団体信用生命保険(団信)とは?基礎からやさしく解説【住宅ローン検討者必見】

団信の基礎知識

戸建てやマンションなどのマイホーム購入を検討する際、多くの場合で住宅ローンの契約も併せて検討するでしょう。さらに、住宅ローンに団体信用生命保険を付加するかどうかも考えなければいけません。

今回は、住宅ローンとセットで加入する団体信用生命保険について、その保障内容とメリット・デメリットを解説します。

(参考)動画でわかる!西日本シティ銀行の11疾病団信とは?

*クレディ・アグリコル生命保険株式会社提供

団体信用生命保険とは?

団体信用生命保険とは?

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローン契約時に加入する保険です。保険の内容は、住宅ローン名義の契約者が死亡または高度障害状態になった場合、それ以降の住宅ローンの支払いが免除され、遺族に住宅を遺すことができるというものです。

団信の商品の特徴について、以下にいくつかポイントを絞って解説します。

住宅ローンの契約時しか加入できない

通常、団信は住宅ローン契約時にしか加入できず、中途付加はできません。金融機関によっては、一定期間の中途付加をキャンペーンの一環として実施している場合もありますが、一般的には中途付加はできないと考えておいたほうがよいでしょう。

住宅ローンの借り換え時に中途付加する方法

団信を付加するためのもっと確実な方法としては、住宅ローンの借り換えをすることが挙げられます。借り換えとは、新たに住宅ローンを申し込むことになりますので、いちから審査が必要となります。

その際に団信を付加すれば、中途付加という取り扱いではなく、「団信を付加した新規の住宅ローン」という扱いになります。

団体信用生命保険(団信)と生命保険の違い

団体信用生命保険は、その名のとおり「生命保険」の一種です。生命保険の中でも、死亡保障の部分にあたります。しかし、生命保険とは大きく違う点が2つありますので、以下にまとめます。

(1)保険金は保険会社から銀行へ支払われる

生命保険における死亡保障では、契約者が死亡した場合、死亡保険金は保険会社から遺族(死亡保険金受取人)へ支払われます。

一方、団信では少しお金の流れが違います。契約者(住宅ローン名義人)が死亡または高度障害状態になった場合に、その時点での住宅ローン残債を、保険会社が住宅ローンの引受先である銀行へ支払います。

これをもって相殺されるため残債は消滅し、以降の住宅ローンの支払いは免除されるということです。つまり、団信に加入していても、遺族には金銭としての支払いは一切ないということになります。

(2)生命保険料控除は適用外

団信は生命保険の一種ではありますが、確定申告の際に控除となる「生命保険料」には適用されません。団信にかかる税の優遇措置はありませんが、住宅ローン全体で考えると、住宅ローン控除などが該当します。

団信の幅広い保障内容

団信の幅広い保障内容

団信の保障内容の変化

従来の団信は「死亡または所定の高度障害状態」というのが適応条件でした。このいずれかに該当すれば団信が適用され、住宅ローン残高がゼロになります。

近年は、医療の進歩とともにさまざまな病気が「治る」時代になってきました。「働きながら病気を治す」時代ともいえます。

このような背景から、団信の保障内容は契約者の万が一の死亡・高度障害状態の場合のみ適用されるのではなく、もっと幅広い内容を保障に加えることで、より消費者のニーズに応えることができるようになっています。

がん特約

通常の団信に加え、さらに「がんと診断・確定された場合」にも適用されるようになるのが、がん団信です。がんの中でも適用されないがんがあるので事前に確認しておきましょう。

がん団信における免責期間

がん団信では、加入(契約)から90日の免責期間を設けている場合が多い傾向にあります。その間、万が一がんと診断確定されても団信は適用されません。

がん団信で適用されないがんの種類

がん団信で適用されないがんは、「上皮内がん」です。上皮内がんは、一般的に治療・手術を行えば転移の可能性が低いとされていることから、がんの中でも団信の適用対象外とされています。

