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老人ホームにかかる費用はいくら?平均相場と入居一時金について解説

老人ホーム入居を検討するにあたって、費用がいくらかかるか気になるはずです。本記事では、老人ホームにかかる費用について、種類別の違いや平均相場を説明します。毎月かかる費用や入居一時金について知っておき、準備する方法を考えておきましょう。

そもそも老人ホームとは?

超高齢化社会に入り、老人ホームが終のすみかとなる人も増えました。親を老人ホームに入れることや、自分が老人ホームに入ることを考えている人は多いのではないでしょうか。まずは、老人ホームの種類を確認しておきましょう。

老人ホームにはいくつか種類がある

全国にはたくさんの老人ホームがあります。一口に老人ホームと言っても種類は分かれるため、種類や違いを知っておきましょう。

公的施設

自治体や社会福祉法人が運営している介護施設です。次のような種類に分かれます。

特別養護老人ホーム

正式名称は「介護老人福祉施設」で、「特養」とも呼ばれます。要介護度3以上で入居でき、終身で利用可能です。食事、入浴、排せつの介助や日常生活の支援、リハビリ、レクリエーションなどのサービスが受けられます。

介護老人保健施設

「老健」と呼ばれ、要介護度1以上で利用できます。病院を退院後に在宅復帰を目指す人を対象としており、リハビリや看護・介護を受けられます。入居期間は原則として3ヶ月で、3ヶ月ごとに在宅復帰か継続かを判断します。

ケアハウス

無料または低料金で利用できる「軽費老人ホーム」の一種です。自宅での生活が困難な60歳以上の人が、食事や洗濯などの日常生活支援サービスを受けられます。自立した生活に不安がある人のための「一般型」、65歳以上で要介護度1以上の人が利用できる「介護型」の2つに分かれます。

介護医療院

長期的な療養を必要とする高齢者が医療ケア、機能訓練、日常生活の支援を受けられる施設です。要介護度1以上で利用ができます。医師の配置が義務付けられており、比較的低料金で医療ケアが受けられる点が特徴です。

民間施設

民間企業が運営している介護施設です。公的施設と比べて利用料が高めですが、サービスが充実しているところが多くなっています。

有料老人ホーム

高齢者が心身の健康を保持しながら生活できるよう配慮された居住施設です。食事、介護、家事、医療ケアのうち、いずれか1つ以上のサービスが受けられます。介護付、住宅型、健康型といった種類があります。

有料老人ホームは老人ホームの中で最も数が多く、2021年(令和3年)10月1日現在、全国で1万6,724施設設けられています。

参考:厚生労働省「令和3年度 社会福祉施設等調査の概況

サービス付き高齢者向け住宅

高齢者の居住の安定の確保を目的とした住宅で、「サ高住」と略されます。バリアフリー完備で、安否確認や生活相談などのサービスが受けられます。自立した人が入居できる一般型と、介護が必要な人が入居する介護型があります。

グループホーム

認知症の高齢者を対象とした小規模介護施設で、正式には「認知症対応共同介護」と呼ばれます。65歳以上で要支援2以上の高齢者が入居できます。5~9人のユニットで共同生活を送り、自立した生活を目指します。

老人ホームでかかる費用の内訳と相場

老人ホームに入るには、費用がかかります。毎月あるいは年間でいくらかかるのか、内訳や相場を知っておきましょう。

老人ホームでかかる主な費用

老人ホームでかかる費用は、主に入居一時金と月額費用です。さらに、他の費用がかかることもあります。

入居一時金

老人ホーム入居時に払う初期費用です。入居中にかかる月額費用の一部を前もって支払うものです。

月額費用

入居中毎月かかる利用料で、居住費(賃料)、水道光熱費、食費などが含まれます。

その他の費用

介護施設は医療機関ではないため、医師が常駐している施設はごく一部です。入居中に病気等で医療機関を利用する場合には、別途医療費がかかることがあります。

老人ホームの種類によって平均相場は変わる

老人ホームでかかる費用の相場は、施設の種類によって大きく変わります。

公的施設では入居一時金はかからない

特別養護老人ホームなどの公的施設に入る場合には、入居一時金は必要ありません。一方、民間施設に入る場合には、数十万円から数千万円程度の入居一時金がかかることがあります。

