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福岡の代表的な方言一覧|よく使われる博多弁・北九州弁・筑後弁・筑豊弁18選も紹介

福岡の方言は、テレビやネットでも「女性が話すとかわいい方言」として人気です。

しかし、福岡の方言と言っても「博多弁」「北九州弁」「筑後弁」「筑豊弁」の4種類があることをご存知ですか?

これらの方言は、語尾や使われる言葉などが違い、同じ福岡県民でも方言が違えば意味がわからないことさえあるのです。

福岡の方言の種類や、博多弁・北九州弁・筑後弁・筑豊弁の代表的な方言をご紹介します。

福岡の代表的な方言4選 

福岡で話されている方言は主に4種類です。

  • 博多弁|福岡市を中心に使われる方言

  • 北九州弁|北九州市を中心に使われる方言

  • 筑後弁|久留米市を中心とする筑後地方で使われる方言

  • 筑豊弁|飯塚市など筑豊地方で使われる方言

県外の人が聞くと、どの方言も変わらないように感じるかもしれませんが、福岡県民にとっては、イントネーションや語感がまったく違います。

そのため、博多弁の人が筑後弁の人と話すと「出身は筑後のほうかな?」と分かってしまうほどです。

博多弁|福岡市を中心に使われる方言 

博多弁は、福岡市を中心に使われている方言です。

「〜と?」「〜けん」「〜たい」「〜ろうもん」というように、語尾が変化することが多く、可愛らしい方言として県外の人から人気があります。

また、テレビやネットなどで「福岡の方言」というときは、博多弁を指すことがほとんどです。

福岡市以外では、春日市や筑紫野市、大野城市、太宰府市、糟屋郡、糸島市など、福岡市周辺の郊外で使われています。

北九州弁|北九州市を中心に使われる方言  

北九州弁とは、北九州市を中心に話されている方言です。北九弁(きたきゅうべん)や小倉弁と言われることもあります。

「〜ちゃ」「〜ち」など、博多弁にはない語尾が登場するのが特徴です。また、博多弁の疑問文が「〜と?」で終わるのに対し、北九州弁では「〜ん?」と変化します。

【例】
博多弁:何しようと?(何しているの)
北九州弁:何しよん?

北九州市以外では、遠賀郡や行橋市、豊前市、京都郡、築上郡などの地域で使われています。

筑後弁|久留米市を中心とする筑後地方で使われる方言

筑後弁は、久留米市を中心とする福岡県南部で使われている方言です。

筑後弁では「〜ばい」「〜けん」「〜たい」をよく使うため、訛りが強いと感じたり、博多弁や北九州弁と比較して方言がきつく思われたりすることもあります。

特に、年配の方が話す筑後弁は、同じ福岡県民でも筑後弁話者でない限り、聞き取れないこともあるほどです。

久留米市以外では、筑後市や朝倉市で使われており、久留米市に隣接する佐賀県鳥栖市の方言とも似ています。

筑豊弁|飯塚市など筑豊地方で使われる方言

筑豊弁は、飯塚市など筑豊地方で使われる方言です。

筑豊弁では「〜き」「〜ばい」をよく使うため、筑後弁と同様に、訛りが強いと感じられることもあります。

しかしアクセントは、福岡県内ではもっとも標準語に近いとされています。また、イントネーションも比較的標準語に近く、聞き取りやすいのが特徴です。

筑豊弁はおもに、飯塚市や田川市、直方市、鞍手町などの地域で使われています。

よく使われる博多弁一覧 

博多弁で日常的に使われる代表例をご紹介します。

  • なんしようと?

  • ばり〜

  • からう

  • 〜たい

  • 〜やけんね

  • 〜ろうもん

  • なおす

何となく意味が想像できるものから、標準語では違う意味を指す言葉など、博多弁はバリエーションが豊かな方言です。

なんしようと?