上皮内がんにもいくつか種類があり、たとえば「子宮頸がん0期」「皮膚の悪性黒色腫」「食道上皮内がん」などがあります。

がんを含む3大疾病特約など

3大疾病、7大疾病、8大疾病、多いところでは11大疾病など、いくつかの疾病をまとめて特約として付加する団信もあります。3大疾病とは、「がん・脳卒中、急性心筋梗塞」のことを指します。

7大疾病などの複数の疾病を対象とした団信は、基本となる3大疾病に加え、各金融機関が独自に決めている場合が多いため、個別に確認することをおすすめします。

疾病特約に含まれる疾病の例

複数の疾病をまとめて対象としている場合、適用となる疾病に含まれるよくある例は以下のとおりです。

なお、これらは住宅ローン契約後の団信の適用対象となる疾患であり、これらの疾患にすでに罹患し治療などを行っている場合は、当初の住宅ローン契約時にありのままを告知する必要があります。

⦁ 高血圧性疾患

⦁ 腎不全

⦁ 肝硬変

⦁ 糖尿病

介護特約

通常の団信(死亡または高度障害時)の適用条件に加え、所定の要介護状態になった場合にその後の住宅ローン支払いが免除となるのが、介護特約を付加した団信です。

所定の要介護状態に関しては、取り扱う金融機関により基準が決められていますので、検討の際には担当者に確認しておきましょう。

特約の付加により金利が上乗せになる場合も

死亡・高度障害のみ保障される団信では、通常は保険料がかかることはありません(詳しくはこの後の「団信のメリット」にて解説します)。

一方、上記のような何かしらの特約を付加し、幅広くサポート可能な団信に加入する場合は、特約の保険料相当分として金利が上乗せされます。取り扱う金融機関によって多少の差はありますが、通常の住宅ローン金利に0.1〜0.3%程度が上乗せされる場合が多い傾向にあります。

また、インターネット銀行を中心として、所定の要件を満たすことにより、特約を付加した団信でも保険料が不要になる商品を取り扱っている場合があります。

別途保険料を支払うタイプもある

民間の金融機関による特約付き団信では、上記のように金利上乗せとして特約の保険料を支払います。一方で一部の金融機関では、金利の上乗せではなく、特約の保険料として毎年または毎月別途支払うタイプのものもあります。

2017年(平成29年)以前の機構団信

日本住宅金融公庫と民間の金融機関による「フラット35」のうち、2017年(平成29年)以前の契約のもの(旧・機構団信)では、住宅ローンの返済とは別に、団信の保険料を年に一度支払わなければいけません。特約の保険料も同じく、口座振り込みかクレジットカード決済にて年に一度支払います。

団信のメリット

団信のメリット

ここまで、団信の制度の概要や付加できる特約についてまとめてきました。続いて、団信のメリット・デメリットについてそれぞれ解説していきます。

団信に加入するかどうか検討する際の材料となりますので、ぜひ参考にしてください。

通常の団信は無料で加入できる

通常の団信(死亡または高度障害状態で適用されるもの)であれば、団信の保険料は無料であることが一般的です。

その代わり、団信付加は住宅ローン契約の前提条件となっていますので、健康上の理由から団信に加入できない場合は、住宅ローン契約自体を見直す必要がある点に注意が必要です。

遺族保障として大きな安心感がある

団信に加入していると、契約者に万が一のことがあった場合、住宅ローンの残高がゼロになります。つまり、その後の支払いは一括免除されます。

一つ上の項目でもお伝えしましたが、通常の団信であれば保険料の負担がありません。負担がないにもかかわらず、契約者が万が一のときには家族にきっちりと家を遺すことができます。この安心感は団信の最大のメリットといえるでしょう。

団信のデメリット

団信のデメリット

団信は、家族に対する安心感につながると紹介しました。では、団信にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。以下、いくつか考えられるデメリットについて解説していきます。

