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明日の日本は今日より良くなる?(SDGs)| 西日本シティTT証券チーフアナリスト 松本義一郎

明日の日本は今日より良くなる?(SDGs)

明日の日本は今日より良くなる?(SDGs)

NHKの大河ドラマ「晴天を衝け」が好調のようです。江戸時代から近代社会に激変した維新から明治にかけての時代は、コロナで生活の環境が激変した今と共通するものがありそうです。その厳しい時代におよそ500の会社を設立して(今も上場企業としてたくさん残っています)、日本経済に多大な功績を残した渋沢栄一の言葉には、150年も前の日本人とは思われないものがたくさんあります。特に私が感銘を受けたのは、「その経営者一人がいかに大富豪になっても、そのために社会の多数が貧困に陥るようなことでは、幸福は継続されない。」というものです。まさに「誰一人取り残さない」というSDGs(持続可能な開発目標)と同じメッセージを、はるか昔に渋沢は発していました。日本資本主義の父といわれる渋沢の会社を作るときの思いや、祖国日本に対する気持ちの源流がこの言葉に込められていると思います。

コロナ禍で私たちに見えてきたものは、(1)人の命と健康の大切さ、(2) IT技術・デジタル化の有益性、(3)持続可能な社会(SDGs)の重要性です。私たちはコロナ感染拡大により、人の命と健康の大切さを改めて学び、治療薬やワクチンの開発が急務であることを実感しました。IT技術が新しい生活様式では最重要のツールであることも再認識しました。そして最後に最も大事なことは、「持続可能(サステナブル)な社会」がいかに尊いことかを身に染みて感じたことです。このため、今回のコロナ禍で世界には新たな目標である「SDGs(持続可能な開発目標)」の考え方がより深く浸透しているのだと思いますし、渋沢の言葉の大切さが胸に染入るのだと思われます。

 SDGsが目標だとすると、株式市場で今猛烈な勢いでメインストリームになりつつあるESG投資は、目標を達成するための手段になります。ESGとはE(環境)企業が環境に配慮しているか。S(社会)は女性活躍推進や地域貢献など社会に貢献しているか。G(企業統治)は収益を挙げつつ不祥事を防ぐ経営をしているかになります。資産運用の分野では、このESG投資が今後ますます重要性を増すことになりそうです。

 新型コロナの感染拡大が収まらないなか、日本、中でも九州は記録的な豪雨による被害に毎年苦しめられています。過去に経験したことのないこうした災いの発生は、気候変動による影響が大きいとされ、地球規模の対策が急務になっています。社会の持続性に焦点をあてたSDGsとESG投資は、コロナと共生せざるを得ないこれからの世界では、株式市場でも最も重視されるメインストリームに浮上してゆくと思います。

FM福岡で毎日放送中!「トゥデイズマーケットインフォメーション」

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最後に私が毎日マーケットについてコメントをしている、FM福岡の放送内容を紹介いたします。

 大河ドラマ「晴天を衝け」の主人公渋沢栄一に関心が高まっています。150年も前に活躍した経済人がブームになるのは、コロナ禍の今の時代の変化が渋沢栄一的な考え方を求めているからだと思います。渋沢さんは「その経営者一人がいかに大富豪になっても、そのために社会の多数が貧困に陥るようなことでは、幸福は継続されない」と「誰一人取り残さない」という今のSDGsやESGと同じメッセージを150年前に発しています。渋沢さんの言葉は、今日よりも良い明日の日本を拓こうと努力しなさい、という未来志向の考え方です。(6月14日放送分)

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