車の購入は安い買い物ではありません。そのため、車をお得に買うにはどのタイミングがベストなのか、迷っている人も多いのではないでしょうか。この記事では、車を買うのにおすすめの時期や、買い換えを検討すべき条件について解説します。
新車を購入するのにおすすめなのはいつ?
まずは、新車の購入におすすめのタイミングについて解説します。
新車を安く買うことができるのは3月と9月の決算期前
新車を安く買うには、何月がいいのでしょうか。一般的には、3月と9月の決算期前がいいと言われており、この時期は決算セールが開催されることも多くなっています。これは、決算を前にして、販売店は値引きをしてでも売りたいと考えるからです。
販売店は納車日で実績を数えるので、値引きをしてもらうためには、3月末や9月末までに納車可能なタイミングで購入しましょう。
ボーナスのタイミングも買い時
一般的に、会社員のボーナス支給月である7月・12月は、消費者の財布の紐が緩みやすいとされていて、新車が売れやすい傾向にあります。これにより、ディーラーや販売店同士で値引き合戦が起こりやすくなります。
12月に新車を購入するときの注意点
12月に新車を購入する場合、現在利用している車を下取りに出す人は注意が必要です。なぜなら、年度登録を12月にするか1月にするかで書類上の登録年が1年変わり、下取り価格に影響があるからです。冬のボーナスのタイミングで新車を買うことを考えている場合は、登録年に注意しましょう。
営業成績の締めのタイミングである毎月末は交渉しやすい
営業成績の締めの時期は、毎月末です。月末に売上目標を達成するために、値引きをしても売りたいという販売店やディーラーであれば、値引き交渉もしやすくなるでしょう。
また、特に12月は1年の締めとなるので、ほかの月よりも売上目標が高く設定されている場合が多いと考えられます。歳末セールを掲げる店舗が多くなるなど、年末はほかの月よりも多くの台数を売りたい時期のため、車を安く購入できるチャンスと言えるでしょう。
中古車をお得に購入できるタイミングとは?
中古車の需要傾向
中古車の需要傾向はある程度決まっており、年度末の決算月となる3月は中古車がもっとも売れる時期とされています。反対に、半期決算月後の10月、11月は、中古車の販売台数がもっとも少なくなると言われています。また、年度末の決算月後の4月、5月も、需要が一旦落ち着くという傾向があります。
中古車を購入するなら4月~5月がおすすめ
上述の理由から、4月や5月に中古車販売店は閑散期を迎えますが、この時期は決算期に買取や下取りをした車が在庫に揃い始める頃でもあるので、供給量は多くなると考えられます。また、新車ディーラーの決算期に自社登録を行った登録済みの未使用車が、中古販売店に並ぶのも決算期直後です。
このことから、供給過多で需要が減少する4月~5月の閑散期は、1年を通じて中古車価格がもっとも安くなると言われています。中古車をお得に購入したいときは、閑散期に購入することを検討してみてもいいでしょう。
すべての車が安くなるわけではない点に注意が必要
とはいえ、中古車の価格が安い時期だからといって、どんな車でも必ず安く買えるというわけではありません。人気のモデルや車種、年式が新しい車は、時期や需要によって価格が変動することはあまりなく、1年中値段が下がりにくい傾向にあるからです。
自動車の買い換えを検討すべき条件
現在乗っている車が古くなってきたら、新しく買い換えるか、修理しながら乗り続けるか迷うところです。買い換えを検討するのは、どのようなタイミングがよいのでしょうか。
車の寿命がきた場合
乗用車の平均寿命とは
買い換えのタイミングとして、まず考えられるのは車の寿命です。一般社団法人財団「自動車検査登録情報協会」が行った調査によると、乗用車の平均寿命はおよそ8.53年です。一般的には10年を過ぎると不具合が多くなると考えられており、買い換えの目安の一つになります。
使えない状態になる前に買い換えるのがおすすめ
最近は車の性能が向上していることや、使い方によって状態が異なることから、使用年数だけでは車が寿命を迎えたとは言い切れません。しかし、エンジンの不具合が目立つようになったり、修理や故障にお金がかかるようになったりしたら、寿命が近付いていると考えられます。
