キャッシュレス決済の広がりとともに、学生にもクレジットカードが身近になってきました。クレジットカードは便利な反面、使い過ぎに注意するなどの計画的な利用も求められます。この記事では、学生が初めてクレジットカードを作る場合の注意点や、クレジットカードを持つメリットについて詳しく解説します。
クレジットカード決済の仕組みについて
クレジットカードは、後払いができる決済手段です。まずはクレジットカード決済の基本的な仕組みについて解説します。
クレジットカード決済の流れ
クレジットカード決済に関わるのは、利用者・加盟店・カード会社の3者です。
利用者がクレジットカードの加盟店で商品を購入し、クレジットカード払いを選択します。
クレジットカードの利用情報により、カード会社が購入代金から加盟店手数料を差し引いた金額を加盟店に立替払いします。
利用者は購入代金を口座引き落としなどでカード会社に支払い、決済が完了します。
利用者からカード会社への支払いについて、例えば「毎月15日締めの翌月25日払い」という条件であれば、前月16日から該当月の15日までの利用分の合計を翌月25日に支払います。
クレジットカードの支払い方法について
クレジットカードの支払いは、1回払いの他にさまざまな方法があります。1回払いは全ての加盟店で利用できますが、その他の支払い方法は加盟店によっては使えません。一般的に家電のような高額商品を扱う加盟店では、分割払い・リボ払い・ボーナス払いを選べる場合が多いです。
支払い方法によっては、利用者がカード会社に支払う手数料が発生することがあります。
支払い方法の種類
クレジットカードの支払い方法には次のような種類があります。
支払い方法 | 手数料 | |
1回払い | 締め日の翌月に支払い | 不要 |
2回払い | 締め日の翌月と翌々月に2回に分けて支払い | 不要 |
分割払い | 利用額と手数料を3回以上の複数回にわたって分割して支払う 回数はカード会社ごとに異なる | 要 |
リボ払い | 毎月一定の額を支払う方式 例:毎月1万円の設定で利用額が5万円なら、1万円ずつを5回と手数料を払うことで支払いが完了 | 要 |
ボーナス払い | 夏または冬のボーナス月にまとめて支払う方法 | 不要 |
クレジットカードはどこで使える?
主に次のような場所や場合にクレジットカードを使えます。
● スーパーマーケット
● コンビニエンスストア
● ガソリンスタンド
● 百貨店
● 家電量販店
● 飲食店
● 遊戯施設
● ネットショッピング
● 電気・ガス・水道など公共料金の支払い
● 保険料の支払い
● 受験料の支払い
クレジットカードの使い方
クレジットカードの使い方は、実店舗とネットで異なります。それぞれの使用方法を解説します。
実店舗での会計でカード払いをする場合
飲食店やスーパーマーケットなどでカードを使う流れは次のとおりです。
自分のカードが使えるかどうかを確認
手持ちのカードがその店で使えるかどうかは、店の入り口付近やレジ周りに表示されている各種カードのロゴマークで確認できます。自分のカードのブランドが見つからない場合、店の人に「このカードは使えますか」と尋ねてみましょう。
カード払いすることを伝える
レジやテーブルでの会計時にカード払いである旨を伝えます。もし分割払いやボーナス払いが希望であれば、払い方も伝えましょう。
暗証番号の入力、または署名する
実店舗でのクレジットカード利用時には、本人確認として暗証番号の入力、またはサインが求められます。
暗証番号はカードを作る際に登録した4ケタの数字です。入力の際は、第三者に覗き見られないように注意してください。サインの場合は、自分のカードの裏面のサインと同じように記入しましょう。
ネットショップでカード払いをする場合
ネットでクレジットカードを使う際の流れは次のとおりです。
自分のカードが使えるかどうかを確認
ネットショップの決済画面で自分のカードのブランドが使えるか、ロゴマークをチェックします。
クレジットカード情報を入力する
クレジットカードの情報を入力する画面で必要事項を入力します。
● カード番号
● カード名義人の氏名
● カードの有効期限
● セキュリティコード
