相談者:Hさん(鹿児島県在住)
夫33歳(会社員)、妻32歳(会社員)、長女4歳、長男2歳
Q. 夫婦同時に転職予定。リスク資産を増やしていい?
産休を経て時短勤務で仕事に復帰しましたが、体調を崩したため、今年度末で退職を予定しています。
退職後は扶養の範囲内で働きたい、と思っていますが、体調次第なのですぐ再就職できるか見通しは立っていません。また、夫も同時期に転職が決まっています。
収入状況が変化するため、今後はこれまで通り貯蓄することが難しくなると思っています。そこで、今から少しでも支出を減らそうと思い、乳幼児医療費助成がある子どもたちの医療保険を解約し、スマートフォン1台は格安携帯に変更しました。
一方、つみたてNISAに興味があり、支出が増え過ぎないよう、家計の多くを占める保険料を削減して、運用費に回せないかも考え中です。掛け捨ての死亡保障額を下げたいと思いますが、幼い子どもがいるので、どの程度削減して良いものか悩んでいます。収入が減る見通しの中、リスクのある資産の割合を増やして運用収入を得たいのですが、大丈夫でしょうか。
保険のことも含めて不必要な支出の削減、貯蓄方法へのよきアドバイスをお願いします。
A. 妻の再就職前に投資を増やすのは慎むべき
夫の逓減定期保険見直しは賛成、米ドル建保険は保険料変動に備えて
半年後の収入減を見越して、家計の見直しに着手したのですね。思い切ってお子さんの医療保険を解約し、スマホを乗り換えたのは賢い判断だったといえます。
次の削減ターゲットは、逓減定期保険で、保障額の減額で保険料を3000円削り、つみたてNISAを始めたいとのこと。収入減で貯蓄に回すお金が減るから、投資で運用収入を得たいとお考えのようです。
その計画について「大丈夫」とは申し上げられません。あなたが仕事を辞めると、毎月の普通預金積み立てをストップしただけだと、月6万円近い支出超過。今の支出では特別収支の黒字で埋めきれず、月3万円程度の赤字状態になるでしょう。
パートに出れば黒字転換しますが、その前に投資を増やすのは慎むべき。国が推進しているからといって、儲かる保証はないし、夫の転職で家計が変動する時期に新たなリスクを抱えるのはやめましょう。NISAは2024年に新制度になってから検討を―。
なお、夫の逓減定期保険を見直すことについては賛成。夫は住宅ローンに団体信用生命保険をつけ、生活保障保険、医療保険、終身保険、養老保険、個人年金保険、変額年金保険にも加入。削減余地は大きそうです。
終身保険と養老保険は米ドル建てで、契約時には月1万4200円だった保険料が、ドル高で1万7800円にアップしています。市場を震撼(しんかん)させた1ドル145円だとどうなるか試算し、対応を検討しておくことをおすすめします。
冬のボーナスから不要不急の支出カットにも着手を。
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2022年10月8日号掲載
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高橋伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。