カルチャー

福岡の難読地名や読み方を紹介|由来と合わせて解説

日本各地には難しい読み方の地名がたくさん存在しています。
地域の歴史や言葉、地形に由来していることが多く、同じ県民でも読めない地名があるのではないでしょうか。
そこで今回は福岡県の難読地名を10か所ご紹介します。

読み方はもちろん、地名の由来まで詳しく解説します。福岡に住み始めたばかりでまだ地名に慣れていない人などは、ぜひ参考にしてください。

福岡という地名は岡山に由来する

都道府県の県名は、地形や土地、歴史に由来することがほとんどです。福岡県の「福岡」は、岡山県瀬戸内市にある「福岡」という地名に由来しています。

江戸時代、黒田如水・長政親子が関ヶ原の戦いで勝利した功績として、筑前(今の福岡)の土地を徳川家康より渡されました。

親子は黒田の殿様がもともと住んでいた土地が岡山の「福岡」という地名であったことから、もらった筑前の土地一帯を福岡と名付けたのです。

福岡が岡山の地名に由来していることは、福岡県民にも意外と知られていない事実でしょう。

(参照:国立国会図書館レファレンス

福岡県の難読地名10個を紹介

福岡市にある難しい読み方の地名を10か所ご紹介します。いずれも初見ではなかなか読めない地名です。地名の由来も合わせて解説します。

地名

読み方

場所

早良

さわら

福岡市早良区

百道

ももち

福岡市早良区

前原

まえばる

糸島市

宗像

むなかた

宗像市

別府

べふ

福岡市城南区

直方

のおがた

直方市

野芥

のけ

福岡市早良区

中寒水

なかそうず

朝倉市

雑餉隈

ざっしょのくま

大野城市

目尾

しゃかのお

飯塚市

早良(さわら)

早良は「さわら」と読みます。早良区は、福岡市を構成する7つの行政区の1つです。福岡市の中西部から南部に位置し、南北に長く福岡市の区で最も広い面積を有しています。

早良は区名にもなっているため、福岡市に住んでいる人は読める人も多いでしょう。しかし福岡県外の人は、初見で読むことが難しい地名です。

早良の地名の由来は主に2つあります。1つめは古来この地に縁があった「早良臣(さわらのおみ)」に由来する説、2つめは周辺の気候にちなんで「さわらぐ(乾燥する)」から転じたという説です。

観光スポットには、福岡を代表するタワーやドームなどがあり、西新周辺には商業施設も立ち並んでいます。したがって早良区は福岡市の西の副都心となっています。

百道(ももち)

百道は「ももち」と読みます。福岡市早良区にある地名です。

ももちと名の付く公園や商業施設もあり、福岡県民にとっては慣れ親しんでいる地名です。しかし県外の人が、百道を初見で読むのは難しいでしょう。

百道の地名の由来は、はるか昔この地が干潟であった頃までさかのぼります。干潟を往来する人々の足跡が、東西縦横に交差する様を「百の道」と表し、転じて「百道」となったそうです。

また異説では、百道の語源が「揉み地」であったともいわれています。この地が元寇の合戦場で、両軍が揉み合った地であることが由来です。

地域としては小さいながら、百道浜には砂浜のある大きな公園や博物館など福岡を代表する観光スポットがあります。

前原(まえばる)

前原は「まえばる」と読みます。糸島市にある地名です。読み方を知らないと「まえはら」や「まえばら」と読んでしまうでしょう。

前原は1992年に前原市となりましたが、2010年に隣りの町と合併し糸島市となりました。糸島半島の海側ではなく、半島の付け根あたりのエリアです。

昭和には商店街で多くの買い物客が賑わいましたが、平成に入ると商店街はシャッター街となり賑わいがなくなりました。

しかし近年の糸島の人気上昇に伴い、前原エリアも活性化しています。いわゆる糸島の写真映えするような観光スポットはあまりありませんが、飲食店や商業施設が多く住みやすい地域です。

また鉄道沿線の街のため車がなくてもアクセスしやすく、糸島の観光や海へも行きやすいでしょう。

宗像(むなかた)

宗像は「むなかた」と読みます。福岡県の北東部に位置し、福岡市と北九州市のほぼ真ん中にある市です。

2017年にユネスコの世界文化遺産に登録された島と神社があることで全国的にも有名になったので、福岡県外にも読める人は意外と多いのかもしれません。

宗像の地名は、宗像の三女神が降臨、鎮座したときに形代(神が宿る人形)を奉斎し、「身の方(みのかた)」と称したことに由来します。

神社や世界遺産の島など歴史溢れる観光スポットだけでなく、福岡市と北九州市への交通の便も良好な住みやすいエリアです。

別府(べふ)

別府は「べふ」と読みます。福岡市城南区にあり、地下鉄の駅名にもなっている地名です。

大分にある別府(べっぷ)と同じ漢字ながら読み方が異なります。福岡県外の人はもちろん、県内在住でも間違えて読んでいる人がいるのではないでしょうか。

別府という地名は、別符に由来しているといわれています。別符は別勅符田(べっちょくふでん)の略で、功績を上げた役人に与えた土地という意味です。

じつは大分の別府も同じ由来で名づけられています。また全国に同じ別府という地名が20か所ほどあり、べふ・べっぷ・びゅうなどと読まれています。

福岡の人気エリア六本松から地下鉄で隣の駅ということもあり、住宅地としても注目度の高いエリアです。

直方(のおがた)

