親にとって子どもの成長は嬉しい限りですが、同時に心配になるのが「学費」です。学費は子どもの成長に伴ってどんどん上昇していき、特に小学校から中学校に上がるタイミングで本格化していきます。このため中学生の子を持つ親の多くは、次に子どもが私立高校に進学した場合の学費について不安が尽きないのが実情です。今回は、私立高校の学費や補助制度などについてお伝えします。
福岡の私立高校の初年度学費平均は約59万円
まずは、福岡の私立高校の平均学費についてお伝えします。文部科学省の平成30年度「私立高等学校の初年度授業料等について」によると、福岡と全国の平均学費はそれぞれ以下のとおりです。
全国平均:授業料39万9152円、入学料16万3272円、施設整備費等16万8562円
福岡平均:授業料29万8292円、入学料3万7500円 、施設整備費等25万3393円
総額費用:全国73万986円、福岡58万9185円
【参考】私立高等学校(全日制)の初年度授業料等について(平成27年度~令和元年度)
入学金・授業料ともに全国平均と比較すると安いが、準備はやっぱり必要!
先ほどの調査結果が示すとおり、全国平均と比べると福岡の私立高校の学費は割安です。
とはいえ、全国的な傾向として、高校の学費は少しずつですが毎年上昇基調となっています。あまりにギリギリの準備となっては、家計への負担が大きくなってしまうかもしれません。現状を知り、余裕を持った準備をしていくことをおすすめします!
公立高校と同じく補助制度や、福岡県独自の補助制度もあります
今度は、私立高校の学費補助制度についてお伝えします。まず、すでに存在しているのが「国の就学支援金制度」です。これによって公立高校は授業料が実質無料化されており、私立高校でも相応の額が補助される仕組みになっています。
この制度は、目安として世帯年収910万円未満の子どもが対象ですが、福岡県ではさらに上乗せで独自の制度(11万8800円)を設けております。
仮に世帯年収250万円未満の世帯なら、最大で415,800円の補助となります。これだけの補助があれば、福岡県内の多くの私立高校に通うことが可能です。むしろ世帯年収が低いほどに有利ですから、私立高校は学費が高いと敬遠せず、選択肢のひとつに加えてみるのも一案です。
母子家庭・生活保護世帯向けの制度も!
昨今、母子家庭や生活保護世帯の方から子どもの進学にかかる費用について相談を受ける機会が増えました。こういったご家庭においても、福岡県の独自制度があります。日々の生活に困ることも多いと聞きますが、子どもの未来を諦めずに済むよう、公的機関のサポートを受けることを考えてみましょう。
2020年からの実質無償化に伴い、学費が免除に?
今度は、制度変更についてお伝えします。国も大々的に宣伝していましたが、2020年4月から先ほどお伝えした「国の就学支援金制度」が変わる予定です。簡単にいえば、支援金の額が公立高校の授業料水準から私立高校の授業料水準へと引き上げられます。
ちなみに公立高校の現在の授業料は、ほぼ全国一律の118,800円で、福岡県の私立高校の平均授業料は298,292円です。単純に約3倍引き上げられる訳ですから、極めて効果が大きいといえます。ただし、対象者は目安として世帯年収590万円未満の子どもです。
また、国の制度変更に伴う県の独自制度がどうなるかは未知数となっています。あくまで「実質無料化」であり、学費が全額免除になる訳ではないので、その点には注意しましょう。
支援金は「平均授業料」の額という点に注意!
「実質無料化」は少し誇張ともいえ、あくまで支援金は「平均授業料」の額です。毎月、または毎年必要な施設整備費なども含まれますが、平均を上回る場合は差額を出す必要がありますし、その他の費用も必要になります。それでも大幅な支援金増額には違いありませんから、親としては歓迎すべき制度変更です。
ちなみに就学支援金の申し込みは、通っている学校を通して行います。学校から案内がありましたら申し込みましょう。
奨学金や教育ローンなど多様な支援制度を知ろう!
最後に、その他の支援制度についてお伝えします。就学支援金などの制度は「世帯の年収要件」があるため、全ての世帯が対象ではありません。対象外となった時に最初に検討したいのが「奨学金制度」です。内容はいろいろですが福岡県をはじめ、さまざまなところが奨学金制度を設けています。
次に検討したいのが、教育ローンです。西日本シティ銀行では一括で借りて、計画的に返済するタイプの「NCB EZローン」と繰り返し利用できるタイプの「NCB EZ教育カードローン」を取り扱っています。
いずれにしても、全額とはいかなくても就学支援金制度の拡充をはじめ、大幅な支援環境があるのが学費の実情です。これを機会にさまざまな制度に目を向けてはいかがでしょうか。
教育費以外にもお金はいろいろ必要
子どもを持つ親なら学費・教育費が最優先でしょう。一方、現実には他にもさまざまなことにお金が必要です。子どもを大学まで進学させるつもりなら、なおさらです。何にお金を使うべきか非常にシビアな問題になります。必要に応じて、FPや銀行などのプロにも相談しつつ、最善の方法を取っていきましょう。
まとめ:福岡の私立高校は極めて学費が恵まれている
福岡県の私立高校は、全国平均と比べて学費が割安なのに支援体制が充実しており、極めて恵まれた環境にあるといえます!学費を理由に私立高校は視野に入れていなかった方も、これを機に再度検討してみることをおすすめいたします。
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山本 昌義
CFP®、一級FP技能士
山本FPオフィス代表。商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て2008年8月、山本FPオフィスを設立し、同代表就任。 現在は日本初の「婚活FP」として、婚活パーティを開催しながら婚活中や結婚直後の若者の相談に対応。また、独立10年を機に「農業FP」としても活動を開始。後輩育成にも力を入れている。