。でも、その「段差を乗り越える」というちょっとした行動が、足腰を弱らせない秘訣になるのです。

また、「トキノワ」では何もかもスタッフがしてくれるわけではありません。誰かにしてもらうだけではなく、それぞれが自分らしい役割を持ちながら暮らしていきます。「自分でできることはできるだけ自分でする」方針なので、スタッフはあくまでもいざという時のサポート役。本当はまだ自分でできることでさえお世話してもらうようになると、高齢者の衰えは急激に進みます。そんな姿を多く見てきたからこそ、「トキノワ」には長く元気でいるための工夫を取り込みました。
一人ひとりがいくつになっても輝く
地域のパワースポットのような場所に
――「トキノワ」でどのような人生を過ごしてほしいと考えていますか?

山岡:自分の好きなこと、やりたいことをいつまでも楽しんで、自分らしく輝いてほしいと考えています。だからこそ私たちは、お一人おひとりがたとえ90歳になってもすばらしい人間関係を育み、日々成長していけるようなサポートをするのが使命。いくつになっても「自分がどう生きていきたいか」を大切にし、地域の中で輝く存在になることで、次の世代の"良いお手本"になってほしい。だって、高齢者が元気で輝いていると、自分の将来にも希望が持てますよね。そんな方がたくさんいる地域のパワースポットのような場所。それが「トキノワ」の目指す姿です。

元気で早いうちにご入居いただければ、時間をかけ、じっくりと他の入居者さまたちとの人間関係を構築することができる上に、この場所を活用して、例えば「パン教室」や「料理サークル」を新たに始めることもできます。また、ご夫婦での入居をお考えであれば、たとえどちらかに介護などのサポートが必要になったとしても、安心していっしょに暮らし続けることができるのも魅力です。
誰かにとっての「幸せな人生」が、皆にとってのそれとは限りません。私たちはこの場所で入居者さまに寄り添いながら、お一人おひとりにその方らしいオーダーメイドのシニアライフを用意できたらと思っています。

施設情報
住宅型有料老人ホーム「トキノワ」
URL:https://tokinowa.life/
運営開始日:令和6年9月1日
対象者:自立、要支援1・2、要介護1・2
類型:住宅型有料老人ホーム
総室数:10部屋
居室区分:独居、夫婦(2人)
住所:福岡県筑紫野市湯町1丁目13-7
会社情報
会社名:有限会社 祐拓開(ゆたか)
創立:平成17年12月14日
代表者:山岡茂美
所在地:福岡県筑紫野市二日市北3丁目1-23
TEL:092-921-5070
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プランナー、編集者、ライター、ディレクター
大学卒業後、印刷会社に就職し『FUKUOKASTYLE』編集部に所属。独立後は企業や官公庁、大学などの広報物の編集・取材・ライティング等に携わる。現在は福岡市内でクリエイティブオフィス「shirotoiro」を運営。プランナー・編集者・ライター・ディレクターとして活動しながら、エステサロン「momotoiro」の運営も行う。食べることが大好きですが、グルメライターではありません。