特約の付加で諸費用が高くなる可能性

通常の団信は保険料が無料であると解説しましたが、がんや3大疾病、介護などの場合にも免除となるような特約を付けた場合は、保険料が割高となると考えられます。

団信に加入できない場合は住宅ローンを組めないことも

冒頭でも解説しましたが、団信は「団体信用生命保険」という生命保険の一種です。生命保険ですので、住宅ローン契約時の健康状態についてありのままを告知する義務があります。その結果、団信に加入できない場合は、住宅ローンの契約自体ができなくなる可能性があります。

団信に加入できない場合の対処法①ワイド団信

団信に加入できず、住宅ローンが組めない結果となったときの対処法を紹介します。

まず、ワイド団信と呼ばれる引受緩和型の団信の申し込みをしてみましょう。団信保険料は割高にはなりますが、健康状態に不安のある人でも申し込めるという特徴を持つため、加入できる可能性は広がります。

団信に加入できない場合の対処法②フラット35

ワイド団信でも審査に通らない場合は、フラット35の申し込みを検討してみるという方法もあります。フラット35では、団信の加入は任意です。つまり、団信に加入しなくても(できなくても)住宅ローンを組むことができるといえます。

とはいえ、団信に加入しないままで住宅ローンを組むことは、遺族に関する保障を考えると、あまりおすすめとはいえません。団信をつけずにフラット35を契約する場合は、民間の生命保険(死亡保障)で住宅購入額相当程度の死亡保険に別途加入するなど、万が一の際に家や家族を守るための対策をしておきましょう。

団信加入は必要?不要?

団信加入は必要?不要?

団信の特徴やメリット・デメリットを踏まえ、団信加入の必要性について解説していきます。

団信に加入していない場合に起こり得ること

団信に加入しておらず、契約者が死亡または高度障害状態になった場合、その後の生活はどうなるのでしょうか。

契約者の相続人(一般的には配偶者や親など)が残りの債務を引き継いで、これまで同様にローンを支払う義務が発生します。万が一その後の支払いができないときは、最悪の場合マイホームを手放さなければいけない可能性も考えられます。

遺族保障として、団信には加入しておいたほうがよい

上記の理由から、よほどの理由がない限り、団信には加入しておいたほうがよいでしょう。遺族保障として家が遺るという安心感は絶大であるといえます。

健康上の理由や資金面の理由などから団信に加入できないケースもありますが、その際には団信以外の方法で遺族保障を備えておく必要があると考えられます。

遺族年金で住宅ローンをまかなうことは難しい

家族が亡くなったとき、所定の要件を満たすと遺族年金が支給されます。契約者の働き方によって遺族年金の受給額は異なりますが、遺族年金とは遺族の最低限の暮らしの支えとなるお金であり、住居費までまかなえるほど高額なわけではありません。

契約者に万が一のことがあっても、住まいを確保できているかどうかで遺族の生活は大きく変わります。その点を考慮すると、万が一に備えて団信に加入しておくことは、契約者自身および遺族に対する安心へつながると考えられるでしょう。

適用条件について把握しておく

上記のとおり、団信には加入しておくことをおすすめします。さらに、加入した後には適用条件についてしっかりと把握しておくことが大切といえます。

通常の団信であれば適用条件がわかりやすいので問題ありませんが、特約を付加した団信の場合は注意が必要です。がん団信、介護団信など、どういう状態になれば団信が適用されるのか、あらかじめ把握しておきましょう。

また、住宅購入当初から契約していた住宅ローンを途中で借り換えた場合も、新たに加入した団信の内容について確認しておく必要があるといえます。

まとめ

団信に加入しておくと、万が一の状態になった場合に住宅ローンの支払いが免除されます。住宅ローン返済は何十年にも渡って長く継続していくものであり、特に子どもがいる世帯では、返済時期と教育費のかかる時期が重なることも予想されます。自身の安心のため、家族の安心のために、住宅購入時には団信の加入を検討しましょう。

(参考)動画でわかる!西日本シティ銀行の11疾病団信

(クレディ・アグリコル生命保険株式会社提供)

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