こんにちは。薬膳レシピ研究家・甲木里枝(かつきさとえ)です。福岡市平尾にあるキッチンから、皆さんの体調やココロを整える薬膳料理を発信しています。コラムでは、季節の過ごし方、体調別のおススメ食材、ご家族で美味しく食べることのできるカンタン薬膳レシピをお伝えします。今回のテーマは「お子さんの成長期におすすめの薬膳」。薬膳料理でお子さんのカラダの成長を促してみませんか。
2月に入り、一段と寒さが厳しくなってきましたね。
暦の上では2月4日に立春を迎えましたが、体感としては、まだまだ冬のさなかという方も多いと思います。
先日、冬の晴れ間に糸島の海に行きました。寒くて風も強かったですが、しんとした澄んだ空気の中で海を見ることができ、ココロがきりっと整いました。
海を見ているとき、ふと声がしたので振り返ってみると、ユニフォーム姿の男子が数人砂浜を走っていました。
中学生とおぼしき体格のバラバラな男の子たちの集団が、精悍な姿で走っている様子に、私はとっさに「この子達に、カラダの成長に良いお料理を食べてもらいたい!そして、もっとトレーニングに打ち込んでほしい!」と思いました。私も40代半ばを迎え、寒い中海辺を走る男の子たちがわが子のように感じられたのでしょうね。
成長期の子供たちの体格は、それぞれ差がありバラバラなのが普通です。でも中には、スポーツをしている子供に筋肉をつけてもらいたい、もっと身長が伸びるような食べ物を食べさせたいと思っている親ごさんも多いのではないでしょうか。
現に、生徒さんからも「成長期の子供に何を食べさせたらいいでしょうか」と聞かれること
が多々あります。
そこで、今日は成長期のお子さんに食べてもらいたい薬膳料理3品をご紹介しようと思います。
薬膳の世界では、成長や、人間の骨・歯の形成に関係する臓器は「腎(臓)」とされます。そのため、基本的に腎に良い食材を取ることが成長期には欠かせません。そして、もう一つ、ダイレクトに筋肉や骨を強くする食材というのもあって、こちらも成長期のお子さんにおススメです。具体的な食材は以下のとおりです。
【腎に良い食材】
黒豆、黒胡麻、山芋、むかご、ブロッコリー、くるみ、海老、すずき、かつお
【筋肉や骨を強くする食材】
キャベツ、カリフラワー、牛肉、鹿肉、馬肉、タコ、いわし、うなぎ
今回はこれらの中でも、特に、キャベツ、牛肉、すずきに焦点をあてて、お子さんも一緒に食べられる美味しい薬膳料理をご紹介していきますね!
【レシピNo.1】キャベツとアサリのバター蒸し
【材料(2人分)】
キャベツ・・・・・・・・1/4玉
アサリ・・・・・・・・・12個
日本酒・・・・・・・・・100cc
にんにく・・・・・・・・1/2かけ
バター・・・・・・・・・10g
アンチョビ・・・・・・・2枚
【作り方】
1 アサリはこすり洗いしたうえで、3%の塩水につけて砂抜きをする。
2 キャベツは一口大のざく切りにする。アンチョビは粗みじん切りにする。にんにくは擦り下ろす。
3 鍋に、キャベツと日本酒を入れ、中火にかける。
4 3のキャベツがしんなりしてきたら、にんにく、バター、アンチョビを加えて軽く混ぜ、最後にアサリを加えて蓋をする。
5 アサリの殻が開いたら完成。火を止めて、器に盛る。
【レシピの効果】
バターとアンチョビの効いた、ご家族で美味しく食べていただける風味豊かな一品です。注目食材はなんといってもキャベツです。キャベツは腎に良いうえに、筋骨を強くしてくれる食材でもあります。成長期のお子さんにおススメのキャベツを、これから旬を迎えるアサリに合わせて仕上げました。パスタ料理にアレンジ可能なので、ぜひお試しください。
【レシピNo.2】黒肉粥
【材料(2人分)】
(ベース 黒米粥)
白米・・・・・・・・・1合
黒米・・・・・・・・・大さじ2
水・・・・・・・・・・1600cc
青梗菜(ちんげんさい)・・・・・・・・1株
胡桃(砕)・・・・・・・1個
(具材 牛そぼろ)
牛ミンチ肉・・・・・・・200g
こんにゃく・・・・・・・100g
白葱・・・・・・・・・・・40g
生姜・・・・・・・・・・・20g
赤唐辛子・・・・・・・・・1本
ごま油・・・・・・・・・・大さじ1
酒・・・・・・・・・・・・大さじ3
黒砂糖・・・・・・・・・・大さじ3
