相談者:Kさん(福岡県在住)
夫40歳(会社員)、妻38歳(パート)、長男9歳、次男7歳、長女5歳
Q. ジュニアNISAと預金で教育費作りは大丈夫?
今年、大幅に家計を見直し、貯蓄型の生命保険や学資保険を解約しました。子どもの教育費をジュニアNISAと預金で賄おうと考えたためです。他にも固定費を見直し、投資の比率を上げました。今は主に全世界株に投資しております。
住宅は8年ほど前に購入し、繰り上げや借り換えで現在のローン残債が1800万円ほど。夫が57歳の時に完済予定です。
今年は家電の買い替えで大きな出費が続き、あまり現預金を増やせておりません。なお、今はコロナ禍で旅行費ゼロですが、例年はボ―ナスから20万円計上しています。数年以内には子ども二人の歯科矯正を開始予定(2人で140万円ほど)。さらに子どもには、中学校から私立という選択肢も最近考え始めました。
自分なりに家計管理について勉強し、大きな方向転換を行っていますが、間違っていないでしょうか? もっと投資の比率を下げて、現預金を増やした方が良いのかと悩んでおります。
そして何より一番の心配は教育費。子ども普通預金の約半分をジュニアNISA資金にして満額(240万円)×3年、と考えておりますが、いかがでしょうか?
A. 投資はリスクがつきもの、比率の引き下げの検討を
ジュニアNISAは非課税期間終了時の手続きと払い出し制限に注意!
独身時代の貯蓄を家の頭金に使い、住宅ローンを返しながら貯蓄に励んでいるようです。この1年で現預金と投資型金融商品で345万円も貯蓄! 家電の買い替えもあったのに、4割近い貯蓄率とは驚きました。
でも、食費と教育関係支出が、貯蓄を除く年間支出の3分の1を占めています。それらがこの先増える上、歯科矯正での高額出費も予定されているとか。住宅ローン控除もあと2年でなくなりますし、これからのやりくりは課題山積です。
思い切って投資比率を上げたことで、金融資産に占める安全資産(現預金)の割合はすでに36%に低下しています。投資にはリスクがつきもの、ということを忘れてはいないでしょうか。投資初心者の場合、金融資産の3割が投資でも多い、といわざるをえません。
しかも、投資先がほとんど海外の株式であり、運用はプロにおまかせです。儲かっても損をしても、ご自身の運用能力が上がるわけではありません。自己責任で投資をすることの原点に立ち戻って、投資比率の引き下げを検討すべきです。
教育資金に利用しようとしているジュニアNISAは制度名であり、どんな株、どんな投資信託に投資するかで運用成績が異なり、元本割れの可能性もあります。
2023年の廃止に伴い、駆け込み投資が増えていますが、非課税で運用し続けるには、非課税期間終了時に新たな非課税口座に移し替えるロールオーバーの手続きが必要です。細かく引き出したりはできないので、教育資金に余裕がある家庭向きといえましょう。
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2021年11月13日号掲載
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高橋 伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。株式会社西日本フィナンシャルホールディングスの社外取締役監査等委員。