入力後、注文と決済を確定させると支払いが完了します。
学生がクレジットカードを作る際の注意点
クレジットカードは便利なものですが、学生が利用するには注意すべき点もあります。
計画的な利用が大切
クレジットカードでは、計画的な利用を心がけることが大切です。カード払いは便利な反面、使い過ぎによる支払い延滞のリスクがあります。延滞を起こすとカードが利用停止になる場合があり、利用者の信用情報にも傷がつきます。毎月の支払い金額を確認し、引き落とし日前日までに口座に入金しておきましょう。
分割払いには手数料がかかる
上述のとおり、クレジットカードの支払いは1回払い以外にさまざまな方法があり、必要に応じて分割払いも選べます。高額の買い物をした場合に分割払いを利用できることは、お金に余裕のない学生にとって便利です。
しかし、3回以上の分割払いとリボ払いには手数料がかかります。1回払いに比べて総支払い金額が増えることを忘れないようにしましょう。
審査に通る必要がある
学生もクレジットカードを作ることは可能ですが、社会人同様にカード会社の審査に通る必要があります。一般的にカードを作れる条件としては次のようなものがあります。
● 利用者本人の年齢が18歳以上(高校生は不可)であること
● 本人もしくは親権者に安定した収入があること
● 未成年者の場合、親権者の同意があること
20歳以上の人が申し込む場合でもカード会社から親権者へ連絡が入るため、事前に親権者にカードを作ることを伝えておきましょう。
過去に携帯電話料金の滞納などの延滞歴があると、審査に通らない可能性があります。延滞は絶対にしないように注意してください。
利用限度額とキャッシング枠
学生に発行されるクレジットカードの利用限度額は、10~30万円と一般カード(50万円~100万円が多い)に比べて少額に設定されています。これは、学生には社会人と同等の支払い能力がないとみなされるためです。
また、クレジットカードにはショッピングの利用限度額以外に、お金を借りるキャッシング枠という機能を付帯できます。キャッシング枠はショッピング枠の一部に含まれるものです。学生でも利用できる場合がありますが、お金を借りた分カードの利用可能額が減りますし、金利もかかります。よって、必要がなければ付帯させないほうが良いでしょう。
不正利用のリスクがある
クレジットカードには不正利用をされるリスクがあります。不正利用される原因として紛失・盗難、ネットショップ利用からの個人情報漏洩などが考えられます。
紛失・盗難は正しいカード管理で対応できますが、インターネット経由の被害は完全に防ぐことは難しくなっています。なぜなら、不正アクセスの手口が年々巧妙になっているからです。そのため、早期に被害に気づくことが大切です。
カードの利用明細には必ず目を通し、使った覚えのない利用歴がないか確認してください。不正利用に気づいた場合はすぐにカード会社に連絡しましょう。
学生がクレジットカードを作るメリット
次に、学生がクレジットカードを持つとどのようなメリットがあるかを解説します。
キャッシュレスで決済できる
カード払いに対応している店舗は増えており、カードがあれば多額の現金を持つ必要はなくなってきました。その結果、ATMでお金を引き出す回数が減り、時間と手数料を節約することにつながります。また、現金の盗難・紛失のリスクも少なくなります。
利用額に応じたポイントが貯まる
クレジットカードを利用すると、利用額に応じたポイントが貯まります。例えば携帯電話の利用料を口座引き落としではなくクレジットカード払いにすれば、ポイントが付与されるのでお得です。貯まったポイントは商品券やマイルに交換したり、キャッシュバックに利用したりできます。
ネットショッピングと相性がいい
ネットショッピングの決済でクレジットカードを利用すると、銀行振込や代金引換に比べてお金も手間も節約できます。クレジットカード払いでは振込に行く必要はなく、振込手数料や代引手数料もかかりません。
利用明細をお金の管理に使える
カード払いを利用すると履歴が残り、その内容を利用明細で確認できます。利用明細を確認する習慣をつけて予算管理などに活用すれば、家計簿のように紙で管理するより手間がかかりません。結果として計画的な利用が可能になり、ムダ遣いの抑制につながります。