しょうゆ・・・・・・・・・大さじ3
みりん・・・・・・・・・・大さじ2
【作り方】
1 土鍋に分量の白米、黒米、水を入れ、強火→(沸騰したら)弱火で30分たく。そのまま30分蒸らす。
2 こんにゃくは下茹でし、みじん切りにする。白葱、生姜もみじん切りにする。赤唐辛子は種を抜き小口切りにする。青梗菜は縦4等分に切り、茹でる。
3 鍋にごま油を熱し、白葱、牛肉、こんにゃくを加え炒める。火が通ったら(具材牛そぼろ)の残りの材料を入れ、かき混ぜながら含め煮にする。汁けがなくなったら火を止める。
4 黒米粥を器に盛り、その上に牛そぼろを盛る。青梗菜を丸く盛り付け、胡桃を飾る。
【レシピの効果】
成長期のお子さんにも嬉しい、がっつり食べられるボリューミーなお粥です。お粥があまり好きではない子でも、味付けがしっかりしているこの黒肉粥なら美味しく食べてもらえると思います。注目食材は筋骨を強くする牛肉です。牛肉ステーキでそのまま食べてもらってもいいのですが、ミンチ肉にして黒米粥と合わせることで消化や栄養の吸収にも優れるよう仕上げました。ピリ辛な味が食欲をそそる一品です。
【レシピNo.3】すずきのスパイス焼き
【材料(2人分)】
すずき・・・・・・・・・200g(2切れ)
白ワイン・・・・・・・・大さじ1
牛乳・・・・・・・・・・大さじ1
パン粉・・・・・・・・・大さじ1
こめ油・・・・・・・・・30ml
三つ葉・・・・・・・・・適量
(ミックススパイス)
フェンネルシード ・・・・大さじ1/2
コリアンダーシード・・・・大さじ1/2
クミンシード・・・・・・・大さじ1/2
白胡麻・・・・・・・・・・大さじ1/2
(付け合わせ野菜)
パプリカ(赤・橙)・・・・・各20g
玉ねぎ・・・・・・・・・・80g
黒胡椒・・・・・・・・・・少々
こめ油・・・・・・・・・・大さじ1
【作り方】
1 (ミックススパイス)の全材料をすり鉢に加え、擦り棒で擦る。
2 1にパン粉を加え、よく混ぜ合わせる。
3 (付け合わせ野菜)のパプリカ、玉ねぎは、1cm角の角切りにする。
4 フライパンにこめ油大さじ1を熱し、3の具材を加え炒め、黒胡椒で調味する。
5 ずすきに白ワインと牛乳を振りかけた上で、表面にまんべんなく2をまぶす。フライパンにこめ油30mlを熱し、すずきの皮目から火を入れる。皮目に焼き色がついたら、ひっくり返して仕上げる。全体を揚げ焼きにする。
6 器に4の野菜を丸くのせ、その上に5のすずきを置き、三つ葉を飾る。
【レシピの効果】
腎に良い代表的な食材の「すずき」を使った香り高い一品です。腎は冷えに弱く、温めると機能が上がるといわれます。そのため、フェンネルやクミンなどのスパイスを使うことでカラダをあたためる効果をプラスしました。
今夜の夕ご飯に、エスニックな一皿を出して食卓に彩りを添えてみませんか。きっとご家族も皆さん喜ばれると思います。
【まとめ】
いかがでしたか?薬膳料理というと、「おいしくない」「薬っぽい」「家族で食べるというより病気の回復の時にたべるもの」といったイメージをお持ちの方もいらっしゃると思います。
実は、薬膳料理とは「目的を持って・その目的に沿った食材を使った・美味しい料理」と定義されているんです。定義の中に「美味しい料理」とあるからには、薬膳料理は、皆が美味しいと感じるカラダに良いお料理でなくてはならないと、私は考えています。
今回は、特に成長期のお子さんにパクパク食べてもらえる美味しさ重視の薬膳料理に仕上げました。
「薬膳料理で楽しく美味しく体質改善」。ご自宅でも作れるカンタン薬膳料理。今夜は、成長期のお子さんのために美味しい薬膳料理をおうちで作ってみませんか。
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SATOE
薬膳料理研究家。国際薬膳師。「薬膳ハウス金木犀」主宰。株式会社金木犀代表。株式会社LeQUALIA共同代表。
約12年にわたり公務員として勤務。自身の体調不良をきっかけに薬膳と出会い、薬膳料理家に転身。福岡市内の料理教室「薬膳ハウス金木犀」を主宰。メディア出演や情報誌などでもコラムを掲載。「楽しく美味しく体質改善」をテーマに、ハーブやスーパーフードも取り入れた新たな薬膳料理を提案。