相談者:Mさん(鹿児島県在住)
夫30歳(公務員)、妻30歳(会社員)、長女4歳、次女2歳
Q. 金融資産の多くを株に投資。このままでいい?
10年ほど前から株式投資を始め、3年前に米国ETF(上場投資信託)と投資信託の資産運用に切り替えました。現在は、つみたてNISAに年80万円投資しています。
現状、金融資産の多くを株に投資していますが、現金で持つ割合を増やしたり、ネット定期も視野に入れた方がいいのか迷っています。
住宅は4年前に購入していて、近いうちに大きな金額を使う予定はありません。今後お金が必要になるのは、娘2人の大学進学の時でしょうか。
保険については私(夫)も妻も、病気死亡保障2000万円の掛け捨ての生命保険にのみ加入していて、医療保険には未加入。万が一に備え100万円を家計から分けて貯蓄しており、これで医療費を賄いたいと考えています。
就労不能保険については、共働きですし、国の障害年金制度もあるので加入していません。もしもの場合、生活水準が悪化するのはやむを得ないと思っていますが、傷病手当金や障害年金で最低限の生活をしていくことは可能でしょうか。それとも保険に入った方がいいのでしょうか?
A. 投資比率については、夫婦でよく話し合って決定を
夫婦どちらかがもしものときも、一人分の収入で暮らせそう
独身時代から投資を始めたのですね。勉強するうちに米国株に興味を持ち、米国株に投資するETFや投資信託に資金をシフトさせたようです。これまで1100万円の運用益を手にしたそうですから、銘柄選びが適切で、うまく相場に乗れたのでしょう。
最近始めたつみたてNISAやジュニアNISAでは、米国株一辺倒をやめ、日本株や新興国の株式も組み入れた商品を選択しています。ご自分なりの投資戦略を立てて運用しているのでしょうが、金融資産の85%が投資商品というのは、きわめて大胆な選択です。
Mさんの場合、ダブルインカムに加え不労所得もあり、つみたてNISA以外に年に330万円も貯蓄や投資に回せる余裕をお持ちです。今のようなゆとりが定年まで続くなら、お子さんの教育も車の買い替えも、年間収入の範囲でクリアできそう。そのため使途目的別に貯蓄する必要性を感じていないのでしょう。
夫婦どちらかがもしものときは、加入中の生命保険や公的年金からの支給、預金、一人分の収入で暮らしていけます。夫婦が仲良く老後を迎えた場合も、退職金と公的年金と預金で、最低限の生活は維持できるはずです。
したがって、①家庭の将来像にギャンブル性を組み込むことにして現在の高い投資比率のままいく、②「まさか」の事態に備えて投資比率を下げ、教育資金や住宅ローンの繰り上げ返済資金、いざというときの保障を早めに準備、のどちらにするか、夫婦でよく話し合って決めてください。②の場合は、ネット定期も選択肢として適切です。
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2021年12月4日号掲載
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高橋 伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。株式会社西日本フィナンシャルホールディングスの社外取締役監査等委員。