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高校でかかる費用はいくら?公立・私立別の金額や知っておきたい支援制度まで

子どもが高校に通うようになると、教育費は中学校とどのくらい違うのでしょうか。高等学校就学支援金制度で高校の授業料が無償化される世帯もありますが、高校でかかる費用は学校教育費だけではありません。この記事では、公立・私立の高校でかかる教育費や公的な教育費の支援制度について解説します。

高校でかかる費用

高校の学費は、公立と私立で大きな差があります。また、学校教育以外にかかる費用も見ておきましょう。

公立高校の費用(全国平均)

公立高校の学費の1年間にかかる学校教育費の合計は30万9,261円で、内訳は以下のとおりです。

入学金等

1万6,143円

授業料

5万2,120円

修学旅行費等

1万9,556円

学校納付金等

3万2,805円

図書・学用品・実習材料費等

5万3,103円

教科外活動費

3万9,395円

通学関係費

9万1,169円

その他

4,970円

学校教育費合計

30万9,261円

出典:文部科学省「2021年(令和3年)度子供の学習費調査

授業料、図書・学用品・実習材料費等以外に、通学関係費が高額な点が目につきます。自宅から離れた高校に通学するケースも多く、個人差が大きな費目といえるでしょう。

福岡県の公立高校の学費(県内平均)

福岡県の公立高校等の入学金と授業料等は、以下のとおりです。

福岡県の公立高校等の入学金

全日制・専攻科・中等教育学校後期課程

5,550円

定時制

2,000円

通信制

470円

福岡県の公立高校等の授業料

全日制・専攻科・中等教育学校後期課程

11万8,800円

定時制(単位制以外)

3万1,200円

定時制(単位制1科目)

1年で履修する科目:130円

半年で履修する科目:260円

通信制(受講料1科目)

300円

出典:福岡県「福岡県立高等学校等の授業料について

私立高校の費用(全国平均)

私立高校の1年間にかかる学校教育費の合計は75万362円で、内訳は以下のとおりです。

入学金等

7万1,844円

授業料

28万8,443円

修学旅行費等

2万6,549円

学校納付金等

11万5,808円

図書・学用品・実習材料費等

6万4,259円

教科外活動費

4万7,013円

通学関係費

12万9,155円

その他

7,291円

学校教育費合計

75万362円

出典:文部科学省「2021年(令和3年)度子供の学習費調査

私立高校は、公立高校の2倍以上の学費がかかります。

福岡県の私立高校の学費(県内平均)

福岡県の私立高校の学費を見てみましょう。

授業料

39万5,612円

入学金

3万9,449円

施設設備費等

18万6,755円

合計

62万1,816円

出典:文部科学省「私立高等学校(全日制)の初年度授業料等について(平成30年度~令和4年度)

福岡県の私立高校は、特に入学金の平均が全国よりも低くなっています。全体的にもかかる学費は低めです。

学校教育以外にかかる費用(全国平均)

学校教育以外にかかる費用には、自宅学習用の費用、通信教育費・家庭教師の月謝、学習塾の月謝などがあります。1年間にかかる費用の平均は、以下のとおりです。


公立

私立

家庭内学習費

2万2,640円

3万1,786円

通信教育・家庭教師費

1万6,301円

2万6,530円

学習塾費

12万397円

17万1,149円

その他

1万2,039円

1万7,174円

出典:文部科学省「2021年(令和3年)度子供の学習費調査

この金額は全学年の平均ですが、学年が上がるごとに金額が上がる傾向があります。

高3で必要になる大学受験費用

高校3年生が大学などに進学する場合、受験費用や入学金がかかります。

受験料はいくらかかる?

2022年(令和4年)の国立大学の受験料は、以下のとおりです。

  • 大学入学共通テスト(3科目以上受験):1万8,000円

  • 大学入学共通テスト(2科目以下受験):1万2,000円

  • 国公立大個別試験(2次試験・標準額):1万7,000円

出典:大学入試センター「令和5年度 受験案内

出典:文部科学省「平成22年度国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について

私立大学の受験料は学校ごとに決められており、目安としては1校あたり3万円から3万5,000円です。複数の学部や選抜方式の受験で割引になる大学もあります。受験する大学の数によっては受験料だけで数十万になるため、受験校選びは慎重にしましょう。

入学金の目安(全国平均)は?

日本政策金融公庫の2021年(令和3年度)「教育費負担の実態調査結果」による、大学の種類ごとの入学費用の中の学校納付金は以下のとおりです。

  • 国公立大学:28万6,000円

  • 私立大学文系:40万6,000円

  • 私立大学理系:46万6,000円

出典:日本政策金融公庫「令和3年度『教育費負担の実態調査結果』

大学に現役合格した場合、高校在学中に入学費用を納付することになります。

高校の学費負担を軽減する支援制度

高校の学費負担は、公立でも小中学校に比べると重くなります。学費の負担が難しい世帯では、公的な制度による援助を受けられるか確認してみましょう。ここでは、公的な学費の支援制度を紹介します。

高等学校就学支援金制度

高等学校就学支援金制度は、高校の授業料を無償化または軽減する制度です。生徒が学校を通じて手続きをし、国から支援金の交付を受けた都道府県が学校に支給します。学校は生徒に代わって支援金を受け取り、授業料に充当する仕組みです。

文部科学省「高等学校等就学支援金制度」

所得要件の基準

支援金を受けるには、世帯の所得要件を満たす必要があります。具体的には「保護者等の課税標準額(課税所得額)×6%-市町村民税の調整額」が30万4,200円未満という基準です。年収の目安としては両親のうちどちらか一方が働き、高校生1人、中学生1人の子どもがいる世帯(モデル世帯)で910万円未満です。

