産後うつの症状とは?チェックリスト&夫婦で覚えておきたい原因・対策・予防法

産後うつとの向き合い方

出産後の慣れない育児に心と体がついていかず、気分が落ち込んで心身の不調が続くことがあります。そのような状態は、実は産後うつになっているかもしれません。

今回は、これから出産を控えている人や出産後間もない人のために、産後うつの症状やチェックリスト、夫婦での乗り越え方について説明します。

産後うつとは?

産後うつは、出産後数週間~数か月の時期に、極度な気分の落ち込みを感じるうつ病の一種です。気分の落ち込みなどの精神的症状のほか、頭痛や不眠などの身体的症状も出ます。

産後うつの症状

産後うつの症状は、他のうつ病の症状と同様です。ただし、産後うつの場合には、比較的短期間で症状が重症化するという特徴があります。

精神的症状

気分が落ち込む、不安になる、イライラする、集中力・記憶力の低下、子どもがかわいくない、自殺願望など

身体的症状

眠れない、体がだるい、疲れがとれない、頭痛、食欲低下など

産後うつは甘えではなく、治療が必要な病気

産後うつとは?

インターネット上では、産後うつを甘えと呼ぶ声も多く聞かれますが、実際はそうではありません。また、マタニティブルーと混同されやすい傾向もみられます。ここではマタニティブルーと産後うつの違いや、早期発見・対応の重要性についてお伝えします。

マタニティブルーとの違い

出産後の気分の落ち込みは、マタニティブルーではないかと考える人も多いでしょう。マタニティブルーは出産後のホルモンの急激な変化により一時的に起こるもので、病的なものではなく、産後1~2週間程度でおさまります。

産後うつは早期の発見と治療が必要

産後うつはマタニティブルーに比べて落ち込む期間が長くなり、数か月から数年続くこともあります。時間が経つと治るというものではなく、放っておくとどんどん悪化することがあります。産後うつは病気の一つですから、早期発見・早期治療が必要といえます。

放っておくと自殺や母子心中の危険がある

産後うつが重症化すると、自殺や母子心中を引き起こしかねません。2005年(平成17年)から2014年(平成26年)までの10年間、東京23区内では産後1年未満の産婦の自殺が40件起こっており、自殺した産婦のうち6割が産後うつなどの精神疾患を有していたことが明らかになっています。

産後うつを甘く見ていると、手遅れになる場合があることを知っておきましょう。

産後うつの体験談

ブロガーのミィさんの著書「脱 産後うつ 私はこうして克服した」(講談社)では、ミィさん自身が産後うつに苦しみ、限界まで追い込まれて自殺未遂をした経験が描かれています(画像をクリックすると書籍の詳細を確認できます)。

脱産後うつ 私はこうして克服した ミィ

ミィさんは精神科に3か月入院。適切な治療を受けることにより、産後9か月のときには症状が落ち着いて寛解状態となりました。産後うつになった本人の気持ちが漫画でわかりやすく表現されているので、産後うつかもと思っている人や、産後うつの人の家族はぜひ参考にしてください。

産後うつの原因

産後うつの原因

産後うつは単なる育児疲れではなく、原因のある病気です。産後うつがなぜ起こるのかについて理解しておきましょう。

産後うつは脳や体がホルモンの急激な変化に対応できずに起こる

産後うつの最大の原因は、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが出産を境に急激に減少することです。脳や体がホルモンの変化に対応できず、自律神経のバランスが崩れて、不安や落ち込みを感じやすくなってしまうのです。

家族の無理解が引き金になって産後うつになることも

産後うつは周りに理解されにくい病気です。辛い気持ちを夫や親に打ち明けても、「母親は眠れなくて当たり前」「みんなやっていること」「母親としての覚悟がない」などといわれると、本人は余計に自分を責めてしまい、症状が悪化すると考えられます。

産後うつは本人のせいではない

産後うつで育児ができなくなった人は、母親失格なのではないかと感じ、辛いのに無理をして頑張りすぎてしまう傾向があります。

産後うつは原因のある病気ですので、投薬などの治療をすれば改善します。辛いと思ったら一人で悩まず、誰かに相談するようにしましょう。

産後うつのチェックリスト

産後うつのチェックリスト

「産後うつかもしれない」と悩んでいても、病院に行くのはためらってしまうこともあるでしょう。まずは、チェックリストでセルフチェックしてみることをおすすめします。

産後うつの診断に使われる「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」

産後うつのスクリーニングのために病院等で使われているのが、イギリスの精神科医が開発した「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」です。まずは、以下の質問に回答し、自分の点数が何点か確認してください。

