相談者:Uさん(福岡県在住)
本人67歳(無職)
Q. 長生きした場合に備え、保険を追加した方がいい?
現在、離婚して9年目。一人息子が遠方に就職、独立して4年目になりました。一人暮らしの寂しさと、年をとったからか少々うつ気味になり、オカメインコとメダカを飼い始め、やっと落ち着いたところです。
将来を考えると不安もあり、昨年、もしもの時のために遺言書を作成し法務局に保管申請を終え、長男に相続手続きの説明をしたので、一応安心しております。
4,000万円強の預金等は、相続の時にできるだけ簡単に済むよう、6年前に自宅・土地を売却したものです。不動産の相続は譲渡益課税や申告等で面倒だと思ったからです。
それより心配なのは、私が思いのほか長生きした場合のことです。人生100年時代とか言われている今、物価がどんどん上がり始め、食費をはじめ何も買えないと思うくらいです。月々の食費4~5万円でも、自分が食べたいものは満足に買えません。
県民共済は熟年型と三大疾病2・4型特約に加入していますが、いずれも定額共済金だし80歳までの保障です。保険はこれだけで大丈夫でしょうか。他にも指摘できるところがあれば、アドバイスをお願いします。
A. 預金の取り崩しで賄えるので保険の追加は必要なし
スマホは今から使い慣れておくべき。必要経費と考え、復活させてOK
すでに遺言書を作成し、息子さんが苦労しないように不動産を売却して現金化するなど、早手回しですね。「終活」を進める上で、後回しにしがちな点を先行なさったことに驚きました。
息子さんが結婚したときにプレゼントする予定で、車も購入済みとか。株式も相続させ、いよいよのときまでは持ち続けるよう伝えてあるそうで、男親としてできることは何かを考え、準備なさったのでしょう。
でも、現在の生活状況や、ご相談のような不安は話しておられないと推察いたします。携帯電話をお持ちでない点については、遠隔地に住む息子さんとは年に数回電話で話すだけなので、節約のために手放されたとのこと。お孫さんが生まれたら復活の予定、と伺いました。動画や写真を送ってもらえるとうれしいですよね。
貯蓄の取り崩しを気にして、「あれもガマン」「これもガマン」となってしまうのでしょうが、スマホは今から使い慣れておくべき。望むと望まざるとにかかわらず、スマホが前提で世の中が進行していますから、必要経費と考えるべきです。
私は子どもにスマホ操作のSOSを出しつつ、90歳代の母が電話やメールのやり方を忘れないようにやりとりしています。Uさんも今からお子さんとメールでやりとりできれば、お互いに安心できるのでは?
通信費などの増加やアルバイト収入の途絶で年間赤字が90万円になったとしても、預金の取り崩しで25年以上賄えるので大丈夫。いずれマイカーも手放すでしょうし、公的保障もあるので、保険の追加は必要ありません。
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビング熊本・かごしま」2023年9月16日号掲載
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高橋伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。