月額費用はサービス内容によって異なる

老人ホームの月額費用は、施設の種類や受けられるサービスの内容によって変わり、15万~30万円と幅があります。

介護保険でカバーされる部分もある

老人ホームでかかる費用には、介護保険の適用が受けられるものもあります。食事・入浴・排せつの介助や身の回りの世話などは、介護保険の対象です。介護保険の適用が受けられる場合、利用者負担は原則として1割となります。

施設サービス費の平均自己負担額

厚生労働省の「令和3年度介護給付費等実態統計」によると、2021年(令和4年)4月審査分の施設サービスの受給者1人当たり費用額は31万3,700円となっています。この場合の費用とは、介護保険の適用となるサービスにかかる費用です。利用者の負担は1割なので、月額3万円程度となります。

参考:厚生労働省「令和3年度 介護給付費等実態統計の概況

特養で1か月にかかる費用はいくら?

介護保険の適用となる施設サービス費以外に、居住費、食費、日常生活費などもかかります。特別養護老人ホームに入居する場合、1か月にかかる費用の総額の目安は次のとおりです。

要介護5の人が多床室を利用した場合


1か月あたりの概算費用

備考

施設サービス費

2万5,200円

利用者負担1割とした場合

居住費

2万5,650円

1日あたり855円

食費

4万3,350円

1日あたり1,445円

日常生活費

1万円

施設により設定される

合計

10万4,200円


要介護5の人がユニット型個室を利用した場合


1か月あたりの概算費用

備考

施設サービス費

2万7,900円

利用者負担1割とした場合

居住費

6万180円

1日あたり2,006円

食費

4万3,350円

1日あたり1,445円

日常生活費

1万円

施設により設定される

合計

14万1,430円


出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料をもとに筆者作成

特養でかかる平均的な費用は、月額で10万~14万円程度、年間120万~170万円程度となります。

月額費用は年金でまかなえる?

厚生労働省の「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、民間企業のサラリーマンだった人(第1号厚生年金被保険者)の老齢年金の平均月額は14万5,665円です。これはあくまで平均額のため、もっと年金額が多い人もいるでしょう。

上で説明したとおり、特別養護老人ホームでかかる平均的な費用は月10~14万円程度です。特養などの公的施設を利用する場合には、年金から払える可能性は十分あります。月額費用が高めの有料老人ホームなどになると、年金のみで費用をまかなうのは厳しくなってしまいます。

参考:厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

老人ホームで使える補助金・助成制度

老人ホームに入るための費用が負担になってしまうことは多いでしょう。ここからは、老人ホームの費用の負担を軽減できる制度を紹介します。全国的に利用できる介護保険関連の制度(高額介護サービス費、高額介護合算療養費制度、特定入所者介護サービス費)のほか、自治体独自の制度もあります。

高額介護サービス費

介護保険の自己負担額の1か月の合計が一定額を超えた場合に、超えた金額を払い戻ししてもらえる制度です。介護保険が適用される費用については、一定額を超えると申請により払い戻しを請求できます。

自己負担額の上限は、課税所得により異なります。一般的な所得の人は、月額4万4,400円を超えると払い戻しが受けられます。

高額介護合算療養費制度

医療保険と介護保険の1年間の自己負担額が著しく高額になった場合に、上限額を超えた部分について払い戻しを受けられる制度です。自己負担の上限額は、年齢や年収によって異なります。

特定入所者介護サービス費

介護保険が適用される施設に入所した人で、所得や資産が一定額以下の人に適用される制度です。老人ホームでかかる居住費や食費には、通常は介護保険の適用がありません。しかし、低所得の人については、所得に応じて負担限度額が定められ、負担限度額を超える分を介護保険から払ってもらえます。

特定入所者介護サービス費の負担限度額は、利用者負担段階や施設の種類によって異なります。自動的に適用されるわけではなく、あらかじめ市区町村の窓口に申請し、負担限度額認定を受ける必要があります。

自治体独自の助成制度

全国共通の制度ではなく、自治体が独自に行っている助成制度もあります。たとえば、春日市では低所得の人を対象に利用者負担額の一部を助成する「介護保険サービス利用者負担額助成金交付事業」を行っています。

