結婚

結婚式のプロ「ウエディングプランナー」に聞く 心に残る結婚式の作り方とは。

ララシャンス 藤本くるみさん ウエディングプランナー

結婚式には欠かせない存在となってきた「ウエディングプランナー」。結婚式の準備から式当日までを総合的にサポートしてくれる、新郎新婦にとって心強い存在です。

ウエディングゲストハウス「ララシャンス博多の森」に勤務する藤本くるみさんはプランナー歴7年目、これまでにおよそ330組のカップルをサポートされたのだそう。昨年からはウエディングプランナーリーダーとなり、ますます活躍の場を広げる藤本さんにプランナーになったきっかけやプランナーの仕事、心に残る式の作り方について伺いました。

■プロフィール
藤本くるみさん(30)
アイ・ケイ・ケイ株式会社 ウエディングプランナーリーダー
福岡県筑紫野市出身 会社説明会で何気なく入ったアイ・ケイ・ケイ株式会社のブースで聞いた会長の言葉が心に刺さり、ウエディング業界へ。初任地先は宮崎県。1年半を経て福岡市内へ。現在ララシャンス博多の森でウエディングプランナーのリーダーを務める。

――なぜウエディングプランナーになろうと思われたのですか?

就職活動で参加した総合会社説明会で、「挑戦!」とだけ書いてあるブースがあり、なんの会社だろう?と思って説明を聞いたのが今の会社です。

説明会で会長が言われた「志が変われば意識考え方が変わる、意識考え方が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人格が変わる、人格が変われば運命が変わる、運命が変われば人生が変わる」という言葉にはっと心が動いたんです。

実はこの言葉、ご近所に住む大好きで尊敬しているおばあちゃんが私に教えてくれていた言葉で、大好きな言葉でもあったので運命的なものを感じて、ここにしようと決めました。

初の担当結婚式は台風とともに

最初に勤務したのが宮崎県だったのですが、宮崎は台風が多い地域で、初めて担当をさせていただいたお式の時にも台風の影響でオーダーしていた引き出物が福岡までしか届かず、スタッフが流通センターまで取りに行き宮崎まで届けてくれたり、当日、新郎新婦をお迎えに行けなくなったらいけないとドライバーさんが前日から泊まりで待機したりと、とてもハラハラしたお仕事でした。先輩方の力をお借りして、お陰さまで無事に終えることができましたが忘れられない初の結婚式でした。

軸となるメッセージを見つける

――これまで約330組の結婚式を手がけられたとのことですが、式を迎えるにあたって、大切にしていることはなんですか?

何よりお客さまのお話をしっかりと伺うことです。お客さまが結婚式を挙げたい理由、ご両家の背景など一組、一組それぞれの思いをお持ちです。

ご来館された新郎新婦さまにヒヤリングをしているとお二人が「あっそうだったんだ」とお互いの気持ちや思いを新たに気づかれることがあります。それまで知ることのなかった新郎新婦さまそれぞれの思いが、ウエディングプランナーを通して共有していただけることはとても嬉しく感じています。

何度かのお打合せではお二人の出会いや、ご家族のこと、これまでの生活環境やご趣味、時には学生の時のことやお仕事のことなどもカウンセリングさせていただきます。その中に二人のお式の軸となるメッセージが必ずあるのでそれを見つけ、私たちもその軸を大切に当日にむかっています。

ベストではなくパーフェクトの姿勢で

――軸となるメッセージを挙式、披露宴という形にしていくにはどのような準備をされるのですか?

結婚式に向けてベストではなくパーフェクトで当日を迎える姿勢で取り組んでいます。それはプランナーだけでなくサービスクリエイター、厨房シェフ、カメラマンなどスタッフ全員の価値観ですので、私も新郎新婦のメッセージ、思いをパーフェクトに実現するためにそれぞれのセクションのスタッフに相談してアイディアを出し合って準備をしていきます。

軸となるメッセージから生まれるさまざまな演出

――一組、一組思い出深いお仕事だと思いますが、どのような演出があったのですか?