博多弁で「なんしようと?」とは「何をしているの?」という意味です。

とても万能な博多弁で、純粋に何をしているかを聞きたいときや、久しぶりに会った友人に「こんなところで会うなんてびっくり!」というニュアンスでも使えます。

【例文】
(電話で)「今なんしようと?」「読書しとるよ」
(久しぶりに会った友人に)「なんしようと〜!元気?」「元気!久しぶりやね〜」
(怒っているとき)「なんしようと!早くしなさい!」

ばり〜

博多弁で「ばり」とは「かなり」「とても」という意味です。

形容詞や動詞の前につけて、言葉を強調したいときに使います。

ばりの由来は、英語の「very」を「バリー」と読み間違えてしまったことと言われています。

【例文】
「ばりお腹すいた〜」(とてもお腹がすいた)
「ばりかわいい!」(とてもかわいい!)
「ばり歩いたけん疲れた」(かなり歩いたから疲れた)

からう

博多弁で「からう」とは、ランドセルやリュックを背負うという意味です。赤ちゃんをおんぶするときにも使われます。

福岡県の人にとって、ランドセルといえば「からう」ものです。それほど福岡県民に染みついている方言で、方言だと知らずに県外で指摘されて初めて方言と知った福岡県民も少なくありません。

【例文】
「ランドセルをからう」(ランドセルを背負う)
「ちゃんとからっとかんといかんよ」(きちんと背負っていないとだめだよ)

〜たい

博多弁で「〜たい」とは「〜なんだよ」「〜なんだよね」といった意味です。

とてもカジュアルに使われる方言で、家族や友人との会話で多く登場します。

女性の場合は「〜たいね」(〜なんだけどね?)と柔らかい表現で話す人も多い方言です。

【例文】
「今、忙しいったい!」(今、忙しいんだよ!)
「こないだ〇〇食べたったい〜」(この間、〇〇を食べたんだよね、それで〜)

〜やけんね 

博多弁で「〜やけんね」というのは「〜だからね」という意味です。

「〜やけんね」は、理由を表したり、念を押すときに使います。

【例文】
「〇〇くん、東大受かったらしいよ!」「〇〇くん天才やけんね」(〇〇くんは天才だからね)
「明日は6時起きやけんね!ちゃんと目覚ましかけとってね!」(明日は6時起きだからね!きちんと目覚ましかけておいてね!)

〜ろうもん 

博多弁で「〜ろうもん」とは「〜じゃないか」という意味です。

よいという意味の博多弁「よか」と一緒に使うことが多く「よかろうもん」という表現もよく使います。意味は「いいじゃないか」です。

ほかには「しとろうもん」(しているじゃないか)、「寒かろうもん」(寒いじゃないか)といった使い方もあります。

【例文】
「休みの日やけん、ゆっくり寝とってもよかろうもん」(休みの日なんだから、ゆっくり寝ていてもいいじゃないか)
「あんた、そんな格好じゃ寒かろうもん、ちゃんと着なさい」(あなた、そんな格好じゃ寒いじゃないか、きちんと着なさい)

なおす

博多弁で「なおす」とは「片付ける」という意味です。

標準語では「修理する」という意味になるため、福岡県民に「それなおしとって〜」と言われて「どこを修理するんだ?」と困惑してしまうという県外の人のエピソードもよく聞きます。

また「なおす」は、博多弁であることを知らずに使っている福岡県民も多い方言です。

【例文】
「そこのお皿なおしとって」(そこのお皿を片付けておいて)

よく使われる北九州弁一覧

北九州地方でよく使われている代表的な方言をご紹介します。

  • なんち?

  • はわく

  • はらかく

  • きさん

かわいらしいと評判の方言や、少し怖い印象を与える方言までさまざまです。

なんち? 

北九州弁で「なんち?」というのは「何て言った?」という意味です。

相手の言ったことが聞き取れなかったり理解できなかったりして、聞き返すときに使われます。

この「なんち?」のように、北九州弁では「ち」や「ちゃ」が語尾に来るのが特徴です。

【例文】
「ごめん、なんち?」(ごめん、何て言った?)

はわく

北九州弁で「はわく」というのは、ホウキなどを「掃く」という意味です。

標準語と一字しか変わらないため、方言だと知らずに使っている福岡県民も多くいます。

中には、PCで「はわく」を変換しようとしても出てこなかったというエピソードから、「はわく」が方言だと知ったという人もいるほどです。

【例文】
「床はきちんとはわこうね」(床はきちんと掃こうね)
「庭の落ち葉、はわいとって〜!」(庭の落ち葉を掃いておいて〜!)

