登山アプリの制作を始め、アウトドアシーンを盛り上げるYAMAPに勤め、映像や写真を使って情報発信する﨑村さん。2014年、妻の愛(あい)さんと結婚、2017年に長男の曜立(ようた)くんが誕生。父親になる以前との生活のギャップが大きかったという﨑村さんの、子育ての楽しみ方を伺いました。
◾️Profile
﨑村昂立(さきむらこうた)さん
YAMAP コンテンツディレクター / PR
1988年、福岡県出身。一橋大学商学部卒業。株式会社ワークスアプリケーションズ東京本社にて営業、PR、プロモーションを経験。第一子誕生を機に帰福し、YAMAPへ参画。PR・企画・ライティング・映像制作などをメインに担当する。現在、3歳の長男、曜立(ようた)くんの子育て中。
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長年の遠距離恋愛を経て、結婚へ
――お二人の出会いをお聞かせください。
高校卒業後、福岡の予備校で出会いました。その翌年、僕は東京、妻は京都の大学に進学したので、付き合い始めた頃から遠距離恋愛でした。卒業後も、僕は東京、妻は福岡で就職したので、離れて過ごしていた期間が長かったですね。
――今ご結婚から何年めですか?
2014年の7月に結婚して、今6年目になります。結婚してしばらくは2人で東京に住んでいたんですが、妊娠が分かってから妻は一度仕事を辞め、出産直前には妻だけ福岡に帰省していました。
――結婚前から、子どもを持つことや育て方などについてお話されましたか?
いえ、あまりそういう話をしたことがなかったんです。長く付き合っていると、かえって結婚するタイミングを失ってしまって。ある日、お義父さんの目が悪く、いつか見えなくなるかもしれないという話を聞いて、今のうちに花嫁姿を見せなければと、それが結婚のきっかけになりました。
初めての感覚、感情に戸惑う毎日
――お子さんができたことを知ったときのお気持ちはいかがでしたか?
すぐには父親になるという実感が湧きませんでしたね。子どもをつくる意識はあったんですが、いざ、子どもを授かって、エコー写真を見ると、本当に赤ちゃんがいるんだなあと、不思議な感覚でした。
――出産前の心の変化、日常生活の変化などはどうでしたか?
妻のお腹が膨らんできて運動や食べ物にも気を使うようになったり、行けるところが限られてきたりするうちに、だんだん自分が親になることを自覚し始めました。
妻が妊娠中の生活は、知識を得ないと分からないことだらけだったんですが、今になって反省しているのは、当時、僕は妻ほど勉強しなかったことです。妻が調べたことを、僕は隣で聞いて学ぶだけだったので。
――出産には立ち合われましたか?
東京にいるときに、破水したという知らせを聞いて、急いで飛行機に飛び乗って福岡に帰りました。いよいよ生まれるというところで、妻にペットボトルの飲み物を頼まれ、病室まで取りに行って渡したのですが、用意しておいたストローを忘れて怒られたのは今でも忘れません(笑)。ベッドの上で、ストローがないと飲みにくいってことに気づけなくて…。
――何もかもが初めての経験で戸惑いも多かったのですね。はじめてお子さんを抱っこしたときいかがでしたか?
嬉しいという気持ちだけではなく、怖さもありました。小さくて脆くて扱いが難しくて、いろんな感情が入り混じっていました。
――お子さんが生まれたのを機に福岡に戻って来られたのですか?
出産後しばらく妻は実家にいて、僕は東京に単身赴任のような状態でした。そのあと、YAMAPに入社することになり、完全に福岡に引っ越しました。2人とも福岡で育ったので、東京で子育てするイメージがあまり沸かなかったのと、両親のサポートも受けやすいというのもあって、福岡に戻ることに決めました。
それぞれの得意分野を活かして分担
――育児と仕事とのバランスは?
