相談者:Yさん(熊本県在住)
夫71歳(無職)、妻58歳(公務員)
Q.早期退職して、老後は暮らしていける?
夫は年金受給していますが、自身の税金、医療費、保険料、小遣い等と住宅ローン(月8万円、78歳支払終了で残金700万円)を払ってもらっていて、私一人の給与でそれ以外をやりくりしてます。また、家電の買い換えも夫の貯金から出しています。
再来年に定年を迎えます。現時点ですでに、管理職業務がキツくて早期退職したいけれど、無収入になるのが怖いのと、60歳まで頑張ったとしても定年を2年延長するか、民間に再就職するか、無職で65歳まで無収入になるかで迷っています。今年の9月までに決めなくてはいけないため、相談しました。
貯蓄や個人年金は全て私自身の分。もし今、退職して、無収入となった場合は生活を切り詰めるのは当然なのですが、老後破たんが心配です。退職後から公的年金受給までの無収入期間(約5年)は、退職金や60歳から受給する財形年金を合わせて2000万円内の支出で抑えられれればと思っていますが、甘い考えでしょうか? 65歳からの公的年金受給後は、個人年金プラス退職金の合計残額2000万円で、少しはゆとりができるでしょうか?
A. 生活費を引き締め、年金の範囲で暮らす必要あり
退職金の運用などについては夫や先輩の知恵を借りて
来月までに決断が必要なのは、定年延長を希望するか、定年延長せず民間に再就職希望をするか、ですね。
しかし、早期退職したいほど今の職場がつらいようなので、定年延長という選択肢はご自身の中ではすでに消えていると感じます。
迷っているのは、早期退職するか、定年まであと2年今の職場で働くか、の2択。そして、どちらを選んだにしても、公的年金が満額支給される65歳まで無職のままでいくか、再就職するか、ですね。
一番の希望は、これまでの蓄えと退職金や財形年金、個人年金、企業年金、公的年金でやっていけるなら、早期退職して再就職もしない、ということのようです。
お便りによれば、再来年退職してから無収入の時期の生活費に年300万円、臨時費用として5年で500万円使うと、年金生活に入るときの金融資産は2000万円になるとのことです。
早期退職の2年間も同様の支出だと、65歳時の金融資産は1400万円になる計算ですね。65歳から受け取れる公的年金は年230万円だそうなので、あなたの試算どおりの生活費だと、毎年の取り崩しで金融資産が枯渇するかもしれません。
でも、退職後は生命保険料の支払いや預金積立がなくなるので、今より少し節約すれば公的年金の範囲で生活できるはず。旅行などゆとり部分は、個人年金や企業年金でまかなえそう。早期退職してもなんとかやっていけるのでは? ただ、これまで職場頼み、給与天引きで資産形成してこられたので、退職金の運用などについて、夫をはじめ先輩の知恵を借りるといいでしょう。
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビングふくおか・北九州・熊本・かごしま」2023年8月12日号掲載
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高橋伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。