あなたは、身の回りの方々の『声』を聞いていますか?
きっと皆さんは「言葉」は聞いていらっしゃるでしょう。
でも、『声』は聞けているでしょうか?
ご家族、仕事仲間、友人といった大切な方々の『声』
今回は、人が発する「声」や「音」に耳を傾けませんか?というご提案です。
「大丈夫」その答え本当に大丈夫?
コロナ禍で私たちは外出を控え、仕事もリモートワークに切り替わり、友人と会うことさえままならない生活を送っています。マスク着用での生活は息苦しく不便でもあり、何よりも相手の表情の読み取りにくさは、コミュニケーションに支障をきたします。
大人の私たちでさえ、ストレスフルな毎日。子どもたちのストレスはどれほどのものでしょうか?
国立成育医療研究センターが、7歳?17歳の子ども981人を対象に行った「コロナ×こどもアンケート」では、72%の子どもたちが何らかのストレスを抱えていると答えています。
お子さんが、ふさぎこんでいたり、元気がない。或いは、イライラして怒りっぽくなった。ストレス反応は人それぞれ。マスクをしていれば、表情から変化も読み取りにくくなります。
そのようなとき、「大丈夫?」「何かあったの?」と尋ねるでしょう。
けれども、答えは判で押したように「大丈夫」「別に」「何もないよ」このようなものではないでしょうか?
子どもだけでなく、この記事を読んでくれている皆さんもそうではありませんか?
「大丈夫?」と聞かれても「辛い」「きつい」とはなかなか言えないでしょう。
強がったり、相手に心配させたくなかったり、自分の心の状態を言葉で表すのは難しいものですから、面倒で「大丈夫」と答えてしまうこともあります。
「大丈夫」と答えたから、大丈夫なのだろう、と安心しないでください。
大丈夫でないのに「大丈夫」と答えた経験のある方なら、大丈夫という言葉がアテにならないことをご存知のはずです。
言葉でなくて「声」を聞いて欲しいのです。
私たちは、言葉で嘘をつけますが、声で嘘はつけないのですから。
声は個人情報の宝庫
声には、「その人の情報が詰まっている」と聞くとビックリしませんか?
どのようなことがわかるかというと、まずは身長や体型がわかるそうです。
『ファントの法則』といわれ、身長と声の高さは反比例するというものです。
身長が高ければ、声は低く、身長が低ければ、声は高くなります。
太鼓も大きな太鼓は音が低く、小さな太鼓は音が高いですよね?
身長だけでなくおおよその体格もわかるそうですよ。
声から年齢もわかります。
個人差はありますが、ある年齢から体が老化しはじめます。肉体が衰えれば、当然、声帯や口周りの筋肉も衰えます。すると、声が低くなったり、声の張りが失われたり、発声が不安定になったりと声の老化現象が現れます。
肉声を耳で聞いただけで、年齢を当てることは難しいでしょうが、音声研究所などの機械を使えば、わかるようです。驚くことに「教養」も声や話し方からわかると言われています。
写真家、土門拳さんは「気力は眼に出る、生活は顔色に出る、年齢は肩にでる、教養は声に出る」という言葉を残しています。
また、イギリスは特に声には厳しい国と言われており、世界的にも人気のサッカー選手も、インタビューを受けた時の声から「彼の声は知性が感じられない」とか「声以外は完璧な男なのに」など酷評されました。
声で教養までわかる??と聞くと、うっかり声を出すのも怖くなりますね。
そして当然、声から健康状態もわかります。
喉や鼻に炎症があれば、声にすぐ現れますよね?
「まみむめも」が「ばびぶべぼ」になれば、鼻が詰まって苦しそうだなと思います。声枯れしていれば、「風邪をひいたの?」とすぐわかります。
風邪以外にも、体調が悪かったり体に痛みがあれば、呼吸が弱くなるので、声に力もなくなります。口を開けるのもきつければ、滑舌だって悪くなります。
疲労が蓄積している時には、声を出すことさえ重労働に思えます。
「声を出す」って結構体力がいるのです。
声は嘘をつけない
そして心の健康も声に出ます。
あまりにも大きなショックをうけて、一時的に声を失った。という話を聞いたことはありませんか?
ストレス由来の心因性失声症も20~40代の女性に多いそうです。
またストレスから、喉に異物感を感じる咽喉頭異常感症を訴える女性も増えてきたと聞きます。
実は、私も咽喉頭異常感症になることがあります。言いたいことがあるのに我慢して言えずにいたり、感情を抑えつけ続けると、喉に大きなアメ玉が詰まったようになり、唾を飲むことさえ、昔のサザエさんのエンディングにあった「ふんがふっふ」の状態になります。
当然声の出も悪くなるのです。
特に声は、嘘をつく時に如実に変わります。
自分の本当の気持ちと言葉にミスマッチが起こる状態、それが嘘です。
嘘をつく時、その嘘がバレないだろうか?と緊張しますよね。
緊張すると声帯は張り詰めて振動数が増えます。するとどうなるか?
声の『うわずり』が起こります。高く調子が外れたような声です。
一般的には、いつもより声のトーンが高くなったり、饒舌になったりという変化が起こります。
「大丈夫?」とたずねた時の答えが、いくら「うん、大丈夫」でも、声が上ずっていたり、声が硬い印象があれば、それは無理をしているのかもしれません。
このように、心身の調子を崩すと声は変わります。
声に力や元気が感じられなかったり、反対にイライラを感じさせる響きが加わったら、なにかストレスを感じているサインかもしれません。
こうした変化は、言葉だけを聞いていたり、ラインなどSNSを使ってのコミュニケーションでは拾うことのできない変化です。
そのほかにも足音といった生活の中で発せられる音も心身の調子を表すサインとなります。
イライラと怒りがある場合には、足音もドンドンと乱暴な音を発します。
元気がなく塞ぎ込んでいれば、姿勢が猫背となりますので、歩幅が小さくなり足音も小さくなります。
私たちは、前向きな言葉を発していても心身の状態がその言葉に合っていなければ、必ずこのようにサインが隠れているものです。
我が家では、母が台所で鼻歌を歌っていると安心します。
心身が不調な時、声を出すのさえしんどいのですから、ましてや歌を歌うなんてもっと辛いこと。歌を歌うって体力も気力も必要なのです。少々音を外していても、歌詞を間違えていても、「お母さんが台所で鼻歌を歌っている」状態は、家族みんなが元気で平和だと思うのです。
まとめ
今回のお話は、特に家族のように付き合いが密であるからこそ気づく変化です。
ポイントは「いつもと違う」ということ
「いつも」を知っている近しい間柄でないと気づくことはできないのです。
家族の様子をよく見ることも大切です。それと同時に家族が発する声や音にも耳を澄ましてみませんか?
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橋詰 京美
Office ailes(エール)代表
1997年より福岡のRKBラジオにてリポーター・ラジオショッピングキャスターとして活動。2015年より、ラジオでの経験を活かし経営者・個人事業主を対象とした「ボイストレーニング」「プレゼントレーニング」の個人指導や「企業研修・セミナー」講師として福岡県内だけでなく九州各県、関東、関西圏でも活躍中。2020年春にはオンラインによる「オンライン見え方学校」も開校。