新郎さまのご実家が青森県ということで、カウンセリングを行ってる間に、ほんとは出席なさるはずのおばあさまがコロナの影響で出席できないとうかがいました。新郎さまにとって、小さい頃からおばあさまが作ってくれる手作りの煮リンゴは思い出深いということ、福岡市出身の新婦さまと青森県を訪れ、おばあさまの煮リンゴを一緒に食べた日にプロポーズをされたとのことで、お二人にとっても忘れられない大切な思い出とのメッセージを受け取り、おばあさまのリンゴを結婚式の軸にしたいと思いました。

乾杯はりんごシールド

カメラマンやサービススタッフ、厨房スタッフと相談をして乾杯のドリンクをりんごシールドにして、お二人の乾杯ドリンクに込めた想いを綴った手作りのペーパーアイテムをご紹介しました。

出身地の「日本酒BAR」コーナー

お二人ともお酒がお好きで日本酒居酒屋が初デートだったということでしたので結婚式のコンセプトを"Cheers!乾杯の数だけ幸せになれる"としてご提案しました。「良いことがあったら乾杯して、残念な時も乾杯をして、一日の終わりをきみと乾杯ができたらそれが幸せ」そんなご夫婦になっていただきたいという思いを込め、ゲストの皆さまにもたくさん乾杯をしていただくために「日本酒BAR」コーナーを作り、お二人の地元のお酒をご用意しました。

青森のおばあちゃんのリンゴがデザートに

デザートはおばあさまから煮リンゴのレシピを教えていただきシェフ特製で「スペシャルデザート"おばあちゃんのあの味をララシャンスアレンジで"」 というネーミングにしてゲストにふるまいました。

各部門のプロが集結、こだわりをカタチに

新郎新婦さまからウエディングケーキを「洋風だけど和装に合うような今までにないケーキにしたい」というご要望があり、ケーキデザインの打合せに10回程行ったくらいこだわりのケーキとなりました。

ドリップケーキ

ケーキにつけたチョコレートプレートの色合いを仮作成して一つひとつパティシエと新婦さまと確認したり。お二人のこだわりのひとつがドリップケーキの演出でしたので、ソースをかける10秒ほどの瞬間を素敵なシーンとして撮影できるように、お二人の立ち位置、ソースをかける角度とタイミング、アングル、光の具合など詳細に配慮して前日にはスタッフとリハーサルも行い式を迎えました。

一度きりのことですのでとても緊張する場面でしたが、演出を重視される新郎新婦さまが披露宴の最後に「最高~!」という言葉で会場を後にされた時は満足いただけたことに、ホッとするとともに私も感動しました。

新郎新婦さまの期待を超えたパーフェクトな結婚式にすることを常に心に留めてプランニングしています。私だけでは決して作れないものですがそれぞれの部門がプロとして私の相談を受け止めて取り組んでくれるのが何より頼りになります。

その瞬間に立ち会える感動

――これまでに忘れられない結婚式のエピソードを教えていただけますか?

ほんとに思い出深いお式ばかりなのですが、お父様が式をすることにとても反対されているご家族がいらっしゃいました。お父様は初めてお会いした時からとても不機嫌で当日会場に来られた時もお気持ちは変わりない態度を取られていました。

私たちも正直、いろいろな事態を想定して対応の準備をしていました。挙式が始まりウエディングロード、新郎新婦の誓い、披露宴での参加者の演出やお二人からの家族へのメッセージが届けられ、無事に結婚式が終わりました。

すると会場外に出たお父様が新郎新婦に近づきお二人を抱き寄せ、泣きながら「ありがとう。みんなを呼んでくれてありがとう。結婚おめでとう。」と言葉にされていのです。

結婚式をすることで、家族や親族、関わる人たちの関係性が修復する、回復することがあるんだって、その可能性があるんだって体感させていただきました。そんな瞬間に立ち会えるお仕事だということにも改めて実感し、結婚式の奥深さに気づいた忘れらないお式でした。

日本一のウエディングプランナーを目指して

――これからウエディングプランナーとしてやってみたいことなどはありますか?

年に一度「グッドウエディングアワード」というコンテストがありそれに挑戦して日本一を取りたいと思っています。1年間のうちで携わらせていただいた1つの結婚式をテーマにカウンセリングからプランニング、当日までに起こる課題をどのように超えてきたかなどをプレゼンテーションするものですが、ウエディングプランナーリーダーとしてグランプリを取ってもっといい結婚式を作っていきたいと思っています。

まとめ

お客さま一組ごとに違うストーリーがあって提案できるものが無限にあり、パッケージ化できない奥深さがある。人生において掛け替えのない時間を提供することができるお仕事だからこそやりがいを感じていますと話してくれた藤本さん。ご近所のおばあちゃんからの言葉がきっかけでこの世界に入ったというところも、まっすぐで透明感のある女性だと取材の中で伝わってきました。落ち着いた言葉選びからも冷静にことを判断し、様々なハードルをしなやかに乗り越えてきた人なのだと感じました。人生の中で大きなイベントの一つ、結婚式を成功させるには安心して、相談できる、任せられるプロの存在は心強いですね。

■Wedding&Party House ララシャンス博多の森
https://www.ikk-wed.jp/hakatanomori/

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