年数が経つと車の市場価値は大きく下がるので、車が使えない状態になる前に買い換えを検討するようにしましょう。
車検前
車検のスケジュールに合わせて買い換える
買い換え時期を検討しているなら、車検前に車を買い換えるのも選択肢の一つになります。車を売却する直前に、10万円前後の車検代をわざわざ払う必要はないと考えられるからです。
新車で購入した場合、初めての車検は3年目(または走行距離6万km時点)です。その後は2年おきに車検を受けなければいけません。車検のスケジュールを頭に入れ、車検を受ける前に売却するのが効率的と言えるでしょう。
車検価格によって買取価格が高くなることはない
ただし、車検の期間がたくさん残っているからといって、買取価格が高くなることはありません。中古車販売店では、店頭に並んでいる間に車検が切れることも多いためです。
また、車検切れの車では公道を走れない点にも注意が必要です。車検が切れてしまった後に査定や売却となると、車を保管している場所まで出張査定してもらったり、輸送費などが発生してしまったりします。車検が切れる前に売れるよう、売却プランは余裕を持って立てるようにしましょう。
走行距離
走行距離の目安は10万km
買い換えの目安としては、年数だけでなく走行距離も重要です。購入後5年未満の車であっても、10万km以上走っていれば部品などの消耗が激しく、故障や不具合の原因になると言われているからです。
そのため、走行距離が10kmを超えている場合も、買い換え時期の一つの目安となります。それ以降は修理費がかかるだけでなく、市場で買い手がつかなくなってしまうことも考えられます。
できれば9万km台のうちに売却する
実際に不具合がなくても、市場価値が大きく下がる可能性があります。そのため、10km近く走っている場合は、できるだけ9万km台のうちに売却するのがおすすめです。
リセールバリューが低下する前
リセールバリューとは
「リセールバリュー」とは、車を売却したらどのくらいの価値がつくかを表した指標です。車を売却するときは、リセールバリューを考慮することも重要です。
早く売却するほど残存価値が望めますが、ほかの要因も価格に影響を与えます。中古車の市場価値は、走行距離や年数によって一定の割合で下がるだけでなく、以下のような条件によって大きく下がってしまうことがあります。
市場価値が下がる可能性がある要因
● 競合となる車種が発売された
● 現行のモデルの販売が終了もしくは生産中止
● マイナーチェンジやモデルチェンジによって、新しいモデルが発売される
● 不具合が見つかり、リコールやサービスキャンペーンなどの自主回収。また、自動車メーカーの不祥事が発生
モデルチェンジや競合となる車種が発売された場合、価値は大きく下がると考えられます。モデルチェンジなどが予想される場合は、その前に売却してしまうのも手です。
ローンの完済
ローンを完済したタイミングも、車を手放す節目と言えます。ローン返済中は、車の名義がローン会社にあるので自由に売ることはできません。ですが、ローンを完済すれば自分の名義になるので、売却がいつでもできるようになります。車を売った代金のすべてが、自分のお金になるのも大きなポイントです。
ライフスタイルの変化
ライフスタイルが変化したときも、車を売るタイミングの一つです。家族が増えて大きな車が必要になったり、子どもが独立して夫婦2人用の小さい車に乗り換えたり、車の必要性に応じて買い換えることを検討してみましょう。
車の購入・買い換えまでに確認しておきたいこと
車の購入や買い換えの前に、確認しておくべきことがいくつかあります。購入や買い換えを検討する際は、次の点をチェックするようにしましょう。
保有する車の価値を確認する
ローンや納税証明書等を確認する
まず、持っている車を売却できるかどうかを確認することから始めましょう。たとえば、自動車のローンは完済しているか、自動車税をきちんと支払っているか、自動車税納付証明書が手元にあるかなどの確認が必要です。
もし自動車税の滞納がある場合は完済し、自動車税納付証明書がない場合は再発行してもらいましょう。また、自動車ローンを完済していない場合は、所有権の解除手続きをローン会社に対して行わなければいけません。
売却価格の相場を調べる