直方は「のおがた」と読みます。福岡県の北部に位置し、筑豊地方を構成する街の1つです。

直方の地名の由来は、この地にあった小村「直方(能方)村」の読みを取り、縁起の良い「直方」の字を当て命名されたといわれています。

また命名にあたっては南北朝時代にこの地方が、懐良親王(かねながしんのう)方、つまり王方(のうがた)であったことにちなんで呼ばれたともいわれています。

直方市は明治から昭和にかけて炭鉱の町として栄えていました。また人力車発祥の地ともいわれており歴史深い街です。

市内には山や川などがあり、豊かな自然にあふれています。山の麓の大きな公園では四季折々の花が咲き、桜の季節には多くの人で賑わいます。

野芥(のけ)

野芥は「のけ」と読みます。福岡市早良区にある地名です。

地下鉄の駅にもなっている地名のため、福岡市民は読める人も多いでしょう。

野芥の名前の由来は地形によるものといわれています。近くの山で大規模な山崩れが発生して、流れ出した大量の土砂が野芥あたりを埋めてできた土地だそうです。

地滑りが起きた土地ということで、土地が「抜ける」から「ぬけ」、さらに転訛して「のけ」となりました。

早良区の中部に位置している野芥は、南北に国道が走っており商業施設が立ち並んでいます。周辺は住宅地になっており住みやすいエリアです。

中寒水(なかそうず)

中寒水は「なかそうず」と読みます。朝倉市の北西部にある小さな地域です。

簡単な漢字の組み合わせですが、福岡県民でも読むのは難しいでしょう。寒水という漢字は「かんすい」、「そうず」などと読み、苗字にも使用されています。

中寒水には遺跡があり中国式の銅剣が発見されました。銅剣は県指定の考古資料となっています。国内では長崎県壱岐などの限られた地域からしか出土していない貴重な資料です。

形状から朝鮮半島でつくられて、弥生時代に日本に持ち込まれたものと考えられています。

雑餉隈(ざっしょのくま)

雑餉隈は「ざっしょのくま」と読みます。行政区名としては大野城市にある雑餉隈町に限られますが、福岡市博多区南部と大野城市西部にまたがる地域の通称として用いられることが多いです。

雑餉隈は全国随一の難読地名として、しばしば話題にあがります。しかし駅名になっている地名ですので、福岡県民は読める人も多いでしょう。

雑餉隈の「雑餉」とは「人をもてなす食や酒、贈り物」という意味です。

この地域が太宰府へ向かう人々をもてなす店が多く連なっていた場所であったこと、または太宰府の官人の雑掌居があったことが名前の由来となっているそうです。

雑餉隈は商店街や昔ながらのお店が多く、懐かしい雰囲気を楽しめるディープなエリアです。

目尾(しゃかのお)

目尾は「しゃかのお」と読みます。福岡県中部に位置する飯塚市にある地名です。

漢字自体は簡単ですが、初見で読める人はほとんどいないでしょう。

目尾という地名は、律令制の時代に目(さかん、さくわん)と呼ばれる地方の役人が住んでいた地域であることに由来します。

目尾は飯塚市の中央を流れる川沿いにある小さな地域です。現在は住宅や田園、山林が広がる緑豊かなエリアです。

しかし明治~大正時代には、蒸気を利用したポンプを筑豊地域で初めて使用した炭坑がありました。すでに廃鉱していますが、炭田遺跡群は国指定の史跡に認定されています。

日本の古い地名はもとの自然を、新しい地名は無形物や人工物を由来とすることが多い

日本の古くからある地名は、もとの自然や特定の自然物に由来することがほとんどです。一方、比較的新しい地名は人工物や無形物といった文化に由来することが多いです。

自然が背景となる地名は大きく3つに分けられます。

  • 地域の地形や地質の状況が由来

  • 地域の特定の植物に由来

  • 地域に生息していた動物に由来

自然が背景となった4つの地名と由来です。

自然が背景の地名

由来

岩手県・吉里吉里(きりきり)

砂浜を歩くとキリキリと音がする

徳島県・大歩危(おおぼけ)

大股で歩くと危険な峠

大阪府・薬樹山

薬草が多い山

青森県・狼森(おいのもり)

狼が生息している地域

つぎに文化が背景となった地名の主な由来を2つご紹介します。

  • 街道や峠などの交通地名

  • 生産、職種による経済地名

文化が背景となった3つの地名と由来です。

文化が背景の地名

由来

石川県・動橋(いぶりはし)

人が通ると揺れる橋があった

兵庫県・淡路島(あわじしま)

阿波への道のりにあった島

京都府・太秦(うずまさ)

渡来人「秦氏」に由来

紹介した地域は、ほんの一握りです。自分の住んでいる地域の名前を調べてみても、意外な発見があるかもしれません。

福岡県の難読地名と読み方まとめ

今回は福岡の難読地名10か所の読み方や由来をご紹介しました。

市や区、駅名になっているような地名は、県民であれば読める人が多いでしょう。

今回紹介した「雑餉隈」も難読地名として全国的に有名ですが、駅名になっているため福岡県民は読める人が多いと思います。

しかしながら小さな地域になると、県民でも読めない地名がたくさん存在しています。地名の由来を考えながら福岡を散策してみるのも楽しいでしょう。

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