はらかく 

北九州弁で「はらかく」とは「腹を立てる」「怒る」という意味です。

「はらかく」を漢字で書くと「腹かく」となります。

声を荒げて怒るというよりは「ムスッとする」「ふてくされる」といったニュアンスです。

【例文】
「そげん、はらかかんでもよかろうが」(それほど腹を立てなくてもいいでしょうが)

きさん

北九州弁で「きさん」とは「貴様」という意味です。

どちらかと言えば、ヤンキーや柄の悪い男性が使う言葉で、汚い言葉として使われています。

「きさん」を使うと、口の悪い人という印象を持たれるため、日常使いはあまりおすすめできません。

【例文】
「きさん、なんしよんかわかっとーとや?」(貴様、何をしているのか分かっているか?)

よく使われる筑後弁一覧

久留米市を中心とした筑後地方で使われる代表的な方言をご紹介します。

  • いん

  • こがしこ

  • ばさらか

  • くらす

筑後弁には、同じ福岡県民でも博多弁・北九州弁を使う人には意味が分からない方言も多いのが特徴です。

いん

筑後弁で「いん」とは「犬」という意味です。

筑後弁を知らなければ、まったく意味が分からない方言ですよね。

【例文】
「〇〇さんとこのいんは何ていう名前ね?」(〇〇さんのところの犬は何ていう名前なの?)

こがしこ 

筑後弁で「こがしこ」とは「これだけ」という意味です。

年配の世代が使うことが多い方言で、量を表すときに使われます。手のひらサイズのものを示す際にも使われる方言です。

【例文】
「今日の晩ご飯、こがしこ?」(今日の晩ご飯、これだけ?)

ばさらか 

筑後弁で「ばさらか」とは「たくさん」「とても」という意味です。

先ほどの「こがしこ」とは逆で、たくさんある様子を表しています。

筑後弁では「ばさらか」以外にも「ぎゃん」「きんなしか」「くう」という方言も「たくさん」を表す方言です。

【例文】
「ばさらか食べたけん、お腹いっぱい」(たくさん食べたけん、お腹いっぱい)

くらす

筑後弁で「くらす」とは「打つ」「たたく」「殴る」という意味です。

「くらす」は、博多弁や北九州弁でも使われています。ヤンキーや柄の悪い男性が喧嘩などで使うことが多く、怖い表現の方言です。

方言の意味を知らない人は「暮らす」と混同しそうですが、暴力的な表現ですので、日常生活で聞く機会はあまりないでしょう。

【例文】
「きさん、くらすぞ!」(貴様、殴るぞ!)
「あんま生意気なこと言いよったら、〇〇さんにくらされるぞ」(あんまり生意気なこと言っていたら、〇〇さんにたたかれるよ)

よく使われる筑豊弁一覧

筑豊地方で使われる代表的な方言をご紹介します。

  • 〜き

  • ばっさ(ばさら、でたん)

  • とんぴんつく

筑豊地区は、大きく飯塚(嘉飯山)地区・田川地区・直方(直鞍)地区の3地区に分かれており、それぞれで利用される言葉にも若干の違いがあります。
特に田川地区は旧豊前国に属していたことから、旧筑前国の飯塚・直方地区の言葉とは違いがあるケースが多いです。

〜き

筑豊弁で使う「〜き」は「〜から、~だから」という意味です。

接続助詞として使います。

【例文】
「そげん言うき、やったんばい」(そう言うから、やったんだよ)

ばっさ 

筑豊弁で「ばっさ」はどれも「とても」という意味です。
ただし同じ筑豊の中でも、エリアなどによって「ばさら」や「でたん」など、他の言葉を使うこともあります。

どれも意味を知っていないと、まったくわからないですね。

【例文】
「これ、ばっさ(ばさら、でたん)うまか!」(これ、とても美味しい!)

とんぴんつく 

筑豊弁で「とんぴんつく」とは「調子に乗る」「ふざける」などという意味です。

この言葉も、意味を知らないとまったくわかりません。

【例文】
「こら!またとんぴんついてから!」(こら!また調子に乗って!)

福岡の代表的な方言一覧 

福岡でよく話される代表的な方言をご紹介しました。

福岡の方言は大きく分けて「博多弁」「北九州弁」「筑後弁」「筑豊弁」の4種類です。それぞれの方言で、語尾や使われる言葉が違うのがおわかりいただけたと思います。

福岡の方言には、福岡県民も方言と知らずに使っている言葉も多いため「どういう意味?」と疑問に思ったら、素直に聞いてみましょう。

「〜やけん」「〜と?」は比較的話しやすい福岡の方言なので、福岡の方言がわかるようになってきたら、少しずつ福岡の方言を話してみると、コミュニケーションが円滑になりますよ!

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