現在は、妻もYAMAPで働いています。仕事は、平日早くて18時、遅いときで21時頃に終わり、土日は休みなので、休日は家族でキャンプや公園に行くことが多いです。息子がもうちょっと大きくなったら山登りにも行けるかなあ。
育児では、戦いごっことか、子どもが暴れる系の遊びが僕の担当です。最近は、歯磨きをすると敵を倒せるアプリを使って一緒に歯磨きをするのにハマっています。やりすぎて血が出たこともあるんですが(笑)。息子を叱るのは妻の方が上手なので、妻の担当です。僕は叱ろうとすると、つい笑ってしまうんですよね…。
――家事もされているのですか?
皿洗いやお風呂洗い、ごみ出しなどはやっているんですが、料理は妻に完全に任せてしまっているのが現状です。僕が料理するのはかなりレアです…。しないといけないですね。
――お二人でうまく役割分担して育児と家事をこなしているんですね。夫婦円満の秘訣はありますか?
夫婦という1つの共同体の中で、一緒に価値観を作っていかないといけないと思っています。もともと他人同士なので、価値観が違うのは当たり前です。自分が変わらずに、相手だけを変えようとするといつかガタが来るので、お互いが歩み寄っていかないといけませんね。
子育ては映画に引けを取らないエンターテインメント
――育児をすることでのご自身が変わったことはありましたか?
生まれる前と比べて想像を絶するほど生活のギャップがありました。当然のことかもしれませんが、完全に子どもが中心の生活になりましたね。僕が28歳の時に息子が生まれたんですが、高校・大学時代の友達に比べて早かったんです。友人たちが、夜はおしゃれな街に遊びに行ったり、東京の新しいものを楽しんでいたりする姿を見ると、もともと僕もそういう楽しみが好きだったので、始めは比べてしまうこともありました。
本を買っても読む時間がなくて、どんどん溜まっていったり。父になるということに対して、考えが甘かったなと感じています。今やっと、うまくそこが消化できるようになりました。
――どうやって克服できたのでしょう?
子どもはエンタメ力が最強だと気づいたんです。息子が新しいことができるようになったとき、予想を超える行動をしてきたとき、ひょうきんなことや優しいことを言ってくれるとき、私はとても感動します。映画を見るより、リアルに感動して、怒ったり、笑ったり、感情を動かしてくれて、子育てって案外エンタメとして考えても面白いんじゃないかなと感じられるようになりました。
――お子さんにはどんなふうに育ってほしいですか?
悪いことはしないでほしいというのと、好きなことをやってほしいという思いはあるんですが、仕事とか学校についてはあまり言うことはないですね。僕自身、とやかく言われず父の背中を見て育ってきた気がするので、息子がどう育つかは自分次第だと思っています。僕が息子にどんな生き様を見せるかじゃないでしょうか。
健康管理が心の余裕につながる
――これからパパになる人たちにメッセージをお願いします。
子育てを始めると、今までと同じ生活はできないので、ギャップにうまくフィットすることが大事だと思っています。心に余裕がないと、育児はできません。
そのためには、健康管理が大切です。体調が良くて活力がある状態をキープできれば、自ずと家事や育児もできるんじゃないかなあと思います。年齢を重ねるに連れて、ちょっと運動しただけで風邪を引いたりするようになり、免疫力がないのを実感します。自分の健康状態が家庭にも影響を及ぼすので、例えば、運動したらビタミンB1を積極的に摂るなど、真面目に健康管理をやらないといけないと思います。当たり前だけど大切なことですよね。僕も、これまであまり気をつけていなかったので、最近気をつけるようになりました。家事・育児は健康第一です。
取材後記
初めてパパになった心境を飾らず素直に話してくださった﨑村さん。子育てをしていくうちに学びや気づきがあり、自身の行動を改善しながらポジティブに育児に取り組んでいる真面目さが伺えました。インタビュー中、「これを言うと妻に悪いんですが…」と、愛さんに対する謙虚な姿が時折垣間見え、夫婦の円満な関係づくりに繋がっているのだと感じました。
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長澤 由紀
フリーライター・エディター
福岡県久留米市出身。明善高校、福岡女子大学卒業後、株式会社アヴァンティで2年間雑誌・Web媒体の編集に携わる。その後、ライター・エディターとして独立。K-POP鑑賞と韓国旅行が好きな“韓国オタク”。