売却できることが確認できたら、どのぐらいの値段がつきそうか相場を調査してみましょう。ただし、個別の車の状態によって異なるので、実際の査定価格とズレが生じる可能性がある点には注意が必要です。
車選びは購入の1か月半~2か月前から始める
車選びは購入する2か月前か、遅くても1か月半前から始めるようにしましょう。一般的に、車選びに1か月程度、価格交渉に2週間から1か月程度かかるとされています。余裕を持って準備をすることで、車選びから価格交渉までスムーズに進めやすくなるでしょう。
購入したい車や販売店の情報を確認する
車を買うときは、あらかじめどの車を購入するかを決めておき、その車の販売店情報を調べておくのがおすすめです。ディーラーや販売店には、さまざまな種類の車が揃っています。それらを一つひとつ検討していると、労力と時間がかかってしまうでしょう。
欲しい車をベストなタイミングで購入するためには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
車の評判を調べる
人気がある車種は、購入まで3か月以上待たなければいけないこともあります。購入を考えている時期には買えない場合もあるので、あらかじめ欲しい車の人気度を調べておきましょう。
また、人気のある車種が欲しいのであれば、在庫があるディーラーや販売店を確認しておくと、スムーズに購入できる可能性があります。もし在庫がなければ、いつ入荷するのかを聞いておくことで、「安くなるタイミングに間に合いそう」など購入の目処をつけることができます。
販売店の評判を調べる
ディーラーや販売店との付き合いは、車を購入したら終わりではありません。購入後も、車の点検や整備を通じて長く付き合っていくのです。車を安く購入できたとしても、販売店の対応が悪かったり、点検が甘くてすぐに劣化したりしたら、購入を後悔してしまうかもしれません。
ですから、車を購入するときは値引きだけでなく、購入した後のアフターサービスについても調べておく必要があります。たとえば、あらかじめインターネットで口コミ情報を調べたり、実際に店舗へ足を運んで接客を受けたりして、評判やサービスをチェックしておくようにしましょう。
車のグレードの相場や在庫を確認する
同じ車種でも、グレードによって価格が異なります。グレードとは、同じ車種における性能や装備の違いによる等級を表す用語です。車の装備やバージョンなどを確認し、欲しい車のグレードを確認した上で、相場を確認しておくようにしましょう。
欲しい車種が販売されていても、欲しいグレードのものではない場合もあります。購入したい車を見つけたら、欲しいグレードのものが販売されているかどうかも調べておきましょう。
売却価格をもとに車を選ぶ
欲しい車が決まっていなければ、売却したときにもらえる金額をもとに購入する車を決めるのも一つの方法です。売却の手続きを進めながら、車に乗る人数や使用目的を考え、購入する車に見当をつけておくのもいいでしょう。
実際に試乗する
購入する車が決まれば、実店舗での見積もりや現物確認の段階へ進みます。車は、実際に乗ったときの感覚が大変重要です。事前に決めた情報だけで判断するのではなく、実際に試乗するなどして、使い勝手や乗り心地を確認するようにしましょう。
見積もりは複数の店舗で行う
見積もりを出してもらう場合は、複数の店舗を訪れるのが効果的です。相場がわかるようになり、値引き交渉などをしやすくなるでしょう。
また、今乗っている車の下取り査定をしてもらい、下取りがある場合とない場合の見積もりを出してもらうことも大切です。見積もりの結果によって、そのまま下取りに出した方がいいのか、ほかで売却した方がいいのかを検討するようにしましょう。
まとめ
車を安く買うには、3月・9月の決算期前や、ボーナス時期などのタイミングを狙うようにしましょう。車を買い換えるときは、車の寿命や走行距離などを考え、なるべく高く売れるときに売却するのも手です。スムーズに車を購入するためには、2か月前か、遅くても1か月半前から準備を始めましょう。
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山下耕太郎
証券外務員1種
証券会社でマーケットアナリスト・デリバティブディーラーを経て個人投資家に転身。投資歴は20年以上。現在は、日経225先物を中心に、現物株、FX、CFDなど幅広い商品に投資している。