相談者:Yさん(福岡県在住)
本人50歳(パート)
Q. もしもの場合、今の貯金で生活できる?
独身です。今年、数年ぶりに外国から帰ってきました。今はパートで働いています。
家は、今のところ知人の好意で家賃なしで住めています。また、土地を持っていてそれを貸しているので、年間100万円の収入があり、固定資産税は30万円ほどです。
保険は以前入っていましたが無駄だと感じたので、今は入っていません。今まで行き当たりばったりの生活をしてきたので、不安とかはないんです。年金もあてにしていません。またいつ、どこに行くか分からないので…。
まだはっきりとは決めていないのですが、しばらくは日本で暮らそうと思っているので、少し日本の生活に慣れたら、個人事業主となって、会社を立ち上げようかと思っています。
収入は一人暮らしなので不安はないのですが、この先、もし病で倒れて仕事ができなくなったら、今の貯金で生活できるかが心配です。
投資などは考えていません。また銀行に預けるのも利子が低いので、安心とは思えず…。何か少しずつ増やす方法があれば教えていただきたいです。
A. 公的保障を活用。起業する場合は自分で備えが必要
リスクをとらずに運用で殖やすのは無理。税金、年金、保険の勉強を
将来どこでどう暮らしたいのか、50歳になっても具体的な計画がなく、行き当たりばったりの生活に不安なし、とは驚きました。
とはいえ、健康を害したときに手持ちの貯蓄で大丈夫か、気になり始めた様子。安全な方法でうまく運用して殖やせないか、とのご相談ですね。残念ながら、日本では超低金利の状態が続いており、リスクをとらずに運用で殖やすのは無理。元金をしっかり増やし、公的保障も活用してください。
家計簿上では月7万円弱+不動産収入が年70万円の黒字なので、年150万円を貯蓄に回せそう。60歳まで継続すれば、現在の貯蓄と合わせて1850万円貯められる計算です。現在の仕事は社会保障完備だそうで、その間に健康を害してもさまざまな手当が受けられます。
でも、起業する場合は自分で備えなくてはなりません。個人事業主として成功するには、それなりのスキルが必要。求められるスキルは業種によっても違いますし、税金や年金、保険についても学んでおくべきです。
再び海外に居住する可能性もあるようですが、住民票が日本にあれば国民健康保険や介護保険は継続できます(保険料の支払いは必要)。「海外療養費支給制度」がある自治体なら、帰国後に申請すれば医療費の支給が受けられます。
公的年金から障害を負った際や老後の給付が受けられるようにしておくことも大切。日本の公的年金は海外で暮らしていても、条件を充たせば給付が受けられます。日本年金機構で、若いときからの加入実績や年金見込み額を確認しましょう。
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2022年9月3日号掲載
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高橋伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。