カード会社ごとの特典がある
クレジットカードにはカード会社ごとにさまざまな付帯サービスや優待が付いています。旅行傷害保険や提携施設での優待プラン、ネットショップでのポイント加算など現金払いにはない特典があるのは、クレジットカードの魅力の1つです。
留学や海外旅行の際も使える
留学や海外旅行などで渡航する場合、国際ブランドのクレジットカードが1枚あるととても便利です。海外で多額の現金を持ち歩くと盗難などの被害にあう恐れがありますが、クレジットカードがあれば必要最低限の現金を持つだけで事足ります。
また、海外でのホテル予約やレンタカーの利用には、クレジットカードが必須です。なぜなら、外国ではクレジットカードは身分証の代わりとみなされているからです。
加えて、海外旅行傷害保険が付帯されているクレジットカードなら、現地で病気やけがをしたときの治療費や手荷物の盗難などの損害が補償されます。
個人の信用を積み上げられる
クレジットカードの支払いを延滞すると信用に傷がつくリスクについて触れましたが、反対に滞りなく支払いをし続けた履歴は個人の信用情報としてプラス要素になります。
信用情報においてプラスの実績があれば、将来何らかの融資を受ける場合に有利に働く可能性があります。
メガバンクと地方銀行発行のクレジットカードの違い
クレジットカードの選択肢には、銀行系のクレジットカードがあります。銀行系のクレジットカードにはどんな特徴があるでしょうか。
銀行系クレジットカードの特徴
銀行系クレジットカードとは、銀行やその系列会社が発行するクレジットカードです。大きな特徴は、発行する銀行を利用する際に優遇される点にあります。主な付帯サービスには以下のようなものがあります。
● ATM手数料の優遇
● 金利の優遇
● クレジットカードにキャッシュカード機能が付帯
メインバンクが発行するキャッシュカードにクレジットカード機能が付くと、お金についての機能が1つにまとまるため便利です。また、銀行系クレジットカードの大半は学生でも申し込みができます。
メガバンクと地方銀行の違い
日本にある銀行は、大きく分けて「メガバンク」と「地方銀行」に分類できます。
メガバンクとは、東京や大阪などの大都市に本店を構え、日本全国の主要都市に支店を設けている大規模な銀行のことです。それに対して地方銀行は、各地方や都道府県内を営業基盤としている銀行です。
メガバンクのクレジットカード
メガバンクは住まいの地域を問わずに口座開設できます。そのためメガバンクのクレジットカードは、カード申し込みの条件を満たしていれば作れます。
地方銀行のクレジットカード
地方銀行の中には、口座開設・クレジットカードの申込者について、その銀行の営業エリア内に住んでいる人か、通勤・通学をしている人に限っているところがあります。地方に住む人にとっては、地域内に支店のネットワークを持つ地方銀行のほうがメガバンクより利用しやすいと言えます。
学割のある西日本シティ銀行のALLINONEカード
地方銀行系のクレジットカードの中でも福岡県に住む学生にメリットがあるのは、西日本シティ銀行のALLINONEカードです。ALLINONEカードは、西日本シティ銀行が発行するキャッシュカードとクレジットカードが一体型になったカードです。
西日本シティ銀行のATMやコンビニATMの手数料と年会費が1年間無料になる特典があります。さらに学生の場合、在学中はATM手数料と年会費がずっと無料になる「学割」を利用できます。
まとめ
学生のうちからクレジットカードを作ると、お金の管理がしやすくなり、信用情報を積んでいくことができます。また、キャッシュレス決済の普及、ネットショッピング利用機会の増加などからも、学生のクレジットカードの必要性は増していると言えます。計画的な利用を心がけ、自分の目的に合ったクレジットカードを選びましょう。
- クレジットカード
松田聡子
群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー
国内生保で法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。