相談者:Yさん(鹿児島県在住)
夫36歳(会社員)、妻31歳(会社員)、長男10歳、次男8歳
Q. 今後のために、住宅ローンは繰り上げ返済すべき?
早くに結婚出産し、経済的に余裕がない中、節約に励んできました。
先のことですが、もし息子が私立高校へ進学を希望した場合、必要額が全く分からず教育資金が足りるか不安です。今後のため、住宅ローンを繰り上げ返済するか悩んでいます。
約4年前に新築戸建てを購入。フラット35とフラット35プラスを併用して、2076万円の住宅ローンを組みました。共働きなので、住宅ローン控除を2人分受けられるようにペアローンを選択。現在、夫婦それぞれ約9万円ほど控除があります。
来年1月に、金利見直しで適用金利が上がり返済額が増える可能性があります。その前に、預金を切り崩して残高の189万円を一括返済した方が良いでしょうか。繰り上げ返済と住宅ローン控除のどちらを優先すべきでしょうか。賢い家計のやりくりへのアドバイスをお願いします。
また、夫は今年1月に転職(そのため、市県民税を給与天引きでなく納付書で納付)。給与が増え、賞与も少ないながら今年から支給されるそうです。
今、繰り上げ返済を実行すべきか教えてください。
A. 損得勘定にとらわれず、安心して暮らせる選択を
教育に回せる貯蓄を持っていた方が心穏やかに暮らせるのでは?
フルタイムの共働きで子育てしながら、1000万円以上貯めたのは立派です。マイホームも若くして実現! 夫婦共有名義でペアローンを組み、住宅ローン控除をダブルで受けるなど、知恵を絞ったようです。
お悩みはローン金利上昇の件。35年固定金利のローンのはずなのになぜ返済負担が増えるのか不思議でしたが、フラット35については借り入れ当初10年は市の支援で金利が軽減されるのですね。
当初5年は0.75%、その後5年は1%、11年目から1.25%の金利とか。返済負担が増すのを恐れ、借り入れ金利の高いフラット35プラスの残債を一括繰り上げ返済すべきではないか、と考えたのですね。
でも、繰り上げ返済で住宅ローン控除が減る点が気がかり…。返済額と税金、預金金利を天秤にかけて、今、繰り上げ返済をするのとしないのとどっちが賢いか知りたい、というご相談だと理解しました。
気持ちは分かりますが、それには詳細な家計データが必要ですし、来年以降の収入や税制、預金金利も未定なので、確実なことは言えません。細かい損得勘定にとらわれず、安心して暮らせる方をとることをおすすめしたいです。
教育資金が気がかりといいますが、繰り上げ返済を今実行しても、月々7116円の返済がなくなるだけ。それを長男の高校進学まで5年間積み立てても、繰り上げ返済原資の189万円には遠く及びません。毎月の黒字率も高いですし、返済負担を減らすより、教育に回せる貯蓄を持っていた方が心穏やかに暮らせるのでは?
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビング熊本・かごしま」2023年6月17日号掲載
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高橋伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。