公立高校の支援金

高等学校就学支援金制度の要件を満たす場合、全日制高校であれば月額9,900円が支給されます。この金額は授業料月額と同額であり、公立高校の授業料は実質無償化されたといえます。

私立高校の支援金

私立高校の場合、支援額が世帯年収により2段階になります。上記のモデル世帯で年収910万円未満であれば、受けられる支援金は公立高校と同額の月額9,900円です。さらに年収が590万円未満であれば2万3,100円が加算され、月額3万3,000円の支援額となります。

高校生等奨学給付金

高校生等奨学給付金は高校生のいる低所得者世帯に、授業料以外にかかる費用(教科書代、教材費など)を支援する制度です。給付対象となるのは生活保護世帯、住民税所得割が非課税の世帯で、家計急変により非課税相当になった世帯も含まれます。

高校生等奨学給付金の世帯状況ごとの給付額(年額)は、以下のとおりです。


国公立

私立

生活保護受給世帯(全日制等・通信制)

3万2,300円

5万2,600円

非課税世帯(全日制等)第1子

11万4,100円

13万4,600円

非課税世帯(全日制等)第2子以降※15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合

14万3,700円

15万2,000円

非課税世帯(通信制・専攻科)

5万500円

5万2,100円

出典:文部科学省「高校生等奨学給付金

福岡県の支援制度

福岡県には国の支援制度に上乗せする、独自の支援制度があります。主な制度を紹介します。

高等学校専攻科修学支援金

高等学校等の専攻科(県立・私立)に通う低所得世帯の生徒に対して、授業料の支援を行う制度です。支給額は授業料相当額の全額または半額で、返還義務はありません。申請手続きは、在籍する学校を通じて行います。

高等学校授業料減免

高等学校就学支援金制度の対象外の生徒に特段の事情があると認められた場合、授業料の減免が受けられます。減免の理由には「天災その他不慮の災害を受けた」「保護者等の失職、離職等により家計が急変した」などがあります。減免の手続きの窓口は、生徒の在籍する学校です。

福岡県私立高等学校等学校納付金軽減補助金

私立高校に通う子どもがいる以下のような基準の満たす世帯に、授業料および施設設備費等の軽減を行う制度です。

  1. 生活保護または児童扶養手当(一定額以上)の受給

  2. 保護者等の国民年金保険料の免除

  3. 保護者等の所得税または住民税所得割額が非課税

支給額は月額9,900円です(学校によって異なります)。

高等学校等奨学金

福岡県教育文化奨学財団による「勉学意欲がありながら、経済的理由により修学が困難である高校生等」に対し、奨学金の貸与を行う事業です。貸与奨学金のため返還義務がありますが、無利子です。貸与月額を3カ月分まとめて年4回貸与します。

貸与月額の最高額は、以下のとおりです。

  • 公立高校自宅通学:1万8,000円

  • 公立高校自宅外通学:2万3,000円

  • 私立高校自宅通学:2万5,000円

  • 私立高校自宅外通学:3万円

高等学校等入学支度金

高等学校等奨学金と同じ福岡県教育文化奨学財団による学資の貸与制度です。経済的理由により修学に困難な高校生等に対して、入学金や教科書など入学時の一時的な学費に充てるための学資の貸与を行います。貸与される金額は入学した高校が公立の場合は5万円、私立高校の場合は10万円です。この支度金には、返還義務があります。

福岡県高等学校定時制課程及び通信制課程修学奨励金

福岡県内の高校の定時制または通信制課程に在籍する、経済的理由により修学が困難な勤労学生に対して、修学奨励金を貸与する制度です。該当する生徒には、月額1万4,000円が支給されます。この奨励金には返還義務があります。

福岡県立高等学校定時制課程夜食費補助

県立高校の夜間定時制課程の勤労学生に対し、給食費の一部を補助する制度です。対象となるのは有職で補助を希望する生徒、または疾病その他やむを得ない事由により学校長が認めた生徒です。月額1,500円程度が補助され、返還の必要はありません。

高校の学費を準備する方法

高校の学費は公立と私立では大きな違いがあり、場合によってはまとまった金額が必要なときもあります。最後に、高校の学費を準備する方法を解説します。

家計を見直す

高校卒業後に大学などに進学する場合、その進学費用の準備も必要になります。高校の授業料や塾の月謝のような毎月かかる学費は、基本的に収入からまかなっていくようにします。そのため、入学前から家計を見直し、毎月の教育費を捻出し大学の学費を貯める計画を立てておくことが大切です。

まとまった費用は積立てておく

高校に入学する際の制服や学校指定の教材などをそろえる費用は、数十万円になる場合があります。また、大学入試の受験料も、受験する大学の数によっては高額になるでしょう。それらの費用はだいたいの金額を見積もって、早くから積立てておくと安心です。

教育ローンを利用

公立高校に入学する予定だったのが不合格になり、私立に入学する場合などには予定外の費用がかかります。なるべく手持ち資金でまかないたいところですが、間に合わない場合は教育ローンの利用も選択肢の1つです。当座の必要資金を借り入れ、早めに返済するとよいでしょう。

まとめ

子どもが高校生になると、学校教育費や塾の月謝を負担しながら、大学などの進学費用を準備しなければなりません。特に私立高校の学費は公立の2倍以上と、高等学校就学支援金制度を利用しても家計の大きな負担となります。そのため、早くから家計の見通しを立てておきましょう。

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