全国のいくつかの市区町村で、独自の助成制度が設けられています。住んでいる自治体の助成制度を確認してみましょう。

老人ホームの入居一時金について

老人ホームに入るときには、初期費用としてまとまった額の入居一時金が必要になることがあります。ここからは、入居一時金の仕組みや相場について説明します。

入居一時金は月額費用の前払い分

老人ホームには一定期間あるいは終身で居住することになるため、居住費すなわち家賃がかかります。居住費は毎月支払う必要がありますが、一部を前払金(入居一時金)として入居時に前払いする仕組みが設けられています。

入居一時金は、公的施設では必要ありません。有料老人ホームなどの民間施設の一部でかかってくるものです。入居一時金がかからない民間施設では、その分月額費用が高くなることがあります。

初期償却費・返還金とは?

入居一時金には償却期間が設定されています。償却期間は施設によって異なりますが、5~7年くらいが一般的です。償却期間内に施設を退去する場合、未償却分が返還金として返還されます。

なお、初期償却費として、入居一時金から最初に一部の金額が差し引きされることもあります。初期償却費は手数料のようなもので、退去時にも返還されません。初期償却費の割合は、一般的には15~30%程度です。

入居一時金の相場

入居一時金の金額は施設によって異なります。安いところでは数十万円程度ですが、数千万円かかる施設もあります。

クーリングオフの適用もある

高額の入居一時金を払って老人ホームに入っても、想定していたのとあまりにも違えば、退去したくなることもあります。すぐに持病の悪化等で入院しなければならなくなり、施設を出ないといけないこともあるでしょう。このような場合に入居者を保護するため、クーリングオフ制度が用意されています。

クーリングオフとは、契約後一定期間、消費者側が無条件で契約を解除できる制度です。訪問販売などではクーリングオフ期間は契約締結後8日以内ですが、老人ホームの場合には90日以内とされています。契約後90日以内に老人ホームを出る場合、入居一時金などの初期費用は原則として全額返金してもらえます。

施設が倒産した場合の保全措置

老人ホームに入居後、施設の倒産により入居一時金を返してもらえない事態になれば、入居者にとってあまりに不利益です。そこで、老人ホームには前払金の保全措置が義務付けられています。たとえ施設が倒産しても、最大500万円まで、未償却分の前払金は返還してもらえます。

老人ホームの入居一時金を準備する方法

有料老人ホームなどの民間施設に入るときには、まとまった入居一時金が必要です。入居一時金を準備するにはどんな方法があるかをみてみましょう。

預貯金

老後に備えて預貯金をしていれば、預貯金から入居一時金を出せるでしょう。家族の老人ホーム入居を検討するときには、あらかじめ本人の預貯金の金額を確認しておくのがおすすめです。

生命保険の解約返戻金

終身保険や養老保険など貯蓄性の生命保険に入っている場合、解約すると解約返戻金がもらえます。保険を解約して解約返戻金を老人ホームの初期費用に充てるという方法もあります。

家族が負担

老人ホームの入居費用は、本人の資産から出すのが基本です。しかし、親に全く資産がない場合には、子どもが出さざるを得ないこともあるでしょう。この場合、兄弟姉妹の一人にだけ負担が偏らないよう、よく話し合うことも大切です。

自宅の売却

もう自宅には戻らないという場合には、自宅を売却して入居一時金を用意する方法があります。不動産を売却する場合、状況やタイミングによってはすぐに買い手がつきません。早い段階から不動産会社に相談し、適切なタイミングで売却を進めましょう。

リバースモーゲージ

「リバースモーゲージ」は、自宅を担保に生活資金等を借りられるシニア向けのローン商品です。リバースモーゲージでは、自宅を手放す必要はありません。自宅に住みながら、毎月利息のみの返済ができます。借入金残金は、契約者が亡くなった後、自宅を売却して一括返済します。

夫婦の一方のみが老人ホームに入る場合など、自宅を売却するのが難しいケースでは、リバースモーゲージも検討してみましょう。

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まとめ

老人ホームにかかる費用は、施設の種類によって異なります。入居したい施設でかかる年間費用や入居一時金を確認しておきましょう。

入居一時金が必要な施設の場合、資金準備もしなければなりません。持ち家がある場合には、売却以外に、リバースモーゲージという方法があることも知っておきましょう。

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