1. 笑うことができたし、物事のおもしろい面もわかった

いつもと同様にできた

0点

あまりできなかった

1点

明らかにできなかった

2点

全くできなかった

3点

2. 物事を楽しみにして待った

いつもと同様にできた

0点

あまりできなかった

1点

明らかにできなかった

2点

ほとんどできなかった

3点

3. 物事がうまくいかないとき、自分を不必要に責めた

はい、たいていそうだった

3点

はい、時々そうだった

2点

いいえ、あまり度々ではなかった

1点

いいえ、全くなかった

0点

4 はっきりした理由もないのに不安になったり、心配したりした

いいえ、そうではなかった

0点

ほとんどそうではなかった

1点

はい、時々あった

2点

はい、しょっちゅうあった

3点

5. はっきりした理由もないのに恐怖に襲われた

はい、しょっちゅうあった

3点

はい、時々あった

2点

いいえ、めったになかった

1点

いいえ、全くなかった

0点

6. することがたくさんあって大変だった

はい、たいてい対処できなかった

3点

はい、いつものようにうまく対処できなかった

2点

いいえ、たいていうまく対処した

1点

いいえ、普段通りに対処した

0点

7. 不幸せな気分だったので、眠りにくかった

はい、ほとんどいつもそうだった

3点

はい、時々そうだった

2点

いいえ、あまり度々ではなかった

1点

いいえ、全くなかった

0点

8. 悲しくなったり、惨めになったりした

はい、たいていそうだった

3点

はい、かなりしばしばそうだった

2点

いいえ、あまり度々ではなかった

1点

いいえ、全くそうではなかった

0点

9. 不幸せな気分だったので、泣いていた

はい、たいていそうだった

3点

はい、かなりしばしばそうだった

2点

ほんの時々あった

1点

いいえ、全くそうではなかった

0点

10. 自分自身を傷つけるという考えが浮かんできた

はい、かなりしばしばそうだった

3点

時々そうだった

2点

めったになかった

1点

全くなかった

0点

セルフチェックの診断結果

以下の10項目につき過去7日間に感じたことにもっとも近い答えを選びます。各項目の点数の合計が9点以上の場合に、「うつ病の可能性が高い」とされます。

たとえ8点以下でも、うつ病でないとは言い切れません。産後うつは急激に症状が悪化することもありますから、当てはまる項目が多い場合には受診を考えましょう。

産後うつの対策と予防方法

産後うつの対策と予防法

産後はとにかく休む

生まれたばかりの赤ちゃんは昼も夜も泣いてばかりですから、出産後は睡眠もろくにとれないことが多くなるでしょう。眠れない状態が続くと疲れがとれず、疲れやストレスが溜まると産後うつの引き金になってしまいます。疲れたらとにかく休むことを心がけましょう。

育児は人に頼る

子育てには周りの助けを求める力も必要です。子どもにとって良い状態とは、そばにいる母親の状態が安定していることです。一人で頑張ろうとせず、赤ちゃんを実家や一時保育に預けて休むことも考えましょう。

子どもを保育園に預けても、罪悪感を感じる必要はありません。いろいろな人とかかわることは、子どもにとっても良い経験になります。

妻が産後うつになったら夫はどうサポートしたらいい?

できることを積極的に行う

育児は妻だけの仕事ではありません。母乳を飲ませる以外のことは夫でもできますから、夫もできることを積極的にやりましょう。

優しい言葉を心がける

妻に対する言葉かけにも注意が必要です。産後うつになった妻は自分を責める気持ちが大きくなりますから、「頑張って」というような言葉はプレッシャーになる可能性があります。

まずは、妻の気持ちをしっかり聞いてあげることが大切です。そして、「大変なら僕が支えるし、そんなに頑張らなくていいよ」と優しい言葉をかけてあげましょう。

まとめ

出産後、育児を妻一人が抱え込むと、産後うつのリスクが高まります。まずは夫と妻とで協力し、できれば他の家族のサポートも受けながら乗り切ることを考えましょう。
産後うつの症状が出ている場合は早めの受診が大切です。病院に行くのに抵抗があるなら、各地域の子育て世代包括支援センターなどの相談窓口に相談しましょう。

参考資料

・日本産婦人科医会パンフレット「妊産婦メンタルヘルスケアマニュアル

妊産婦のメンタルヘルスケアに関して、厚生労働省の調査研究の中で作成されたマニュアルです。妊産婦のメンタルヘルスケアの重要性やスクリーニングについて書かれています。

脱産後うつ 私はこうして克服した ミィ

産後うつになり自殺を考えるまでになった著者が、今苦しんでいる人の参考になればと、具体的な症状や回復までの経緯を漫画と一緒にまとめたエッセイです。医師の解説も入っており、産後うつの原因や対策、家族など周りの人のサポートの仕方について詳しく知ることができます。

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