相談者:Mさん(鹿児島県在住)
本人40歳(会社員)、長男11歳
Q. 子どもの進学に向けて引っ越すなら賃貸? 購入?
シングルマザーで小学6年生の子どもを育てております。今住んでいる場所が交通の便が悪いため、今後子どもが高校進学する際のことを考えて引っ越しを検討しています。その場合、このまま賃貸でいいのか、マンションなどを購入する方がいいのか悩んでいます。
今の住居は家賃は安いのですが、住環境があまり良くないこともあり、遅くても子どもが中学校を卒業するまでには引っ越ししたいです。しかし、もし子どもが県外の大学へ進学することになれば、自分の生活費に加え子どもの生活費まで二重で払う余裕はないので、共に引っ越すことを考えています。もし家を購入していた場合は、賃貸に出せば良いのでしょうか? それとも、自分の年齢的にもローンを組むことは現実的ではないでしょうか?
仕事では、さらなるキャリアアップへの資格取得を目指しています。そのため、あと数年は年間数万円ほどかかってしまいますが、再就職に向けた強みとして活かせるのと、自分自身へのやりがいにもつながっているので、このまま頑張りたいと思っています。なかなか考えがまとめられないのでアドバイスお願いします。
A. 安全策をとるなら子の独立までは購入を焦らないで
購入するなら通学圏内の大学進学か奨学金・アルバイトで下宿生活を
お子さんの高校進学は3年後ですが、通勤と通学に適した場所への転居を考えているようです。年齢的にローンを組むことへの不安も感じ、賃貸か購入かで迷っておられるのですね。
家計簿を拝見すると、手取り収入に占める貯蓄率は44%。児童手当と養育費は全額を子ども名義の貯蓄に回し、将来の教育費増に備えておられます。それらを除いても、収入の30%超が貯蓄に回っています。求人需要の多そうなあなたの職種も勘案すると、持ち家を購入するハードルはそれほど高くはなさそうです。
問題は、大学進学まで視野に入れた場合です。お子さんが県外の大学に進学したら、県外に引っ越し、転職もするつもりですね。不在の間、持ち家を空き家にしておく余裕はないので、家賃収入でローンが返せるような物件を購入しておくことが大切です。
うまく賃貸経営ができない場合は、売るという選択肢もありますが、今のようにマンション価格が高値圏の時の購入だと、買い値より高くは売りにくいことも知っておきましょう。
以上のようなリスクを考えると、家を買うなら通学圏内の大学進学に限定、あるいは奨学金やアルバイトで下宿生活してほしいと、お子さんに伝えておくべきだと思います。
安全策をとるなら、少なくともお子さんが独立するまでは、住み替えが容易な賃貸住まいを継続し、購入を焦らないほうがよいのではないでしょうか。子育て後の生き方、住まい方をじっくり考えて、満足のいく家選びをしてくださいね。
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2022年3月12日号掲載
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高橋 伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。株式会社西日本フィナンシャルホールディングスの社外取締役監査等委員。