冷暖房機器による冷気や暖気を効率よく使えるよう、国が推奨する「省エネ」基準を目安に住宅改修するのが「省エネリフォーム」。そのひとつが「窓の断熱」です。近年、環境配慮への関心も高まり、窓断熱もリフォームを検討する箇所の一つとして注目されるようになりました。今回は、そんな「窓断熱」のメリットやデメリットなど、知っておきたい基礎知識をご紹介していきます。
窓断熱とは?
「窓断熱」とは、住宅で最も熱損失が大きいとされる「窓」のリフォームを通して、断熱性を向上させることを指します。寒い時期には、外部からの冷気を防ぎ窓からの熱損失を抑えることで、防寒対策の一つとしても役立ちます。
「窓断熱」には、主に下記の3つの方法があります。
・内窓の設置:既存の窓の内側に窓を設置する方法。比較的工期が短く、ローコスト
・省エネサッシに取り替える:既存のサッシを取り外し、省エネ性能の高いサッシに取り替える方法。外壁リフォームとともに行うことで、コストが抑えられることも
・省エネガラスに取り替える:既存のサッシに取り付けられているガラスを「複層ガラス」に取り替える方法。工期が短く、ローコスト
このように、省エネや心地よい室内環境の維持につながる窓断熱にも、さまざまな方法があります。窓の構造や住んでいる地域、予算などに合わせて最適な方法を選ぶとよいでしょう。
「窓断熱」のメリット
そもそも、窓断熱をすることで私たちの暮らしはどのように変わるのでしょうか。ここでは、窓断熱がもたらすメリットをご紹介します。
省エネ、節約につながる
断熱性の高い窓を取り入れることで、外の気温や気象からの影響を受けにくくなり、冷暖房効率の向上、冷暖房費の節約につながることもあります。
環境省のホームページに記載されている情報によると、住宅のなかでよく使う部屋の窓を9つ断熱リフォームすると、電気代が年間約2万円節約できたというデータもあるのだそう。環境に配慮しながら、節約にもつながるのは嬉しいですね。
快適な住空間に
窓断熱を取り入れることで、住まいの温度や湿度を適切に保つことができるのも魅力のひとつです。快適で健康的な暮らしを送るためにも「窓断熱」は役立ちます。
また窓の結露を防ぎカビやダニの発生を抑えることで、アトピー性皮膚炎などの改善も期待できると言われています。
遮音にも役立つ
窓断熱は住まいの温度を快適に保つだけではなく、音をシャットアウトする効果も期待できます。特に、リモートワークなどで長い時間を自宅で過ごす方にとっては、窓断熱による防音効果は嬉しいメリットではないでしょうか。
出典:窓の断熱リフォームから、暮らしの脱炭素を始めよう(環境省ホームページ)
窓断熱のデメリット
いいことづくめのように感じる窓断熱ですが、知っておきたい注意点もあります。ここでは、窓断熱がもたらすデメリットをご紹介します。
費用がかかる
先ほどご紹介したように、窓断熱には主に3つの方法があるため価格は異なりますが、費用がかかることはデメリットのひとつです。
ですが、窓リフォームを検討している方に朗報があります。
現在、環境省と経済産業省、国土交通省が連携した窓断熱リフォームに対する補助金制度が実施されています。条件はありますが、既存住宅の窓を断熱窓へと改修する費用に対して補助金が出ることも。詳細は、「先進的窓リノベ事業」専用サイトで確認してみてはいかがでしょうか。
メンテナンスの手間
内窓の場合、ガラスが増えることで窓ふきなどのメンテナンスに手間がかかることもデメリットのひとつです。ですが、2枚のガラスの間は汚れにくいため、主に表面のガラスをお手入れをこまめに行えば汚れは目立たないでしょう。
窓の開閉が面倒になることも
窓断熱で内窓を設置した場合、2枚の窓があるため開閉が面倒になるというデメリットがあります。特に注意したいのが、洗濯物を干すなど頻繁に出入りする窓です。日々の暮らしに関わることなので、頻繁に出入りする窓を断熱窓(内窓)にするかはよく検討しましょう。
窓断熱で省エネしながら快適な空間に
窓断熱リフォームにはいくつかのデメリットもありますが、長い目で見ると省エネにつながったり節約できたりと、環境に配慮しながら快適に暮らすことができると言われています。補助金制度も実施されるなど工事を考えている方には嬉しい流れもあり、住宅設備メーカーなどでも窓断熱リフォームの情報を発信しています。あなたも部屋の寒さや結露などにお悩みなら、防寒対策のひとつとして窓断熱を検討してみてはいかがでしょうか。
伊野奈緒美
フリーライター Naomi.Sping代表
ライフスタイルメディアをはじめ、企業サイト、Webマガジンなどでインテリア・ライフスタイル系記事を執筆。自身も地元福岡を応援すべく、福岡ライフスタイルメディア「福岡暮らすFUKU-KURA(フククラ)」を運営。職住融合のワークス
タイル経験を生かし「仕事×子育て×心地よい暮らし」のアイデアを届ける。【保有資格】文部科学省後援リビングスタイリスト1級/リフォームスタイリスト3級/
カラーコーディネーター2級
https://naomi-spring.com/